Yosuke Onuma meets TASCAM “POCKET STUDIO” DP-008~小沼ようすけと音源制作にトライ!

特集 by 編集部 2011年8月1日

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タスカムから発売中のコンパクト・サイズの8トラック・マルチ・トラック・レコーダー,”DP-008″。多重録音からミックス,マスタリングまでの本格的なレコーディング機能をポータブルに使用できる,作曲をするギタリスト注目の逸品と言える。本誌読者にもお馴染みのジャズ・ギタリスト,小沼ようすけとともに,本機で音源制作にトライしてみよう!

8トラック・マルチ・トラック・レコーダー,”DP-008″とは?

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DP-008は,2トラック同時録音が可能な,合計8チャンネルのデジタル・マルチ・トラック・レコーダーである。かばんの中に入れて持ち歩けるコンパクトなサイズながら,録音からミックス,マスタリング,トラック編集といった音源制作に欠かせない機能を完備しているのが特徴だ。このようなコンパクト・サイズのデジタル機材は機動性に長ける反面,ひとつのスイッチが数種類の機能を受け持っていたりといった操作性の問題が出てくるもの。だが本機は内蔵エフェクトなどのマルチ機能を省き(リバーブ,EQは内蔵),多重録音機器としての機能に特化することによりシンプルな操作性を実現した。アナログ機材ゆずりの”つまみ”を積極的に採用することで,パンやリバーブなどの細かな調整も直感的かつ簡単に行なえる。

また,録音はラインだけでなく,内蔵された無指向性ステレオマイクでも可能。マイクの音質はタスカムならではのクオリティで,非常にナチュラルに拾ってくれる。ちなみにインプットはA/Bの2系統が使用でき,それぞれにXLR(ファンタム電源対応)と標準フォンという2種類の端子が用意されている。

録音した音源はUSBを通じてパソコンへのインポート/エクスポートが可能だ。トラックをバックアップしたり,外部音源を編集したり,さまざまな用途で使えるだろう。

本格的な音源制作ツールを,コンパクトなサイズで実現したDP-008。モデル名に冠された”POCKET STUDIO”という愛称がまさにピッタリの一台だ。

Yosuke Onuma’s Impression

第一印象

MTRはもう10年以上使ってないんですよ。当時はカセットMTRでした。このマシンには,つまみがいっぱいあって当時の懐かしい感触がありますね。けど少し触ってみるといろんな機能があって,”あ,やっぱ現代の機材なんだな”って。古い機材のいいところをチョイスした最新機種って感じがしますね。もちろんデジタルの機材だけど,コンセプトは完璧にアナログなんだと思います。

操作性

パンとリバーブとボリュームのつまみが付いてる。これはうれしいですね。重ね録りする時,この3つって”瞬時に”いじりたいところなんですよ。その3つがとりあえず付いてるだけで親しみやすいというか,操作は難しそうだと思わない。今回も何分かいじっただけで,すぐに操作には慣れちゃいましたね。

あと,僕はつまみが大好きだから,この外観は好きですね。つまみって一番操作しやすいんですよ。デジタル機材みたいに画面上でカーソル動かして操作するってのは,慣れている人じゃないとなかなか難しい。僕を含め,機械音痴の人にはぜひこれをお薦めしたいですね。

音質

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▲リバーブのパターンはHall1,2,Room,Studio,Plate1,2の計6パターン。液晶上のつまみでタイムとレベルを調節が可能だ。

内蔵マイク

内蔵マイクの音質,いいですね! すごいナチュラルで,変にハイファイじゃないところがいい。アコギで録った時にスキャットしてみたり,ボディをパーカッション的に叩いたりしてみたけど,きれいに拾ってくれてます。

エフェクト

リバーブのクオリティもナチュラルでいいんじゃないですか。ギターの音をそのまま包み込んでくれる。まろやかさがあります。EQはアンプとかでよく見るミドル,ロー,ハイっていう3つの選択肢じゃなくて,自分が調整したいところをピンポイントで指定できるようになっていて,より自分の好みのイコライジングができそうですね。

歪みとか,フィルター系とかの内蔵エフェクトがないのも僕にはそれほど問題ないですね。そういうところだけに力が入ってないのがいいじゃないですか。タスカムって,モデリング・エフェクトっていうよりは,音質のクオリティとかが得意分野な気がするし,外の分野まで手を伸ばしてない精神が僕は好きですね。

