「ディックとクンビア曲を作ろう!」ワークショップ・レポート&Dick El Demasiadoインタビュー

NEWS by 編集部 2010/08/16

デジタル・クンビア・アーティストのディック・エル・デマシアド(Dick El Demasiado)が原宿VACANTで行った「ディックとクンビア曲を作ろう!」ワークショップ。参加者の演奏をディックがその場でエディットしたWSの様子をレポート。そしてWS後に行った直撃インタビューをお届けしよう!

コロンビアを起源とし、ラテン音楽の一ジャンルに位置づけられる「クンビア」。バウンシーな2ビートが特徴のこの音楽が、コンピューターでプログラミングされたリズム・トラックと結びついた”デジタル・クンビア”と称されるサウンドが、現在クラブ・ミュージックシーンで話題となっている。
そんなデジタル・クンビアの”ゴッド・ファザー”と呼ばれているのがディック・エル・デマシアド。音楽評論家の松山晋也やneco眠るの森雄大、LOS APSON?のヤマベケイジ、ウリチパン郡のオオルタイチからも熱いメッセージを受ける彼が、デジタル・クンビアを体感できるクリエイティブなワークショップ「ディックとクンビア曲を作ろう!」を原宿VACANTにて開催した。
本ワークショップは、参加者が演奏するギターやパーカッションなどの楽器をディックがその場でサンプリング/エディットし、ひとつの曲に仕上げていく過程を居合わせた人全員で楽しむというもの。録音/エディットの方法や、使用機材などを中心に早速その様子をみていこう。
さらに、ワークショップ後のディック本人へのインタビューも敢行。知られざる楽曲制作の環境や最近の活動について、紳士的な物腰で語ってくれた。

会場にならぶ楽器?でクンビアを演奏

会場となった裏原宿にあるイベントスペース「VACANT」の2階には、20名以上の参加者が集まった。床には多種多様な楽器(ギター、パーカッション、マラカス、トライアングル、鍵盤ハーモニカ、瓶、ホースなど)が置かれている。
参加者には好きな楽器を使ってパートごとに短い演奏をしてもらい、ディックが取り込んだ音をその場でエディットしていく、という流れだ。今回作った曲は、ディックのライブでも演奏されると聞いて、参加者のやる気も俄然アップ!

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▲Roland R-09で録音中。

最初に全員でクンビアの基本メロディーを聴き、その独特の「イナタい」リズムとメロディーの感覚をつかんだところで、さっそく録音開始だ。参加者が手に取った楽器によって「パーカッション」「メロディー」にグループが分けられる。まずはパーカッションのグループからレコーディング開始。「あんまり密にリズムを刻まないように」といったディックのオーダーも交えつつ演奏/録音が進められた。一方、メロディーのグループは、おもちゃの笛と鍵盤ハーモニカの参加者がリードして2種類のメロディーを録音した。

ディックはコンピューターに取り込んだこれらの演奏データの中から気に入った部分を使用しループ素材を作り、エフェクト/音量調整を施すなどして、形を整えていった。

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▲ディックがメロディーを歌い、それを再現する参加者の2人。 ▲ギター、おもちゃの笛、ホース(?)、喋るあひるのぬいぐるみ、などなど。

ボイスの録音、そして編集作業へ

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次に、ボイスの録音だ。パーカッショングループは「ドッ・ダー・タ」というリズム音を歌い、メロディのグループは一列に並んで端から1人ずつ”オペラ歌手のような”声で歌うのを録音していく。
再び、それぞれにエフェクトをかけていく。メロディのエフェクトは元の音とかなり違った、人の声とは思えない響きに変貌。ディックはここまでの音を聞いて「最初に思っていたイメージと結構違っているけど、よくあることです」と楽しそうな笑顔を見せてくれた。

