音楽のインスピレーションをITに、Evernoteとヤマハがコラボしたワークショップ「Devcup Workshop Inspire youself with Music」

NEWS by 土屋綾子 2013/05/31

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5月24日(金)渋谷のヤマハエレクトーンシティにて、スマホ/PCアプリを開発、提供しているEvernote(エバーノート)社によるワークショップ・イベント「Devcup Workshop Inspire youself with Music」が開催された。今回のテーマは「音楽」。ヤマハの自動演奏ピアノ「ディスクラビア」から新たなインスピレーションを得て、その後のグループワークで新たな商品のアイデアを練り、発表するというものだ。

このイベントは、Evernoteの本拠地であるシリコンバレーで活発に行われている“異業種の者同士で商品開発のアイデアを議論する”場を日本でも展開しようというもの。またEvernoteが展開する企画・開発コンテスト「Evernote Devcup」への参加を促す狙いもある。

この日会場には、開発者やデザイナー、音楽関連など70名あまりの多種多様な分野の参加者が集まった。参加者はランダムに6~7席ある机に座り、9つのグループを作る。このグループで後半にワークショップを行うのだ。

Evernote パートナーシップ担当ディレクターの佐藤氏は、「シリコンバレーは異業種チームでの商品開発が活発に行われ、その結果完成度の高いものができる。日本では業種という壁が、イノベーションの足かせになっている。そこに働きかけるのがEvernoteの仕事かと思っている。」と本イベントへの意欲を語った。

アイデア×情報収集でモノは生まれる
そこにデジタル技術を活用する

次にEvernoteユーザーであり、元インターネット・マガジン編集長、現在は音楽活動を行っている倉園佳三氏が登壇し、今回ワークショップのアイデアのヒントとなる、音楽とITの現在についてを語った。倉園氏は、「今年音楽活動を再開してすごいと思ったこと」に次の項目を挙げた。

  • トレーニングツールの充実(練習アプリやEラーニングなど)
  • 楽曲の入手が簡単(注目してるのはサブスプリクション(定期購入)型のサービス)
  • 配信サービスの充実

さらにその他の事柄としてエフェクターなどのアナログ機材が豊富な点も紹介。
また音楽とITの今後については、「デジタル技術で音楽クリエイションの環境はすでに進化している。期待しているのは、アイデア×情報収集フェーズ。この2つがあれば作品や企画が生まれる。」といい、アイデアは「思考を取り除いたスペースに降りてくる。思考を入れずにキャプチャする、ここにデジタル技術を使う」のがポイントだという。

最後に倉園氏は、「自分の外にある技術を進化と読んでいたが、今は自分自身を進化させる時代ではないか。いい技術があっても自分がうまくなるわけじゃない。自分を進化させましょう」と参加者を激励した。

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ネット経由で自動演奏するディスクラビアと
Evernoteで実現するコミュニケーション・アプリ

ここで今回の重要な“お題”の一部、ヤマハ「ディスクラビア」の登場だ。同製品の開発者である上原氏が機能紹介と現在の活用シーンについてプレゼンした。

ディスクラビアは、グランドピアノ型/アップライト型の自動演奏ピアノで、LANを通じてインターネットに接続し、専用サイトからさまざまな楽曲の再生(演奏)ができる。その技術を用いて、コンサートで演奏者がディスクラビアを使うことで自宅で生演奏が楽しめたり、コンペティションで使われたりもしているという。コンサートでは過去にエルトン・ジョン、坂本龍一などがこの技術を利用し、遠隔地にライブ演奏を届けた。

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ヤマハからは、このディスクラビアをEvernoteと連携させ、ユーザー同士のコミュニケーションを促すアプリケーションも提案された。「OTONNECT(オトネクト)」という本アプリは、iPhoneにディスクラビアを接続し、演奏データを保存。その演奏時の気持ちを音源にタグ付けしEvernoteにアップすることで、新しいコミュニケーションが生まれる、というもの。さらに演奏データはディスクラビアでも再生でき、喜怒哀楽の「感情エフェクト」を選択すると、“哀”のときはゆっくり・しっとり、“怒”のときは叩きつけるように、など演奏に変化が与えられる。これは音源ではなく演奏データを保存できるディスクラビアの特性を生かした機能と言える。

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楽器に接続し、演奏を始めると自動で記録が始まる

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記録したデータを再生したり、画面上部にあるボタンで現在の感情を表示させたりできる

ゲーセンにピアノ!? ピアノのライフログ?
尖った発想が飛び交うワークショップ

Evernoteとヤマハからのプレゼンテーションを受け、参加者からどんな企画が生まれるのか?30分の時間が与えられ、各テーブルでディスカッションが行われた。

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大きな模造紙を囲み、さまざまな業種の人が本気でディスカッション

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喧々諤々の議論が終わると、即プレゼンテーションへ。各グループ1分でアイデアの内容を述べてもらう。
発表では、楽器ができてもできなくても、iPhoneのコントローラーで簡単に演奏ができ、世界の人とジャムれるというものや、Evernote上で演奏者をマッチングするもの、ピアノがいままでどんな曲を演奏してきたかを知れるもの、Google Grassで手の動きも含めてレッスンできるというものなどなど、実に刺激的な企画たちが発表された。

全グループの発表後、審査によってヤマハ賞とEvernote賞も決定された。
ヤマハ賞は、ゲームセンターにディスクラビアを置き、対戦型のセッション・ゲームをするというもの。プレゼン発表時に場内に大きなどよめきが起こった企画だけに、納得の受賞だ。そしてEvernote賞は、Evernoteの共有機能を使ってネット上で合奏を作っていくというアプリに決定した。

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ヤマハ賞受賞グループ。iPad/iPhoneを接続できるMIDIインターフェース「i-MX1」が贈られた

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Evernote賞受賞グループにはEvernoteプレミアムカード 3ヶ月とステッカーを進呈

短時間にも関わらず、バリエーション豊かな企画が生まれた今回のワークショップ。音楽の楽しさ/可能性が、ITと結びつくことでどんな展開を見せられるのか。アイデアはあるけれど、まだ形にしていないという人は多いのではないだろうか。このような機会を利用してアイデアをより現実的な企画にしたり、さらに具体的な形にする仲間を見つけにいったりするのもいいだろう。実際、この日も終了後に話し込む参加者の姿が多く見かけられ、刺激的な会だったということを物語っていた。発表された企画がどこかで実現される可能性もかなり高いのではないだろうか。

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