【ライブ・レポート】石毛輝

ライブ/イベントレポート by 編集部 2012年7月14日

the telephonesのフロントマンである石毛輝が、5月にリリースした2ndソロ・アルバム『My Melody』を引っさげて東名阪ツアーを実施した。そのファイナルである渋谷WWW公演の模様をお届けしよう。

2012年7月9日@渋谷WWW

音楽の自由が溢れた空間。the tlephones石毛輝2ndソロルバム『My Melody』発売記念ツアー・ファイナル

 

会場に詰めかけたthe telephonesファンと思しきオーディエンスも、この日はリラックスモード。女性同士はもちろん、カップルもちらほら。ステージ上には所狭しと機材が並ぶ。

そんな中、石毛を筆頭に、mouse on the keysの川崎昭(d)、ZAZEN BOYSの吉田一郎(b)、そしてthe telephonesのノブこと岡本伸明(k、g)が登場する。石毛がシーケンスを走らせ、ノブとシンセを連弾するイントロダクションから怒涛の人力ブレイクビーツに突入した1曲目は「The New Year Song」。音源では宅録やフィールドレコーディングを中心にした音作りが圧倒的にフィジカルに響き渡った。

続く「Fireworks」では手作り風の線画の映像が2台のモニターに映し出され、どこかほのぼのとした味わいも。「Flowers On The Wall」では石毛とノブがエレピとギターを途中で交替するなど、あくまで自由なセッションの進化形を展開。吉田も含めたコーラスワークと森を思わせるライティングは石毛流「少年時代」か。

 

次のブロックの前に、このツアーをとても楽しんでいること、それは自分以外の3人がいるおかげとメンバー紹介。そして”皆さんは皆既月食見ましたか?”と、エキゾティックなシーケンスが印象的な「Lunar Eclipse」へ続く。吉田のベースが生む太いグルーヴ、石毛は一部、ボーカルをiPadにあらかじめプログラムした自分の声のサンプルを弾きながら、ダブル・ボーカルを聴かせる場面も。

川崎の小さな民族楽器や石毛の鳥笛がユニークなイメージを醸す「Machu Pichu」は、しかし途中からノブのピアノ叩き弾きで熱を帯びた展開に。音源での繊細さが随所に生かされたこのブロックでは鳥を呼ぶ笛の音に導かれ、チェンバーロック的な「Through Dark Night」や、実は音数そのものは少なく、演奏の抜き差しでダイナミズムが形成されていることが手に取るようにわかる「Memory Of Eternity」などに、バンドセットでの柔らかな表現を実感。以前からセッションしていたとはいえ、3本のライブでこの呼吸!

ファイナルだけで披露された「My Love」では石毛が思う存分、ギター・ソロを弾き、先ほどまでの素朴な楽団が一転、ハードロックバンドに見えるほどだった。また、「Untitled」では生まれたての感情が声になりオーディエンスのハンズクラップも相まって、まっさらな音楽の渦中にいる心地を存分に体感できた。

“今日来てくれたみんなありがとう。もちろんテレフォンズは日本一、え?宇宙一? じゃ、宇宙一カッコいいバンドだけど、10代の時、アイスランドの音楽が大好きで、ずっとこういう音楽もやってみたかったし、こうやってやれてよかったです”と満面の笑みを浮かべる石毛。彼なりに自然を表現したという「Mount Tsukuba」を紹介し、”頂上が見えたと思ったらみんな、手を上げて!そうしたらシェアしたことになるから”と始まった演奏は、力強く前進するリズム、凛とした響きの鉄琴のサウンドも相まって壮大かつ開放的にピークを迎えた。

本篇ラスト2曲を告げられ、物足りなそうな客席を鼓舞するように石毛バンド流のダンス・ロックにアレンジされた「Red Cat」で自然にフロアは熱くなり、ラストは「My Hometown」。”最後の1曲は僕の地元、北浦和を思い浮かべ、そして昔、僕らのHPとかを作ってくれた友達が天国で作ってくれた曲でもあります”との曲紹介が、聴き手それぞれの心に友人と遊んだ街や、一緒に歩いた景色などを想起させたのではないだろうか。メロディオンの音色も相まって、壮絶にぶっといアンサンブルなのにどこか温かな感触を残す演奏に惜しみない拍手が起こった。

 

すっかりこのバンドに魅了されたフロアから自然にアンコールが起こると、ダブルピースで石毛が再登場。”今日、こうしてこの時代に音を聴きに来てくれて本当に嬉しい”と感謝を述べ、”2曲ほどひとりでやります”と演奏された「My Sweet Cat」は公園のざわめきや水滴、ガラスが割れる音なども交えて、素の石毛輝が見えるボーカルを披露。

続いては大阪の大好きなレコード店に贈る「I Wanna Go To Flake」を。そこへメンバーも加わり、何故かノブの一言から吉田との即興ラップ&ビートボックスが始まってしまい、しばし爆笑ファンク・モードに。音楽で喋るメンバー同士の日常を見るようで存分に楽しませてもらったあとは、スタッフ、オーディエンスへの感謝の気持ちを込めて、「K.E」と題された透明な轟音が清々しいナンバーで、会場を見えない渦に巻き込んで終演。

the telephonesでもおなじみの写真撮影もばっちり決め、多幸感と達成感を満面に湛えて、4人はステージを後にした。

石毛の脳内世界から生まれたプライベートな世界観が、この日、柔らかで力強いサウンドスケープへとこの場にいる全員で増幅、シェアされたこと、そのものが音楽の可能性に満ちていた。

 

the telephones公式サイト◎http://thetelephones.net/

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