そして作業はミックスへ。ディックはあらかじめ用意していたベース音とパーカッション音のトラックを、今回録音した音と組み合わせていく。今回は参加者の「持ち帰り用」として、時間の限られた中でのミックス作業ではあったが、その不思議な響きと”予想外”の出来栄えにディックも参加者もご満悦だ。

「今回のワークショップで、皆さんにおもしろい発見があればうれしいです」とディックが締めくくり、ワークショップは終了となった。参加者たちはワークショップ終了後もディックとの会話や、楽器の演奏を楽しんでいた。

 

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Dick El Demasiado インタビュー

ワークショップを終えたディックに、今日の感想、使用している機材について、活動についてなどを聞いた。

みなさんにオペラ歌手のように歌ってもらったときが、
魔法がかかったような瞬間だった

–ワークショップ全体を通しての感想をお聞かせください。
参加者が何を期待しているかを知るのが難しかったです。演奏レベルや音楽的レベルによって求めているものが違うので。でも、始まってからは楽しい雰囲気にすることができました。特に、参加者のみなさんにオペラ歌手のように歌ってもらったときが、魔法がかかったような瞬間になりましたね。
ミュージシャンは障害や課題、問題があると解決しようとしますが、私は「解決」するのではなく「横を通って」いくタイプです。
たとえば、これだけの人数でパーカッションを演奏すると、割とリズムがバラつきますよね。そこを完全には解決させずにおくのです。

–その結果できた曲は、いかがですか?
好きです!すごくいい曲になったと思います。これからもう少し手を入れて、日本でのライブで披露します。

–楽しみにしています! では次に、普段お使いの楽器や機材の話を少し伺いたいと思います。レコーディングやサウンドメイキングでは主にどんな機材を使用していらっしゃいますか?
サンプラーはAKAI PROFESSIONALのMPC、DAWにはAPPLE LogicとABLETON Liveを使っています。
今回のワークショップでは、レコーダーはRoland R-09、サウンドの加工にLive、コントローラーにM-AUDIOのTrigger fingerを使用しました。

–普段のレコーディングではどうしているのですか?
曲を0から作るときは、スタジオに入ります。最近よくやっているのは、自分のライブ演奏の音源を加工して、自宅でエディットして曲を作ることです。
今まで出したCDの曲の80%はスタジオで録音したものです。

–ライブのときは?
日本ではソロでライブをしていますが、アルゼンチンでやるときは大体バックバンドがいて、ギター2本とベース、バイオリン、テルミン、キーボードという編成です。ドラムはうちこみですね。

日本のラディカルなバンドを「研究」して、ライブに臨んだ

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–これから日本でライブをするにあたって、楽しみにしていることはありますか?
お客さんの反応がとても楽しみです。去年の大阪ライブで、お客さんがすごく喜び、盛り上がったのが非常に印象的で、今回も楽しみにしています。
昨年日本で初ライブをする前は、お客さんの反応についてはまったく見当がつきませんでした。たとえば、CDとまったく同じ演奏を期待しているのか?それとも強烈なパフォーマンスがほしいのか?といった、お客さんが求めているものというのが何かわからなかったので。
そこで、来日前にYouTubeで日本のラディカルなバンドの演奏をたくさん探して見て、「こういうバンドはこういうライブをしている」ということを知って自信をつけました。

–研究したのですね(笑)
そうそう(笑)研究好きなんです!

–今映画を撮っているということですが、その内容はどんなものですか?
南米とヨーロッパの2つの大陸における、歴史的な海戦の話です。スペインからの独立を果たしたとともに、「誰も死ななかった」戦いを描いています。今は脚本を書いている段階です。
全編にわたって音楽が流れている映画で、音楽も私が作ります。
来年の夏に完成予定です。

–こちらも楽しみですね。では最後に、日本のファンにメッセージがあればお願いします。
僕はすごくハッピーなので、皆さんもハッピーでいてくれたら嬉しいと思います!

–ありがとうございました!

 

UTKT004_web.jpgクンビア・ルナティカ/エクスペリメンターレ Dick El Demasiado
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