【ライブ・レポート】東京事変 Live Tour 2012 Domestique Bon Voyage

ライブレポート by 編集部 2012年3月12日

去る2月28日、日本武道館で行われた”東京事変 Live Tour 2012 Domestique Bon Voyage”のライブ・レポートです。

今年1月、突如として解散を発表した東京事変。その7年半の活動に終止符を打つラスト・ツアー”東京事変 Live Tour 2012 Domestique Bon Voyage”は、”Bon Voyage=良い旅を!”と銘打たれ、2月14日より全国3ヵ所で各2公演開催された。旅立ちのための最後の停泊先である日本武道館2Daysより、28日の模様をレポートする。

_MG_1615.jpg

 

ステージが暗転して会場が大きな歓声に包まれた直後、ライブは、「生きる」から始まった。椎名のゆったりとした歌声と斎藤ネコ率いるオーケストラの演奏が武道館に十分に染み入ると次の瞬間バンド・メンバーの奏でる音が一斉に鳴り響き、のっけから壮大なスケールで空間を描いていく。2曲目「新しい文明開化」の冒頭、椎名が拡声器で放った”いらっしゃいませ! 武道館へようこそ!”のかけ声とともに場内の照明が点灯し、天井からは色とりどりの紙吹雪が舞う。その紙片は、続く「今夜はから騒ぎ」で”壱百万事変”紙幣に変わり、観客は東京事変からの思わぬプレゼントにはしゃいでいる。PVを彷彿させる赤いミニワンピースのダンサーが登場した「OSCA」でキーボードの伊澤一葉は、中低音域で音圧のある気持ち良いエレピ・サウンドを聴かせ、「FOUL」ではクラビ風のバッキングで観客の耳を惹きつける。

 斎藤ネコがバイオリンを掻き鳴らす「シーズンサヨナラ」を経て舞台が暗転したあと、オーケストラによる「カーネーション」をBGMに、スクリーンにはメンバー紹介映像が流れる。ナレーションによる音楽的な側面と人柄を絡めた紹介は的を射ており、伊澤については”事変加入当初からメンバーは彼の音楽家としての天賦を信頼しきっていた”と語られ、東京事変で多くの楽曲を書いてきた伊澤の音楽性が高く評価されていることを痛感した。次の「海底に巣くう男」では椎名がピンクのアフロヘア、ピンクのスパンコールのホットパンツにピンヒールという姿でダンサーと現れ、かわいらしくもコケティッシュなパフォーマンスを披露。ギターとショルダー・キーボードを携えた女性ダンサー二人を従え伊澤が歌った「怪ホラーダスト」では椎名がピアノを担当。さらにドラムの刄田綴色がギター片手に「ほんとのところ」を歌うと、椎名はドラムへと移動。淡々とリズムを刻み独特の世界を作り出す。普段とは違ったポジションでのメンバーの個性のぶつかり合いから、最後の舞台であっても、東京事変というバンドのまた新たな側面を見せつけられる。

_MG_1691.jpg

IMG_0622◎.JPG

前2曲と同じく最新アルバム『color bars』収録の「sa_i_ta 」に続いて、スクリーンに映し出されたカウントが客席の勢いを煽った「能動的三分間」から「修羅場」、「絶体絶命」と、軽快なリズムのナンバーをたたみ掛けると、思い思いにリズムを取る観客の動きで武道館が揺れ、会場の熱気が大きな1つのうねりとなる。そして、ライブは後半戦へ。男性メンバーが赤のスーツに蝶ネクタイという出で立ちで登場すると、会場内に黄色い歓声が溢れ、舞台の最前列に4人が横並びとなり、オーケストラの贅沢な演奏に乗せて「アイスクリームの歌」を軽妙洒脱に披露。前のめりだった会場の雰囲気が緩やかになり、メンバーのおどけた踊りに観客から笑いがこぼれる。さらに、ファミコンのゲーム画面を思い起こさせる映像の演出で会場が和んだところに、椎名が深紅の艶やかなドレスで再登場。「おいしい季節」、「女の子は誰でも」というスイートでドリーミーなムードを漂わせる楽曲が続いて、観客は椎名林檎というアーティストの世界にゆったりと浸っているようだった。

イントロで椎名がロングスカートを豪快に外してショーガール風のチュチュに早替えし、それまでのムードを払拭した「御祭騒ぎ」、この勢いのままライブが進むかと思いきや、「天国へようこそ」で、またもやがらりとダークネスな雰囲気に変わる。戸惑う観客をよそに椎名は”I am dead”と歌い上げ、”ぼくは死んだ”の字幕を残して舞台から消えた。サビのメロディをなぞるような切ない弦の調べ、哀愁を帯びたサックス・ソロが鳴り響いたあと、終幕を思わせる壮大なオーケストラの後奏が演奏されて舞台は暗転。次の展開に会場中が息を飲む中、ここまでのライブの逆再生映像がスクリーンに映し出される。映像がライブのオープニングに至ったところで、伊澤のピアノから静かに寂しげな旋律が奏でられ、美しいメロディを持つ王道バラード「タイムカプセル」へとつながった。なるほど、ここまでのショーをタイムカプセルに収める演出だったのだ。その見事な演出の効果で、メンバーの衣装の青が目映く見え、”新しい自分になれるのかな”という絶妙な歌い出しには、ただただため息が漏れた。


