【ライブ・レポート】コブクロ/2010スタジアムライブ

ライブ/イベントレポート by 編集部 2010年10月25日

9月後半から10月前半にかけて行なわれたコブクロ初のスタジアムライブ、その東京は味の素スタジアムでの公演レポートをお届けしよう。

2010年10月3日@味の素スタジアム

大阪、東京、宮崎で行なわれたコブクロ初のスタジアムライブ、東京は味の素スタジアムでの2days。初日は初秋の快晴で、心地よい風に乗って太く優しいハーモニーが空高く舞ったようだが、2日目の予報はあいにくの雨。場内には雨具を用意している人も目立った。開演間近になってステージ脇の大型スクリーンに”THE SUN LOVES KOBUKURO”の文字が浮かび上がる。そのとおり、雲天だがなんとか持ちこたえそうだ。雲間からうっすら青空まで見える。

開演予定時刻を10分ほどまわって飛び出してきた小渕健太郎が手にするギター、レインソングDR1000(ピックガードは小渕のお手製)を見て、ニヤリとした人は相当のギター・マニア。備えあれば憂いなし、オール・グラファイト・ボディで雨の日でも大丈夫〜!?って、いやいや、無論最近のお気に入りなんでしょう。お馴染みサンライズPUを核としたM-factoryシステム搭載も確認。サウンドの良さは折り紙つきだ。

雲天を追い払うような軽快なカッティングで「轍 -わだち-」を、そして鮮やかなキャンディ・アップル・レッド/マッチング・ヘッドという通好みなフェンダー・ジャガーに持ち替えての「君という名の翼」、再度レインソングをつかんで軽やかに”雨”を歌った「Summer rain」をひと息に聴かせ、 “晴れたね!”と小渕。

 ”だからコブクロは言ってたでしょ? 「いつしか晴れるよ どんな空でも 予報は雨でも 晴れる気がするよ」って(笑)”。

小渕は『5296』に収録する「どんな空でも」になぞらえ、会場を盛り上げる。そして左右張り出しステージに小渕、黒田俊介とそれぞれ分かれ、約4万5千人を収容した味の素スタジアムを感慨深げに見渡す。恒例の掛け合いトークを聞かせながらゆるりその先端まで歩むと、次の瞬間突端部分がステージから離脱し、トロッコのように動き始めたではないか。これは広いスタジアム、野外ならではの仕掛けで、アリーナ席の両サイド通路をぐるり半周するというサプライズ。記者席からは舞台上手の小渕の様子はよく見えたが、頭ひとつ以上大きいはずの黒田の姿が見えない。ほどなくして、アリーナ後方をママチャリに乗って疾走する粋人、黒田の姿がスクリーンに映し出された。4万5千人がどっと笑顔になる。ふたりは、お客さんを楽しませるための演出にも常に全力を傾ける。それがまたリピーターを生むのだろう。

その後は、リリースされたばかりの初のカバー集『ALL COVERS BEST』から、同作随一の名唱と言える尾崎豊の「I LOVE YOU」や、小渕の大きなルーツだという渡辺美里の「Lovin’ you」、桑田佳祐&Mr.Childrenの「奇跡の地球」を情感たっぷりに聴かせてくれた。特に「I LOVE YOU」は小渕のアコースティック・アレンジが秀逸で、ピアノ曲を見事なまでにギター曲に変換している。アコースティック・ギター・マガジンVol.46では同曲のスコアを掲載しているので、その妙味を味わっていただきたい。

空が抜けたスタジアムのツアーに向け、ふたりは夕暮れ時まで計算に入れたセットリストを編んでいたという。青紫に染まる空のサウダージ。”夕暮れコーナー”と題して演奏したのは「Million Films」からの3曲だ。この日は結局分厚い雲が夕焼けを阻んでしまったが、それぞれの胸がセピア色に染まったのは間違いない。ことグレコ/ゼマイティスの12弦アコースティックを使った、インディーズ時代の未音源楽曲「夜空」などはじんわりと染み入る名演だった。

この日小渕が使用したアコギは、レインソング、グレコ/ゼマイティスに加え、べっ甲柄ピックガードを”5296″の文字にアレンジしたテイラーGA8(これは小渕シグネイチャー・モデルとして来年リリースされることが発表されたばかり)、そして「蕾」で必ず使用するブラック・フィニッシュ・マーティン、OMネガティブの4本。硬軟織り交ぜたリストの中、胸をえぐるバラードでは必ずいずれかのアコギが選ばれた。
また、スタジアムゆえの音の拡散、跳ね返りなど、音作りにはかなり骨を折ったはずだが、名スタッフ/チームに支えられているおかげもあるだろう、驚くべき明瞭なアコースティック・サウンドだった点を特筆しておきたい。

終盤、11月17日にシングルとしてリリース予定の新曲「流星」を披露する。小渕はこの曲の背景について、テイラーを手にやはり感慨深そうに、そして胸を張って話し始めた。

 ”もう100回以上、こうやってみんなの前で「新曲ができました!」と伝えてきました。100曲以上になってくると、歌っていることのすべてが自分の体験というわけではありません。これだけたくさんの歌を作ってこられて、そろそろ、人生という本の中の挿絵のような、そんな曲ができたらいいなって、それってすごくステキだなって。流れ星は、どこかに流れ落ちてるわけではなく、帰るべき場所に向かって流れているんじゃないか。そんな思いで書いた曲です”。

『CALLING』の「ベテルギウス」に続く天体ソングは、こんなに美しいメロディがまだあったのかと思わず膝を打つ名品で、それはそれはほっこりする”挿絵”に仕上がっていた。会場を一体化させる巨大な感動。新曲が楽しみでならない、そう思わせる音楽家がどれだけいるだろう。スタジアムですら狭いと言わんばかりに、右へ左へと全力疾走するふたりは、向後の自らの音楽に何を見定めているのか。この「流星」や『CALLING』の「Sunday Kitchen」あたりにそのヒントがあるかもしれない。

SETLIST

01. 轍
02. 君という名の翼
03. Summer Rain
04. いつまでも変わらぬ愛を
05. I LOVE YOU
06. Lovin’ you
07. 奇跡の地球
08. Million Films
09. YOU
10. 夜空
11. 願いの詩
12. 蕾
13. 風見鶏
14. 流星
15. 彼方へ
16. 潮騒ドライブ
17. memory
18. ストリートのテーマ
【ENCORE】
01. Blue Bird
02. 君への主題歌

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