ライブレポート/KAN

ライブ/イベントレポート by 編集部 2009年4月6日

お楽しみ満載の、エンターテインメント精神に溢れるバンド・ライブ。

KAN 2009年3月7日 Zepp TOKYO

近年は、自身のピアノ弾き語りのみによる”弾き語りばったり”と、バック・バンドを従えネタありコスプレありのエンターテインメント・ショー”BAND LIVE”の2本立てでライブ活動を行なっているKAN。”シリアスな弾き語りと曲間に挟まれるMCでのハイセンスなギャグ”という”弾き語りばったり”も味わい深いが、何しろココはギター・マガジン・オンライン。ギタリストが不在のライブはご紹介できない。

ということで、待ってましたの”BAND LIVE”開催ということで、その模様をレポートしよう。

先にも書いたように、KANのバンド・ライブは、完全なエンターテインメントである。過去のライブ・ツアーの内容はオフィシャル・サイトに詳しいので割愛するが、ネタありコスプレありで、とにかく観客を飽きさせず、楽しませることを大前提としている。

今回は、冒頭からPerfumeの「ポリリズム」のパロディからスタート。衣装はなぜか”海賊”だ。

メンバーは、KAN(p、vo)のほか、清水淳(d)、西嶋正巳(b)、矢代恒彦(k)、そしてギターは、GM読者にはボス/ローランドでのデモンストレーターとしてもお馴染みの中野豊。正直、いい歳のオトナたちであるが、そのオトナが真剣にフリ付きで演奏しているさまが、なんともコミカルで楽しい。

が、そこは歴戦の猛者たちでもあり、ただ楽しいだけでなく、「健全安全好青年」での西嶋のスラップ・ソロや、「Happy Birthday」での中野の都会的なソロ、「TOP SECRET~誰にもしゃべるな~」での全員でのフュージョン的なキメやソロ回しなど、楽器をたしなんでいる人が見ても唸ってしまう場面も多い。

キーボード主体のアレンジの楽曲の性格上、ギターがフィーチャーされる場面は限られているが、スポットが当たる時には細かだが憎い演出が施されるのも楽しいところ。

ハードR&Rナンバー「Rock’n Soul in Yellow」や、KAN自身もギブソン・フライングVを弾いたハード・ロック曲「RED FLAG(一般道路速度超過)」では、グランド・ピアノの上に中野が立ち熱いソロを弾くのだが、その中野に下から大型扇風機で風を当てて髪をなびかせるためにスタッフが登場する。風を受けながらソロを弾く中野も、気持ちよさそうだ(笑)。

KANは、「涙の夕焼け」やビートルズのカバー「Revolution」では(プラグインしていない)エピフォン・カジノ(78年に自身の高校入学祝いに買ったギターとのこと)を胸の位置で構えながら、ジョン・レノンへのオマージュを。また、フロント3人が、ムダに(笑)ピート・タウンゼントを彷彿させるジャンプをしまくった「Oxanne~愛しのオクサーヌ~」ではゴールドトップのレス・ポール・タイプを構えつつ、曲終わりでは、そのギターのボディをふたつに割ってみせるという、ギターを使った演出も見せた。

中野のプレイに目を戻すと、ビリー・ジョエルの「イタリアン・レストランで」へのオマージュ曲「1989(A Ballad of Bobby & Olivia)」での、場面展開に合わせた軽快なロックンロール・ソロと泣きソロの弾き分け、西嶋との”ウクレレ教室コント”も見せた「香港SAYONARA」でのウクレレ・バッキング、「カラス」での哀愁あるスパニッシュなガット・ギターなど、陰になり日向になり、楽曲を好サポートする。

KANのバンド・ライブでのお約束と言えば、「適齢期LOVE STORY」での”本日演奏された楽曲を、最初からダイジェストで再演奏”という、とてつもないメドレーだ。一般的なメドレーのように、単純にサビの部分をつないでいくなどではなく、特徴的な1小節やワン・フレーズのみといった細かい部分にまで楽曲を(一部、演奏されていない”ポニョ”も入れつつ)解体、再構成。もはやプログレ的な香りも放ち、これはもう名人芸と言いたい。

「適齢期LOVE STORY」で最高潮に盛り上げたあと、この日、ラストの曲は、渋くピアノ弾き語りによる「50年後も」。何気ない日常の大切さを独自のユーモアを持って描いた歌詞が胸に染みる。開演からさまざまな手を尽くして楽しませるだけ楽しませ、最後はキッチリとミュージシャンシップ高く締める。あらゆる意味で大満足のライブであった。

文:中村健吾(ギター・マガジン編集部)

【演奏曲】

1.健全安全好青年
2.Happy Birthday
3.TOP SECRET~誰にもしゃべるな~
4.Rock’n Soul in Yellow
5.RED FLAG(一般道路速度超過)
6.愛は勝つ
7.GO PLAIN
8.結婚しない二人
9.涙の夕焼け
10.1989(A Ballad of Bobby & Olivia)
11.香港SAYONARA
12.けやき通りがいろづく頃
13.今夜はかえさないよ
14.カラス
15.ときどき雲と話をしよう
16.まゆみ
17.恋はTONIN’
18.Oxanne~愛しのオクサーヌ~
19. Superfaker
20. Moon

─Encore─
21. Revolution(ビートルズ・カバー)
22. 適齢期LOVE STORY
23. 50年後も

[KAN - 公式サイト]

TUNECORE JAPAN