山内雄喜×内田勘太郎 マエストロの異色ジョイント 9/17(月)@青山CAY

ライブ/イベントレポート by 編集部 2012年9月21日

先日,なかなか観られないであろう珍しいジョイント・ライブが実現されたのでここにご紹介しておこう。

まずは出演となったふたりについて,あまりに活動ジャンルが違うのでそれぞれ軽いプロフィールを添えておきたい。

山内雄喜は1970年代に本場ハワイへ赴き,ハワイアンの巨匠レイ・カーネに師事,そこでスラック・キー・ギターを修得したギタリストだ。帰国後は音楽活動の他,国内におけるハワイアン・ミュージックの権威として影響力を持ち,さまざまな刊行物もリリース。近年では超売れっ子セッション・ミュージシャン,高田漣が師事したことでも知られる大家だ。

一方の内田勘太郎は日本で最も成功したブルース・バンドであろう”憂歌団”にて,その天才的なギター・プレイで名を轟かせた名手中の名手。近年はソロ活動に専念し,キレ味の鋭い演奏(スライド・プレイは絶品!)に加え,味わい深いボーカルを全国に届け続けている。

……というように,ハワイアンとブルースで名を上げた名手ふたりだが,音楽的接点は少なく,互いに名前こそ知れどこれまで面識はなかったという。そこに会場となった青山CAYの店主,森川俊二さんが”スライド・ギターの名手”という共通点に目をつけ,両者に提案したことにより実現したのがこのライブだ。

 

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ライブは双方のソロ・ステージを経たあと,最後にセッションを行なうという構成。まずは山内雄喜。”僕は勘太郎ちゃんの前座だし,スラック・キーは聴いて眠くなるでしょう。僕も弾いてて眠くなるんです。だから,寝てもいいです”と,飄々としたMCで壇上に上がったが,そうは言ってもその個性的な楽器群が嫌でも目を引く。これは斬新なデザインで孤高の評価を得るギター製作家,SHIMO GUITARSの手になる3ネックのギターとラップ・スティール。後者はハワイアンでは珍しいものではないが,3ネックのアコースティックは筆者も初めて拝見した。上からナイロン,スティール(12弦),スティール(6弦)とそれぞれ違い,チューニングもそれぞれ異なるものに設定されているとのこと。これでトラディショナルなハワイアンを披露してくれたが,シンプルな構成の楽曲ではパートごとにネックを変え,表情豊かなサウンドを生み出していた。3ネックはまだ届いたばかりだそうで操作の覚束ない瞬間もあったが,これもアロハなハワイアンではご愛嬌。むしろそこを味として聴かせるステージ作りに音楽家の深みを感じた。

 

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お次の内田勘太郎は,先刻のたゆたうような音世界とはある意味対照的なプレイで幕開け。うなるようなスライド・プレイで切り裂いたかと思えば,カントリー・ブルース調に料理した憂歌団「おそうじオバチャン」ではイナタい節まわしで和ませてくれた。ブルース・ギターの名人として知られる人だが,音楽的なバックグラウンドは決してブルース一辺倒というわけではなく,ロック/ポップスや民族音楽にも造詣を持つ。ライブ中ではロネッツ「ビー・マイ・ベイビー」の美しいギター・インストを披露していたのも印象的だった。

 

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そしてライブ最後に行なわれたセッション。内田勘太郎のオリジナルにして,ソロにおける代表曲美(ちゅ)らふくぎの林から」,ハワイアンの鉄板スタンダード「スリープウォーク」などが演奏された。どうなるものか想像がつかなかったこのセッションだが,いざ観てみるとやはり面白い(MCも絶妙!)。内田勘太郎のドライブ感と,山内雄喜のユーモラスなフレーズの掛け合い,それは今まで聴いたことのないなんとも言えないグルーブ感を生み出していた。

今回ひょんなきっかけから始まったこのジョイント・ライブだが,ふたりが継続的にライブを行なうかどうかは今のところ未定。が,青山CAYでは引き続き面白いジョイントを企画していきたいとのことだ。前々からアコースティック音楽を中心にコア受けする企画を行なってきた同店だけに,今後の展開にさらなる期待を寄せていきたい。

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