【ライブ・レポート】あの名盤が10周年を迎え、記念ライブが開催〜INO hidefumi“SATISFACTION 10th. ANNIVERSARY”

ライブレポート by キーボード・マガジン編集部 2016年7月5日

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INO hidefumiのデビュー作で、名盤と名高いアルバム『SATISFACTION』。そのリリースから10周年を記念したスペシャル・ライブが、Billboard LIVEにて開催された。ここでは、5月27日(金)東京公演の2ndセットの模様をレポートしていこう。

『SATISFACTION』を曲順どおりに再現するというこの日のライブ。もちろんオープニングはアルバム同様に「Spartacus」だ。聴く者を中毒にしたあのフレーズが流れ出すと、会場に高揚感が漂う。今回のバンドは、ドラムに恒岡章、ベースに菱川浩太郎というサポート・メンバーを迎えた3ピース編成。タイトなビートの上で、INOが軽やかに音を紡いでいく。

2曲目「What are you doing the rest of your life」では鍵盤ハーモニカを吹き、3曲目「Why are we at war」ではショルダー・キーボード、ヤマハKX-5を抱えてステージ中央へ。エフェクティブなプレイで、序盤から会場を盛り上げる。『SATISFACTION』は、秀逸なカバー曲が収録された作品としても知られるが、続く「Billie Jean」のローズによるグルーブ溢れるメロディで、改めてそれを感じさせられた。

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今回INOが弾いていたのは、基本的にローズとピアノのみ。ベースの菱川の前にはコルグMS-20がセットされ、「Behind the rainbow」などで弾かれていた。INOのライブは、毎回全く違ったアレンジが施され緻密に構築される場合も多いが、この日は3人の演奏によるバンド感を全面に押し出したものとなっていた。「Midnight at the oasis」といったビートの強調された楽曲では特にそれが顕著で、メンバーが反応し合い演奏を楽しむ姿が印象的だった。

とは言え、3人の衣装が白衣だったように、INOの持ち前の実験心は健在。コルグKaoss Padなどのエフェクトを駆使したSEサウンドを織り交ぜながら、「Love theme form Spartacus #piano」へと流れ込む。そのピアノ・ソロでは、恒岡、菱川の演奏に呼応するように、INOのプレイがどんどん熱を帯びていく。「Madsummer Reminiscence」からは再びローズの前へ。「Just the two of us」では、“Just the two of us”という自らの歌声をループさせ盛り上げた後、「Soshu-yakyoku」を歌入りでしっとりと披露、温かみのある声が会場を包んだ。

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そんな『SATISFACTION』の世界に取り込まれたまま、アルバム最後の曲「Never can say goodbye」で本編は終了する。アンコールは、THE BLUE HEARTSの「泣かないで恋人よ」。濃密なライブの緊張を緩和させるだけでなく、その歌詞は現代の空気感にマッチしており、INOの選曲力にはやはり脱帽させられる。この日のライブは、ローズという楽器の可能性を追求した『SATISFACTION』の世界観を見事に再現し、INO hidefumiのアーティストとしてのセンスを存分に証明した充実のステージとなった。

去る5月11日には、そんな同作の楽曲を、ローズ1台のみでリアレンジしたアルバム『NO SATISFACTION』がリリースされた。空間いっぱいに広がるローズの響きは、とにかく心地好い。ピックアップで音を拾いアンプで増幅するというシンプルな仕組みの楽器が、これだけさまざまな音色を出せるという奥の深さにも驚かされる。INOがローズ1台で施したアレンジの妙も存分に堪能できるはずだ。

『NO SATISFACTION』 innocent record:IRCD-0006
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1. Spartacus
2. What are you doing the rest of your life
3. Why are we at war
4. Billie Jean
5. Behind the rainbow
6. Midnight at the oasis
7. Madsummer Reminiscence
8. Solid Foundation
9. Just the two of us
10. Never can say goodbye

 

 

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