ミュージシャンを魅了するステージ・ピアノYAMAHA CP1

特集 by 編集部 2010年3月16日

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『キーボード・マガジン』2010年SPRING号特集、「ミュージシャンを魅了するステージ・ピアノYAMAHA CP1」の冒頭部をRittorMusic Portで公開!

Introduction~Summary of CP1
新世代ステージ・ピアノの背景とその構造

文:大山哲司 撮影:八島崇(※除く)

CP1への系譜〜継承される”ステージ・ピアノ”のコンセプト

“1″。ヤマハのキーボードは、時代を象徴するようなフラッグシップ・モデルがこの栄光のナンバーを代々受け継いできた。古くはポリフォニック・シンセ時代の到来を告げたGX-1やFMシンセの先駆けとなったGS1、FM音源の最高峰DX1、世界最初のバーチャル・アコースティック音源VL1……。そして新たにこの番号を継承したのが2009年末、満を持して発売されたCP1だ。こうした系譜を見るだけでも、CP1の位置付けが分かるだろう。

その”1″に先んずる型番”CP”もまた栄光の歴史に彩られている。その起源は1976年にまでさかのぼる。グランド・ピアノと同じ打弦機構を持つ73鍵のCP70が発売され、音楽の歴史を変えるほどのインパクトをもって迎えられた。エレクトリック・グランドと呼ばれたこのCP70は、実際にハンマーが弦を打ち、その振動をピックアップ・マイクで拾ってアンプで増幅するという方式の”電気ピアノ”。それ以前の金属片やリードを叩く打弦式エレピやアナログ音源方式のエレピと比べて、格段にアコースティック・ピアノに近いサウンドと演奏感が得られるということで、2年後の1978年に発売された88鍵モデル、CP80とともに特にステージで八面六臂の活躍をしていた。この”CP”を冠するエレピは、1980年代半ばまで発売されていたが、その後はよりアコースティック・ピアノに近い音色が得られるPCM方式のモデルが登場したことによって次第に姿を消していく。しかしその音色にはアコピとは異なる魅力があり、いまだに愛用しているアーティストも多い。

約30年の時を経て、2006年にCPの型番が復活した。CP300とCP33だ。もちろん打弦式ではないが、ステージ・ピアノというCP80のコンセプトを継承したモデルであり、今やリハーサル・スタジオ据え置きのピアノとしても多用されている。そして、CP1。その名称は、ステージ・ピアノの最高峰であることを示しているのだ。

最新鋭の音源〜自由自在な音作りを実現したコンポーネント・システム

CP1に最初に電源を投入すると、やはりグランド・ピアノの音色が立ち上がる。ヤマハのコンサート・グランド・ピアノCFIIISをサンプリングしたサウンドがベースになったピアノ音色だ。ただ、普通のPCMピアノのサウンドとは少々ニュアンスが異なる。PCMピアノのサウンドが空気を突き抜けていくイメージなのに対して、CP1のピアノ音色は空気に溶け込んでいく。それを温かみのあるサウンドと表現しても間違いではないだろう。ソロ奏はもちろん、バンドとの親和性にも優れているはずだ。芯があり、埋没しない。まさにバンドで演奏するためのステージ・ピアノといったサウンドになっている。

新開発の”SCM(Spectral Component Modeling)音源”が搭載されたCP1の音色(パフォーマンスと呼ばれている)は、4つのブロックから構成されている。ピアノ、モジュレーション・エフェクト、パワー・アンプ/コンプレッサー、そしてリバーブの4ブロックだ。楽器そのものに相当するピアノ・ブロックは、さらにピアノ・タイプとプリアンプから成り立っている。この4ブロックで作られたサウンドは、マスター・イコライザーを通して発音されるという仕組みだ(写真①)。実際のピアノの音がマイクで拾われ、PAに送られてエフェクト処理が施される。さらにその音が増幅されてスピーカーから出力され、ホールのアンビエントが付加されてリスナーの耳に届く。そのプロセスを4つのブロックでシミュレーションしているというイメージと言えるだろう。

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▲写真① CP1の音色を構成する4つのブロックは、その流れに沿ってボタンで表示。ピアノ・ブロックは”PIANO”と”PRE-AMPLIFIER”からなり、”MODULATION EFFECT”、”POWER AMPLIFIER/COMPRESSOR”、”REVERB”と続き、そして最終段に”MASTER EQUALIZER”が用意されている。ボタンのインジケーターが点灯していると、そのブロックはオンになっている状態。

