【製品レビュー】CP5

YAMAHA CP5

REVIEW by 編集部 2010年6月23日

キーボード・マガジン2010年SUMMER号のレビュー。
CP1が誇るSCM音源と木製鍵盤を受け継ぎ、新たに多彩な機能と音色を搭載したステージ・ピアノ、CP5が登場!

ヤマハCP5は同時発売のCP50同様、先立って発売されたステージ・ピアノのフラッグシップ・モデルCP1の兄弟機種だ。単純なコストダウン・モデルというわけではなく、CP1にはない外部マイク入力や、ピアノ以外の音色の搭載といった特徴を持たせたモデルだ。CP1で採用された新開発の音源方式や鍵盤がそのまま受け継がれており、コスト・パフォーマンスは高い。

レビュー機が家に届いたので、さっそく梱包を解き、スタンド上にセッティングしてみた。成人男性なら何とか1人で運べる重さ、25.2kg(でも運ぶときには腰を壊さないように気を付けよう!)。CP1より2kg軽い。CP1同様の、昔のエレクトリック・グランドCP80や、ほかのビンテージ・エレピのイメージを踏襲しながらも”古く”ならないように留意されたデザイン。落ち着いていて良い感じだ。でもCP1と違って背中(客席側)のロゴは光らない。ちょっと残念(笑)。

表現力豊かなピアノ・サウンドを
豊富なパラメーターでカスタマイズ

音色インプレッションの前に音源構成をちょっと説明しよう。SCM(Spectral Component Modeling)と名付けられたこの音源は、サンプリング技術の”再現力”とモデリング技術の”表現力”、両者の良さを併せ持ったものだ。VOICE→PRE-AMP→MOD-FX→PWR-AMPという4つのブロック構成になっている。

ごく簡単に言うとVOICEブロックで原音色を選択し、PRE-AMPブロックでハンマーの固さ、離鍵音の大きさ、ダンパーペダル使用時の共鳴音の大きさ(アコピ系)、ビブラート(この場合トレモロと同義)の深さや速さ(エレピ系)などを調整する。MOD-FXはビンテージ・エフェクトのシミュレーションを含む多用途なマルチ・エフェクター。最後のPWR-AMPは主にエレピ系音色用に様々なパワーアンプやビンテージ・コンプのニュアンスを加えるブロックだ。変更できるパラメーターは音色ごとに違い、有効なパラメーターが厳選されている。

まず、プリセット1番始めのグランド・ピアノ音色である”CF Grand”を弾いてみる。新開発のNW-STAGE鍵盤は、ちょっと軽めだが木製鍵盤の素直なタッチ。慣れると指先での細かいコントロールが可能だ。思い切って強めのタッチでどんどん弾いていくと、その反応、追従性の良さが堪能できるだろう。この鍵盤でコントロールするグランド・ピアノ・サウンドは、非常にナチュラルでスムーズだ。そしてPRE-AMPブロックでハンマーの固さをNormalからHard1に変更してみると、自然なフィーリングが保たれながらアタックが強調された。この自然さはコンプやEQによるものとは違うし、今までのサンプリング系音源にはなかったものだ。

次にビンテージ系エレピのプリセットを試していってみると、ローズ音色の”78Rd II”が見つかった。これは非常にリアルだが、高音域が強調されたいわゆるMark IIの音色なので、柔らかなMark Iの音色を試してみようと、VOICEブロックで”75Rd I”を選び、PRE-AMPブロックでハンマーの固さをHard1に、PWR-AMPブロックを”75Rd I”にしてみたところ、リアルであると同時に包み込むような音色が得られた。ちなみにこの”75Rd I”はCP50にも含まれる音色だが、ほかのローズ4音色はCP1とCP5のみに含まれる音色で、年代的に一番古い”71Rd I”や一番派手な”Dyno”まで、幅広いバリエーションが得られる。

このように、生来の音色の良さに加え、これまで以上に自然に、かつ絶妙に音色をカスタマイズできるのが、このシリーズの真骨頂と言えよう。このSCM音源によるほかの音色としては、もう1つのアコースティック・ピアノであるS6 Grand(これもCP1、CP5のみ)、ウーリッツァー2種類、CPが2種類、そしてヤマハのシンセ・エレピDXが6種類ある。

弾き語りに役立つ
MIC INPUT端子を搭載

そして実はCP5には、CP1にない音色が多数含まれている。SCM音源ではなく、通常のサンプリング技術であるAWM音源による音色だが、生楽器からシンセ音まで305種類(CP50は215種類)もの幅広いセレクションで、ベロシティ・スイッチのプログラムをも多数含む高品質なものだ。

