【製品レビュー】DAVE SMITH INSTRUMENTS Prophet 12 往年のサウンドを踏襲し、多種多様の新機能を備えるハイブリッド・シンセサイザー

DAVE SMITH INSTRUMENTS Prophet 12

REVIEW by 河野啓三/撮影:八島崇 2016年4月8日

12-PH011

キーボード・マガジン2013年AUTUMN号より

シーケンシャル・サーキッツProphet-5は、ポリフォニック・シンセサイザー史上5本の指に入る名器と言って過言ではない。世界中のユーザーに愛され、そのサウンドが今のシーンにもなお求められる楽器だ。そのシーケンシャル・サーキッツの設立者デイヴ・スミス氏による、新たなるブランドからProphetの名を継承するシンセサイザーProphet’08が登場したのは記憶に新しく、そのずば抜けた音の良さに驚かされたものだ。

そしてさらなる進化形と言えるProphet 12が登場! 両サイドと口棒にウッド、右上のProp
hetロゴ、満遍なく配列されたノブ&ボタン、大きさはProphet-600と同じくらいだろうか? 見事にシーケンシャル・サーキッツ時代の流れを汲むデザイン。本家の実力をまざまざと見せつける本機、多くのユーザーを魅了することだろう。

 

DSPとアナログ回路が融合し
多彩な音作りを実現

名前のとおり、12音ポリフォニック。演奏時に右上ロゴの下に発音中のボイスが点灯するので使用音数を目視確認できる。プログラムは99×8バンク(うち4バンクがユーザー・エリア)を中央上のバンク・キー&テン・キーとディスプレイ上のソフト・ノブで簡単に操作できる。定番のサウンド、シンセ・ブラス、パッド、ベース、ノイズ系SE、Pro
phetの代名詞でもあるユニゾン・サウンド、シンク・リード、といったアナログ・サウンドは、本家の実力をまざまざと見せつける強さのある上質なサウンドだ。そして、デジタル・シンセ&アルペジエーター・サウンドは、立ち上がりの鋭いきらびやかなトーンが魅力。プログラム内で6ボイスずつに分け、スプリットもしくはスタックというレイヤー機能にも対応していて、それぞれ独立したアウト出力が可能だ。

中枢のオシレーターは、DSPベースのデジタル・オシレーター! これは本機最大の特徴と言える。基本的なアナログ波形と12種類のウェーブ・テーブル、そして3種類のノイズ波形で形成されていて、1ボイスにつき4基のオシレーターとサブ・オシレーターが使用可能。ウェーブ・シェイプ、パルスウィズ、そしてFM&AM変調、どれも絶大な効果が得られる。またグライド(ポルタメント)を各オシレーターごとに個別に設定できるのが面白い!

オシレーターとフィルターの間にキャラクターという新セクションがあり、5つのエフェクトを事前に使用することで音をより個性的に変化させることができる。また、フィルターはローパス・フィルターからハイパス・フィルターと直列につながっていて、ローパス・フィルターは2ポール/4ポールの切り替えが可能。このフィルターは実にシンプルながらアナログ回路であり、極めて効きが良く、どんなセッティングにしても説得力のある音色が得られる。これもProphetならではの芸当!

アンプ・セクションもシンプルなアナログVCAだが、この中ではパン・スプレッドというパラメーターが面白い。1発で各オシレーターの定位を変えられるのだ。エフェクターなしに、自然なステレオ感を得ることが可能で、パッド作りに効果的だ。また、フィードバック機能を搭載していて、VCAからの信号をキャラクター回路まで戻すことができ、特にSEサウンドを作りたいときに劇的な効果を得られる。また、パネル最右下という実用的な位置にディレイ・セクションが配置されている。シンプルにディレイとしの機能だけでなく、モジュレーション変調を併用することで、コーラスやフランジャーのような機能も果たす。ここはじっくり研究したい部分だ。エンベロープは4基で構成されていて、そのうち2基はフィルターとVCA専用だが、残る2基はパネル右上に専用のセクションが設けられていて、自由にアサインできる。例えばピッチをエンベロープで動かしたい場合は、ここで設定することになる。

 

ややこしさを回避した
モジュレーション・マトリクス

LFOは4基で構成されている。1から4までのボタンで対象となるLFOを選択しノブでチューニングするという、快適な操作を実現。この中ではスルー・レートという、パルスやランダム波形に対して、あたかもポルタメントを付けていくような面白いパラメーターの存在にも注目したいところ。そしてこのLFOやディレイは、アルペジエーター、外部MIDI機器へのシンクが可能だ。

ディスプレイすぐ左側の“MODULATION”というセクション、ここがモジュレーション・マトリクスへの入り口だ。実はモジュレーション・マトリクスという概念は国産のシンセサイザーにはあまり見られず、またこの階層のエディットをスムーズにできるシンセが少ない。恐らく上級ユーザーでないと理解に苦しむ概念で、自分も抵抗を感じてきた。しかし、Prophet 12のモジュレーション・マトリクスは実に快適にエディットできる。固定8系統とユーザー・アサイン可能な16系統、合計24系統で構成されている。例えば、ピッチベンド・ホイール、モジュレーション・ホイール、その真上にある2基のタッチ・スライダーで、何をコントロールするかをここで設定するのだ。通常国産のシンセだと各セクションに点在するコントロール・ソース・エディットを、1カ所で集中コントロールしていると考えていただきたい。このモジュレーション・マトリクスをいかに素早くエディットできるかが、このシンセを使いこなす秘訣の1つとなるだろう。

そしてパネル左側上にはユニゾン、グライド・ホールド、ディストーションという実用的なパラメーターが配置されている。例えば、右手でソロ演奏中に音を歪ませ演奏を派手にしていく、といったステージングも可能だ。また、鍵盤はアフタータッチにも対応していて、演奏者に対してここも親切な設計となっている。デイヴ・スミス氏の切り開くProphet新時代、Prophet 12はその立役者を担う見事な楽器であると感じる設計だ。

 

DAVE SMITH INSTRUMENTS

Prophet 12

オープン・プライス
※表示している価格はニュース掲載時点のものです。また税込/税抜についてはメーカーの表示したものに準じて記載しています。

問い合わせ
福産起業
TEL: 03-3746-0864 http://www.fukusan.com/

【SPECIFICATIONS】
●鍵盤部:61鍵セミウェイテッド鍵盤(アフタータッチ搭載)●オシレーター:4クラシック・ウェーブシェイプ、12コンプレックス・シェイプウェーブ、3 ノイズタイプ、シェイプモジュレーション、オシレーター・クロスモジュレーション=フリケンシー・モジュレーション(FM 変調)&アンプリチュード・モジュレーション(AM 変調)●キャラクター:5系統のデジタル・エフェクト(Girth、Air、Hack、Decimate、Drive)●フィルター:ローパス・フィルター=2/4 ポール・レゾナント・アナログフィルター、ハイパス・フィルター=2 ポール・レゾナント・アナログフィルター●エンベロープ:LPF、VCA、ユーザーアサイナブルエンベロープ×2●LFO:4系統●モジュレーション:16×2モジュレーション・マトリクス●アルペジエーター:4 走行モードのラッチ機能付き●メモリー:396ユーザープログラム&396ファクトリープログラム●●端子類:Main/A Outputs(L/R)、B Outputs(L/R)、MIDI(In/Out/Thru)、Sustain、Pedal 1、 Pedal 2、USB、ヘッドフォン外形寸法:975(W)×325(D)×105(H)mm●重量:11.8kg

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