仮面女子のカギを握るサウンドクリエイター、永田雅規<前編>

NEWS by インタビュー:桜鳥浜敬 2014/12/31

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群雄割拠のアイドルシーンで異彩を放つ孤高の存在、仮面女子。仮面女子とは、アリス十番、スチームガールズ、アーマーガールズという3つのユニットの融合体で、自らを「最強の地下アイドル」と名乗りアイドルのアイデンティティでもある顔をジェイソン・マスクで覆うというあまりにも衝撃的な出で立ちが話題の大型ユニットだ。そんな彼女たちが2015年1月1日にシングル「元気種☆」を発表する。CD不況が叫ばれる日本の音楽シーンにおいて、この「元気種☆」は12月末現在で予約枚数が12万枚を超えるというこちらも衝撃的な状況だ。しかも仮面女子は2015年11月にさいたまスーパーアリーナでのワンマンライブが決まっているという。そんな“衝撃まみれ”の仮面女子を裏方で支えるのがトラックメイカーの永田雅規だ。彼独特の音楽観や楽曲制作の秘密について聞いてみた。

アイドルの“萌え”と、ロックな部分、それが合わさった仮面女子

▲2015年1月1日リリース「元気種☆」

 

原体験は80〜90年代のJ −POPとヒップホップ

●音楽に目覚めたきっかけは何ですか?
○高校生の頃から、テレビ番組『ダンス甲子園』にも出るくらいにプロのダンサーを目指していたんです。あるとき地元が同じRIP SLYMEのメンバーと錦糸町で一緒にイベントをする機会あったんです。僕はダンサーとして出演したんですが、彼らがラップをするのがすごく面白いなって思ったんですね。それでRYO-Zにラップのことを色々教えてもらって。「永田くん、今日は歌いなよ」って言われて狭いDJブースの中でラップし始めたんです。そうするとダンスよりラップの方が楽しくなっちゃって、それからバンドを組んだんです。音楽のことは全然分からなかったので、バンドメンバーにコード進行なんかを習い始めたのが27歳くらいですね。ギターも勉強したんですけどこちらは挫折して(笑)。でも楽曲の制作はしたかったので、YAMAHA QY70を買ったんです。楽器が弾けなくてもプリセットのパターンで曲が作れる、これはいい!と思って。
●それ以前はどんな音楽を聴いていたのですか?
○僕は中学生くらいからJ-POPマニアで、80〜90年代は人より多く聴いていたと思います。『You & I』っていう貸レコード屋で、毎日借りてはダビングをするという。モテたいという不純な動機で始めたダンスですが(笑)、ディスコに通うようになってヒップホップにハマったんです。なので、僕の音楽的な原体験は80〜90年代のJ-POPと90年代のヒップホップということになりますね。
●音楽を作り始めたのはいつくらいでしょう?
○ミクスチャーバンドのJINDOUを26歳の頃に始めたんですが、少しずつ曲作りはしてたんです。JINDOUの曲は基本的に宮下昌也、宮下浩司の宮下兄弟が作っていたんですが(編注:宮下浩司は代表曲「マル・マル・モリ・モリ!」やSMAPなどへの楽曲提供もしているクリエイター)、僕も曲を作って持っていくんですけど、採用されないんですね(笑)。カセットMTRを使って、QY70のプリセットにあるロックのリズムと、口で歌ったギターのパワーコードを録音してね(笑)。とにかくイメージは伝えるんですけど、毎回「う〜ん……」って言われて。
●実際に楽曲制作をできたのはどれくらいですか?
○JINDOUが終わってMJというバンドを始めたんですが、そこでも曲は作らなかったですね。主にラップとステージ演出を担当してました。その頃はバンドで食っていこうという気持ちがなくなりつつあって、どうしようか悩んでいた時期。そんなときにAcQuA-E.P.というホスト達で構成されたバンドのステージ演出を担当することになって、そのメンバーだったせいじ(編注:仮面女子が所属するアリスプロジェクトの代表。大阪の著名ホストクラブClub ACQUAの創業者)と出会いました。そのせいじが芸能事務所(アリスプロジェクト)を立ち上げることになって、僕は社員として入ることになったんです。出会いから会社を始めてアリス十番をやるまでに、2年間くらいブランクがあるんですが、僕はその間に曲作りを勉強しました。最初に作った曲は……Club ACQUAのシャンパンコールですね(笑)。

