【製品レビュー】KORG Kronos 新たな音源と音色を搭載しさらに進化 現代最高峰の超強力ワークステーション

KORG Kronos

REVIEW by 近藤昭雄/撮影:八島崇 2015年7月14日

kronos

コルグのワークステーション、Kronos。初代から“3代目”となるKronosのサウンドや新機能を紹介していこう。(キーボード・マガジン2015年SPRING号より)

高品位のサウンド・エンジンに
さらにリッチなピアノ音源を追加

外観は、両サイドの木製パネルが大きなアイキャッチとなり、無機質な質感にヒューマニティを加味してくれている。随所に散見される白色LEDの視認性も抜群だ。8インチのタッチ・パネル液晶も超高速な反応でストレス・フリーな操作性。新機能として、ピアノの蓋の開閉やパラメーターの数値などのタッチ・ドラッグ操作も可能になり、スマホやタブレット感覚でエディットが行える。今回試奏したピアノ・タッチの88鍵盤タイプ、さらに73鍵盤タイプではプロにも好評価のRH3鍵盤を搭載、あらゆる楽器に対してエモーショナルな演奏性を約束するだろう。

音源部は、旧Kronos同様にHD-1やAL-1などOasys譲りの9種の音源部を内蔵しているほか、新しく開発されたアコースティック・ピアノ音源SGX-2に“ベルリン・グランド”音色を追加搭載。繊細かつ深みのある重厚なグランド・ピアノが完全ステレオ&ループレスで内蔵され、高品位ソフト音源とは一線を画す立体的なサウンドが堪能できる。この“ベルリン・グランド”は、極弱いタッチでも埋もれず芯があり、ベロシティに対しての出音のパワー感や臨場感は、本当に“ボディ”が鳴っていると思わせるサウンドだ。また、何より個性的な陰影のある音像が象徴的で、ガッツリ弾くのも良いが、耽美な余韻を生かした単音やオクターブ、マイナー・コードとの相性がより良い印象を受けた。それには、“SGX-2”の新機能“ストリング・レゾナンス”や“ウナ・コルダ(弱音ペダル)”、12段階ものベロシティ・スイッチの緻密なプログラミングも大きく影響している。“ストリングス・レゾナンス”機能は、グランド・ピアノの鍵盤同士が共鳴する現象を再現したもので、今ほかのどの鍵盤がどのレベルで共鳴しているかがグラフィカルに表示され大変興味深い。

ほかの音色でも進化が見られ、オルガン音源のCX-3なら、9本のドローバー以外に1′+4〜+12と言った、高域の倍音設定が可能な“エクストラ・ドローバー(4本)”を選択できたり、VPM音源のMOD-7にはFM音源のサウンド・データが読み込めたり……と、キーボードという楽器への強いこだわりを感じるブラッシュアップも含まれている。

 

名曲の鍵盤サウンドをそろえる
至高のソング・プログラム

TOTOの「アフリカ」と言えば、あのシンセ・ブラス!というように往年の名曲で使用されたサウンドが、“Africa Brass”などという音色名になっているのが“ソング・プログラム”だ。その再現性はスゴい!のひと言。実際の音源と聴き比べても唸るしかない。“Saturday In The Park”を選んだらシカゴのあのイントロを弾かないと気が済まないし、モンキーズの“I’m A Believer”ならコンボ・オルガンのサウンドを弾きつつ思わずツイストしてしまうほど。世界の著名ミュージシャンを起用したプログラマーたちの苦労と努力、そして名曲たちへの“愛”がひしひしと伝わってくる。それ以前に、名曲のあのサウンドから舞い降りる新しいイマジネーションこそが、“ソング・プログラム”の最大の存在理由。コルグならではの温故知新&斬新な企画力に脱帽だ。

また、キーボーディストならば、1度は“一瞬の音色セレクト・ミスでステージが台無し!”という経験がおありかと思われるが、このKronosなら100%その心配は杞憂に終わる。液晶画面自体が、最大16個のパッチ・チェンジ画面になる“セット・リスト”機能で、内蔵するすべてのサウンド(コンビネーション、プログラム、ソング、シーケンス)をシームレスに登録可能だからだ。これは今までありそうでなかった現場主義な機能。全部で16音色×8ページ=128音色のライブ・サウンドが管理可能になる仕組みだ。1リストごとに16色のカラーリング、曲名やテンポなどのコメント作成、5種のフォント・サイズ(XLサイズは視認性抜群!)を使用し、曲ごとのパッチの色分けや、歌詞(英語のみ)を表示させたりと実用性バツグン! コピー&ペーストで音色移動もラクラクだ。しかも、1リストごとのボリュームやトランスポーズの変更がセット・リスト上で可能。“じゃ、シンセ・ソロだけ半音下げで!”というムチャブリにも即対応できる(笑)。当然オリジナルのパッチには一切影響がない。

また従来のKronosユーザーには、今回新収録の音色をまとめたサウンド・ライブラリー“New Kronos Sound Pack”もリリースされており、先のベルリン・グランドから、ストラディバリウスなどソロ系楽器群や男女混合クワイア系、名曲のサウンド“ソング・プログラム”集まで、随時ダウンロード購入できる点もうれしいポイントだ。アナログ・シンセの逸品MS-20やPolysix、世界初のワークステーション・シンセのM1から超メガ・シンセのOasysなど、コルグの長い歴史と総力を注ぎ込んだ新生Kronosは、多く存在するワークステーションたちを超える真のフラッグシップ。その真価は長く愛用するほどにどんどん深まることだろう。

KORG

Kronos

オープン・プライス
※表示している価格はニュース掲載時点のものです。また税込/税抜についてはメーカーの表示したものに準じて記載しています。

問い合わせ
コルグ お客様相談窓口
TEL: 0570-666-569 http://www.korg.com/jp/

【SPECIFICATIONS】
●鍵盤:88鍵&73鍵=RH3(リアル・ウェイテッド・ハンマー・アクション3)、61鍵=ナチュラル・タッチ・セミ・ウェイテッド●シンセシス方式:9種類=SGX-2、EP-1、HD-1、AL-1、CX-3、STR-1、MOD-7、VPM、MS-20EX、PolysixEX●最大同時発音数:SGX-2=100ボイス、EP-1=104ボイス、HD-1=140ボイス、AL-1=80ボイス、CX-3=200ボイス、STR-1=40ボイス、MOD-7=52ボイス、MS-20EX=40ボイス、PolysixEX=180ボイス●セット・リスト:128セット・リスト、1セット・リストごとに128スロット、セット・リストごとに9バンド・グラフィックEQ、トーン・アジャスト機能によるプログラム設定の変更可能、トランスポーズ設定、スムース・サウンド・トランジッション(SST)のHoldタイム設定がスロットごとに可能●エフェクト:インサート・エフェクト=12 系統、マスター・エフェクト=2系統、トータル・エフェクト=2系統、ティンバーEQ=1ティンバーにつき1基の3バンドEQ、エフェクト・タイプ=197種類●端子類:INPUT(1、2)、 OUTPUT(1、2、3、4、R、L/MONO)、MIDI(IN、OUT、THRU)、S/P DIF(IN、OUT)、DAMPER、SWITCH、PEDAL、USB TYPE A(×2)、USB TYPE B●外形寸法:88鍵=1,433(W)×371(D)×148(H)mm、73鍵=1,221(W)×371(D)×148(H)mm、61鍵:1,040(W)×364(D)×134(H)mm●質量:88鍵=24.1kg、73鍵=21.1kg、61鍵=14.3 kg

TUNECORE JAPAN