ジャーニー、30年ぶりに日本武道館のステージに立つ! 

ライブ/イベントレポート by ギター・マガジン編集部/Photo:Yuki Kuroyanagi 2013年4月23日

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 “3月11日”……。日本にとって特別な意味を持つこの日、東京・九段下の日本武道館のステージに立っていたのは、アメリカが生んだスーパー・ロック・バンド、ジャーニーの5人だった。
  今さら説明するまでもなく、ジャーニーは80年代前半における最重要バンドのひとつで、この日本武道館のステージにも83年の3月1日、2日の両日にライ ブを行なっている。当時の彼らは稀代のボーカリスト、スティーヴ・ペリーを擁し『フロンティアーズ』を発表したばかりで、まさに頂点を極めていた。あれか らちょうど30年の時を経た今、そのスティーヴの後釜としてアジアの同胞、フィリピン人のアーネル・ピネダがマイクを握って同じ舞台に立とうとしているだ。

新旧ファンが熱狂した特別な夜!
2013.3.11@日本武道館

 会場を訪れたファンは、30年前にも来ていたであろうと思われる年代の人々が多数いるが、彼らを再びこの地に足を運ばせたジャーニーの楽曲 の底力、アーネルの魅力には本当に恐れ入る。だが、その多くは恐らくライブでのアーネル未体験。それゆえ、うがった見方をすれば“期待半分、品定め半分” といったところかもしれないなと思った。
 この日のライブは二部構成となっており、一部は言わば二世共演だ。ジョナサン・ケイン(k)の娘、マジ ソン・ケイン(vo)とニール・ショーン(g)の息子、マイルス・ショーン(g)にサポート・ギタリストを加えてのステージング。伸びやかな歌声のマジソ ンと親父譲りのビブラートを駆使するマイルス。ジャーニーのDNAがこんな形で融合していることに、通常のオープニング・アクト以上に温かい眼差しが注が れていたのが印象的だった。

ニール・ショーンのギター・プレイに胸アツ!

 19時25分頃、いよいよジャーニーの出番を 迎えた。1曲目に投下されたのはなんと「セパレイト・ウェイズ」! キーボードのキラキラしたフレーズに続いてニールのズクズクとしたリフが重なっていく 陶酔感に、オーディエンスの拳も突き上がる。そして……アーネルが低く第一声を絞り出した瞬間のどよめき。個人的には彼の声の魅力は、この低音にあると 思っている。太い声質に含まれる空気の量感がスティーヴのそれに比肩し得る天性のものだと。一発で武道館を虜にした彼らは続けて「お気に召すまま」で畳み かけてきた。新たにPRSで製作したセミ・ホローのシグネチャーを手にしたニールが、逆アングルで速弾きを聴かせるとギター・ファンの熱量がグッと上がる のがわかる。アウトロではディレイを効かせて弾き倒す圧巻のニール節で締めてみせた。「アスク・ザ・ロンリー」ではカッティングやオクターブ奏法でのリズ ム・ソロなど、また違った職人技を披露。同時代のスター、スティーヴ・ルカサーが見せるそれよりもロック臭、ブルース臭が漂うガッツ感がニールの魅力だな と再確認。 4曲目は名バラード「クライング・ナウ」。全員で取るコーラスワークは絶品で、それを引き継ぐソロがまた美しい。ジョナサンが12弦ギターを 手にした「オンリー・ザ・ヤング」ではノン・ピッキングでのハンマリング・オン&プリング・オフ・プレイが素晴らしかった。同曲後にはニールがひとり残っ てのソロ・タイム。タッピングから入って、アーミング、コード弾き、リードと繋ぎ、アルペジオでの下降など、さまざまな手法を凝らしながらのメロディ感を 忘れないあたりがニールらしいところ。サイズ感もちょうど良かったように思う。
 ディーン・カストロノヴォ(d)の意外な美声(!)で届けられた 「キープ・オン・ランニン」などを挟み、9曲目は日本での人気も高いバラード「時への誓い」。イントロのピアノから武道館が“Oh〜”の大合唱でひとつに なっていく様に鳥肌立ちっぱなし。70年代の名曲「ライツ」でニールはオレンジ色のストラトに持ち替えて、優しくブルージィなリフを奏でる。続けてギルド のアコギを手にしてアーネルとのデュオで「ステイ・ア・ホワイル」。和のしらべも織りまぜてくれたジョナサンのピアノ・ソロから『海猿』主題歌でお馴染み の「オープン・アームズ」へと流れる絶妙の展開。オリジナルにはないギター・ソロも加えられており、ここで涙したファンも多かったはず。
 後半で はニールがPRSのシングルカッタウェイに持ち替えた「エスケイプ」、ワウ・プレイが聴けた「デッド・オア・アライヴ」などをへて再びニールのソロ・タイ ム。今度はフィンガーピッキング、シタール・サウンドなど趣向の違うスタイルで魅了してくれる。ジョナサンがテレ・タイプで加わりハープのソロを聴かせた 「ホイール・イン・ザ・スカイ」と続く。そして、アーネルの表情が一瞬引き締まり、“地震と津波で被害に遭った人々へ捧げる”という主旨の短いMCの直 後、「ドント・ストップ・ビリーヴィン」の始まりを告げるピアノのフレーズ! 武道館にいた人の8割の涙腺は決壊したと断言できる(笑)。多くを語らず曲 が宿す力にすべてを託して声を張り上げるアーネル。グッと力を溜めて未来を切り拓くようなリード・トーンでフレーズを上昇させたニール。この日、この瞬間 にしか訪れないすごい瞬間だった。
 アンコールは「トゥ・ユアセルフ」。西海岸のバンドらしい爽快さを残して彼らは次の街へと向かっていった。終 演後、照明が明るくなると、オールドファンに混じって若い世代が意外と多いことに気づく。完全に“復活”を果たしたジャーニーは、こうして世代の壁を超え ながら愛されていくのだろう。なお、この日のライブの模様はWOWWOWで生中継されたほか、全国の映画館でもライブビューで楽しむことができた。その中 でも東北3県(岩手、宮城、福島)4会場は無料、同地域のテレビ局への無償提供によって、地上波での放送も行なわれたことを付け加えておきたい。

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SET LIST
1. SEPARATE WAYS
2. ANY WAY YOU WANT IT
3. ASK THE LONELY
4. WHO’S CRYIN NOW
5. ONLY THE YOUNG
6. STONE IN LOVE
7. KEEP ON RUNNIN’
8. EDGE OF THE BLADE
9. FAITHFULLY
10. LIGHTS
11. STAY AWHILE
12. OPEN ARMS
13. JUST THE SAME WAY
14. ESCAPE
15. DEAD OR ALIVE
16. WHEEL IN THE SKY
17. DON’T STOP BELIEVIN’
ENCORE
19. BE GOOD TO YOURSELF

ニール・ショーン特集掲載号 ギター・マガジン4月号

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