【特別寄稿】ライブレポート/ジャーニー by 鈴木健治

ライブ/イベントレポート by 編集部 2009年3月16日

すべての音が楽曲の一部であり、意味がある。感激のジャーニー来日公演をギタリスト鈴木健治がスペシャル・レポート!

2009年3月9日 国際フォーラム

僕はジャーニーというバンドのファンである。

今回の来日ツアー、幸運にも観ることができたのでライブ・レポートなんぞ書いてみたいと思う。僕が行ったのは初日の東京国際フォーラム。このステージには何度か演奏者として上がったことはあるが、観客として行くのは初めて。

新加入のボーカル、アーネル・ピネダ。素晴らしいライブ・パフォーマンスを見せてくれた。最新アルバム『レヴェレイション』ももちろん聴いていたが、ライブを観て改めて実感。もちろん過去のボーカルが素晴らしかったのは言うまでもなく、その呪縛やプレッシャーも相当あったことは容易に想像できる。しかし若きニュー・ボーカリストはジャーニーに新たな息吹を吹き込んでくれた。しかもジャーニーというモンスター・バンドの歴史もしっかり引き継いで。

実力のあるボーカリストが陥りがちな、”俺(あたし)上手いでしょ! 高い声だってこんなに出るんだぜ!”的な印象はまったくなく、純粋に音楽を楽しみそれを伝える姿は見ていて爽快だったし、感動もした。それを受け入れるバンド・メンバーたちの表情。とても素敵だった。”俺たちが偉いんだぜ”的な空気はまったくなし。むしろアーネル・ピネダがオリジナル・メンバー達を”やる気”にさせた気もする。

そしてニール・ショーンはやっぱりニール・ショーンだった。フロイド・ローズ付きのレス・ポールがメインで、数曲でストラトを使用。シンプルなフレーズであれだけ歌えるギタリストはそうそういない。もちろんあの逆アングルなピッキングでの超絶な速弾きも健在。しかしどれだけ弾き倒していてもすべて音楽的かつ意味のあるフレージングだった。さすがとしか言いようがない。そして、ここはこう行ってほしいというところにズバッと決めてくれる爽快さ。わかりやすいって大事なんだと実感。

「ライツ」のソロ頭のチョーキングで持って行かれ、「フェイスフリー」のチョーキングでの絶妙なピッチ・コントロールに脱帽し、「オープン・アームズ」はニール・ショーンのギターがなければロック・バラードにはなり得なかったと確信。さらに「Any Way You Want It(お気に召すまま)」でのメロディックなフレーズからたたみかけるような速弾きへの絶妙な展開。「ドント・ストップ・ビリーヴィン」での歴史に残るあのリフ……。

どれも本当に素晴らし過ぎて、知らぬ間にぐいぐい引き込まれていった。

オリジナル・アルバムを聴いて育った僕としては、過去の名曲たちを変にアレンジせず、ほぼそのまま演奏してくれたことも嬉しかった。ギター・ソロ、オブリ、ドラムのフィルまでほぼオリジナルのまま。「オープン・アームズ」のフィルはあれじゃないと! 「ストーン・イン・ラヴ」や「ライツ」のソロはあーだよね、などなど。

あれだけ長く活動して、きっと何千回というレベルで演奏してきた曲だと思うのだが、期待通り弾いてくれる。彼らほどの演奏力があれば崩して演奏することなどたやすいことだと思うのだが、要はすべての音が楽曲の一部であり、意味のある音なのだ。そして我々観衆がそれを求めていることも彼らは理解しているんだと思う。ある意味親切なバンドだ。やれ産業ロックだ、などと一部の人間に言われているジャーニーだが、そんなことファンにはまったく関係ない。だいたい産業ロックって何? 考えたやつ出てこい!ですよ。

こんなに素晴らしいバンド、そうそういませんよ。そろそろ恥ずかしがってないで出てきなさい。ホントは好きなくせに(笑)。

少し残念だったのは、初日ということもあってか、音響的に素晴らしいとは言えなかった点。中盤くらいから落ち着いてきたが、何か手はなかったんだろうか。ギターの音色はモジュレーション系エフェクトがやや深く、聴き取りにくい場面もあったが、彼が好きで出している音ならばそれは”正しいこと”なのです。

ホントにいいライブを観させてもらい、明日への勇気をもらえました。そして、ジャーニーのような”本物のライブ・バンド”がもっと受け入れられる時代になってほしいと、切に願います。

文:鈴木健治(ギタリスト)
写真 : YUKI KUROYANAGI

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