ステージに憧れのハモンド・サウンドを! エマーソン北村が指南するHAMMOND XK-1c音作り術

HAMMOND XK-1c

特集 by キーボード・マガジン編集部/撮影:八島崇 2013年12月18日

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伝統のハモンド・サウンドを搭載しながら、驚きの軽量化を実現した新モデルXK-1c。オルガン専用機は欲しくてもなかなか一歩踏み出せなかったキーボーディストにとっては、大きな選択肢となる1台だ。ここでは、さまざまなジャンルのオルガン・サウンドに精通するキーボーディスト、エマーソン北村に、XK-1cを使って専用機ならではの音作り術を公開してもらった。付録CDのサウンドと併せて、XK-1cの実力・魅力をぜひ体感していただきたい。

Sound Making 1
これぞハモンド! ラウドなバンドで使えるロック・サウンド

今回紹介する音源は、すべてスプリット機能を使っています。2段鍵盤のハモンド・オルガンでの演奏を、1段鍵盤で実現するために、アッパーとロワー・パートで違う音色を割り振っています。

サウンドを聴く

▲音色表示画面。上部の数字はアッパー(左)とロワーのドローバー・セッティングだ。

▲音色表示画面。上部の数字はアッパー(左)とロワーのドローバー・セッティングだ。

まず1つ目のサウンドは、ドラムとベースがいるロックな編成のバンドの中で、XK-1cを使う場合の音色をイメージしています。ここではまず、3つのトーンホイール・サウンドの中から“B Type 2”をセレクト。アッパー、右手で弾く音色は、下の4本のドローバーを全開にします。上の方の1 1/3’をちょっとだけ出していますが、これは装飾的なもの。大きな音のロック・バンドの中で音作りをする場合は、下の4本のドローバーのバランスが決め手になるんですね。

▲ロックなサウンドは、下4本のドローバー(16、5 1/3、8、4フィート)を引き出して音作りをする。

▲ロックなサウンドは、下4本のドローバー(16、5 1/3、8、4フィート)を引き出して音作りをする。

このアッパーの太い音に対して、ロワー・パートの左手では、逆に薄めの音にして弾いています。なぜかと言うと、低域で太い音でコードを弾くと、団子になってしまって聴きづらくなってしまうから。またバンドにベースがいる、という設定なので、低域の音はそこまで必要ありません。そこで、ロワー・パートは1オクターブ上にトランスポーズして、中域を厚めにしています。

さらに、フェイバリット・ボタンに、違うドローバーのレジストレーションをセットしておき、トラックの最後で、鍵盤を押したまま切り替えています。これ
は、B-3に付いている白鍵と黒鍵が反転したプリセット・キーを使うのと同じことで、音は途切れず音色だけ変えられるんです。

Sound Making 2
ヒップホップのサンプルネタを思わせるボサノバ・サウンド

サウンドのイメージとしては、ちょっとマニアックですが、90年代から2000年代にかけて、ヒップホップの人たちがサンプリングして使った、ボサノバのオルガンの古いレコードの音。それを、打ち込みのトラックにダビングする、という設定でエフェクトなども駆使して音作りしてみました。

サウンドを聴く

▲先ほどとはうって変わり、アッパーは2本のドローバーだけを使ったシンプルなサウンド。

▲先ほどとはうって変わり、アッパーは2本のドローバーだけを使ったシンプルなサウンド。

大元に選んだサウンドは、“Mellow”です。これは、ハモンドの電子オルガンをシミュレートしたもの。音源のフレーズは、ロワー・パートの左手のベースから始まります。ドローバーの下3本だけで作った、オルガンの代表的なベース・サウンドですね。アッパー・パートで使っているのは、16と8フィートのドローバーだけというシンプルな音。そこにパーカッションの3rdを加え、右手ではリズミックなフレーズを弾いています。

▲ビブラート/コーラスをアッパー、ロワーともにオンに。ボタン、ツマミ類はひと目見て分かりやすく表示されている。

▲ビブラート/コーラスをアッパー、ロワーともにオンに。ボタン、ツマミ類はひと目見て分かりやすく表示されている。

XK-1cのビブラート/コーラスは、B-3などでかけたときに生まれる効果が非常に良くシミュレートされています。今回はコーラスも使っていますが、オルガンのコーラスは、ギターなどのエフェクターと違って、揺れだけではなく太さが出るんですね。ここではアッパーにもロワーにもかけていますが、特に低音には効果的なんです。ほかにはオーバードライブ、リバーブをかけています。XK-1cには、いろいろな歪み系エフェクトが入っていて、ここでは良い意味で地味なタイプのものを使っています。バンドの中では、実は派手なものより、そういう若干の効果をプラスできるものの方が使い勝手が良かったりするんです。

Sound Making 3
コンボ・オルガンの音色で演出する70年代風スカ・サウンド

このサウンドの目的は2つあって、まず1つは僕の好きなスカやレゲエ、特にスペシャルズというバンドに入っているような音色にしたかったということ。もう1つは、XK-1cには“マニュアルベース”という優れた機能があるんですが、それを使って音源を作りたかったんです。

