【ライブ・レポート】DIR EN GREY

ライブ/イベントレポート by 編集部 2009年10月14日

ハイボルテージな唯一無二の世界観

2009年9月15日@新木場スタジオコースト


8月26日の新木場スタジオコースト公演からスタートしたDIR EN GREYの今年2回目となる国内ツアーが、9月15日に初日と同会場でファイナルを迎えた。


昨年11月に発売された最新アルバム『UROBOROS』を携えてのツアーだった前回のツアーと違い、特に新たな音源が発売されるということもなく迎えた今回のツアー。話によると、公演ごとにセットリストを変え、『UROBOROS』の収録曲を中心としながらも、「Schweinの椅子」や「アクロの丘」(いずれも、99年発表のアルバム『GAUZE』に収録)といった、サプライズな楽曲も披露した公演もあるとのことだった。その意味でのこの日のサプライズ曲は、アンコールで演奏された02年発表の『six Ugly』収録曲の「Ugly」で、イントロが鳴ると同時に、大きなどよめきが客席に起こったのであった。



それにしても、何度彼らのライブを観てもその衝撃に慣れることはない。特に、感情のままに、音源でのボーカル表現を易々と更新していく京(vo)のパフォーマンスは凄まじい。強烈なシャウトで楽曲の熱量を上げていく曲中はもちろん、「HYDRA -666-」と「蝕紅」間や「GLASS SKIN」と「孤独に死す、ゆえに孤独。」間での、ディレイをかけながらの呻きや囁き、デス・スクリームにより密教的な世界観を作り上げたひとり舞台には、ある種、怖さすら感じた。


もちろん、楽器陣の演奏も驚異的だ。テンポ感の違うリフを行き来する「AGITATED SCREAMS OF MAGGOTS」や、複雑に展開する「BUGABOO」、9分を越えるプログレ的大作「VINUSHKA」を始め、彼らの楽曲はリズム面でかなり凝った作りのものが多いが、それを強烈な渦を感じさせるあれだけのグルーヴで聴かせるのは並大抵ではない。近年では海外でのツアーも定着し、その評価も高い彼らだが、その要因としてこの”リズム・センスの良さ”というのは大いに関係している気がする。



薫とDieのツイン・ギターは、うねりまくる「GRIEF」、スローからブラストへと切り替わるリズムがキてる「OBSCURE」、薫による壊れたファズのような粗い音が新鮮な「蜷局」、まさに”狂乱”と呼びたい畳みかける 「THE ⅢD EMPIRE」など、重厚なリフで攻める部分での迫力はさすがだ。

また、一方で、「RED SOIL」出だしのDieのエフェクティブなアルペジオ、「STUCK MAN」での薫のちょっと変わった音色の単音とDieのカッティング、「HYDRA -666-」でのディレイを駆使した宗教的な薫のアルペジオ、「BUGABOO」での薫のクリーン・アルペジオとDieのモジュレーション系エフェクトのかかった単音、「GLASS SKIN」でのDieのクリーン・カッティングと薫のスペーシーなロング・トーンなど、クリーン・トーンの使い方にも音色/フレージングともに溢れるセンスを感じる。

これらのプレイが、美しさや妖しさ、はかなさ、空虚感などのさまざまな表情を感じさせ、また、ヘヴィな部分との対比として効果的に機能している。特に『UROBOROS』収録曲は、これまで以上にクリーン・トーンが効果的に取り入れられ、凡百のヘヴィ・バンドとは一線を画する唯一無二の世界観を築き上げている。

ちなみに、クリーン・トーンといえば、「VINUSHKA」では、Dieの前にスタンドにセットされたエレアコが登場したが、薫は通常のエレキでエレアコのようなサウンドと通常の音色を切り替えて出していた。どのようなシステムで音を鳴らしているのかが気になった。


これら、バンド側のものすごい熱量に対する観客もハンパない。「AGITATED SCREAMS OF MAGGOTS」を始め、観客のシャウトするコーラス部分が楽曲の重要な要素となり、演奏に呼応するように入れられる。ライブハウス全体を包む、ハイボルテージなテンションと一体感。DIR EN GREYのライブは、ただ観るただ聴くというものではなく、まさに”体で感じる”ライブなのだ。



全演奏終了後、”1月、また……”と言い残し京がステージを去ると、ステージの背景には、12月2日にニュー・シングル「激しさと、この胸の中で絡み付いた灼熱の闇」が発売されることが発表された。京が言い残した”1月”とは、来年1月9日、10日の日本武道館2デイズ公演のこと。シングル、武道館2デイズ公演と年末年始にかけてまた彼らから目が離せなくなりそうだ。

 

【SET LIST】

SE.SA BIR
01.Merciless Cult
02.RED SOIL
03.AGITATED SCREAMS OF MAGGOTS
04.STUCK MAN
05.GRIEF
06.OBSCURE
07.HYDRA -666-
08.蝕紅
09.BUGABOO
10.蜷局
11.GLASS SKIN
12.孤独に死す、故に孤独。
13.VINUSHKA
14.DOZING GREEN
15.冷血なりせば

〜ENCORE〜
16.INCONVENIENT IDEAL
17.鼓動
18.Ugly
19.THE III D EMPIRE
20.凱歌、沈黙が眠る頃

 

[DIR EN GREY公式サイト]

 

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