vol.07 対談:セッションを終えて

江森正敏と渡辺具義のサオモノ談義 by 編集部 2013年3月8日

江森正敏、渡辺具義両氏によるお互いの書籍のレビュー的な書簡のやりとりに始まり、書籍の内容を実際に演奏していただいたセッションを経て、ついにこの”サオモノ談義”も今回で終了。最後にお2人に、実際に音を出してみて感じたことや、練習方法、理想のプレイヤー像などなどを、自由に語っていただいた。何らかのヒントを見つけてもらえたら、これに勝る喜びは無い。

130215-saomono-ph1.jpg

▲江森正敏(L)、渡辺具義(R)

人と音を出すことの大切さ

渡辺 今日は久しぶりに一緒に演奏できて、とても楽しかったです。

江森 僕も楽しかったです。でも、「本に書いたことを演奏しなきゃ!」とか考えていたから、ちょっと難しかったところもあった(笑)。

渡辺 確かに、そこは難しかったですね。

江森 普通のセッションとは全然違って、分かりやすく弾こうっていうのもあったし。

渡辺 「ここはモードです~」みたいな。「はい、いまはアルペジオです~」っていう感じで、分かりやすく弾きましたよね。

江森 そうそう(笑)。

渡辺 でも実際には、僕はマイナーペンタ一発でソロをすべて終わらせる場合だってあるんですよ。これは、そう弾きたいと思ったかどうかによる。そういう風に、チョイスできるところまで持っていけたら良いですよね。

江森 あえて弾かない、とかね。

渡辺 弾かないのも大事です。まあ今日は、ある意味では邪念のカタマリみたいなセッションだったということで(笑)。でも、今回の演奏はテクニックや手法を伝えるためのものだから、そこが分からないと意味が無い。これだけ本を書いていて、2人ともマイナーペンタ一発で済ましてしまったら、聴いている方は「なんなんだ?」ってなりますからね。

江森 それはそうだよね。「本に書いてあること、何にも使ってないじゃん!」って(笑)。

渡辺 そういうテクニック的な部分もお見せしつつ、「実際に人と音を出して演奏しよう!」というのも、大きなメッセージとしては今回はありました。人と音を出さないと、やっぱり上達しないでしょう。相手の演奏を理解するためには、耳を鍛える必要もありますしね。江森さんの『ベース・ライン完全攻略』でも音楽理論の深いところをかなり書いていますが、そういうことをちゃんと聴覚でとらえられるようになる必要があるんです。よく「理論なんか知っても意味が無い」と言う人がいますけど、それは聴覚でとらえられていないから出てくる意見なんですよね。それで、「ウェス・モンゴメリーは理論を知らなかった」なんて言ったりする。でも、それを心の支えにしてはいけないと思うんです。なぜかと言うと、ああいう人たちは自分の中でちゃんとしたメソッドを持っていますからね。「こういうコードの流れのときはこう弾く」とか、弾こうと思った音がどこにあるのかとか、完全に把握している。指板の理解も、当然深いですし。ただ、理論という”世界共通の言葉”を知らないだけなんです。そしてまた、あのような偉大な方々も謙遜しているんでしょうね。

江森 天才と呼ばれる人は確かにいるし、僕の知り合いでもそういう人がいます。彼らはいわゆる理論のことは分かっていないけど、何かを弾いてみせると、「ああ、それか! それならすでに弾いているよ」となる。記憶として、既に体に入ってしまっているんです。さんざんいろいろな演奏を聴いてきて、それが統計立てられて体に収納されている。実際にトランスクライブは多数行なっていますし、1回聴いただけで曲を全部覚えてしまったりもする。彼らにすれば、自分がやっていることを後から理論が説明してくれるような感じなんでしょうね。そういう人も確かにいますけど、ほんのごくわずかでしょう。だから僕は苦労して理論を勉強しています。また、人よりもいっぱい練習しないといけない人間だというのが分かっているから、練習もするんですよね。

ボキャブラリーを増やす

渡辺 そういうことだと思います。そして、理論を勉強したり練習を重ねることで、広がりますよね。自分の知っている枠だけにとどまらず、理論からもアプローチできるし、理論を知ることで確信を持つこともできる。「ああ、こういうことか」、みたいな。

江森 理論も勉強して、それをいろいろ実践できるようになってきて、もっと何か新しいことを探したいとなったら、そこで初めていろいろなことができるようになってくるんだと思います。例えば、アウトサイド。ジョン・スコフィールドはアウトサイドの仕方がすごくうまいけど、彼の中では普通にインサイドで弾くことをさんざんやってきて、でも、もっと表現したいことがあったんだと思います。だからあのアウトサイドは自然に聞こえるし、自信に満ちあふれているし、説得力もある。やっぱり彼も、一生懸命練習した時期はあると思いますよ。