録音/ミックス

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▲マスタリング前に,ステレオマスタートラックの範囲を”IN/OUT”ボタンで設定する。写真はOUTポイントの設定完了画面。ここがマスタリングの終了点となる。

ギターを6本重ねてみたんですけど,おもしろいほどスムーズにできますね。ミックスも録音から自然な流れでできちゃいます。これもつまみのおかげですね。感覚的にできるんで,これだとミックスもより楽しいです。簡単にパンを振っていくだけでもものすごくステレオ感が出て,作品っぽくなりますよ。いや〜,楽しいですね,これは(笑)。この機械ってアナログ感をすごく大事にしているから,録音するのが楽しいんですよ。カセットMTRを使っていた時に”さあ,録るか!”って意気込んでガチャってボタン押す……みたいな感覚で,リアルに作品を制作している実感があります。

あと,2トラックまで同時録音できるから,ふたりのセッションを別チャンネルで録音すれば,その音源をミックスすることもできますよね。これは今回できなかったけど,やったらすごく楽しいと思います。

マスタリング

なんかカッコいいですね,マスタリングまでできると(笑)。なんとなく定位がすっきりしたように聴こえますね。これでもう,ダウンロード販売しようかな(笑)。今回作ったのは1分ぐらいの曲ですけど,1曲作るまでにものの40分ぐらいでできちゃいました。

音楽作りって,プレイヤーが曲を録るだけじゃなくて,エンジニアさんのミックス,マスタリングを経て初めて世に出せるじゃないですか。この機械ならその全行程をシミュレーションできる。基本的にね,プレイヤーは弾くだけでいいと思うけど,ミックスとマスタリングの知識をちょっとでもかじっておくと,エンジニアさんとも高い次元で話ができると思いますね。

総評

かなり専門的な領域で,しかも手軽にレコーディングからマスタリングまでができる。あと曲のコピー/ペーストとかパンチ・インとかの編集もできちゃうんですよね。もうレコーディングに必要なものは最低限入ってますね。メトロノームとチューナーも付いてるし。内蔵エフェクトとかリズム・マシンがないだけに,音質とか操作性が素晴らしくて,潔いMTRだと思います。

もし僕がこれを持ってたら,旅に持って行くかもしれないですね。持ち運び便利だし,しかもこれ乾電池駆動ですよね。どこでもバッテリーは替えられちゃう。旅はインスピレーションの場でもあるし,その場その場で録音すれば,聴くたびにこの場所はどうだったとか,そういう思い出を作るのにもいいですし。内蔵マイクで,その場所の環境の音をバックにアコギでも弾けば最高じゃないですか。

小沼ようすけ

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おぬま・ようすけ: 99年,ギブソンのジャズ・ギター・コンテストで優勝して話題に。01年に『nu jazz』でプロ・デビュー。06年より湘南の海辺に居を映し,サーフィンをしながらグルーヴにあふれる独自のジャズを探求している。最新作は6月にリリースされた金子雄太(k)大槻”KALTA”英宣(d)とのオルガン・ジャズ・トリオ,AQUAPITの新作『AQUAPIT』。

http://www.yosukeonuma.com/

TASCAM ”POCKET STUDIO”DP-008

 

110728-tascam-gm8-5.jpg価格:オープンプライス(市場実勢価格:33,000円前後)

 

DP-008の製品紹介を見る(TASCAM):http://tascam.jp/product/dp-008/

 

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SPECIFICATIONS

●記録メディア:SDメモリーカード(512MB〜2GB),SDHCメモリーカード(4GB〜32GB)●録音/再生チャンネル数:最大同時録音2,最大同時再生8●サンプリング周波数:44.1kHz●量子化ビット数:16ビット●マイク:無指向性,ステレオ●入出力端子:インプット×4(標準ホンジャック端子×2,XLR端子×2),フットスイッチ,ライン・アウト(RCAピンジャック),3.5mmステレオミニホンジャック,USB●寸法:221(W)×126.5(D)×36(H)mm●電源:単3電池4本,ACアダプター(PS-P520,別売)●重量:610g●付属品:USBケーブル,SDメモリーカード(2GB,本体に装着済み),単3アルカリ乾電池(4本)

お問い合わせ

タスカム・カスタマー・サポート:0120-152-854
http://tascam.jp/

110728-tascam-gm.jpgギター・マガジン 2011年8月号

定価:800円
発売日:2011.7.13

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