Vol.03 お仕事交遊録~南谷成功(舞台監督)編

本間昭光のプロデューサーEYES by 編集部 2012年11月6日

今回のお仕事交遊録のゲストは、日本の名だたるアーティストを手がける、舞台監督の南谷成功さん。例えば、Mr.Children、GLAY、福山雅治さん、Perfume、平井堅さん、エレファントカシマシ、ap bank fesなどなど。僕もポルノグラフィティのライブでお世話になりました。前回の志村明さんに続き、キーボーディスト像について話を聞いてみました。
(取材日:2012年7月)

Section1
南谷さんから見たキーボード

“舞台監督”というお仕事について

本間 まず、舞台監督さんというのは、どんなことをされているのかについて、僕も実際にコンサート制作に関わるまでは、全く分からなかったんです。”進行を仕切っている人”くらいにしか思っていなかった。実際そんなことはないんですけど、少しご説明していただけますか? 

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南谷 大きく見れば、コンサートの進行を仕切っている人というので、間違いではないですね。具体的には、演出のサポートをするということが大きいです。そのために、演出家や、本間さんのようなプロデューサー兼プレイヤーで、演出もやっている方とやり取りをして、演出を具体化するのです。

本間 僕が舞台監督さんと一緒に仕事をするようになって知ったのは、コンサートというのはあれだけの大人数を収容して行うものなので、必ず仕切る人がいないといけないということ。それは演出家ではなくて舞台監督さんでしかできないんです。実際、進行がスムーズに行くための時間割をすべて把握していて、人に指示を出したり、トラブル対処をしたりする。そして、すべての中心に立ってもらうだけで、みんなが安心する存在。南谷さんはそんな存在だから、周りのスタッフ、ミュージシャンから絶大なる支持を得ているんです。

南谷 いやいや、僕なんかは、ミュージシャンを下から支え、良い気持ちでステージに立ってもらうだけの仕事ですよ(笑)。

本間 でも、実際自分が、演出とまでは言えないですけど、流れを決める立場になったときに、始めてその有難みが分かったんですよ。例えば、提案したアイディアに途中から絶対ノーとは言わない。”現実的に”無理なものは最初に”現実的に”無理と言ってくれる。これでやってみようと決まったら、必ず形にしてくれるんです。それを取り仕切ってくれる舞台監督さんは本当に大変なお仕事だと思います。

南谷 いえいえ、とんでもないですよ。諸先輩方はいっぱいいますので。

本間 そうやって謙遜されますけど、南谷さんのすごいところは、俯瞰で物事を見てくれるところなんです。こっちの方が良いんじゃないかと、ちゃんと意見を言ってくれる。演奏にしても演出にしてもそう、曲順にしてもそう。全部経験によって裏付けされているから、本当に説得力があります。そんな南谷さんには、恐らく日本のキーボーディストはほぼ全員お世話になっていると思いますが、南谷さんから見た、ここ30年くらいのキーボードの進化についてどう感じていますか?

南谷 すごく進化していますよね。70年代はローズやウーリッツァーが全盛だったのが、今やコンピューターですからね。進化のスピードは1番すごいんじゃないですか。

本間 ただ、キーボーディストが減っていると感じているんです。やっぱりギターやドラムとかには敵わないというか。

南谷 ギターは手軽ですからね。でもピアノは結構人口が多いと思うんですよ。昔習ってた人は多いですからね。だから、実は取っ付きやすいのはキーボードだと思うんです。

本間 なるほど、なのにあまり増えていかないのはなぜか。スタッフ目線で、感じる部分はありますか?

南谷
 僕は実はそうは感じていないんですよ。実際本間さんをはじめ、キーボードを弾くプロデューサーとやりとりすることが多く、しかも僕は1番かっこ良いのはキーボードの方だと思いますよ。フロントにはボーカル、ギター、ベースがいますが、キーボードは固定されていてかっちりしている、いわば屋台骨じゃないですか。だからサウンドの中心なんですよ。リーダーやバンマスもキーボードの方が多いですしね。

本間 どの辺がカッコ良いと思いますか?

南谷
 やっぱり弾いている姿でしょう。小林武史さんとか、弾き方がかっこ良いですよね。本間さんもそうですけど。しかもうまい。僕が見ていて、うまい人には憧れますよね。あと小室(哲哉)さんとかも弾く姿はカッコ良いですよね。やっぱり日本のキーボード・シーンを引っ張っていきましたからね。あと、そういう人たちは弾く音も違いますね。

本間 それは鳴らし方が違うと?