 

CP1では2種類のアコースティック・ピアノ(CFとS6)のほかに、金属棒を叩くタイプのエレピ(Rd IとRd II)と金属片を叩くタイプのエレピ(Wr)が用意。それらのエレピ音色は、年代別に搭載されており、Rd Iは71、73、75年製、Rd IIは78年製のほかDynoなどもある。またWrは69年製と77年製の2種類。さらにCP80、FM音源のDXエレピなどを含めて計17種類の鍵盤楽器音が搭載されている。これが先述のピアノ・タイプなのだが、要はCP1の中に17台の楽器が入っているというイメージだ。この17種類の楽器音に対して、ピアノ・タイプ以降のブロックで加工を施してパートと呼ばれる音色が作られる。

先に書いたとおりCP1ではピアノ・ブロック、モジュレーション・エフェクト・ブロック、パワー・アンプ・ブロック、そしてリバーブ・ブロックの4ブロックで音作りをする。ピアノ・ブロックで元となるピアノ・タイプを選ぶとそのピアノ・タイプに合わせたプリアンプが選ばれる。その調整パラメーターは、ピアノ・タイプごとに音作りするのに最も有効なものが設定。例えば、ピアノ・タイプにRdの音色を選ぶと、ディケイやリリース、ハンマーの硬さ、キー・オフ(離鍵時にダンパーが弦を押さえる音の大きさ)、ストローク・ポジション(ハンマーが叩く振動体の位置)など楽器の発音機構を元にしたパラメーターを調整できる。モジュレーション・エフェクト・ブロックをオンにすることでエレピと共に使用することが多いフェイザーやコーラスなどのビンテージ・エフェクターをモデリングしたエフェクトをかけられる。さらにパワー・アンプ・ブロックにはエレクトリック・ピアノのスピーカーをモデリングしたシミュレーターが入っており、実際スピーカーから鳴らしたようなサウンドを作ることができる。また、それぞれの調整パラメーターは、画面下の6個のノブに対応した”ツボをついた”6個のパラメーターが厳選され用意されている(写真②)。

プリセット音色は、パートを2種類組み合わせたもので、2つのパートはパネル上のスイッチで簡単にオン/オフすることができる。最初に立ち上がるA-1″CF Grand”の音色も、実際は片方のパートにDXエレピの音色がアサインされているのだが、デフォルトではそのパートがオフになっている。つまり、グランド・ピアノで演奏していても、即座にDXエレピとのユニゾン・プレイに切り換えることができるというわけだ。

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▲写真② 画面下段の6つのパラメーターは、その音色を変化させるにあたって一番最適なものがあらかじめセットされている(任意のパラメーターに変更可能)。このプリセットB-1″Case 71″の場合は、ハンマーの打弦ポイント(StrkPos)や硬さ(Hammer)、出力音量(Volume)、パワー・アンプの歪み(Drive)、ビブラートの深さ(Speed)と速さ(Depth)がアサインされており、これらのパラメーターを中央の6つのノブで操作することができる。

優れた演奏性〜新開発の鍵盤とシンプルかつ充実したコントローラー部

新開発の”NW-STAGE鍵盤”は、木製のピアノ・タイプ仕様となっており、打鍵時の振動や鍵盤を抑えた鍵盤(写真③)。グランド・ピアノはもちろんすべての音色に対しての追従性が良く、どんなサウンドを弾いても全く違和感がない。鍵盤の表面も象牙調で滑りにくく、指先にしっくりなじむ。タッチの強さと出音の関係を調節するベロシティ・カーブも設定可能だ。

音色の変更は、パネル右側のボタンによって行う。例えば”Preset-A-9″というように、”バンク→グループ→ナンバー”の組み合わせで音色を変更する。PresetバンクのAグループにはCF、S6、 CP、DX、BグループにはRd各種とWrの音色が搭載されており、それらを番号ボタンで変えていくという実にシンプルな操作性を誇る。またマスター・キーボード機能も装備、鍵盤上に4つのゾーンを設定し、最大4つの外部音源を鳴らすことも可能だ。

