ドリアン系マイナー一発、怒濤の知的アプローチ/MI Japan ギター・クリニック

MI JAPANギター・クリニック by 折原 寿一 2012年3月14日

MI JAPANの人気講師陣がリレー形式で誌上ギター・クリニックを行なっていくこのコーナー。今月は札幌校の折原寿一が登場だ!

こんにちは。MI Japan札幌校の折原寿一です。本セミナーは2回目となります。

学校ではスケール、コードワーク、読譜などの必修科目を担当しているほか、MIのアンサンブルのテキストも書いてます。

音楽活動はジャズ系セッションが中心です。ライブやツアー、CDなどの情報はHP(http://www1.ocn.ne.jp/~guit-ori/)やSNSで随時発信してますので、興味のある方はチェックしてみて下さい!

 

 

【MI×ギタマガ】OPEN HOUSE/折原 寿一♯1

【MI×ギタマガ】OPEN HOUSE/折原 寿一♯2

はじめに

セッションやジャムでよく使われるCm7-F7のような、いわゆる”ドリアン系マイナー一発”。みなさんはどんなアプローチでソロを弾くでしょうか? 例えば8フレットあたりでは、Cドリアンのスケール・ポジションとCマイナー・ペンタ中心にテンション(6、9、♭5など)を足すイメージでブロック的に見る人が多いのではないでしょうか(次の図)。

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しかし、スケールは覚えてみたけれどもフレーズにならない、テンションやコード・トーンや意識しようにも、逆に縛られてしまいワザとらしくなってしまう……、と悩んでいる人にこそ、以下のトレーニングを役立ててほしいと思います。

今回は、ジャズやフュージョン系プレイヤー寄りの少し視点の違うアプローチを紹介していきます。Cm7ドリアン系一発、それぞれのアイディアに特化した2小節の短いフレーズを作りました。

ギタリストがCm7をイメージしやすいように、スケールの並びなどは8フレット付近で1オクターブ提示してます。より理解を深めたい方は音域を広げたり、フレーズごとのポジションで展開させてみて下さい。

単にスケールだけ弾いてもサウンドしません。スケールや理論だけではなく、フレージングの要素を学ばないと意味がないのです。また、どんなプレイも、良い音、良いタイム感、良いフィーリング、良いグルーヴが最優先することを忘れないで下さい。

フレーズ1

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マイナー・ペンタトニックの7thを6thに置き換えます。ロベン・フォードっぽいですね。Fから並び替えて”Fドミナント・ペンタトニック”ととらえる人もいますが、単純にマイナー・ペンタに6thを足す発想ではないので注意。

フレーズ2

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ドリアンはメジャー・スケールの第2音から並べたもの。CドリアンではB♭のダイアトニック・コードが利用できますが、そのまま単体で上下するような弾き方はしません。ここではピアニストのチック・コリアが使うようなリズムでE♭とFのコンビネーション。E♭M7アルペジオはCm9のサウンドが得られます。ウエス・モンゴメリー始め、多くのプレイヤーが使ってます。

フレーズ3

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スケールの跳躍。一般的な3度以外の音程は必然的にスキップの連続で多少の練習と慣れが必要ですが、うまく利用するとトリッキーなサウンドが得られます。このようなインターバルのアプローチは以前の私のセミナー「インターバル・クリニック」で詳述してますので参考までに。

フレーズ4

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Cm7- F7のコード進行をF7でとらえ、コード・スケールのミクソリディアンのルートから下行で♭7thの前に半音を入れると強拍にコード・トーンが並び、まるでチャーリー・パーカーのようなホーンライクなビ・バップ・サウンドがします。スケールというよりは経過音の手グセや歌い回しを便宜的にそう呼んでいるととらえたほうが無難。フレーズで覚えましょう。

フレーズ5

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ターゲット音へのアプローチ・ノート。いろいろな方法がありますが、ここではコード・トーンに対して半音で挟み込むように解決する例。解決が遅れるので”ディレイド・リゾルブ”とも言われ、1小節はこの手法によるCドリアンの単純展開。2小節目はマイク・スターンが使いそうな半音の歌い方。ただ手法というよりはフレーズの一部として常套句化してたり、パット・メセニーやジョン・スコフィールドのようにプレイ・スタイルに直結している場合が多いです。

フレーズ6

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ドリアンとメロディック・マイナー、このふたつのスケールはよく似ていて互換使用するプレイヤーは多いです。不安定な音程を多く含み、その独特のサウンドはジャズ・プレイヤーが好んで使います。ここではスコット・ヘンダーソンが弾きそうなライン。スケール音だけのフレーズですがペンタに慣れた耳にはアウトして聴こえるかも。

フレーズ7

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トニックをディミニッシュ・コードに置き換えて(トニック・ディミニッシュ)ディミニッシュ・スケールを使う例。構成音はドリアンに何となく近いですがブッ飛び感は半端ないです。このスケールはパターンで使われる場合が一般的で多くの定番フレーズがあり、ストックをいつでも引き出せるような練習が大事。1小節目の3、4拍は古典的パターン、2小節目はスコット・ヘンダーソンがセミナーで弾いていたパターン。

フレーズ8

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CmをCmM7ととらえるとCルート上にE♭オーギュメントが形成されているとも解釈でき、オーギュメント・スケールが使用できます。オーギュメントというとホールトーンをイメージする人も多いでしょうが別物です。多面性を持った魔法のようなサウンドは最先端のコンテンポラリー・ジャズ系プレイヤーに好んで使われてます。2小節目は古典的パターン。

あのアインシュタインが”学ぶことは模倣することだ!”と言ってます。理屈はあとでついてきます。大事なのは、まず音楽!

折原寿一(おりはらとしかず)プロフィール

mi_gm_2012_03_instructor北大ジャズ研究会出身、卒業後プロ・ギタリストとしてグローバー・ワシントンJr、チャカ・カーンなど、国内外有名ミュージシャンのセッションやライブに数多く参加。CD参加は20作品以上、最新作は参加ユニットaoksでの『/aoks』。国内屈指のジャズ/フュージョン系のスーパー・プレイヤーたちとツアーやコラボレーションなど、アクティブな活躍は広く注目を集める。札幌在住。

■本記事について

本記事は『ギター・マガジン2012年3月号』掲載のページを転載したものです。

→『ギター・マガジン2012年3月号』の詳細を見る

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