ラム・オブ・ゴッド&ソニック ライブ・レポート 2012年2月22日・渋谷O-EAST

ライブ/イベントレポート by 編集部 2012年3月5日

最新作『レゾリューション』にともなうラム・オブ・ゴッドの日本公演をレポート!

先日、新木場スタジオコーストで行なわれたオーペスのコンサートもそうだったが、自分が今年観たメタル系ライブの観客動員は、どれも上々である。もちろん”すべての公演が……”というわけにはいかないだろうが、オーペスにしても、ここでレポートするラム・オブ・ゴッドにしても、大型のクラブハウスが満員状態。ラム・オブ・ゴッドに関しては当日券もソールドアウトし、開場前にはチケットの買えなかったファンの姿も多々見られたくらいだ。

そんな大盛況となったラム・オブ・ゴットの日本ツアーだが、この集客に大きく貢献しているのが、オープニング・アクトとして帯同している台湾のシンフォニック・エクストリーム・メタル・バンド、ソニックの存在だ。美形女流ベーシスト=ドリスの知名度が先行していた時期もあったが、ラウドパーク10での好演や近年作の質の高さから、バンド全体としての人気/認知度も上がっている。

最新作となるのが、第二次大戦時、台湾の山部出身者で編成された日本軍の軍属部隊”高砂義勇隊”をモチーフとした、その名も『タカサゴ・アーミー』(11年)。バックドロップにはバンド・ロゴとともに”高砂軍”と漢字で(彼らも漢字圏なので当然だが)書かれており、CDでの勇猛なサウンドとかけ合わせ眺めていると、自然と気持ちが高揚してくる。それは渋谷に集まったファンも同じようで、開演前から満員ということもあり、バンド登場時にはすでに大きな熱気がフロア中に充満していた。

▲フレディ(vo)と、印象的なバックドロップ

 

ステージ1曲目は『ミラー・オブ・リトリビューション』(09年)より「Forty-Nine-Theurgy Chains」だ。初っぱなのアンサンブルを聴いて瞬時に思ったのは、”音圧スゴ!”というもの。……ただ、ちょっとその音圧の内訳を言うと、ベースの音がイヤに大きく、またブーミーな音色のベース・ドラムも存在感大で、ギターの細かいオブリなどはかなり聴きづらかった場面も(ちなみに下手で鑑賞)。それでもバンドのまとまりがいいのは十分に感じられ、「Oceanquake」、「MAHAKALA」、「Southern Cross」、「Broken Jade」、「Quell The Souls In Sing Ling Temple」と、『タカサゴ・アーミー』からのナンバーを連発。激しい曲調が途切れることなく続いたこともあり、ファンの反応もそれに合わせどんどんと上がっていく。

 

▲LEDを埋め込んだ最新ベースをプレイするドリス(b)

 

▲ジェシーのギター・サウンドが聴きづらかったのが、残念!

 

ソニックの曲は、台湾出身というアイデンティティを大きく含んでおり、歌詞の面はもちろん、音楽的にも非常に個性的だ。そのパッと聴いただけで”アジア・テイストがあるな”と感じさせるメロディを、ブラック・メタル・スタイルにうまく融合させているのが、何よりも彼らのスゴいところと言えるだろう。例えば日本のバンドが”和テイストを出す”ために平調子を使った曲を作るとしても、こう何曲もうまくいくものではないと思う。メタルでのスタンダードなアプローチと音楽的個性の調和という点で、かなり参考にできる点があるのではないだろうか。

 

▲着用するマスクがバンドの妖しい雰囲気を増幅させるダニ(d)とC.J(k)

 

音のバランスはそのままなれど、ラスト・ソング「Takao」までの40分ショーの勢いは上り調子まま、喝采を受けながらソニックはステージを降りた。次回はぜひ、もうひと周り長いセットを見て観てみたいものである……いいPAとともに(笑)!

