ライブレポート/アジアン・カンフー・ジェネレーション

ライブ/イベントレポート by 編集部 2009年4月21日

ホールならではの演出が満載!アジカンの充実ぶりを示すツアー・ファイナル。

アジアン・カンフー・ジェネレーション 2009年3月5日 鎌倉芸術館

アジカン初のホール・ツアーもこの日の鎌倉芸術館でファイナル(正確には3日後に東京国際フォーラムでの追加公演があったのだが、後藤正文が”誰が何と言っても今日がファイナルだから”と語っていたので、そういうことでお願いします)! これまで何度もライブハウスでアジカンのステージを観てきたが、ホールならではの演出がいくつも用意された、彼ららしい一夜だった。では、早速その模様をお届けしよう。

オープニングはヤマハの電子楽器、TENORI-ONを使った近未来的な雰囲気でスタート。意外な展開にのっけから期待感が高まり、そのシーケンス音を残しながら、ディレイを生かした「ノーネーム」でライブは幕を開けた。

その流れを引き継ぐように届けられる「ムスタング」。短いMCを挟み、喜多建介のフランジャーがうねりまくった「ネオテニー」、喜多のハイトーン・ボイスが絶妙に絡む「ナイトダイビング」、深いリバーブで奥行きを支配し、後藤とスリリングなオクターブ奏法でのハモリ・ソロを見せつけた「無限グライダー」という序盤の展開に会場は徐々に温まっていく。

ミニ・アルバム『未だ見ぬ明日に』からのナンバー「深呼吸」では、後藤は歪み、喜多はクリーンで、ともにフランジャーをかけて16分を刻む。後半の4ビートも新たな境地だろう。

ここでレス・ポール・スペシャルを使っていた後藤はジョン・レノン・レス・ポールへ、喜多はここまでとは異なるレス・ポールにチェンジ。「Re: Re:」のシーケンス的なイントロが鳴り響いた瞬間の盛り上がりは凄まじかった。

そのまま必殺ナンバー「アンダースタンド」へなだれ込む、いわゆる”ネ申セトリ”と呼ばれそうなつなぎっぷり。ミディアムでスケール感のある「夜の向こう」で第一部の前半がビシッと締まり、一旦メンバーがステージ袖に退く。

しばらくして後藤と喜多がアコギを抱えて登場。後藤はハミングバード、喜多のギターは確認ができなかったが、どうやらギブソンのようだ。

最初にふたりが演奏したのは「君という花」。長年彼らを代表してきた楽曲の新たな一面を見せてくれる。そう言えば奥田民生が以前に広島市民球場ライブ(ひとり股旅)でこの曲をアコギでカバーしているのを思い出した。

続く「ワールド ワールド」は後藤がトライアングルを鳴らしながら歌う小曲。さらに2曲を歌い終えて、”鎌倉小町カルテット(おそらく各地方ごとに呼び名が違ったのでは?)”なる女性弦楽奏者4人を招き入れる(ビオラ、チェロ、バイオリン×2)。

喜多がES-335に持ち替えたりしつつ、山田貴洋(b)、伊地知潔(d)も加わって、アコースティック・セットが「タイトロープ」まで続いた。ストリングスの美しいしらべと、アジカン・サウンドの融合が存分に堪能できるホール・ツアーらしい響きが会場全体を包み込み、第一部が終了。

10分ほどの休憩を挟んで第二部が開始。中央には大鳥居、喜多の背後にはどでかい江ノ電のイラスト・パネルが登場した。もちろん最新作『サーフ ブンガク カマクラ』の世界を表現したセットだ。

アルバムの曲順どおり、「藤沢ルーザー」で始まり、「鎌倉グッドバイ」で終える全10曲。江ノ電セットの行き先表示が曲のたびに変わる演出にもニヤリ(ちなみにこの日のライブ前、乗り放題券を買って、急ぎ足でアルバムの風景を実際に味わったので、興味があったらギタマガ・ブログの「アジカン@鎌倉芸術館へ行く前に。」を覗いてみて下さい)。

アルバムそのものが江ノ電の駅をモチーフとした(いい意味で)リラックスしたアルバムであり、演奏も(再びいい意味で)ラフな感じで勢いが感じられた。

ビーチボーイズを彷彿させた「鵠沼サーフ」のコーラスワーク、オートワウが効果的だった「江ノ島エスカー」、喜多がこの日一番の速弾きのリックを披露した「稲村ヶ崎ジェーン」、イントロをリアレンジして、シタール風味を加えた「由比ヶ浜カイト」。そして再び弦楽カルテットを迎え入れた「鎌倉グッドバイ」まで、客席に新鮮な笑顔がハジけた。

この時点ですでに26曲を演奏していながら、アンコールは5曲!

間奏で2本のギター・フレーズが絡み合う力強いメッセージ・バラード「転がる岩、君に朝が降る」から始まり、「ループ&ループ」、「リライト」という代表曲が続く。この部分はすでにライブハウス仕様と言っても過言ではない。

最後は昨年からの精力的な活動を象徴する2曲で締められた。インスト曲「ワールド ワールド ワールド」と、もはやアジカンのアンセムとして確固たる地位を築いた「新しい世界」。紙吹雪が舞う中、後藤の絶叫と喜多のオクターブ・フレーズが鳴り響き、フィードバック音を残しながら4人は丁寧に一礼してステージをあとにした。

デビュー時から一貫してアートワークを手がける中村祐介のイラストを三次元で表現した舞台。弦楽器を入れたアコースティック・セット、アルバム丸ごと演奏するコンセプト、今やりたいことを全部詰め込み、さまざまな表情を見せたホール・ライブ。

おそらくこのツアーでしか聴けないであろうレアな曲もあり、ここで彼らの挑戦を観ておいて良かったと心から思えた。バンドの状態の良さは手に取るようにわかったし、”1年にアルバム3枚リリース&膨大な数のツアー”というでっかい山を乗り越えた自信が、この日の音に反映されていたように思う。

あれからまだ1ヵ月程度しかたっていないが、彼らはすでに自主イベント”NANO-MUGEN FES.”に向けて走り出しているようだ。

文:藤井徹(ギター・マガジン編集部)
撮影:古溪一道

【SET LIST】

01. ノーネーム
02. ムスタング
03. ネオテニー
04. ナイトダイビング
05. 無限ライダー
06. 深呼吸
07. Re:Re:
08. アンダースタンド
09. 夜の向こう
10. 君という花
11. ワールド ワールド
12. 真夜中と真昼の夢
13. 海岸通り
14. 夕暮れの虹
15. 永遠に
16. タイトロープ
17. 藤沢ルーザー
18. 鵠沼サーフ
19. 江ノ島エスカー
20. 腰越クライベイビー
21. 七里ヶ浜スカイウォーク
22. 稲村ヶ崎ジェーン
23. 極楽寺ハートブレイク
24. 長谷サンズ
25. 由比ヶ浜カイト
26. 鎌倉グッドバイ

encore
01. 転がる岩、君に朝が降る
02. ループ&ループ
03. リライト
04. ワールド ワールド ワールド
05. 新しい世界

[アジアン・カンフー・ジェネレーション - 公式サイト]

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