これらの内蔵音色は、LEFT1/2、RIGHT1/2といった最大4つのパートにアサインされ(CP50は2パート)、カットオフやレゾナンス、そしてポリ・モード/モノ・モード切り替え、アンプリチュード・エンベロープなどのパラメーター設定を加え、パフォーマンスとして保存しておける。

また、CP1にもCP50にもないものとして、CP5にはMIC INPUTが装備されている。キャノン、フォーン両方が使えるタイプの端子で、外部ミキサーやアンプなしでマイクが直接入力できる。入力にはノイズゲート、コンプレッサー、EQ、リバーブといった基本エフェクトのほか、ディレイやディストーション、リングモジュレータなどをかけることもできる。まさに弾き語りのための機能といえよう。

そしてCP1にはなく、CP5とCP50共通の機能として、ソング設定部およびバッキング・トラックが装備されている。本体で録音した、または外部から取り込んだMIDIデータやWAVEデータを鳴らして伴奏させることができるのだ。MIDIデータは本体内に記録することもできるが、データ量の大きいWAVEデータはUSBフラッシュメモリ(鍵盤右に端子があるのでそこに差し込む)に記録したり、読み出したりすることになる。付属のCubase AIを使ってパソコンで作り込んだバッキングをUSBフラッシュメモリーに記録して使えば、ゴージャスなサウンドをバックにライブ演奏も可能だろう。

そんなわけで駆け足でレビューしてきたわけだが、CP5には表現力豊かな新音源によるピアノ・サウンドを中心に、わかりやすいカスタマイズ機能や、バンド演奏や弾き語りといった様々なライブ・シチュエーションに適した機能がまとめられている。最後に、各ブロックのボタンは長押しすることで各パラメーターをエディットできるようになるので、これを覚えておいて、楽器店での試奏のとき、自分の好みの音を探してみることをお薦めしておこう。

 

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▲本体背面の接続端子。 左からMIDI(THRU、OUT、IN)、USB(TO HOST)、フット・スイッチ(サステイン、アサイナブル)、フット・コントローラー(2、1)、アウトプット(標準タイプ=R、L/MONO、XLRタイプ=R、L)、MIC INPUT。フロント・パネルにはUSB(TO DEVICE)も搭載。

【CLOSE UP!】

▲フロント・パネル左側には、音色を構成する4つのブロックを表すボタンが配置。長押しすることで各ブロックの調整が可能だ。

【CLOSE UP!】
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▲音色名が表示された液晶画面。SCM音源は写真のグランド・ピアノ音色”CF Grand”のほか、ピアノやローズなど計17種類が搭載されている。 

【CLOSE UP!
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▲USB端子をフロント・パネル右側に装備。MIDI、オーディオ・データの録音再生が簡単にできる。

 

YAMAHA

CP5

288,750円
※表示している価格はニュース掲載時点のものです。また税込/税抜についてはメーカーの表示したものに準じて記載しています。

問い合わせ
ヤマハ お客様コミュニケーションセンター シンセサイザー・デジタル楽器ご相談窓口
TEL: 0570-015-808(ナビダイヤル)、053-460-1666(携帯電話、PHS、IP電話) http://jp.yamaha.com/products/music-production/

【SPECIFICATIONS】
●鍵盤:88鍵NW-STAGE鍵盤(木製象牙調ウェイテッド鍵盤)●最大同時発音数:128●音源方式:SCM(Spectral Component Modeling)+AWM2●パフォーマンス:プリセット=10×4グループ×3バンク、ユーザー=10×4グループ×3バンク、エクスターナル(USBフラッシュメモリー)=10×4グループ×3バンク、パート=6パート、ボイス・ブロック=17ピアノボイス+305ボイス、モジュレーション・エフェクト・ブロック=49タイプ、パワーアンプ/コンプレッサー・ブロック=8タイプ、リバーブ=8タイプ、マスター・コンプレッサー=3バンド、マスターEQ=5バンド●リズム:キット×14、パターン×100●主な操作子:ピッチ・ベンド・ホイール、マスター・ボリューム・ダイアル、ノブ1〜3、パート・ボリューム×6、マスター・イコライザー・ノブ×5、GAINノブ●ディスプレイ:24文字×2行VFD●外形寸法:1,381(W)×405(D)×174(H)mm●重量:25.2kg

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