サウンドを聴く

▲アッパー、ロワーに加え、ここではペダル・パートにも音色をアサインしている。

▲アッパー、ロワーに加え、ここではペダル・パートにも
音色をアサインしている。

XK-1cには、トランジスタ回路のオルガン、いわゆるコンボ・オルガンの音色も入っています。ここでは“Vx”というタイプを使いました。そして前述
した“マニュアルベース”ですが、これはロワー・パートを弾いた場合、ペダル・パート、要するに足鍵盤の音も一緒に弾ける機能なんです。そのペダル・パ
ートの音色に関しては、アッパー、ロワー・パートとは別に、専用のものが搭載されています。もちろんB-3の足鍵盤の音色も入っていますが、ここでは電子オルガンの足鍵盤の音色を使ってみました。

▲マニュアルベース機能を使うとペダル・パートが発音可能に。“モノ”“ポリ”のほか、コードのルートを発音する“コード”モードを搭載。

▲マニュアルベース機能を使うとペダル・パートが発音可能に。“モノ”“ポリ”のほか、コードのルートを発音する“コード”モードを搭載。

演奏に関してですが、ロワー・パートでコードを弾いたとき、最低音だけペダル・パートで発音するよう“モノ”に設定しています。それにより、片手で
もベースとコードの両方を弾いているように聴こえるんです。実際には、1拍目でコードの最低音を押さえ、それをキープしながら、8分ウラのカッティン
グをしています。そしてアッパーの右手で、メロディを弾いているわけです。さらに“ペダル・サステイン”も使っています。これは離鍵後に音を少し伸ば
して、音切れを補正してくれる機能。こういった細かな部分までオルガンの仕組みを考えて、XK-1cは作られているんですね。

 

ミュージシャンの活動の選択肢を広げてくれる楽器

サウンドの良さはご紹介した音源で体験していただけたと思いますが、僕が最初にこの楽器を見て気に入ったのが、パネルの右半分に何にも付いていないことだったんです。これは、本当にオルガンに特化して丁寧に作っているけれど、それを演奏するときは、余計なことに気をとらわれず音楽に集中してほしいっていう考えの表れだと感じました。あとやはり“軽い”というのは重要。ソフト・ケースに入れると余裕で背負えます。これは、これから音楽をやっていこうとする人たちだけに良い点なわけじゃなくて、今、僕らミュージシャンには、いろんな形の音楽のやり方が出てきてるんですね。そんな中、こういう専用機でありながら軽くて良い楽器があることで、活動の選択肢がグンと広がると思います。

XK-1c

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コンパクトかつハイクオリティなオルガン専用機として誕生したXK-1c。“トーンホイール”“トランジスタ”“パイプ”という、王道のオルガン・サウンドを内蔵。ハモンドの代名詞であるドローバーのほか、スキャナー・ビブラートやレスリー・スピーカーをシミュレートしたDSPエフェクトを装備、多彩な音作りを行うことができる。さらに、マニュアルベース、ペダルサステインといった、オルガンらしい演奏を実現する機能を搭載し、鍵盤もオルガン奏法に適したウォータフォール型となっている。また、自分のセッティングを記録したパッチをワンタッチで呼び出せるフェイバリット・ボタンや、2段鍵盤相当のプレイを可能にするスプリット機能などを備えるなど、さまざまな角度からプレイヤーのパフォーマンスをサポート。ワンステップ上を目指す人のためには、レスリー・スピーカーを直接接続できる8ピンレスリー端子も用意されている。

2101mk2/SPA-150R-L

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XK-1cの音をさらに輝かすことのできるレスリー・スピーカー。ここではお薦めの2機種を紹介しよう。3チャンネル・タイプの2101mk2は、可搬性の良いコンパクトな1台。プリアンプには真空管を搭載し、ビンテージのレスリーのような太く豊かな音を提供してくれる。SPA-150R-Lは、150W出力というハイパワーながら、軽量化を実現したモデル。デジタル・リバーブを搭載するなどPA的な機能も備え、さまざまなライブのシチュエーションに対応する。

HAMMOND

XK-1c

オープン・プライス (市場予想価格:155,000円前後)
※表示している価格はニュース掲載時点のものです。また税込/税抜についてはメーカーの表示したものに準じて記載しています。

問い合わせ
鈴木楽器製作所
TEL: 053-461-2325 http://www.suzuki-music.co.jp/

【SPECIFICATIONS】
【音源】VASE III音源×2(デジタルトーンホイール、トランジスタオルガン、パイプオルガン)【同時発音数】手鍵盤(パイプオルガン除く):61音、ペダル鍵盤(パイプオルガン除く): 8音、パイプオルガン:63音【鍵盤】61鍵【ドローバー】1組(9列)、ドローバーセレクト:アパー、ペダル、ロワー、【波形】アパー&ロワー:6音色(B-type1、B-type-2、Mellow、Vx、Farf、Pipe)、キークリック、ペダル:4音色(Normal、Muted、Synth1、Synth2)、キークリック【パーカッション】パーカッションオン、サードハーモニック、ディケイファースト、ボリュームソフト【エフェクト】ビブラート&コーラス、オーバードライブ、マルチエフェクト、イコライザー、内蔵レスリー、リバーブ、マスターイコライザー、【パッチ】64ユーザーパッチ、64プリセットパッチ、マニュアル【フェイバリット】8ボタン【端子】ラインアウト( L、R)、MIDI(IN/OUT)、フットスイッチ、エクスプレッションペ ダル、USB、ヘッドフォン、レスリー(8ピン)【寸法】958(W)×305(D)×101(H)mm【重量】7.5kg

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