誰かがプラスになれるスイッチのように、そんなバンドになれたらいいなと思っています/野村太一(Yellow Studs)

インタビュー by キーボード・マガジン編集部 2014年6月27日

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キーボード/ボーカル、ツイン・ギター、ベース、ドラムという編成で、強力なロックンロール・ナンバーを聴かせるインディーズ・バンド、Yellow Studs。2003年の結成以来、コンスタントにライブやアルバム・リリースを重ね、今年7枚目となるアルバム『ALARM』を発表した。躍るピアノ・プレイや吐き捨てるような悲哀の歌が盛り込まれたこの最新作について、また完全自主制作で活動するバンドについて、リーダー兼キーボード/ボーカルの野村太一に話を聞いた。

インディーズでも
注目される文化になってきた

————まずは野村さんが鍵盤を弾き始めたきっかけを教えてください。

野村 3歳のころ、ピアノを弾き始めたのがきっかけですね。本格的に習い始めたのは小学校4年生からで、中学校の3年生までピアノ教室に通っていました。高校に行くとギターを触りたくなって、ピアノは一旦やめてしまったんです。再びピアノを弾き始めるのは、Yellow Studsを結成した23歳くらいからですね。

————バンド結成までは、どのような音楽活動をしていたのですか?

野村 それが、音楽活動というのはやっていなかったんですよ。高校のころにギターと単車にはまって、サラリーマンにはなりたくないと思い大学進学を蹴って。それからひたすらバイトをやっていました。だけど、そういう生活をしている中、僕のおばあちゃんが亡くなったんですよ。それが僕にとってすごくショックで、そのときにちゃんと何かやりたい、何か本気になれるものが欲しいと思って探したんです。それで、胸を張ってちゃんと生きてるって言えるのがもしかしたら音楽かもしれないと思い、そのとき働いていた居酒屋のバイト仲間でバンドを組みました。それがYellow Studs結成のきっかけです。

————バンド結成後はどんな活動をしていきましたか?

野村 ノルマを払ってライブに出て、という、よくあるバンド・マンのように活動していましたよ。CDも作っていけば、勝手に売れて勝手にお金持ちになっていくと思っていましたし(笑)。でも、2〜3年経ったあたりから、“これ違うぞ”、と。もしかしたら本気で売れないかもしれないと思うようになってきて。そこでノルマを払ってライブするのもいい加減イヤになり、ライブハウスとの交渉術を身に付けるようになっていきました。ライブハウス側に自分たちの客の動員をまず見せ付け、1枚目からバックの金額を交渉する、というように。それからどんどんライブハウスと対等になるにはどうしたら良いか考えていきましたね。

————戦略を考えていったんですね。

野村 そうですね。対等になるためにはまず動員を増やす。増やすためには良い曲をやらなくてはいけないし、耳障りじゃない音楽をやらなくてはいけない。なので、音が悪くて何やっているか分からないようなハコは出ない、とか。それから、お客さんは落ち着いて音楽を聴ける場所じゃないと来てくれないんですよ。例えば女子トイレと男子トイレが一緒になっているライブハウスは、女の子はイヤじゃないですか。そういうハコはNGにしたり。そうやって常にお客さんの目線に立ってやっていたら、みんながおのずと付いてきてくれた、という感じですね。

————では、初めて買った鍵盤は何でしたか?

野村 今でも自宅で使っている、コルグSP-100ですね。バンドを始めた当時はライブにいくときケースに入れずに抱えて持って行っていたので、いろんなところに当たって鍵盤が壊れるんですよ。ケースは高いし買わなくて良いかなと思って、壊れるたびに自分で修理していました(笑)。今はライブではヤマハP-80を使っているんですが、それももう鍵盤が4、5個壊れ始めたので、そろそろ新しいものを買おうと思っています(笑)。

————これまでずっと自主制作で活動していますが、それに対してこだわりがあったりするのですか?

