ライブレポート/ROCK LEGENDS(クリエイション)

ライブ/イベントレポート by 編集部 2008年5月8日

一夜限り(?)の再結成で見せた、クリエイションの過去・現在・未来。

ROCK LEGENDS クリエイション
2008年4月19日・JCBホール

“20分の休憩に入ります”。

そうアナウンスされると、男子トイレには行列ができていた。女子トイレは見事にガラガラだった(と思う)。この日の客層を静かに物語る光景の中で、久しぶりに膀胱が悶えた。

クリエイション、25年ぶりの復活。このひと言に何人が胸踊らせ、ここに足を運んだことだろう。

過去に”竹田和夫 クリエイション2005″などでの一時的復活はあったが、今回は”あの時”を蘇らせるという主旨もあり、25年ぶりと呼ぶのは間違いでなさそうだ。

メンバーは竹田和夫(g、vo)を筆頭に、ブルース・クリエイション時代からのオリジナル・ドラマー、樋口晶之、後期クリエイションに参加していたヒロ小川(b)、1994年のフェリックス・パッパラルディへのトリビュート作やCrossover Japan ’05でも共演しているミック三国(key)という布陣。

ステージ上は、先ほどまでの四人囃子と違っていたってシンプル。竹田のテリトリーにはぽつんとフェンダーのコンボ( Vibro Kingか?)があるのみ。足下はチューナーとブースーター程度かと、2階席からそう見受けましたが果たして。

ミック三国のイントロダクションに導かれ、光の向こうよりメンバーが登場。「Pretty Sue」によって時は埋められた。竹田の手には、鮮やかなチェリー・サンバーストがまぶしいレス・ポール……と思ったらシングル・カッタウェイのPRS。

名リフ・クリエイター竹田の面目躍如たる「Pretty Sue」。彼らの豊富な栄養源だったマウンテンを思い起こさせる、この大きなリフ。そしてなんとも色気たっぷりなトーン。そう、このトーン。わかる人にはわかってもらえるだろう、なんだかとてつもない感動が込み上げる。

1997年、竹田はアメリカLAに完全移住。彼の地では、ブルースでもロックでも、はたまたハードロックでもない、紛れもない、純度100%なビ・バップを演奏している。この転身(?)、知らなかった人は度肝を抜かれるかもしれないし、なるほどと納得するかもしれない。

2003年のある日、私はまる一日の時間をもらって取材させていただいた(特集は2003年『ギター・マガジン』7月号に掲載)。その席で彼は、コマーシャリズムに堪えかねて移住したと言い、現地での暮らしを”大正解”と語った。その目には一点の曇りもなかった。

クリエイションのことを、子供だったからね、なんて愛情を込めつつ言い切った姿に、再結成はないなと、そう思わされた。

それくらい当時のKTQ(Kazuo Takeda Quartetto)での活動は順調なもので、その素晴らしさは『ギター・マガジン』2003年12月号にて展開していただいた「竹田和夫のジャズ・ブルースに愛を込めて」という直伝セミナーからもうかがい知れるだろう。

そんな経緯もあって、彼がソリッド・ボディ&ラウンド弦で、ハードにチョーキングする姿が観られるなんて、これぞまさに夢のよう、とは決して言い過ぎではない。本人でさえ、こんな話(Rock Legends)がなければ今日の姿を想像できなかったのではないかと思う。

ブルーなバラード「Lonely Night」が明け、竹田が口を開く。「サンキュー、こんばんは。34年の時空を超えて、皆様とこの時を分かち合えることを感謝します。サンキュー、あとは上がっていきます」

34年前……逆算するまでもなく、クリエイション結成の時を指している。

ステージは「You Better Find Out」へと連なる。ここまではすべて名盤『クリエイション』からで、あとで気づいたことだが、この流れ、あのクリームのプロデューサーであり、マウンテンのベーシスト、フェリックス・パッパラルディを迎えて行なった1976年の武道館ライブと同じ。

ライブ・アルバム『LIVE AT 武道館 1976 CREATION WITH FELIX PAPPARARDI』は昨年CD復刻されている。つまりこれは、竹田ならではの気の利いた演出なんでしょう。ちなみにオリジナルで聴けたもうひとりの名手、飯島義昭(元イーヴル)とのツイン・ギター・フレーズは、ミック(k)とのかけ合いで再現。これについては、本当はツイン・ギターが観たかった!ってファンは少なくなかったはず。

さて。またまたマウンテン風味の「Secret Power」、R&B~サザン・ロックな「Dark Eyed Lady Of The Night」という件のライブ盤の流れが再び顔をのぞかせたのち、時代は80年代に突入する。