 

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▲お馴染みジェイソン・マスクで登場してくれた永田氏。

 

●芸能事務所の社員になって、アリス十番を始めるまでの2年間で楽曲制作の勉強をしたんですね?
○そうです。最初は仕事がなくて本当に辛かったですけど、会社をどうしていこうかせいじとよく話してました。そのうち青森県八戸市の市政80周年イメージソングとかキャバクラのコンピレーションアルバムとか手がけるようになりまして……それまでは好き放題に曲を作っていたわけですけど、クライアントがいて、テーマや縛りがある中で曲を作らなければいけない。それが逆に面白くなっていったんです。テーマに沿ってこれまで聞いてきたJ-POPのメロディー感、音楽観を自由に表現できるようになったんです。その後にアリス十番が始まりました。
●当時のバンド活動が制作活動に生かされたわけですね。
○そうですね。20代はズーッとダンスをやってきて、30歳でJINDOUで「なごり雪」でCDデビューしたんですが、そのダンスやバンドで培ったものが今、すごく活かされていると思います。例えば仮面女子の代表的ナンバーでもある「大冒険☆」は、ダンスしていた頃に流行っていた「EYE OF THE TIGER」のリミックスを参考にしたリフだったり、ラップ部分は僕がバンド時代に学んだ要素を入れたり。曲が完成してイメージ通りに振り付けしてくれるのは、もりち(編注:森田繁範/ダンスユニットPaniCrewのメンバー)しかいないと思って振り付けをお願いしたり。

 

▲仮面女子「大冒険☆」

 

YAMAHA QYの扱いは達人レベル(笑)

●最初に買った制作機材はなんでしょうか?
○YAMAHA QY70ですね。今はQY100を使っています。当時の音楽仲間に、永田くんならこれがいいよと勧められて。ただ、音楽の“お”の字も分からなかったので、この機材が何をするものなのか理解するのに本当に苦労しました。何日かかっても本当に分からなかった……教則ビデオを買って、一生懸命勉強しましたね。それからはQYで曲を作ることにハマって、朝から晩までズーッと曲作りしてました。今ではQYの扱いはの達人レベルだと思いますよ(笑)。

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▲永田氏が実際に使用しているQY100。この機材からアリス十番や仮面女子の名曲の数々が生み出された。

 

●その後の機材の経緯は?
○ダンサー仲間に勧められたSONY ACIDを買ってインストールまではしたんですけど……難しくてダメだった(笑)。最近INTERNET Singer Song Writerを手に入れて、時間があるときに触っている感じですね。
●楽曲制作のプロセスは?
○基本的には鼻歌です(笑)。iPhoneとQYがあればできるんです。例えば車の運転中なんかにはかなり精神集中できるので、鼻歌でメロディーを作って、iPhoneに録音します。ほとんど全体をiPhoneで作っちゃいます。それを家に帰ってQYで打ち込む。QYで表現できないところは、口で歌って録音します。できたものをアレンジャーに渡して完成してもらうという流れです。僕の周りには有能なアレンジャーが3人いて、曲のイメージによって変えるんです。「大冒険☆」のアレンジをお願いした佐々木久夫さん、先ほども触れた宮下浩司、それとエレクトロ系が得意な谷内翔太くん。彼らにアレンジを頼むと僕の世界観を忠実に再現してくれた上に100倍くらい“いい感じ”の曲になって出来上がってきます。

<後編>へ続く

 

 

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