【ライブ・レポート】ムック

ライブ/イベントレポート by 編集部 2011年6月8日

 昨年10月に通算10作目となる『カルマ』をリリースしたムック。同月の雨の日比谷野外大音楽堂からスタートした全国ツアー、今年1月からのヨーロッパ・ツアー、4月のアジア・ツアーを経て、ツアー・ファイナルを5月21日に日本武道館で迎えた。

2011年5月21日@日本武道館

予定開演時刻を15分過ぎた頃、客電が落ち、ステージ背面のビジョンに”WELCOME TO THE PARTY”の文字が映し出され、エレクトロ/ハウスなSEが流される。さまざまな国の言語で”ようこそ”を表わす文字が次々と表示され、ドラムセットとマイク以外が置かれていないシンプルなステージにメンバーが登場。エレクトロなシンセと重たいベース・ラインが鳴り響き、ダンス・メタルとでも表現したい「フォーリングダウン」がオープニング・ナンバーとして演奏される。イントロから逹瑯(vo)、ミヤ(g)、YUKKE(b)がステージ前方へと飛び出したり、ミヤとYUKKEが左右の立ち位置を入れ換えたりと、のっけからアグレッシブなステージング。ミヤはステージ左右に伸びた張り出しに移動し、さりげない速弾きも交えたギター・ソロを笑顔で決める。

アルバム同様間髪入れずにつながった「零色」では、ギター・ソロ時に逹瑯がテルミンを持ち出してステージ・センターでミヤと絡み、ノイズ系のソロを盛り上げる。ミヤの単音リフからミディアムの激重リフへと流れる「塗りつぶすなら臙脂」、シンセを大胆に導入しつつ重厚なダンス・ヘヴィロックへと仕上げた「ケミカルパレードブルーデイ」でもミヤはステージ・センターでギター・ソロを披露。以前はあまりギター・ソロに興味がなかったという彼も、ここ数年でソロがすっかりと板についてきた。

ディストーションのかかったYUKKEのアップライト・ベース・リフにミヤが単音でからんでいく「ファズ」で会場が縦に揺れたあと、ホーン・セクションの導入とジャズ/ファンクな雰囲気が『カルマ』でも異彩を放っていた「サーカス」に。ここではミヤは、ワウを絡めたファンキーなカッティングをシャープに聴かせる。再びYUKKEがアップライト・ベースを持ち、ジャジィなピアノを中心にしたアンサンブルが展開される初英語詞曲「堕落」ではクリーンのアルペジオを中心にプレイ。ボーカル・メロディの合間にコール・アンド・レスポンスのように入れるオブリも気持ちいい。徐々に熱を高めていく曲後半では、激しく頭を振りながらトレモロ・ピッキングで盛り上げていく。

ジャジィに染まった会場の空気に泣き”のギター・メロディがエモーショナルに鳴り響き、直後メタルなギター・リフにスイッチする「アゲハ」、インディーズ時代のデモテープに収録された楽曲で、怪しいクリーン・アルペジオが奏でられた瞬間に歓声が上がった「恋人」と流れて、「アイアムコンピュータ」。緑、赤、青のレーザービームが会場を飛び交う中、ミヤはAメロでは定位置で微動だにせず打ち込みギターのような音色でのリフを奏でるが、そこから一転、サビではYUKKEとともにドラム台に向き合いながら爆発的に暴れ出す。ステージ・センターの定位置からまったく動かずに淡々と歌う逹瑯と、そのうしろで激しく演奏する楽器隊の対比もカッコ良い。

前曲から一転して、ストリングスの調べとフォークなメロディが人間味溢れるバラード「ポラリス」では、ハイ・ポジションとロー・ポジションを行き交いながら、楽曲のサポート役に徹したコード・バッキングを披露。ソロも、楽曲の中でそこにピークを持たせたものではなく、流れの中でゆったりとしたメロディをさりげなく奏で、グッと曲の深みが増していく。続く、ドラム前に灯火のように炎が灯された「断絶」では、ミヤのアルペジオに絡むYUKKEのメロディックなベースの上で逹瑯があまりにも悲しく感情的に歌い上げる。この曲ではオクターブ奏法によるソロがあったが、これが非常にエモーショナルで、ギターで歌っているかのようなニュアンスづけが見事だった。