IMG_0734◎.JPG

_MG_8562.JPG

 

続く「電波通信」では、ドラムとベースのリズム隊が分厚くリズミックな曲調を奏で、舞台と客席を力強く行き来する照明演出で盛り上げた。ここでこの日初めてのMCタイムとなる。ナチュラルな緩いやりとりが会場を和ませたあと、ライブもいよいよ終盤戦へ。「閃光少女」の歌い出しに観客から悲鳴が上がり、シンセからギターへと持ち替えた伊澤とベースの亀田誠治が左右の花道に走り客席を煽りまくる。続く「勝ち戦」では伊澤がピアノに戻り、全身でリズムを取りながらリズム隊さながらのフレーズを弾き倒すと、椎名はギターを持ち応戦。さらに左右の花道に4管ずつのホーン隊が登場して鉄板ナンバーを盛り上げた。そのままの勢いでまさにタイトルどおりの「キラーチューン」、伊澤が再びギターを手にした「空が鳴っている」で会場のボルテージは最高潮に達して本編は終了する。

IMG_0328.JPG

IMG_0660.JPG

メンバーが去ったあとも、その全身全霊のパフォーマンスに会場のあちらこちらから感激のため息が漏れる。そんななか、5人が水夫スタイルを意識したお揃いのボーダーのトップスを基本に、思い思いのマリンルックで登場。アンコールの1曲目は「某都民」で、お決まりの”TOKYO”の掛け合いでは、客席も今日一番の声を絞り出し、旗を振り上げ絶叫する。その高いテンションのまま続いた、東京事変のデビュー曲であるアップ・チューン「群青日和」で再び会場が大きく揺れたあと、「青春の瞬き」へ。ピアノと歌でしっとりと歌い上げたところへ、徐々にバンドとオーケストラが加わっていき、豪華絢爛なフィナーレとなった。

まだまだ伸びの良い艶やかな声で歌い上げてみせる椎名の熱演を目の当たりにし、ここまでで27曲が披露されているにもかかわらず、会場内には”まだ、もう少し聴きたい”という思いがどんどんと充満していく。それに応えるように、本当にラストの曲「透明人間」が、伊澤の快活なピアノによって始まると、左右の花道に登場したダンサー達が”Bon Voyage”と印刷された紙テープを客席に放り投げる。出港時のセレモニーを思わせる演出は、東京事変の門出を祝うかのようだった。

この日、スクリーンに映し出されるメンバーは、誰もが笑顔だった。いつものようにピアノにかぶりつくようなスタイルで、また全身を使ってリズムを取りながら弾く伊澤は、楽しくて堪らないという様子でさらに大きくアクションして各メンバーとコミュニケーションし、刄田はドラム・セットに向かうというよりも、首を90度左に曲げたまま観客に向かって終止笑顔で演奏。ギターの浮雲はクールにキメつつも楽しさを隠しきれない様子で、亀田はそんなメンバーを優しく見守るように微笑む。そして椎名はそんなメンバーに、絶対の信頼を置いてパフォーマンスしていた。この日のライブに、”解散、これで終わり”という湿っぽい空気は一切ない。メンバー全員が準備を重ね、そこにいる観客全員を楽しませるんだという活気に満ちあふれ、バンドが解散しても、一緒に作って来た音楽は客席のファンに託したぞ!という思いが伝わる清々しいライブだった。”良い旅を!”。これからそれぞれが新たな航海に出る東京事変が、旅の無事を祈り見送りに来た我々のために、最高のショーを届けてくれた一夜だった。

_MG_1962.jpg

 

SET LIST
01 生きる
02 新しい文明開化
03 今夜はから騒ぎ
04 OSCA
05 FOUL
06 シーズンサヨナラ
07 海底に巣くう男
08 怪ホラーダスト
09 ほんとのところ
10 sa_i_ta
11 能動的三分間
12 修羅場
13 絶体絶命
14 アイスクリームのうた
15 おいしい季節
16 女の子は誰でも
17 御祭騒ぎ
18 天国へようこそ
19 タイムカプセル
20 電波通信
21 閃光少女
22 勝ち戦
23 キラーチューン
24 空が鳴っている
Encore 1
25 某都民 
26 群青日和
27 青春の瞬き
Encore 2
28 透明人間
01 生きる
02 新しい文明開化
03 今夜はから騒ぎ
04 OSCA
05 FOUL
06 シーズンサヨナラ
07 海底に巣くう男
08 怪ホラーダスト
09 ほんとのところ
10 sa_i_ta
11 能動的三分間
12 修羅場
13 絶体絶命
14 アイスクリームのうた
15 おいしい季節
16 女の子は誰でも
17 御祭騒ぎ
18 天国へようこそ
19 タイムカプセル
20 電波通信
21 閃光少女
22 勝ち戦
23 キラーチューン
24 空が鳴っている
Encore 1
25 某都民 
26 群青日和
27 青春の瞬き
Encore 2
28 透明人間

TUNECORE JAPAN