【ライブ・レポート】INO hidefumi 2013/06/14 @恵比寿リキッドルーム 

ライブレポート by キーボード・マガジン編集部 2013年7月10日

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去る6月14日、恵比寿・リキッドルームにて行われた、INO hidefumiのライブ“NEW MORNING TOKYO SPECIAL SHOW”の模様をレポートする。

 

3年振りとなるオリジナル・アルバム『NEW MORNING』を5月にリリースしたINO hidefumi。この日開催されたのは、同アルバムの発売に伴う“一夜限り”のライブ。新作は、歌入りの楽曲のカバーを収録するなど、“INO hidefumi=インストのアーティスト”というこれまでのイメージを打破していくような意欲作となっている。それがライブではどのように再現、もしくは新たな形で表現されるのか、期待感を胸に会場に足を運んだ。

ライブのオープニングは、新作の1曲目でもある「闇からひかりへ」。ドラムのビートで幕を開けると、そこへさまざまな楽器が付加され景色が広がっていく。ステージ上が暗く、視覚的に入ってくる情報のほとんどがバックのスクリーンに映し出された英語のメッセージのみのせいか、“音”だけがある空間の中に立って聴いているような感覚に陥ってしまう。

そのステージに立っているのは、INOを含めた4名、“THE INO hidefumi GROUP”という最近のライブの定番メンバーだ。未発表の「朝の歌」を挟み、アルバムからの新曲を立て続けに披露していくが、SE的なサウンド含めアレンジのかなり細かい部分まで再現していることに驚く。多数の楽器/エフェクトを使い緻密に構成されたINOの楽曲は、ライブで再現しやすいとは言い難い。息の合ったメンバーだからできたというのはもちろんだが、ライブでもそのままのアレンジで見せたいと思うほど突き詰めた作品なのだろうと感じた。

今回のINOのセッティングでまず目に付いたのが、彼の相棒であるローズだ。これまでは“スーツケース(Suitcase)”と呼ばれるスピーカー一体型を使用していたが、置いてあったのはスピーカーなしの“ステージ・ピアノ(Stage Piano)”。それによって立って弾くことが可能になり、ローズの反対側に置かれたメロトロンM4000Dを同時に弾くシーンも見られた。そのメロトロンの上には愛機、コルグMS-20を設置。またローズの上には、アナログ・システムズ社のオンド・マルトノ型コントローラーのほか、さまざまなエフェクトが置いてあったようだ。さらにサポート・メンバーの村上メイコの周りにも、モーグMinimoogやコルグDeltaといったシンセ類がセット。村上は、グロッケンやオムニコード、カリンバなど多様な楽器も使用し、加えてギターも担当するという縦横無尽ぶりだ。

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上記の楽器は新作でも使用されたものであり、INOと村上はこれらを巧みに操りながらその音で風景を描いていく。鍵盤で言えば、ローズはもちろんのこと、メロトロンやコルグDeltaの郷愁誘うサウンドはINOの音楽性に非常に合っており、アルバム同様、会場を温かく包んでいたのが印象的だった。それらをしっかり支えていたのが、ベースの岡戸一朗とドラムの横畠亮だ。そんな4人のサウンドが絶妙に配置されることで、心地好い音空間が広がっていく。

ライブ中盤に差し掛かると、本日のゲスト・鈴木茂が登場。ここから新作での最大の試みである“歌もの”コーナーへと突入する。「ハローイッツミー」「クライミーアリヴァー」という収録曲を、ローズを弾きながら歌うINO。作品内で聴かせていたのと同様、滋味溢れる鈴木のギターが鳴り響く。これまでもライブではたびたびカバー曲を歌ってきたINOだが、改めて聴いてもインスト曲との別モノ感は覚えない。その後、鈴木茂の「砂の女」、はっぴぃえんどの「花いちもんめ」が披露され、会場は大いに盛り上がった。

そして、終盤になって演奏された1stアルバムからの「スパルタカス」。印象的なローズのメロディが、最後にはまるで宇宙に飲み込まれるように大きなサウンドの渦の中に消えていく。代表曲と言えるこの曲をこういった新たな形で表現したところにも、INOが“現在の自身のサウンド”を突き詰めてきたことを感じた。本編最後は「グリーンティ」。新作で取り入れた手法である、人間の声を楽器のように扱った多重コーラスが会場中に響き渡りライブは終幕を迎える。その後のアンコールでは再び鈴木茂も登場、アルバムに収録されなかった曲を披露し、一夜限りのスペシャル・ショーは終了となった。

途中、メロディーパイプと呼ばれるホース状の楽器を、メンバー4人全員が持って頭上でグルグル回すという演出があり笑ってしまったが、INOの作り出すサウンドには、いつも何かしらユーモアが溢れている。INO自身が面白さを追求して作り出していく限り、そのサウンドはどのような形となってもきっと彼のものであるのだろう。新作の曲をライブで聴くことで改めてそう感じたし、これからもそうやって生み出されていくものをぜひ楽しみにしていたいと思う。

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SET LIST
  1. 闇からひかりへ
  2. 朝の歌
  3. 目醒めの木
  4. 愛することの幸福
  5. 思えば世界はあまりにも美しい
  6. 月に吠える
  7. ハローイッツミー
  8. クライミーアリヴァー
  9. 砂の女
  10. 花いちもんめ
  11. ジャストザトゥーオブアス
  12. スパルタカス
  13. アイランドレター
  14. グリーンティ
  15. 夜明けのうた
  16. 今日はなんだか
  17. この世の果て


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