【ライブ・レポート】”吉田拓郎 LIVE 2012″  11月6日@NHKホール

ライブ/イベントレポート by 編集部 2012年11月28日

体調不良のため途中で中止となった”最後の全国ツアー”から約3年、吉田拓郎が帰ってきた。6月には新作『午後の天気』を発表し、10月から首都圏4箇所のみを回るツアーを敢行。全公演を無事に勤め上げて、健在ぶりを見せつけた。ここでは、最終日となる11月6日、NHKホール公演の模様をレポートする。

開演前、超満員の会場のあちこちから”タクロー!”の大きな声援が上がる。それを受けてギター1本抱えて舞台に上がった拓郎がいきなり歌い始めたのは「エマニエル夫人」のテーマだった。しかもハミング。これで確実に”つかんだ”あと、「ロンリー・ストリート・カフェ」を弾き語り、一気に自分の世界に引きずり込む。声はばっちり出ていた。

そしてバンドが加わり、お馴染みのイントロが始まった。代表曲の「落陽」である。これで会場が一斉に総立ちになったのはびっくりしたが、ファンはまさにこれを待っていたということだろう。その後、近年のアルバムからの曲も取り混ぜながら、テンポ良く歌い続けていく。

途中挟まれるMCも絶好調。目の前の”高齢化”したファンをいじり倒し、時には自虐ネタも交えながら笑いをとる。この世代のミュージシャンは一種の”罵倒芸”のようなものを身につけていると感じることがあるが、拓郎もその例に漏れないのだった。昔はどこの町にもいた、口やかましい、でも愛される近所のオヤジ、そんな調子だ。今回の首都圏ツアーに関しては”4回ぐらいがちょうどいい。気が楽だ”と語っていたが、その言葉の裏にはステージで演奏できる喜びがありありと見て取れた。

後半、「伽草子」、「流星」、「春だったね」など往年のファンにはたまらない曲が続き、コンサートはクライマックスへ。拓郎は体を躍動させながらギターを弾き、歌っていた。ほぼ1曲ごとにギターを換えているのが印象的だった。バックを固めるのは、鳥山雄司(g)、武部聡志(k)、松原秀樹(b)など錚々たる名手ぞろい。演奏にも熱が入っていく。鳥山雄司は愛器のジェイムス・タイラーを駆使して、正確かつ流麗なプレイを連発。しかも、昔の曲ではリリース時の雰囲気を大事にしたオールドタイミーな味わいも加えるのだった。もうひとりのギタリスト、渡辺格は知る人ぞ知るベテラン・ミュージシャンで、その昔、拓郎の『元気です』をコピーして育ったという経歴を持つ。あこがれのアーティストのサポートを務めるのは望外の喜びだっただろう。「伽草子」その他ではペダル・スティールも披露して、まさにあの時代の拓郎が持つフォーキーな魅力をくっきりと浮き立たせていた。

メロディックな「純情」をもって本編は終了。しかし、大きな拍手に引き戻されてアンコールを2曲披露した。ラストの「外は白い雪の夜」は、変わらぬ吉田拓郎の魅力をすべて詰め込んだ荘厳なワルツ。しんみりとそして力強く歌われるこの曲を聴きながら、ファンの頭の中には、おのれの人生が走馬燈のように駆けめぐっていたことだろう。渡辺のペダル・スティールが暖かく鳴り響いていたのが印象的だった。すべてを終えて、床にギターを置き、ファンに深々と頭を下げる拓郎。大きく手を振り、喜びと感激でくしゃくしゃにしたその顔には”元気です”と書いてあった。

 

SETLIST
1.ロンリー・ストリート・カフェ
2.落陽
3.こうき心
4.僕の道
5.白夜
6.家へ帰ろう
7.ウインブルドンの夢
8.Voice
9.白いレースの日傘
10.虹の魚
11.ふゆがきた
12.慕情
13.歩こうね
14.花の店
15.伽草子 
16.流星
17.全部だきしめて
18.春だったね
19.僕達はそうやって生きてきた
20.純情
ENCORE
21.リンゴ
22.外は白い雪の夜

『午後の天気』
エイベックス AVCD-38488

『吉田拓郎LIVE2012』
■LIVE DVD+LIVE CD(2枚組予定)+フォトブック(40P予定)
エイベックス AVBD-92007/B~C

【吉田拓郎オフィシャル・サイト】

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