【ライブ・レポート】バッド・カンパニー

ライブ/イベントレポート by 編集部 2010年11月10日

1975年3月@武道館以来、実に35年振りの来日! ミック・ラルフス(ギター)急遽来日キャンセルも場内笑顔の大合唱大会。

2010年10月25日@東京国際フォーラム・ ホールA

招聘元のウドー音楽事務所では、35年前の武道館公演チケットを大切に保管していたファンを対象とした”35年振りにバドカンとご対面!”なる企画を用意。これはさぞ盛り上がったことだろう。会場はそんな往年のファン/スーツ姿の大先輩ばかり。また、ロック方面のプロ・ギタリスト、ボーカリスト、楽器店店主なども散見。元祖ハード・ロックの久方ぶりの来日に期待と熱気がグングンの国際フォーラム初日である。

前座にポール・ロジャースの息子が登場

定刻、前座として登場したのはポール・ロジャースの愛息、スティーヴ・ロジャース(http://steverodgersmusic.com/)。ヤマハAPXを携えての弾き語りスタイルで約30分ほど。小柄な髭面、多少ウェットで伸びやかな声、そして何よりビブラートでのコブシのまわし方、まさしく血は争えないと言えばいいのか、真っ直ぐに育ったと評するべきか。親父に比すれば圧倒的に地味だが、”歌いたい!”という思いが全面に出たパフォーマンスは観ていて清々しい。レギュラー・チューニングと思しきコード・ワークは開放弦を上手に使ったアレンジが見てとれ、ストンプを併用するなどシンプルなスタイルながら飽きさせないよう配慮されていた。客席の多くは我が子を見守るような視線で、厚い拍手を送った。ちなみにポールの娘ジャスミン・ロジャースもシンガー/ソングライターとして活躍している。けっこうかわいい。

ミック・ラルフスに代わってハワード・リース(元ハート)

いよいよ登場するバッド・カンパニーの面々。来日を前にオリジナル・メンバーであるミック・ラルフス(ギター)は手術を要する病に倒れたそうで、今回は残念なことに同行がかなわなかった。ファンとしてはミックの1日も早い復調を願うばかりである。

その代役として元ハートのハワード・リースがアナウンスされたが、そもそも彼はポールと旧知の仲で、バドカンの全米ツアーにもサポート・ギタリストとして帯同していたようで、まるで違和感なく、マーシャル3段積み×6を背に、派手な銀ラメPRSを持って時にライトハンドを交えつつも、非常に堅実なプレイを聴かせた。「Feel Like Makin’ Love 」ではトラベル・ギター(?)でマンドリン風サウンドまで聴かせるなど、彼のそんな好サポートがあったからこそ、今回のツアーが”楽しめる内容”になったと断言しておこう。

ショーマンシップ溢れるステージング

しかしそうなるとオリジナル・メンバーはポール・ロジャースとサイモン・カーク(ドラム)のふたり。つまりフリー組になるわけで、これはフリーの名曲もたっぷり聴けるものとにたにた想像された方も多かったはずだが、この夜はセットリストのとおり基本バドカン1本でぶっ太い筋をとおした(最終日はフリーの「Be My Friend」も演奏された模様)。

舞台の背幕は電飾を配したどこか昔懐かしい雰囲気で、”コンバンワ、オゲンキデスカ?”の一声とともにバックトゥ70′s。

ポール・ロジャースのそのよく伸び、表情豊かな歌声はますます艶やかで、押し出しも以前より強くなっているのでは、そう思うほどパワフルだ。得意のスタンドさばき、扇情的な動きといい、ポールのショーマンシップには目を見張るものがあった。一方、サイモン・カークは昔日と変わらぬ1タムというロックなセットで、前傾で頭上からスティックを叩き下ろすような70年代初頭の演奏スタイルはどのような変遷があったのだろうか、今はその影も見られず、黙々とシンプルに、バスドラをしっかり響かせながら打する姿が印象的だった。2000年の再結成ツアーに参加していたオリジナル・ベーシスト、ボズ・バレルは2006年に死去。今回はポール・ロジャース・バンドにも参加するリン・ソレンセンなる奏者が舞台下手にアンプを構え、ワイアレスのハワードとともに舞台上を練り歩いている。

「Burnin’ Sky 」では雷鳴の照明/SEが轟き、「Shooting Star」では巨大ミラーボールがてらてら降りてくるなどギミック満載。ここまでエンターテインメントに徹されると、音楽の背景とか深みなどはどうでもよくなって、まるで温泉に浸かるかのような脱力の気持ち良さに満たされる。

また、ステージ演出とはまるで関係ないが、サイモンのローディーなのだろう、たびたびサイモンの汗を拭きに小走りで出てくる姿が妙に滑稽で、ツボに入った人も多かったはず。8ビートを刻むサイモンに二人羽織よろしく水まで飲ませていたが、あれは一体なんだったのか。

ヒット曲の大合唱大会

ステージも終盤に向け、懐かしのTVドラマ『夜明けの刑事』の主題歌を弾き語るという、まさに往年のファンには狂喜のサプライズ。そして「Feel Like Makin’ Love」で大合唱大会の幕が上がる。まさに懐メロのオンパレード、これがヒット曲を持つバンドの醍醐味だろう。シンプル&キャッチー、”わかりやすさ”こそフリーと趣きを異にする、バドカンの最大の魅力。ひと際大きな声が上がったのはもちろん、3コードで最強のリフを持つ「Can’t Get Enough」(ギター・マガジン2010年11月号にスコアあり)で、コピー/トリビュート・バンドのライブを観ているような錯覚に陥るほど、良い意味で時の止まった快演だった。

タフで張りのある歪みを放ったハワードのサウンドは、バンドのパブリック・イメージそのままで、ギター・ソロの取り違え(?)など細かなほころびはあったが、改めて好サポートであったと特記しておきたい。

昔取った杵柄と揶揄し、敬遠された向きもあったかもしれないが、帰途に向かう笑顔の多さはそのバイタルな現役感に大きな元気をもらった証であり、直前にミック・ラルフスの病気で開催が危ぶまれ、払い戻しまで受け付けた当ツアーの成功を物語るものだった。次回開催はもちろん、フリーでの来日にも期待したい。

SETLIST

01. Rock’n’ Roll Fantasy
02. Honey Child
03. Gone,Gone,Gone
04. Burnin’ Sky
05. Oh! Atlanta
06. Seagull
07. Rock Steady
08. Electric Land
09. Mister Midnight
10. 夜明けの刑事
11. Feel Like Makin’ Love
12. Shooting Star
13. Can’t Get Enough
14. Movin’ On

【ENCORE】
15. Bad Company
16. Ready For Love

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