【ライブ・レポート】GUITAR STUDY 4

ライブ/イベントレポート by 編集部 2010年8月27日

元ラクリマ・クリスティー、現ALvinoのギタリスト、KOJIが主催するインストゥルメンタル・ライブ”GUITAR STUDY”も、今回で4回目。お馴染みのNANIWA EXPの岩見和彦に加え、盟友である元ラクリマ・クリスティー、現LibraianのHIROを迎えた、暑い夏の一夜をレポートする

2010年8月14日@STB139

お盆真っ盛りの8月14日、そして15日の2日間、六本木STB139にて”GUITAR STUDY 4″が開催された。

この”GUITAR STUDY”の企画者は、ロック・バンドALvinoのギタリストであるKOJI。そもそもは、ラクリマ・クリスティーを脱退し、初のソロ・インスト・アルバム『Primary Color』をリリースした2005年に、自身の”ギター修行”のために始めたもので、KOJIの師匠でもあるNANIWA EXPの岩見和彦とのセッションを中心に、ゲストを交えながらギター・インストのライブをくり広げるというものだ。

回数を重ねるごとに、KOJIのギタリストとしての成長が確実に刻まれてきたイベントだけに、4回目となる今回は、どんなステージを見せてくれるのか期待も高まる。

開演時間となり岩見、KOJIのほか石川具幸(b)、土方幸徳(d)、小池敦(k)とメンバーが登場すると大きな歓声が上がる。まずはKOJIがピックを持ちつつ、余った指での指弾きも交えながら透明感のあるアルペジオを奏で、ハードロック・インストの「Olive Crown」でライブはスタート。

グリーン・カラーの自身のキラー製シグネイチャーを持ったKOJIは、どこかから吹く風に長い巻き髪をなびかせながら、まさに王子のような風格で(笑)、キレのあるリフをプレイ。すらりとした長身もあり、何とも絵になるギタリストだ。

ギター・テーマのリード・フレーズでは、ただメロディアスなだけでなく、ギターならではのメロディの崩し方も取り入れたロックなフレージングや繊細なアーム表現で、表情豊かに”歌う”。伸びやかな音色も相まって非常に心地よい。

一方の岩見はシェクターのストラト・タイプで堅実なバッキング・プレイでKOJIを後押ししつつ、2回し目では流暢なロック・ソロをまさに余裕の面持ちで披露した。

間髪入れずリズム体が次曲のグルーヴを刻み出すと、KOJIが”すごく良いオリーブ・オイルの匂いがするね。みんな、うまいもの食ったんだろ(笑)”と、バックの演奏に重ねてMCを始める。さらに、ALvinoやラクリマ・クリスティーが普段おもに活動しているライブハウスとは雰囲気が異なる会場、しかもインスト・ライブということを考慮してか”インストのライブが初めてって人もいるかもしれないけど、好きに楽しんでくれていいからね”と語りかける。さすがは4回目ということで、ここらへんはKOJIにもずいぶん余裕ができてきたようだ(笑)。

岩見のクリーン・アルペジオとKOJIのボリューム奏法の空間的なリード・プレイが美しく交錯するイントロから、ドライブ感のある本篇へとなだれ込む「White Horses」のあと、KOJIと岩見の軽妙なやりとりのMCを挟んで、岩見のオリジナル曲「GOING TO KEY WEST」へ。

ESP製セミアコを抱えた岩見のコード・ストロークから始まるスケールの大きなノリを持ったミディアム・チューンで、ハイウェイを気持ちよくクルージングしているような岩見のゆったりとしたテーマ・メロディが、観客をフロリダの情景へと連れて行く。ここではKOJIはコード・ストロークのバッキングに専念して、師匠のプレイをサポートした。

再びKOJIの楽曲に戻り、優しい旋律を奏でるAメロのクランチ・トーン、タッピング・フレーズもさらりと組み込みつつ切なくメロディアスに聴かせるサビのメロディが素晴らしい「Blackstone」へと続く。穏やかに始まりつつ、エンディングに向かってゆっくりと情感を高めていく楽曲構成/フレーズの構成力には、ギタリストとしてはもちろん作曲家としての高い能力も垣間見ることができた。

KOJIがグレッチのホワイトファルコンに持ち替えたところでMCが入る。このMCが、岩見とKOJIのそれぞれのギターを使っての、セミアコとフルアコの構造的/音色的違いを解説するというもので、さすがは”GUITAR STUDY”といったところ(笑)。

“ギターの音色の違いも聴き比べてほしい”との言葉のあと、KOJIがジャジィなイントロを奏でて「Chocolate Box」。ミュート・アルペジオの岩見とスウィートなKOJI のリード・プレイが会場をとろけさせる。

岩見、KOJIの順で演奏されたソロ・パートは、岩見の甘いトーンでのパキッとしたフレージング、KOJIの柔らかさと緩急のついたプレイと、まさしくそれぞれのギターの持ち味をうまく引き出したものだった。

 

続いて演奏されたのは、なんとNANIWA EXPの「JASMIN」。これまでの岩見のトーンとは違った、やや懐かしさを感じさせるリード・ギターのトーンが、心地よく響く。また、ギターのハモリを入れる時にうれしそうにKOJIが岩見に寄り添いに行くさまが何とも微笑ましかった。

KOJIのiPad自慢(どうやらiPadがライブの進行のカンペ兼譜面になっていたようだ)や、「White Horses」という曲名が、海岸で白波が打ち寄せる様子が”白馬のたてがみ”と呼ばれていることに由来するという話から”砂浜、白馬と言えば、日本人としては暴れん坊将軍だよね”とのKOJIの天然MCに対して、岩見がギターで”暴れん坊将軍”のテーマ・メロディを即興で弾くというパォーマンスを経て、第1部最後の曲は「Deep Blue Sea」。

