オープンリールの未来を空想する~Open Reel Ensemble展示「Electronicos On」レポート

NEWS by 編集部 2011/10/24

オープンリール式テープレコーダーを改造し、録音/リールの回転を操作することで演奏を行うグループ、Open Reel Ensemble(オープンリールアンサンブル)が、初となる展示「Electronicos On」を恵比寿G/P Galleryで開催した(10/23に終了)。
本記事では、その展示の様子と初日に行われたトークショーの模様をお届けする。

今年のSonarSound Tokyo、オーストリアのアルス・エレクトロニカ出演などにより国内外で注目を集めているOpen Reel Ensemble。ドコモのスマートフォン「GALAXY SII」を宇宙空間へ打ち上げた「Space Balloon プロジェクト」のBGMとして彼らの楽曲を耳にした方も多いかもしれない。

リーダーの和田永はオープンリール式テープレコーダーに出会い、魅せられたきっかけをトークショー内でこのように語った。
「(今回の展示にも使っているのは)40年くらい前の古い録音機で、今は使われていないものです。小学校高学年くらいの頃、父親の知り合いで放送局に勤めている方が不用品として処分しようとしていたものを譲り受けたのが出会いです。
僕が小さい頃はカセットテープがすでにあったので、こんなばかでかいものがレコーダーとして、”音を録音する機械”としてあるということに驚いたのと、カセットテープの親玉みたいな外観、そしてテープの中身がむきだしになっていることが異様に見えました。
それで『なんだろうこの機械?』といろいろいじっていたんですが、ある日なにかのきっかけでバタンと倒してしまって、回らなくなってしまいました。そこで自分の手でリールを回してみると、レコードで言うスクラッチのような音が聞こえてきたんです。
自分で録音した音が自分の手によって再生されて、手の動きによってそれがゆがむ……このスクラッチのような音がすごくおもしろいと感じました。音の編集ポイントを探す際に実際に行われていた『キューイング』という操作をやっていたんですね。」

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▲Open Reel Ensembleリーダーの和田永(左)と東京都写真美術館学芸員の山峰潤也氏(右)によるトークショーの様子。

大学在学中、和田は仲間とともに本格的にオープンリールでの演奏行為を開始するためOpen Reel Ensembleを結成した。そこで和田の中に浮かんだ空想……ジャングルの奥地で儀式的に使われたり、教会の中に積み上げられ動いているオープンリール……などをメンバーと共有しながら、楽曲の世界観に落とし込んでいるという。

普段はライブ・パフォーマンスをおこなうグループなだけに、今回のような”展示”という方法は非常に挑戦的な試みだという。
展示では、今まで演奏のために実験・改造し「犠牲に」なったオープンリール式レコーダーをメンテナンスしなおし、展示用に組み替えたものを使っている。それぞれの機械はコンピュータで制御されており、テンキーのそれぞれのボタンに登録しておいたプログラムを呼び出して、演奏を行うことができる。つまり鑑賞者がスイッチを押すと演奏が始まり、演奏者がいなくても演奏が行われるという仕組みだ。
ホワイトキューブの中に青く照らされた6台のオープンリールは、別世界にあるなにかの象徴のように見え、Open Reel Ensembleの空想の世界に入り込んだ気分にさせられる。

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▲トークショーの後には、展示のオープンリールを用いてのライブが行われた。

Open Reel Ensembleは、11月13日(日)に渋谷WWWで行われる『OTOTOY presents VANISHING POINT』でworld’s end girlfriend、青葉市子、サカモト教授らとともに出演予定だ。

Open Reel Ensemble

2009年より、和田永を中心に、 佐藤公俊、 吉田悠、 難波卓己 、 吉田匡ら5人のメンバーで、活動を開始。 旧式のオープンリール式磁気録音機を現代のコンピュータとドッキングさせ、「楽器」として駆使して演奏するプロジェクトを発表。その場で声や音をテープに 録音、リールの回転や動作をコンピュータで制御したり、人力で操作することでアンサンブルで音楽を奏でる演奏・パフォーマンスを行う。その活動は海外でも 高く評価され、2011年Sonar Festival(スペイン)、ARS ELECTRONICA(オーストリア)でも絶賛を浴びる。

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Open Reel Ensemble「Tape To Tape」
オープンリールテープ盤

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