CP1のパネル面でひと際目立つのが、中央部にある6個の大きなノブ。シンセサイザーならともかく、デジタル・ピアノではあまり見かけない操作子だ。ここにはあらかじめパラメーターが割り当てられており、回すことによって音色を変化させることができる。割り当てられているパラメーターはパフォーマンスによって異なり、例えば”CF Grand”なら低域、中域、高域のイコライザー、ハンマーの硬さ、キー・オフ、リバーブの量の6つ。もちろんこの割り当てを変更することもできるので、キー・オフの代わりに、例えば減衰時間を調整するディケイなどを割り当てることも可能だ。ステージでは、会場の環境やバンド・サウンドのバランスによって、こうした要素が気になって演奏に集中できないというケースも往々にしてあるものだが、それが簡単に調整できるというのも、ステージ・ピアノとしては優れている点。ノブ自体も大きく扱いやすい。

ハーフ・ダンパー対応の専用ペダルも付属。サステイン、ソステヌート、ソフトの3本ペダルとなっている(別売のサステイン・ペダルを使用する場合はFC3が必要)。また、アサイナブルなフット・スイッチ端子、フット・コントローラー端子2つを備えるほか、ソステヌート、ソフト・ペダルの端子もアサイナブルなので、演奏しながらさまざまなパラメーターを操作することも可能だ。加えて、USB端子なども装備。自分の音色セットを記憶したUSBメモリーを挿せば、ユーザー・メモリーに取り込むことなくプレイすることもできる。

最後にデザインにも触れておきたい。CP1は”ステージ・ピアノ”と銘打っているだけに、ボディの表面は往年のCP80をほうふつとさせるレザー調の高級感あふれる塗装が施され、メタリックなトップ・パネルや木製のサイド・パネルなどの仕様も、ガッシリした印象だ。存在感ある丸みを帯びた”CP1″のロゴやなんと光る(!)ヤマハのロゴ、操作感の良い大きなノブは斬新。こうしたシンプルかつ革新的なデザインもCP1の大きな魅力の1つで、長く使い込むほどに愛着がわいてきそうだ。

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▲写真③(※) 新開発のNW-STAGE鍵盤は、安定した演奏性を実現。どんなタイプの音色にもしっかり追従し、表現力の幅を広げてくれる。

 

この続きは『キーボード・マガジン』2010年SPRING号で!

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CP1では2種類のアコースティック・ピアノ(CFとS6)のほかに、金属棒を叩くタイプのエレピ(Rd IとRd II)と金属片を叩くタイプのエレピ(Wr)が用意。それらのエレピ音色は、年代別に搭載されており、Rd Iは71、73、75年製、Rd IIは78年製のほかDynoなどもある。またWrは69年製と77年製の2種類。さらにCP80、FM音源のDXエレピなどを含めて計17種類の鍵盤楽器音が搭載されている。これが先述のピアノ・タイプなのだが、要はCP1の中に17台の楽器が入っているというイメージだ。この17種類の楽器音に対して、ピアノ・タイプ以降のブロックで加工を施してパートと呼ばれる音色が作られる。
先に書いたとおりCP1ではピアノ・ブロック、モジュレーション・エフェクト・ブロック、パワー・アンプ・ブロック、そしてリバーブ・ブロックの4ブロックで音作りをする。ピアノ・ブロックで元となるピアノ・タイプを選ぶとそのピアノ・タイプに合わせたプリアンプが選ばれる。その調整パラメーターは、ピアノ・タイプごとに音作りするのに最も有効なものが設定。例えば、ピアノ・タイプにRdの音色を選ぶと、ディケイやリリース、ハンマーの硬さ、キー・オフ(離鍵時にダンパーが弦を押さえる音の大きさ)、ストローク・ポジション(ハンマーが叩く振動体の位置)など楽器の発音機構を元にしたパラメーターを調整できる(写真④)。モジュレーション・エフェクト・ブロックをオンにすることでエレピと共に使用することが多いフェイザーやコーラスなどのビンテージ・エフェクターをモデリングしたエフェクトをかけられる。さらにパワー・アンプ・ブロックにはエレクトリック・ピアノのスピーカーをモデリングしたシミュレーターが入っており、実際スピーカーから鳴らしたようなサウンドを作ることができる(写真⑤)。また、それぞれの調整パラメーターは、画面下の6個のノブに対応した”ツボをついた”6個のパラメーターが厳選され用意されている。
プリセット音色は、パートを2種類組み合わせたもので、2つのパートはパネル上のスイッチで簡単にオン/オフすることができる。最初に立ち上がるA-1″CF Grand”の音色も、実際は片方のパートにDXエレピの音色がアサインされているのだが、デフォルトではそのパートがオフになっている。つまり、グランド・ピアノで演奏していても、即座にDXエレピとのユニゾン・プレイに切り換えることができるというわけだ。

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