チョーキングから入る最初の一音の泣きのニュアンスで一気に世界観を作ってしまうところに、KOJIのギタリストとしての表現能力の高さが感じられた。情感たっぷりのビブラートのニュアンスや、後半に行くにしたがっての感情が高ぶりをヒステリックにギターを泣かせて表現するさまも圧巻。また、中間部のやや落ち着いたセクションでは、テーマ・メロディのチョーキングをスライドで表現してニュアンスを変えるなど、細かな部分までしっかりと気持ちの行き届いたプレイにもこだわりが感じられた。

 

しばらくの休憩を挟んでの第2部。今回のGUITAR STUDYの目玉は、なんと言ってもラクリマ・クリスティーでの相方、HIRO(現Libraian)の参加だ。

マジョーラ・カラーのESP製シグネイチャー・ファイアーバード・シェイプを持ったHIROが登場すると、大きな歓声が上がる。”あえて曲名を言わずに始めたい”とKOJIが語ったあと、KOJIが妖しくも美しいアルペジオを弾き出すと、さらに客席から大きな歓声が上がる。ラクリマ・クリスティーの名曲「偏西風」だ。

KOJIのアルペジオとHIROが指板を忙しく駆けめぐるプログレッシブなロック・リフの合間で、岩見が歌メロをギターで奏でると、客席も思わず座ったまま大きく体が左右に揺れる。曲後半にはKOJIとHIROのユニゾン・リードがあるのだが、このセクションはいつ聴いてもスリリングでカッコ良い。

続けてKOJIがジャジィなリフをプレイして「Subconscious Desire」へ。ここではHIROがボーカル・メロディを巧みにアレンジして、見事なギター・インストに仕上げていた。また、さすがのカッコ良さがあった岩見のロック・フュージョンなソロ、E-BOWを使ったHIROのリード・プレイも注目だった。

KOJIがAメロ、Bメロをセクションによってオクターブを変えながら弾いてインストでも飽きさせない歌メロディの聴かせ方をし、HIROがサビのメロディをアームを使いながら微妙な音程表現で聴かせた「鳥になる日」を経て、原曲は11分を超える大曲「Magic Theatre」。

この曲のポイントのひとつである12弦アコギは岩見がプレイし、独特のコーラスもキーボードで再現。歌メロディはHIROがエレクトリック・シタールで奏でた。もともとエスニックなニュアンスもあるメロディ・ラインというのもあって、これがバッチリとハマっている。

中盤、展開が変わってからは今度はKOJI がシタールをプレイ。その後、HIROがギターでメロディを奏で、そこにKOJIがハモり、最後に再びHIROがシタールでソロをプレイと、壮大に展開していく楽曲に合わせてギター・プレイもめまぐるしく展開していく。見事なインスト・アレンジに会場全体が圧倒され、曲終了とともに観客からは大きな長い拍手が送られた。

「Magic Theatre」の余韻に充分に浸ったあと、”様式美メタル・ギタリストの血が騒いだ”とHIROが話して演奏されたのは、ネット界を出発点に多くのギタリストの間で話題となった「カノンロック」。

冒頭のバイオリン奏法は、KOJIはボリューム・ペダルで、HIROはギター本体のボリューム・コントロールでプレイ。テーマ・メロディを向かい合って弾くKOJIとHIROがメチャクチャ楽しそうで、その姿は”ギター小僧”そのものであった。

 

そして、本篇最後の曲は、「未来航路」。ここではKOJIがあまり崩すことなくシンプルに歌メロディをなぞるように奏でていたが、原曲が持つメロディの良さを存分に味わえるという意味で、良い選択だったと思う。

また、サビの一部をHIROがハモったのも美しかった。エンディングではKOJI、HIRO、岩見の順でギター・ソロを2回しさせ、それぞれが本当に楽しそうにプレイしているのを観ると、こちらもすごく温かい気持ちになった。

 

アンコールの1曲目は第1部のメンバーで、アヴェレージ・ホワイト・バンドの「Pick Up The Pieces」をカバー。岩見のシャープなカッティングの上で、本来はサックスのテーマ・メロディをKOJIが奏でる。中盤では、小池、KOJI、岩見の順でソロを回すが、それぞれが飛び道具系プレイであったり速弾きであったりとうれしそうにせめぎ合うさまが楽しい。

“ここで、またあの男を呼ぼう”とKOJIがHIROを招き入れ、本日最後の曲は「イスラエル」。ワーミーを使ったHIROのトリッキーなイントロから始まるハードなロック・ナンバーで、STB139のステージが完全にライブハウスへと化す。KOJIとHIRO、岩見とKOJIなど、ハモりつつそれぞれのパートを入れ換えつつメロディとバッキングを弾き分けていく3人のギタリストが、とても輝いて見えた。

始まる前は、どうなることかと思ったGUITAR STUDY 4だが、終わってみれば、ロック/フュージョンをベースに、ギターの表現力の可能性を追求した第1部、ラクリマ・クリスティー楽曲の新たな魅力を引き出しつつインスト・ミュージックのおもしろさを見せつけた第2部と、本当に大満足の内容であった。

【SET LIST】
第一部
01.Olive Crown
02.White Horses
03.GOING TO KEY WEST
04.Blackstone
05.Chocolate Box
06.JASMIN
07.Deep Blue Sea

第二部
08.偏西風
09.Subconscious Desire
10.鳥になる日
11.Magic Theatre
12.カノンロック
13.未来航路

〜ENCORE
14.Pick Up The Pieces
15.イスラエル

ALvino公式サイト◎http://www.alvino.jp/

Libraian公式サイト◎http://www.libraian.jp/

NANIWA EXP公式サイト◎http://www.naniwaexp.com/

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