【ライブレポート】Nothing’s Carved In Stone

ライブ/イベントレポート by 編集部 2009年8月27日

比類なきバンド・マジックが凝縮された、驚異のグルーヴ。

7月15日 (水)  恵比寿LIQUIDROOM

5月に1stアルバム『PARALLEL LIVES』をリリースして以後、全国16ヵ所を回る対バン・ツアー”PARALLEL LIVES TOUR”、 そして4ヵ所でのワンマン・ツアー”POLYPOID TOUR”と、本格的にライブ活動を開始したNothing’s Carved In Stone。POLYPOID TOURファイナルとなる恵比寿リキッド・ルームでの公演が7月15日に行なわれた。

開演前からすでにものすごい熱気が会場を埋め尽くす中、アルバム同様に「Isolation」でライブがスタート。ギターの生形真一はお馴染みのビグスビー付きES-355を手にヒネリの効いたアルペジオを奏で、イントロから強烈なバンド・グルーヴがオーディエンスをグイグイと巻き込んでいく。ベースとギターのユニゾンが渦を巻くような間奏のリフに続いてなだれ込んだギター・ソロでは、ワウを駆使した吸引力の高いプレイが圧巻であった。続く「Words That Bind Us」ではCDよりも間奏部分が倍の尺になっており、弾きまくるエモーショナルなソロを。また、ハーモニクスをうまく挟み込んだ静かなブリッジでのプレイ、エンディングでのワウを使ったトリッキーなソロと、随所でギタリストとしての見せ場を作り出した。歌モノでありながらも、各楽器同士のせめぎ合うプレイがベーシックにあるNCISでは、”歌を絶妙にサポートするギター・プレイ”だけではない生形が垣間見え、改めて、そのギタリストとしての実力の高さを思い知らされる。



エンディングではワウとトレモロ・ピッキングのかき鳴らし系プレイを見せた「Silent Shades」、MCを挟み、幻想的なイントロに似合う緑のレーザーの演出も美しかった「November 15th」、怪しい雰囲気のアルペジオがくり返される「Thermograffiti」と続くセットリスト。これらの曲はテンポ的にはそんなに激しくはないのだが、楽曲自体にメリハリがあり、リズムのダイナミクスがとてつもない高揚感、胸の高鳴りを引き起こす。個々のプレイヤーとしての実力もシーンで突出しているメンバーが集まっているだけに、生形だけでなく、ほかのメンバーのプレイも凄まじい。特に上体を激しく揺らしながら、個性的なラインを紡ぎ出す日向秀和(b)のプレイは驚異的だ。「Hand In Hand」では生形と日向のラインがネジレながら交差していく様が何ともスリリング。この曲では生形は、トレモロ・エフェクターによるアクセントのあるバッキング、コンパクトな速弾きソロも見せた。

アルペジオがメインのスロー曲「New Day」を挟んで、”ツアー中の新潟で作った曲”と生形がMCをして、未発表曲を演奏。外へと向かったアッパー・チューンで、まさにライブ向きといった印象。生形のトレモロ・ピッキングのソロもフィーチャーされていた。CDとは違い、村松拓(vo、g)のストローク・ギターと歌から入った「Sleepless Youth」では、生形がテレキャスターに持ち替える。ES-355とはひと味違ったエッジのあるアルペジオと生形がテレキャスを抱えるというシルエットが新鮮だった。

テレキャスのヒステリックな音色でのアルペジオが切迫感を煽る「Tribal Session」から「End」へと流れるインスト曲コーナーはCDでもお馴染みの流れ。トリル、チョーキング、さりげない速弾きを交えながらの長尺ギター・ソロからリバース・ディレイも駆使したインプロヴィゼーション、メカニカルなフレージングを交えた速弾き、チョーキングで思いっきりむせび泣く場面と、激しく頭を振り体ごと激しく動きながら、渾身のソロを展開する生形が凄まじかった。

村松が”わっしょーい”とひたすらハイテンションなムードメーカーとなったMCを挟み、本篇は佳境を迎える。生形が再びES-355に持ち替えての「Diachronic」は、生形のアルペジオと日向のハイ・ポジションで動くイントロがこのあとの展開を期待させ、サビでストレートに爆発する。生形が珍しくイントロからステージ前に出て客を煽った「Moving In Slow-Motion」は、スピード感のある楽曲がさらに会場の熱量を上げていく。このアツさはハンパない! 王道かつ情熱的に盛り上げるギター・ソロも切れまくっていた。そして、本篇最後の曲「Same Circle」で、まさに会場は絶頂を迎える。キレのあるカッティングのAメロからブリッジ・ミュートを効かせたBメロを経て、爆発的な開放感を感じさせるサビでは激しくギターをかき鳴らす生形。日向と向かい合い、本当に楽しそうにギターを弾く姿が、現在のバンドの充実度を物語っているかのようだった。

濃密な本篇が終わっても、貪欲な観客はさらに彼らを求める。それにこたえて再び姿を現わした4人。”もう全曲やっちゃったから”などと言いながら、Keyだけを決めてのフリー・ジャム・セッションをすることに。観客にどのKeyがいいかを募りながら、最終的にはEで落ち着く。日向がゴリゴリのリフを弾き出すと、そこにほかの3人が追従。自然と4人が円のような陣形を取り、お互いの出方を見ながらフレーズを紡いでいく。曲作りの過程を垣間見るようなこのセッションは非常に興味深かった。締めもバッチリ決め、お互いに出来を確認するように4人が顔を見合わせたのが微笑ましい。生形の”これからも続けていくのでNothing’sよろしくお願いします!”のMCを経て、再び「Isolation」。全力で気持ちをぶつけてくる4人に引っぱられるように、こちらの鼓動もどんどん高まっていく。まさに”ライブ”! そんな言葉がピッタリの演奏だった。

“きっとすごいライブになるだろう”。ライブ前にCDを聴いてなんとなくそう思っていたが、こちらの予想をはるかに超える密度の濃いライブだった。ここまでライブ映えする楽曲たちだったとは! バンド・マジックが幸せな形で結実している、今のNCIS。今後の出方にこれまで以上に注目だ。

【SET LIST】

01. Isolation
02. Words That Bind Us
03. Silent Shades
04. November 15th
05. Thermograffiti
06. Hand In Hand
07. New Day
08. 未発表曲※タイトル未定
09. Sleepless Youth
10. Tribal Session
11. End
12. Diachronic
13. Moving In Slow-Motion
14. Same Circle

〜ENCORE〜
15. ※セッション
16. Isolation

文:中村健吾(ギター・マガジン編集部)
撮影:橋本 塁

 

[Nothing's Carved In Stone 公式サイト]

 

 

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