野村 そんなことはないですよ。ただ迎えがこないだけで(笑)。

————今の時代、自分たちで全部作って売った方が利益が多かったりするのかな、とも思うのですが。

野村 結果的に今はそうなっていますが、もし何かメジャーの話があるんだったら、お話だけは聞きたいですね。ただ、それまでは自分たちでやれるとこまでやってしまおうというスタンスです。それに、今は“インディーズはショボい”みたいな印象がだんだん消えてきたと思うんですよね。インディーズでも、ちゃんと注目を浴びれる文化になってきたので、これはチャンスだと思っています。

————今はネットを使って曲を発表できますし、DTMもすごく発達して、ハイ・クオリティの音源も制作できるようになっていますしね。

野村 そうなんですよ。ホーム・ページ作るのもWebサービスでできてしまうし、デザインもPhotoshopを使って自分たちでできてしまう。今回のアルバムの曲で、「トビラ」が氷結のCMソングになっているんですけど、それもCMの制作会社さんが俺らの曲をyoutubeで聴いてくれて、そこからオファーが来た。やっぱりネットからなんですよね。なので、結構ネットのツールを使って何かできないか、いろいろ試していますよ。例えば検索結果にバンドの広告が載るリスティング広告を打ったり。メンバーとの連絡も、ビジネス向けのコミニュケーション・ツールChatworkを使って、案件を逃さないように素早く連絡をとるようにしています。

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なるべく多くの楽器を触るようにして
楽曲を作っていきます

————それでは、アルバム『Alarm』について聞かせてください。アルバムの制作はどのように進んでいったのですか?

野村 5作目の『Shower』を出したときから、毎年1年に1回はアルバムは出そうと決めたんですが、毎回制作期間がすごく短かくて大変なんです。前作『curtain』は1ヶ月で作る、という感じになったりして(笑)。今作は4ヶ月くらいで作ったんですけど、それでもやっぱり短かくて大変でした。

————曲作りはどのように行うのですか?

野村 曲は大体俺が作っているのですが、最初からピアノに向かって作ることもありますし、バンジョーを弾いて作ることもあります。ベースやアコーディオンも使いますね。そうやって、別の楽器からフレーズを作り、それからピアノに向かって練っていくことが多いです。やっぱり楽器によって曲の出来方が全然違うんですよ。アコーディオンで作ったらアコーディオンらしい曲になったりして、常に新しい発見がある。なので、なるべく多くの楽器を触るようにしています。“似たような曲ができちゃった”みたいなことは避けたいので。

————Yellow Studsはギター2人にキーボードと、ウワモノが3人いる編成ですが、アレンジはどのように考えていくのですか?

野村 ギターが2人もいる上にピアノも弾くので、住み分けをどうしようかいつも悩んでいますよ(笑)。ただ、アレンジまで俺が考えていると頭が回らないので、それぞれの楽器のパートは自分たちで考えてもらうようにしています。作り方としては、みんなでスタジオに集まって、その場でコード進行をホワイト・ボードに書いてとりあえず合わせてみる、というやり方ですね。そうすると、自分が考えていた楽曲の方向性と全然違うところに行く場合が多々あって、そこでバンドというものに感動するんですよ。反対に、ガッカリすることもありますけど(笑)。だけど、それが面白いところだと思いますね。俺が思っていることが、全部が全部正解ではもちろんないし、絶対に新しいことになる。そうやって合わせてみてカッコ良いところをとっといて、詰めていくという感じですね。

————レコーディングはどのように進めましたか? 一発でしょうか?

野村 一発で録ることはほぼないです。確かに一発でやればライブ感は出るんですけど、俺らはすごくズレを気にするバンドなんですよ。5人もいるので、ズレて演奏してしまうとその微妙なズレがどんどん重なっていって、音がもわっとしてしまう。リズムをビシッと決めたいので、まずはリズム隊だけを録って、ギターは1本ずつ単体で、鍵盤に関してはMIDIデータをエンジニアに送る、という形をとっています。

————今回のアルバムで使った鍵盤機材を教えてください。

野村 SP-100をMIDIキーボードとして使って、音源は基本的にシンソジーIvoryを使いましたね。あと「SNS」ではスタインバーグHalionのオルガン音色を使っています。ただ、先ほども言ったように制作に時間がなかったので、ピアノ音色に関してはSP-100の音源や、仮で録ったグランド・ピアノのオーディオ・データも使っています。もう“データができたら送れ、MIDIを鳴らしている時間はない!”ってエンジニアがテンパっていて(笑)。それぐらい、本当にスケジュールがカツカツだったんですよ。