歌謡曲的なメロディを中心にストリングスがメインのバッキングとなった「約束」を経て、それまでの”聴かせムード”から再びアグレッシブに攻撃開始。2ビートのパンク・チューン「夕紅」では、16ビートのミュート・カッティングや刻みでスピード感を演出したり、シンプルな中にも”おっ”と耳を引く部分を入れているのはさすがだ。イントロのドラム・ビートの上でミヤが右手のステージ張り出しへと出ていき、ミヤのリフと観客の”オイ!オイ!”でコール・アンド・レスポンスしたあと、場内の電気がすべて付きメロディック・パンク・チューン「名も無き夢」へ。曲中盤、ミヤがマイクに”騒がねぇでどうすんだよ!”と叫び、ソロでは目を見張るほどの速さでトレモロ・ピッキングをくり出す。

スピーディなリフが気持ちよく駆け抜けるメタル・チューン「咆哮」では短い中にも起承転結をつけた瞬発力のあるソロを叩きつけ、うねるような低音弦リフから会場全体が合唱する壮大なコーラス・パートへと展開する「ライオン」では、チョーキングによりドライブ感を演出しフル・ピッキングの速弾きが疾走するソロをステージ中央で決めて本篇は終了。大胆なエレクトロやメンバー以外の楽器の導入により、その変化/進化に賛否両論を生んだ『カルマ』だったが、こうしてライブで聴いてみると、やはりムックは生身のバンドであり、その芯の部分はまったく揺らいでいないということがわかるライブであった。

アンコール。YUKKEのスラップにコーラスでモジュレートされたコードが被さり「大嫌い」。ステージ後方のビジョンには”嫌い”"キライ”"きらい”"KIRAI”という文字が次々に映し出される。曲中、ステージ前方でベースを弾いていたYUKKEに背後から近づくミヤ。次の瞬間、YUKKEの首筋になぜかキス。客席から悲鳴が上がる中、何事もなかったかのようにカッティングを続けるミヤがクールだ(笑)。会場がヘッドバンギングの嵐となったメタル・ナンバー「蘭鋳」では、曲後半で、逹瑯の”全員座れー!”からSATOち(d)の4カウントから一気にジャンプして大盛り上がり。会場のテンションが頂点を迎える。

この日、最後に演奏されたのは、東日本大震災復興の願いを込めて制作された新曲「暁」。ミヤのクリーン・アルペジオとシンプルなリズム隊が、逹瑯の歌を丁寧に支える。シンプルに歌うギター・ソロでは気持ちの滲んだピッキング・ハーモニクスが切ない表情を演出。切なさと力強さの入り交じった楽曲を引き立てていた。

感動的な空気の中メンバーが退場すると、ステージが暗転。4つ打ちビートのSE「業」が流された。”Thank you”を始め、さまざまな感謝を表わす文字が次々に映し出され、最後に”ありがとう”が浮かび上がり、続けて、被災者へのメッセージがスクリーンに流された。

そして恒例の、今後の活動予定もスクリーン上で発表された。まずは、今秋、ソニー・ミュージック アソシエイテッドレコーズへ移籍し、シングルと “Chemical Parade” ツアーのライブDVDの発売が決定! さらに、ムックの日となる6月9日には、新木場スタジオ・コーストでのライブ”Maniac Parade 97〜11″が開催される。一連の発表のあと、最後に”明日もがんばるぞ!”(翌22日はこれまでの歴史を総括するライブを同じく武道館で行なった)との文字が大きく映し出され、ツアーは無事終了となった。

【SET LIST】
1.フォーリングダウン
2.零色
3.塗りつぶすなら臙脂
4.ケミカルパレードブルーデイ
5.ファズ
6.サーカス
7.堕落
8.アゲハ
9.恋人
10.アイアムコンピュータ
11.ポラリス
12.断絶
13.約束
14.夕紅
15.名も無き夢
16.咆哮
17.ライオン
〜ENCORE
18.大嫌い
19.蘭鋳
20.暁
21.業

ムック公式サイト◎http://www.55-69.com/

TUNECORE JAPAN