【ライブ・レポート】鹿鳴館30周年記念ライブ

ライブ/イベントレポート by 編集部 2010年4月13日

 3月19日、20日の2日間にわたって、目黒にあるライヴハウス”鹿鳴館”の設立30周年を記念したイベント、『鹿鳴館伝説〜LEGEND OF ROCK MAY KAN〜』が、水道橋のJCBホールにて行なわれた。

鹿鳴館といえば、オープン初期には米米クラブやTHE MODSが出演し、44 MAGNUMやANTHEM、ACTIONらが登場した80年代のジャパニーズ・ヘヴィメタル全盛期を支え、90年代からはビジュアル系の聖地としてX JAPANやLUNA SEAといった多くの人気バンドを輩出してきた老舗ライブハウスであり、現在に至るまでロックバンドの登竜門として、存在感を放っている。

初日、19日は2000年代に鹿鳴館を盛り上げたメリー、Versailles、Phantasmagoria、ムックの4組が、2日目となる20日には、80年代のジャパニーズ・ヘヴィメタルを背負い、その後のシーンに大きな影響を与えたDEAD END、D’ERLANGER、44MAGNUMの3組が出演した。

 

3月19日(金)JCBホール

 

メリー

JR目黒駅から鹿鳴館へと至る道順を再現したオープニング映像が流れる中、初日にまず登場したのはメリー。

黒のスーツでシックに決めた楽器陣がドラムと向かい合いロックンロール・セッション的なイントロを奏でてライブがスタートすると、早くも観客が激しく暴れ出す。健一がブルージィ系の、結生がロックンロール系のソロを弾いた「Midnight Shangrila」、お互いのフレーズが入れ違いになるコンビネーションの「演説」、レトロなメロディとスカ・カッティングの「不均衡キネマ」など、”哀愁”や”昭和歌謡”といったキーワードを想起させる楽曲を彩るツイン・ギターは、ヒステリックな音色や絶妙な不協和音感を持ったメロディ・センスなど、切れ味も鋭く個性的だ。

ラストはインディーズ初期の楽曲「バイオレットハレンチ」でシメ、ガラ(vo)がトレードマークである学習机の上で三点倒立をして、足で拍手をする、お馴染みのパフォーマンスを見せた。

▲左:健一、右:結生(メリー)

 

Versailles

続いては、重厚かつシンフォニックなSEで登場したVersaillesだ。

中世ヨーロッパ的な豪華絢爛な衣装に身を包んだメンバーが登場すると、一気に会場の空気感が変わる。怒濤の2バスが炸裂する「月下香」やイントロから高速ハモリを聴かせるメジャー・デビュー・シングル曲「ASCENDEAD MASTER」など、同期音源も交えた激しくも優美なサウンドがドラマチックに展開していくメロディック・スピードメタルな楽曲が魅力の彼ら。華麗にステージ上を動きながらプレイするHIZAKIとTERUのツイン・ギターも、スウィープも交えたテクニカルなソロやハモリが美しいツイン・リードなどで楽曲をリードしていく。

MCなしで突っ走ったメリーとは対照的に、”ボンジュール、ハニー!”という挨拶から始まるKAMIJO(vo)の独自の世界を持ったMCを挟みつつ会場を盛り上げたところも、各バンドの個性を反映していた部分だろう。

▲左:TERU、右:HIZAKI(Versaills)

 

Phantasmagoria

3組目は期間限定復活中のPhantasmagoria。これまたド派手な衣装が強烈なバンドで、楽曲はモダンヘヴィな部分を持たせつつもキャッチーなサビのメロディをしっかり聴かせるスタイルだ。

ハードなリフと観客を煽りまくるステージングで、会場が大きく揺れる。堅実なプレイでクールに楽曲を支える伊織と、ギターのネックを股に挟んだり客席の手の動きを真似たりとコミカルな動きも魅せるJUNというツイン・ギターも、自由度の高い絡みを聴かせた。

ラスト「神歌」では、観客の限界を試すかのように、これでもかとコール&レスポンスを要求し、”ロクメイ!”と叫ばせる。曲終わりにはKISAKI(b)が客席にベースを投げ入れて狂乱のステージを締めくくった。

▲左:伊織、右:JUN(Phantasmagoria)

 

ムック

初日のトリはムック。ステージ上にはアンプもモニターも置かず、楽器を持った彼らだけが存在しているのだが、その存在感がハンパない。

ジワッと染み入るミディアム・スローの「アカ」から始めたライブは、スピーディなリフが冴えるメタル・チューン「咆哮」やYUKKE(b)がエレクトリック・アップライトを持った「ファズ」、ニューウェーブなダンス・ミュージック「楽園」など、幅広い手の内を見せつけていく内容。しかし、そのどれもが”ムック”として成り立っているのはさすがだ。

ミヤも速弾きソロ、コーラスがかった不穏なアルペジオ、シャープなカッティングとギタリストとしての器用な面を魅せていく。この日の最後を飾ったバラード「フリージア」では、泣きまくりの長尺ソロをエンディングで聴かせ、感情のこもったチョーキングが鳴り響いた。

▲ミヤ(ムック)

3月20日(土)JCBホール

 

DEAD END

2日目。最初にステージに登場したのは、昨年、まさかの活動再開を果たし、新作『METAMORPHOSIS』を発表したDEAD END。

残念ながらドラムの湊雅史は不参加で、若手ドラマー山崎慶がサポートし、『METAMORPHOSIS』の楽曲を中心にしつつ、インディーズ時の楽曲「Frenzy」と「The Awakening」も披露した。