大規模なメンバー・チェンジ(竹田以外すべてを一新)とポップへの転化を試みた『LONELY HEART』(81年)からを中心に6曲ほど、良くも悪くもシンセ時代の残り香を漂わせた。この選曲は、ヒロ小川が加入して以降のクリエイションを再演するという狙いだったのか。

とはいえ、なにせ竹田のギターはイキイキとしている。甘味なソロをたっぷり披露したバラード「Johanna」では、一瞬スウィープをはさんだりバップ・フレーズも聴かせてくれた。それを”余裕”と言えばいいのか、昔は”ギリギリ”な感じがひとつの魅力だったかもしれないが、この安定感からは並々ならぬ努力と経験が垣間見られ、現在の彼の大きな魅力のように感じた。

その後すぐ、今回の復活がシャレでなく本気だとわかる瞬間が訪れる。おもむろに用意されたイスに座すと、竹田はPRSのままバップをやり始めた。

派手な演出はおろか、ギター・チェンジもせず(本来はハコ&フラットワウンド弦が弾きやすいだろうに)、クリエイション名義のこのステージで、現在進行形の姿をねじ込んでみせたのだ。そしてまあ、そのカッコいいこと!

80年代の再演ではなく、ブルース・クリエイションあたりまでさかのぼることを密かに期待していたファンなんかは、このバック・トゥ・40sなサウンドに思わず息を呑んだことだろう。クール&スムーズな「Stormy Monday」……どうだ!と言わんばかりの切れた感じ。

「それが素晴らしいと思うなら、素晴らしいと言うだけで1/5も弾けないのは嫌なのね。それが素晴らしいんだったら、それをやっぱり、弾いてみたいよね。こんなにドライブする。スウィングしてドライブして、鉄壁なリズムで、このメロディ・ライン。こんなソロを弾く人が50年前にいたなんて、許せないんだよね。もう、自分も弾きたいんだ(笑)。僕のギター人生は単純にそれのくり返しかもしれない」

そう語った5年前。竹田はいつでもギター・キッズということだ。だからこそ進化できる。懐古趣味に終わらせないという狙いがあったかどうかはわからないが、多少なりともあったろう彼の思いに触れ、心が震えた。思えば、なにせ”クリエイション”なんだからね。

その後は全開。ドラムがリズムを刻み始めると、「イントロ当てクイズ! What is this?」なんて始める。「OK! This one call [Tokyo Sally]!! year!」

大名盤『ピュア・エレクトリック・ソウル』から再び余裕のトーンを響かせる。複音で展開するソウル・リックも抜群。慣れない機材のはずなのに、気持ちのいい艶やかなトーンを紡ぐ。プレイのみならず、”ギターの鳴らし方”という点からも職人ぶりを示してくれた。

本篇最後は、ブルース・クリエイション期からの十八番「Tobacco Road」。

あのブルージィで重めなリフをバシバシ決めながら、竹田は叫ぶ。ソロ回しこそ冗長に感じたが、34年の時を経てもくすまないその光はすごい。竹田がリフを弾けば、ベンドすれば、クリエイションになると改めて知った。

「どうもありがとうございました、おやすみなさい。Take care, good night」……大喝采。ただし、アンコールはもう、みんなわかってる。だってこれを聴かなきゃ始まらないし終わらない。さあこい、ザ・ファンクス!

♪タラララッタラ・ターラ・ターラ、タラララッタラ・タッ・タッ・タッ!

イントロ・リフ明けのソロなんて、”グレコ・カセット”じゃないけどロック・ギターの教科書と言ってもいい。「Spinning Toe Hold」。期待を裏切らない、嬉しいまでのキメキメ、これがいいのだ、サイコーなのだ。

約90分のステージに幕が下りた。

しかし伝説はこれで終わらない。

5月18日(日)・日比谷野外大音楽堂”JAPAN ROCK BAND FES.2008″

頭脳警察(!)、紫(!!)、めんたんぴん(!!!)を向こうにまわし、なんと今度は、ブルース・クリエイション(!!!!)で出演するという。メンバーは大沢博美(vo)、佐伯正志(b)、樋口晶之(d)、竹田という1970年の黄金メンバー。

う~ん、どうしちゃったんでしょう? とりあえずなにごとかを確かめに行きますか。

文:渡辺真一(アコースティック・ギター・マガジン編集部)
写真:吉浜弘之/テレビ朝日

【SETLIST】

1. Introduction
2. Pretty Sue
3. Lonely Night
4. You Better Find Out
5. Secret Power
6. Dark Eyed Lady Of The Night
7. Try Me Tonight
8. New Way New Day
9. Johanna
10. New York Woman Serenade
11. Lonely Heart
12. Mama You Don’t Cry
13. Takeda Solo
14. Stormy Monday
15. Dreams I Dream Of You
16. Tokyo Sally
17. Tobacco Road

--ENCORE–
18. Spinning Toe Hold

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