【ライブ・レポート】カウチ(COUCH)〜ファンキー&メロウなロック・トリオ、久々のレコ発ライブ

ライブ/イベントレポート by 編集部 2011年11月4日

2011年10月20日@渋谷gee-ge

元benzoの平泉光司率いる、ファンキーでメロウで、アコースティカル、しかしロックなトリオ、カウチが7年振り(!)の3rdアルバム『恋が焦がす温度』を発表。渋谷のライブ・スペースgee-geで行なわれたレコ発ライブをレポートしよう。

ギタリストとして傑出した才

“平成のシュガー・ベイブ”と謳われたbenzoの解散後、フロントマン平泉光司が弾き語りなどの活動を経てスタートしたのが、シアターブルックやblues.the-butcher-590213などで活動するベーシスト=中條卓と、オリジナル・ラヴやゆずなどのサポートで知られるドラマー=小島徹也とのトリオ、カウチだ(当初は「平泉コージ& THE 東京」というユニット名だった)。

▲平泉光司(vo,g)

まず先に宣言しておくと、平泉光司は、Charや布袋寅泰らと並び称されるべきギタリストだ。フェンダー・ジャパンのストラトキャスターを持つその飄々とした佇まいにダマされて(?)はいけない。ソウルフルでメロウ、実声からファルセットへと切れ目なく伸びる歌声やコンポーズ能力は、確かに彼の大いなる素養になっている山下達郎を引き合いに出されることが多いが、ギターだけを取り出して見れば、こちらもよく言われるデヴィッドT.ウォーカーやコーネル・デュプリーというよりも、名手大村憲司あたりが透けて見えてくる。そして平泉を個性溢れるアーティストたらしめるのが、大村憲司が全力で弾きながら山下達郎が全力で歌っている、それを一度にやってしまう点。

この日の模様はユーストリームでオンデマンド配信されているので、その映像(http://www.ustream.tv/channel/couch-tv-2011-10-20)を見るとよくわかるが、親指までうまく絡めたコードの積み方、そのプログレッションとカッティング・バリエーション、多くの場合フィンガーピッキングによるニュアンス・コントロール(「できることなら」のわずか8小節、弧を描くような美しいエンディング・ソロなど特に)、コードの変わり目、小節線の越え方(シンコペよりもクイ方)、どこを見ても、歌いながら弾くギターの限界を超えている。「センスがいい」なんて漠然と言われる所以がこの辺にあるのではないだろうか。

しかしステージに立つ平泉は実に等身大だ。「足が震えてる……」とか「(MCを)無理してもしょうがないんで、マイペースでいきます」とか、実に人間くさい。そんな直後に、胸の奥のひだに触れる歌とギターを聴かせてくれる、このギャップもいい。

根はロックな、不可分なアンサンブル

▲中條卓(b)と小島徹也(d)

鍵盤入りのアンサンブルだったbenzoよりも、トリオのカウチは音像こそすっきりしているが、ライブの現場においても厚みがある。音数の問題ではなく、この立体的なサウンド構築は、多くの場合、ギターのカウンターをとる中條の動きあるベースとのコンビネーションが大きいし、小島のドラムはグルーヴを牽引するにとどまらず、キックが歌に見事に寄り添う。根はロックな、不可分なアンサンブル。また、新作『恋が焦がす温度』にはラヴ・タンバリンズなどで活躍するパーカショニスト=平野栄二を、プレイヤー/エンジニアとして迎えたようで、平野はこのレコ発でも多くの曲をサポートした。平野はリズム方面だけでなく、色彩感を付与しているように見えた。

▲左から平野栄二(perc)、小島、中條

新作を聴くにつけ、平泉のメロディ・センスには唸るばかりだ。あらゆるメロディは音楽の源泉から使い尽くされ、借用の時代に入ったなんて言われることもしばしばだが、ここにあるメロディはとても新鮮で、一方で平泉らしい。

この日、(超)嬉しいサプライズだったbenzoの「Again」を含めると、彼の10年以上の道のりの記録が披露されたわけだが、新作も旧作も見事なまでに溶け込んでいる。それだけ早い時分に、平泉の個性が完成されていたということを改めて実感した。

ところでこの日、彼の足下でひと際輝いていたのは、長年使ってきた歪みの一番手、ホットケーキではなく、この日が初陣だったというフルトーンOCD。

“歪み方が今までよりも強いんで難しい部分もありますけど、楽しいですね。ボク、ギターとか機材も好きなんですよ”。

終演後、そうニヤッとする平泉は、確実にギター少年の顔をしていた。

▲平泉の足下。新兵器フルトーンOCDの他、デジタル・ディレイ、トレモロ、コンプレッサー、ブースター類が組まれている。

なお、11月20日(日)には平泉のソロ・ライブ(アコースティック)が、11月27日(日)にはカウチのライブが予定されている。詳しくはオフィシャルHP(http://rumblingonmymind.blogspot.com/)を。そして興味を持たれた方はぜひとも会場に足を運んでいただき、その生の歌声、ギター・プレイに圧倒されたい。

SET LISTS

【第1部】
01. お気をつけなさいって w.平野栄二(perc)
02. すべての光を w.平野
03. できることなら
04. 愛しき日々よ
05. 列車に乗った男
06. 月光
07. 奇跡

【第2部】
08. 風船 w.平野
09. 雨音に濡れ w.平野
10. Zone w.平野
11. 風邪をひいたからといって w. Sowan Song(vo&g) &平野
12. Again(benzo)
13. BLOW
14. プロペラ
15. Say Goodby
16. Powdery Snow
17. AWAKE

【ENCORE】
18. 胸の奥に w.平野
19. 恋が焦がす温度 w.平野
20. ちいさな星

ライブ情報

平泉光司アコースティック・ライブ

  • 日時:11月20日(日) open 19:00 / start 20:00
  • 会場:下北沢 lete(東京都世田谷区代沢5-33-3)

カウチ

  • 日時:11月27日(日) open 18:30 / start 19:00
  • 会場:下北沢 SEED SHIP(世田谷区代沢5-32-13 露崎商店ビル3階)

新作情報

カウチ『恋が焦がす温度』

関連リンク

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