「摩天楼ゲーム」でのピッキング・ハーモニックスを滲ませたリフや「Princess」の切なさと重さの両立したコード・ワーク、「Guillotine」での粘りのある単音リフといったバッキング、密度の濃いトーンで切れ味鋭く弾きまくるソロと、YOUも貫禄のプレイを聴かせる。赤い照明がジワジワと沸点を高めたハチロクの「冥合」では、細かくアームに触れながらの情感たっぷりのソロで観客を引き込んだ。

▲YOU(DEAD END)

 

D’ERLANGER

続いては、2月からの全国ツアーを終えてからわずか1週間という、kyo(vo)曰く”火照った体のまま”登場したD’ERLANGER。

動き回るベース、手数の多い性急なビートを叩き出すドラム、そしてヒステリックな音色でソリッドにロックするギターの上で、熱くエモーショナルに観客を魅了するボーカル。それぞれのキャラクターがお互いを刺激し合うことで生まれる、独特のオーラを纏ったダークな雰囲気が何ともカッコ良い。

往年の名曲「SADISTIC EMOTION」ではキャッチーかつハードなリフをくり出し、ベース・ソロから始まった「an aphrodisiac」ではフィードバックや壊れたような不協和音のコード・プレイ、指板を叩きながらノイズを出すなどして混沌とした世界を描き出すCIPHERのギターは、ハードロックの激しさとニューウェーブの自由さを組み合わせたような質感が個性的だ。

▲CIPHER(D’ERLANGER)

 

44MAGNUM

そして本イベントのトリを務めたのは44MAGNUM。

昨年リリースされた7年ぶりの新作『44MAGNUM』からの楽曲を中心にしたセットリストは、PAUL(vo)のMC”DEAD ENDもD’ERLANGERも、もちろん44MAGNUMも、これから歴史を作っていく”、”俺たちはまだまだ伝説にはならないから、続いていくから”という気概を反映させたもののような気がしたし、マシンガン・ピッキングによる直線的なソロ、連続スウィープを挟みながらもクラシカルではなく熱いロック魂を感じさせるソロなど、JIMMYのプレイにもただひたすらに熱を感じさせた。

ラスト「Satisfaction」では”鹿鳴館に足を運ぼう、そうすれば俺たちの次にカッコいいバンドが見つかるかもしれない。そいつらを見つけて応援していこう”と話し、大声でのコール&レスポンスを求める。そして最後のサビではPAULとJIMMIYがセンターで寄り添って演奏しているところへSHUSE(b)とSTEVIE(vo)が加わるという幸せそうな光景が印象的だった。

▲JIMMY(44MAGNUM)

 

全バンドの演奏が終了したあとも、ステージ上では機材のセッティングが進められる。

すると、PAUL、MORRIE、kyo、さらには鹿鳴館の代表取締役社長、門間安彦氏も登場。門間氏の”鹿鳴館が彼らを育てたというのは嘘です。彼らが鹿鳴館を育ててくれたんです”というスピーチに会場から大きな拍手がわき起こる中、全出演者が入り乱れながら(ドラムはJOEとTetsuのツイン・ドラム!)44MAGNUMの「STREET ROCK’N ROLLER」をセッション。

YOU、CIPHER、JIMMYの順で回されたギターソロも、流麗なYOU、何も弾かずに手を大きく広げたCIPHER、激しく突進するJIMMYと、それぞれの個性が出ていたと思う。

▲左から,JIMMY、PAUL(44MAGNUM:vo)、MORRIE(DEAD END:vo)、kyo(D’ERLANGER:vo)

 

音楽スタイルもルックスも異なる7バンドが、それぞれの持ち味を存分に発揮した本イベント。各バンドの強烈な個性を再確認するとともに、それらを牽引するギタリストたちの多種多様なアプローチにも、改めて魅せられた2日間であった。

【SET LIST】

●3月19日(金)

メリー
M.1 Friction XXXX
M.2 Midnight Shangrila
M.3 演説
M.4 humanfarm
M.5 不均衡キネマ
M.6 ジャパニーズモダニスト
M.7 バイオレットハレンチ

Versailles
M.1 愛と哀しみのノクターン
M.2 月下香
M.3 ASCENDEAD MASTER
M.4 The Revenant Choir

Phantasmagoria
M.1 Pixy false
M.2 Unknown zero distance
M.3 NEO ARK
M.4 神歌

ムック
M.1 アカ
M.2 咆哮
M.3 終止符
M.4 ファズ
M.5 楽園
M.6 オルゴォル
M.7 蘭鋳
M.8 フリージア

●3月20日(土)

DEAD END
M.1 摩天楼ゲーム
M.2 Dress Burning
M.3 Frenzy
M.4 Princess
M.5 Guillotine
M.6 The Awakening
M.7 Devil Sleep
M.8 冥合

D’ERLANGER
M.1 Masquerade
M.2 デラシネ
M.3 SADISTIC EMOTION
M.4 dummy blue
M.5 柘榴
M.6 an aphrodisiac
M.7 LOVE/HATE

44MAGNUM
M.1 マガイモノ
M.2 Call My Name
M.3 I Give You My Love
M.4 Souls
M.5 Your Heart
M.6 Show Time
M.7 In the End
M.8 Satisfaction

SESSION
STREET ROCK’N ROLLER

TUNECORE JAPAN