【製品レビュー】MOOG Sub 37 ファットなモーグ・サウンドが2和音に 37鍵盤により演奏性も格段にアップした Phattyシリーズ最新機種

MOOG Sub 37

REVIEW by 扇谷研人/撮影:八島崇 2016年3月25日

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キーボード・マガジン2015年SPRING号より

有機的な演奏表現を叶える
パラフォニック・モード

アメリカ本国ではすでに発売され、その全容が以前から明らかになっていたSub 37。そのデザインとリアルイム・コントロールを重視したインターフェースが気になりまくっていましたが、ついに日本国内でも発売開始となりました! お借りして散々自宅で触らせていただきましたが、ホントお返ししたくないです(笑)。このSub 37、音うんぬんの前に、ご覧のとおりルックスが最高にカッコ良い。昨今はデザインなどがあまり重要視されていない機種も少なくないのでは、と思うところもありますが、このSub 37は明らかにトップ・クラスのカッコ良さと質感を持っています。これだけでこの楽器を所有したい!という気になりますね。素敵な外車を目にしたときと同じような感覚になります。

そして何と言っても出音の品格! もうこれはアナログ・シンセサイザーにしか出せない領域ですね。音がまさに、そこに存在する。デジタルの解像度などに左右されることのない、フル・レンジの音。デジタル・シンセだと、リバーブなどの残響音的なエフェクトなどで飾りたくなってしまいますが、本物の生の楽器というのは、そんなものがなくても不足を感じさせることがありません。プリセットをどんどん試してツマミをいじるだけで、ああ気持ち良いこと。スピーカーでなくヘッドフォンでモニターするだけでも圧倒的な音の良さに身震いします。

正直に言って、Little Phattyだとルックスは最高なのにコントロールするツマミがちょっと足りない、Sub Phattyだとプレイヤーには鍵盤数が足りない、と不足感を感じる部分がありました。しかし、Sub 37は鍵盤数、ツマミ数ともに十分! もう何も申し上げることはございません。ツマミ類にいたってはこれでもかとばかりに、40個のノブと74個のスイッチに加え液晶ディスプレイも付いています。リアルタイム・コントロールにこだわりたい方にとってはまさに最高の環境。

次に目玉機能について。基本的には2VCO、サブ・オシレーター1基、ノイズ1基というモノフォニック仕様でありながら、パラフォニック・アナログ・シンセサイザーと銘打たれているとおり、2つのVCOを2音として和音演奏できるのです! 完全な2音のポリフォニックというわけではないこの仕様が、逆にこのシンセをとても新鮮な楽器に押し上げています。さながら2人のブラス・セクションが、あるときはユニゾンでぶっとく、あるときは2手に分かれて和音を、といったイメージで演奏することが可能で、この仕様はとても有機的に感じますね。設定も、VCO2のデュオ・モードのスイッチをオンにするだけ。また、2音を同時に弾いたときにどちらのVCOをどちらの音に振り分けるか、ということも即座にスイッチで変えることができます。このように、Sub 37はモノフォニック・シンセとしてメロディやベースなどを弾くのにも最適ですが、ときにこの出音の良さを生かしながら和音も押さえてそれだけで世界観を演出したい……なんてことも簡単に叶えてくれるのです。デュオ・モードではほかにも、VCO2を鍵盤によらずバグパイプのように一定の音程を出しながら、VCO1を使いメロディを奏でる……という奏法なども思いのまま。さらに、ありがたいことにVCO1の1オクターブ下の音程を出せるサブ・オシレーターも付いているので、バグパイプ的奏法をするときにはメロディ側をオクターブ・ユニゾンで厚くしたりすることも可能。もちろん、サブ・オシレーターはシンセ・ベースやリード音色を厚くするのにも役立ちます。

 

音作りからコントロールまで
多くの使える機能を装備

音色の核となるフィルターには、スロープを変更可能なモーグ伝統のローパス・ラダー・フィルターを装備。また、マルチ・ドライブにより、チューブ的な温い歪みから過激なディストーション音色まで、さまざまな倍音変化を生み出せます。個人的にはこのチューブ的な歪み感がとても心地良く、試奏中もすぐに手が伸びてしまいました。

続くエンベロープ・セクションでは、通常のADSRの調整のほかに、エンベロープをループさせるスイッチが付いているので、多彩に変化し続ける独自の音色を作ることができます。また、僕は音を常に伸ばしながらノイズとフィルターを使って、水のようなゴボゴボした音や風のような音を演奏するのが大好きなのですが、このようなプレイを行うときにもエンベロープ・セクションのLATCHを使えば、すぐに音をホールドさせてツマミ・プレイを心ゆくまで堪能することができます。

そのほか、ミキサー・セクションでは各オシレーターやノイズ、そして外部入力またはフィードバック回路となる5系統の音量コントロールが可能。さらにミュート・スイッチもあるので、リアルタイムに音をミックスすることがとても簡単です。モジュレーションは2系統装備され、液晶ディスプレイでの設定と合わせてさまざまな変調を加えることができる。鍵盤はアフタータッチも付いているので、片手でも、音色変化やビブラートをかけることが可能。アフタータッチの押し込む感覚もとても良くできていると思います。

これらに加え、アルペジエーターと64音のステップ・シーケンサーも内蔵しており、外部MIDIクロックにも同期可能な上に、タップ・スイッチも付いているという多機能ぶり。ほかにも256音色のプリセットや、USBでPCと接続できるなど、最高のアナログ・シンセでありながら最新の機能も備えた洗練されたキーボードと言えるでしょう。まさに一生ものの、“本物の楽器”です!

 

MOOG

Sub 37

オープン・プライス
※表示している価格はニュース掲載時点のものです。また税込/税抜についてはメーカーの表示したものに準じて記載しています。

問い合わせ
コルグ お客様相談窓口
TEL: 0570-666-569 http://www.korg.com/jp/

【SPECIFICATIONS】
●鍵盤部:37鍵盤(セミ・ウェイテッド、ベロシティ/アフタータッチ付き)●同時発音数:1(モノフォニック)または2(パラフォニック)、選択可能●音源:2ヴァリアブル・ウェーブシェープ・オシレーター、1スクウェア・ウェーブ・サブ・オシレーター、1アナログ・ノイズ・ジェネレーター、1エクスターナル・インプット/フィルター・フィードバック●フィルター:モーグ・ラダー・フィルター(6/12/18/24dBスロープ)、マルチドライブ●モジュレーション・バス:ソース(モジュレーション元)=LFO(三角波、矩形波、鋸歯状波、ランプ波、サンプル&ホールド)、フィルターEG/プログラム、プログラマブル・ソース=アンプEG、コンスタント・オン、サイン波LFO、ノイズLFO、オシレーター1ピッチ、オシレーター2ピッチ、シーケンサー・ノート、シーケンサー・ベロシティ、シーケンサー・モジュレーション●プリセット:256(16バンク×16パッチ)●アルペジエーター/シーケンサー:Up、Down、Order、Random、Latching、Back/Forth、Invert、+/-2レンジ、Tie、Rest、MIDI Sync、64音シーケンサー●端子類:AUDIO(IN/OUT)、PITCH CV、FILTER CV、VOL CV、KB GATE、MIDI(OUT/IN)、USB、DC IN●外形寸法:680(W)×375(D)×171(H)mm●重量:10kg

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