南谷 そうですね。タッチですね。一聴して分かりますから。

本間 なるほど。僕もライブを観に行くとそれは感じたことはありますね。PAが良かったということではなく、音が良いと言うのはあると思います。鍵盤に限らずどんな楽器でも。そうなると、たくさんコンサートを観に来てもらって、キーボーディストの弾く姿、いい音を聴いてもらうことが必要ですね。

南谷 それは1つあると思いますよ。

次のページ:Section2 キーボーディスト発掘について

Section2
キーボーディスト発掘について

今後のキーボード業界について

本間 キーボードは、ピアノを過去に習ったことがあるという人が多いということで、潜在的な演奏者は多いということですが、ではどうやってキーボード・プレイヤーの裾野を広げるかと言う点で、南谷さんから、我々キーボーディストはどうしていけばいいかと言う意見を伺いたいのですが。

南谷 若い層に広げるための1つの方法として、アイドルの女の子にアイコンになってもらうというのはどうでしょうか(笑)。

本間 面白いですね。取っかかりとして楽しいということを見せるということですね? やっぱり難しい楽器だと思われているんですかね。

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南谷 弾くのは簡単だけど、操作が難しいと思われているんじゃないでしょうか。特にシンセなど、デジタル楽器ということになると。だから、楽しく演奏している人がアイコンとして出ると、状況が変わるかもしれませんね。

本間 アイディアの1つとしては、アイドルにキーボードを弾いてもらう。そうやってまたバンド・ブームになれば面白くなると思いますけどね。

南谷 そうですね。でもバンドにキーボードがいるといないとでは全然違うと思うんですよ。

本間 そのとおりで、こんなに底辺を支えることができる楽器は、ほかにはないと思うんですよ。

南谷 (キーボードが)いるといないとでは、バンドの音の厚みが全然違いますからね。

本間 しかもギター演奏の自由度が高まるんですよ。キーボードは、ベースとギターとボーカルの間をしっかり支える帯域で演奏できますからね。一見ギターが派手に見えますが、キーボードの支えがあると、より輝くというか。そういう土台を支えるのも楽しいんですよ。表に立って目立つ楽しさもありますが、そういう支える重要性もうまく伝わるような活動ができたらいいですね、キーボード・マガジン編集部も含め。もちろん、キーボードは一歩踏み込んだらマニアックで難しい世界でもありますが、そういうのは追々知ってもらえばいいですし。まずはどう広げるか。

南谷 プリンセスプリンセスなど、キーボードのいるバンドがもっと増えるといいですね。

本間 なるほど。例えば南谷さんは、潜在的にプロを目指しているキーボーディストを観たりしますか?

南谷
 いっぱいいますね。でも上には上がれない。

本間
 それはなぜでしょうか?

南谷 昔のようにもっと門戸が開いていれば良いんですけど、今は状況が違いますからね。

本間 そうなると、彼らを引っ張り上げるような活動を、我々ベテラン組も考えていかないといけないですね。例えばキーボードのいるバンドを集めてイベントをするとか。

南谷 いっぱいいますね。でも上には上がれない。

本間
 それはなぜでしょうか?

南谷 昔のようにもっと門戸が開いていれば良いんですけど、今は状況が違いますからね。

本間 そうなると、彼らを引っ張り上げるような活動を、我々ベテラン組も考えていかないといけないですね。例えばキーボードのいるバンドを集めてイベントをするとか。

南谷 それ面白いですね! 今までないんじゃないですか? キーボードがいるバンド・フェス。これどうでしょうか。

本間
 良いアイディアかもしれませんね。発表の場はライブハウスでも良いし、Ustreamでも良い。とにかくたくさんのキーボードがいるバンドを紹介していけば、おのずと底上げになるかもしれませんね。

南谷 ぜひやってください。観てみたいですよ。

本間 そうですね、キーボード・マガジン編集部とも話し合って、実現できるよう考えていきますよ。今日はお忙しい中ありがとうございました。

南谷
 こんな話で良かったですか? でも楽しかったです。

本間昭光

大阪府出身。作編曲家、キーボーディスト、プロデューサー。4歳よりピアノを始め、アマチュア・バンドでキーボードを担当する。松任谷正隆に作曲、アレンジを師事、その後本格的に活動を開始する。現在は、いきものがかりをはじめとし、ポルノグラフィティ、浜崎あゆみ、和太鼓チーム、倭の音楽プロデュースなど多数のアーティストを手がける。(www.bluesofa.co.jp/

南谷成功

● 舞台監督。Mr.Children、GLAY、福山雅治、Perfume、平井堅、エレファントカシマシ、ap bank fesなど、数多くのアーティストのコンサートを手がけ、ミュージシャン、スタッフから絶大なる支持を得ている。

Release Information

倭 YAMATO『YAMATO BEAT Vol.1』

 

yamato001.jpegユニバーサル:UMCF-1081

 

和太鼓集団、YAMATOのアルバムがいよいよリリースです。サウンド・プロデュース&作曲で参加しています。

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