————具体的に楽曲について聞かせてください。ロカビリーなオープニング・ナンバーの「コメディ」では、イントロからピアノを弾きまくっていますよね。

野村 こういうの、みんな好きだろうと思って作りました。お恥ずかしながら、最近やっとハーモニック・マイナー・スケールをというのを覚えたんです。なのでそれを使ってやってみよう、ということで。この曲は昔のビッグ・バンドやR&Bで聴けるような、ダンサブルなビートを5人で出せたので好きですね。

————アルバムではブルー・ノート・スケールを使うシーンも多いですよね。

野村 もうこれしかやってなかったので(笑)。自分の中の引き出しとしてはそのスケールと、あとは高校のころから好きなジョージ・ウィンストンのようなポップなピアノ・プレイ。その感じを出したのが、「秋晴れの空」ですね。ジョージ・ウィンストンの曲で適当に遊びながら、広げていくやり方で作っていきました。この曲はバンドをやるきっかけになった、おばあちゃんのことを考えながら歌詞を作った曲で、すごく気に入っています。

————ピアノのバッキングが楽曲を引っ張るポップ・ナンバー「僭越ながら」はどのように作っていったんですか?

野村 初めはモンキーズの「デイドリーム・ビリーバー」のような曲を作りたいなと思っていたんですよ。その曲を参考に聴いてみると、コードはいたって単純だったので、あのカッコ良さはメロディの問題だと気付いて、難しいなと作りながら悩んでいたんです。そうしたら弟の(野村)良平(g)が大橋トリオみたいな曲をやりたいっと言ってきて。“大橋トリオってアコースティックじゃん、俺らの編成じゃできないよ”って思ったんですけど、頑張ってその要素を取り入れてみて、この形になりました。明るい曲になったので、思い切ってラブ・ソングにしています。多分俺にとって初めてのラブソング(笑)。

————このアルバムが出来上がってみて、野村さんにとってどんなアルバムになったと思いますか?

野村 そうですね……このアルバムが皆さんにどのように届いたらいいか、というのは、もう聴いてくれた人に任せます。ただ、俺としては、自分が思っていることを今までで一番ストレートに歌詞に乗せられたアルバムになったんじゃないかな、と。毎回出す度に言っているんですが、今までで一番良いアルバムなったと思いますね。

————それでは最後に、バンドとしての今後の目標を教えてください。

野村 音楽を始める前は、お決まりの“社会の歯車になりたくない”という思いがあったんですが、今は“どうせ歯車になるんだったら、音楽で歯車になれたらいいな”と思ってやっているんです。それは社会の中でお金を回していくという意味の歯車ではなく、自分たちが発したことに、誰かが感動してくれたらいいな、という歯車。願わくば、誰かのプラスになるスイッチのように、そんな歯車になれたらいいなと思ってこれからもやっていきます。

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New Album[Alarm] Release Oneman Tour”「ごくつぶしが鳴く夜」”

7月20日(日)東京・渋谷DESEO

OPEN 18:00/START 19:00
前売り ¥2500/当日 ¥3000
+1Drink ¥500
SOLD OUT!!

8月2日(土)宮城・仙台MACANA

OPEN 18:00/START 19:00
前売り ¥2500/当日 ¥3000
+1Drink ¥600
※入場数制限あり。先着予約順となります。

8月23日(土)群馬・前橋DYVER

OPEN 18:00/START 19:00
前売り ¥2500/当日 ¥3000
+1Drink ¥500
※入場数制限あり。先着予約順となります。

9月6日(土)大阪・天王寺Fireloop

OPEN 18:00/START 19:00
前売り ¥2500/当日 ¥3000
+1Drink ¥500
※入場数制限あり。先着予約順となります。

9月27日(土)静岡・浜松窓枠

OPEN 18:00/START 19:00
前売り ¥2500/当日 ¥3000
+1Drink ¥500
※入場数制限あり。先着予約順となります。

10月18日(土)愛知・名古屋UPSET

OPEN 18:00/START 19:00
前売り ¥2500/当日 ¥3000
+1Drink ¥500
※入場数制限あり。先着予約順となります。

ツアーファイナル(東京)

詳細、近日公開!!

オフィシャル・サイト

http://yellowstuds.com/

 

 

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