 

 

終演後も続いたソニック・コールも、新たしいバックドロップが掲げられたのちは、すぐさまラム・オブ・ゴッド・コールに変わる。いよいよ真打ちの登場だ。

彼らも本年初頭に新作『レゾリューション』をリリースしたばかり。本国でのナショナル・チャートで3位を獲得するなど、アメリカン・メタル・バンドとしてはトップ集団にいる存在。これまでクアトロや赤坂ブリッツと順調に日本公演での会場を大きくしていった彼らだが、今回のO-EASTでももう収まらない、今最もヘヴィ・ファンを集客する海外バンドと言えるのではなかろうか。

 

▲ウィル・アドラー

 

新作『レゾリューション』の1曲目「ストレイト・フォー・ザ・サン」は普段以上にチューニングを落としたスロー・デス・スタイルで、”きっと今回のショーも(イントロSEとしても含め)それで幕開けだな……”と思っていたところ、同曲のラスト、ドラムの乱打から始まる「デソレイション」でスタートとなった。トレモロ・リフと4分のスネアが高揚感を煽る本曲は、ファンの熱気を急上昇させるに十分な勢いとパワーを持っている。アルバムと同様の流れでプレイされた2曲目「ゴースト・ウォーキング」に続いては、バンド史上最もキャッチーなテーマ・メロディを持つ「ウォーク・ウィズ・ミー・イン・ヘル」。本曲に限らずどのナンバーにも言えることだが、ウィル・アドラー、マーク・モートンのツイン・ギターは本当に鉄壁である。スライドを絡めた横移動の大きいリフが多いが、速いテンポであろうとタメのあるリズミックなリックであろうと、まったくもって乱れることなくシンクロしていく。日々の練習に加え、デビュー以来変わらぬメンバーで続けてきたことでの絶妙な呼吸が、このプレイを生み出すのだ!

 

▲ウィルとマーク・モートン

 

運指という点で言うと、マークのリードも特筆的。彼はブルース・フィールの強いプレイも得意とするだけあり、リニアな動き……よりも、ボックスでのフレージングをおもとしている。超高速的なスタイルではないが、その分メロディの起伏は大きく、またひとつひとつの音がきれいに発音され、非常にコマーシャルなリードを聴かせてくれる。このあたり、ぜひ他のジャンルのファンにも注目してほしいギタリストだ(ウィルもいいんだけど!)。

 

▲マーク

 

ショーも中間を過ぎ、フロアはますます熱くなっていく。が、なにぶん超満員のため、オーディエンスが動くスペースも普段よりだいぶ限られているのだ。「コントラクター」ではウィルがステージ前方で”サークルを作れ!”と合図を送るものの、そのピットを作る余裕もあまりなく、すぐに人で埋まってしまう。これはある意味スゴい光景だった。

 

▲ウィルとジョン・キャンベル(b)

 

本日イチのファニーなトピックが起こったのは、「ライド・トゥ・レスト」でのこと。冒頭のブレイクのあと、演奏が止まったのだ。そして続いて……なんと、ケーキが運び込まれた。そう、東京公演の前日が誕生日だったランディ・ブレイズ(vo)のためのバースディ・ケーキだ。ポップスなどではよく見るシーンではあるものの、この手のジャンルでは珍しいと言えるほほえましいひとコマである(笑)。

 

▲ランディ・ブレイズ(vo)とウィル

 

改めて「ライド・トゥ・レスト」が演奏されたのちバンドは一度引き下がり、アンコールとして改めて登場したバンドは「イン・ユア・ワーズ」、「レッドネック」、「ブラック・レーベル」というシンガロング系の人気ナンバー3曲を披露。「レッドネック」ではついに大きなWOD&サークルも出現し、その勢いのままラストの「ブラック・レーベル」まで会場は大きくうごめき続けたのだった。

彼らの人気はここ日本もアメリカの状況に近づきつつあり、冒頭にも言ったように、会場のサイズはどんどん大きくなっている。今回の渋谷O-EASTでもキツキツとなると、次に彼らのステージを見る時は果たしてどの会場なのだろうかと、期待と想像で胸がホクホクしてきてしまう。次の日本公演がいつになるのかはわからないが、次回も大いに期待大である!

 

 

Photo:Masayuki Noda(LAMB OF GOD)、Takumi Nakajima(CHTHONIC)

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