渡辺 死ぬほど練習しているでしょうね。

江森 マイク・スターンも、バークリー時代は練習の鬼だったみたい。

渡辺 その上での発想だと思うんですよ。同じ肉体能力を持っても、発想が大事ですよね。天才と呼ばれる人たちは、そのスピード感も全然違うんじゃないかな、と思います。閃いたことを、すぐに出せるというか。メトロノームに合わせた練習だけでは、あれは無理でしょう。

江森 僕はベースだから、必ずと言ってよいほど他の楽器と演奏するんだけど、共演者からインスパイアされることも多いですね。「あれ、この音を弾きたくなった」って、今までに無かった自分を発見することもある。

渡辺 だから練習においてもそうですけど、聴くことの大切さですよね。そういう意味では、いろいろな音楽を聴くこともとても大事でしょう。ジャズを聴いたことが無いのに、例えばオルタードなんかは弾けないですから。絶対にタイミングや雰囲気をつかめないし、聴くことで体に入ってきて、実際に自分が演奏の場で「ああいう雰囲気でいま弾きたい!」と思う。その欲望みたいなものがないと、絶対にダメですよね。もちろん、そういう音楽が好きだというのも前提条件でしょう。でも、いかに効率良くそういうところにいけるか。そういう部分で、今まで自分なりに考えてきたことを僕は教則本にまとめています。もちろん学校でも勉強はしましたが、自分で考えて、自分の中で整理して出来上がった考え……「こういうふうになっているのか」「こういう練習をすればここに早くいけるな」、ということですね。「こういう本が僕の若いときにあれば……」という本を、書いているつもりなんですよね。

江森 そうやって練習や勉強をしていろいろなことが分かってくると、音楽の楽しみ方も増えると思いますよ。「これ、分からないなぁー」と思った音楽が、「これはもしかして、あの時に勉強したあれかな?」となる。そこから始まると思うんだけど、いろいろなことが自分の耳に入って理解できるようになる。そうすると、また喜びも多くなるし、それを使ってなんかやってみようかとか、曲を作ってみようか、となる。

渡辺 ジャズなんか、最初に聴いたときは何がなんだか分からなかったですよ。

江森 「何が楽しいんだろう?」ってね(笑)。

渡辺 何にも面白くなかった(笑)。まず、意味が分からなかったし。

江森 そう(笑)。

渡辺 でも、あれが最初から楽しい人は、ちょっと変だと思います(笑)。だって、「デタラメ弾いてるだけじゃん!」って思いますから。それは、やっぱり聞こえないからなんですよね。

江森 ビバップもフリージャズも、全部同じに聞こえちゃうっていうね。僕も、最初はマッコイ・タイナーのやっていることが全然分からなくて、嫌だった。ただギャンギャン弾いているだけに聞こえて。でも勉強していって、例えばペンタトニックなんかが体に入ってくると、「あ、これはあのペンタトニックじゃん!」ってなるんですよね。

渡辺 聞こえるようになる。

江森 そうすると、その発見が面白くなってくるわけ。

渡辺 あの快感はすごいですよね。ぱって響いた瞬間に……。

江森 「これだ!」っていうね。渡辺さんのモードの本にも書いてあったけど、言葉を覚えていくのと一緒でしょう。ある言葉の意味が分かったら、街でその言葉を耳にして理解できるとうれしいし、自分がその言葉をしゃべって相手に伝わればまたうれしい。

渡辺 それですよね。ボキャブラリーを増やすという作業が、大事なんだと思います。

江森 で、何も難しい言い回しだけが偉いわけじゃない。

渡辺 ストレートに伝えるのが良い場合もありますからね。

江森 同じ意味のことを伝える際に、難しい言い方もあれば、簡単な言い方もある。これは、その時の状況に応じて選択していくべき。例えば、すごくフレンドリーな間柄なのに堅苦しい言葉遣いだったら、それは変じゃない?
フレンドリーな相手だったら、くだけた話し方の方が意思疎通はしやすいわけだから。音楽も一緒で、その状況に応じて話し方を変えていく必要があると思う。

渡辺 だから、音楽を演奏するのは大変なんです(笑)。その上で、やっぱり音楽は楽しいものだということ。もちろん、何も分からない最初から音楽は楽しめましたけど、「いろいろ分かってくるともっと楽しいですよ!」っていうことですよね。

理論とテクニックのバランス

江森 確かに音楽は楽しいものです。だけど練習とか勉強は、じみ~な作業ではあるんですよね(笑)。

渡辺 しかも、1人での練習は響かないから楽しくない。でも、『ベース・ライン完全攻略』の付録CDを使えば、楽しく練習できそうですね。

江森 ありがとう。今回のCDは、聴いていて疲れない、何度も練習したくなる、というのを目標にしたところから始まって、ベースのマイナスワンだから、ベースと音域がかぶらないようなオケにしたり。そういうことをふまえて、制作をお願いした作・編曲家の大平勇さんと相談しながら作りました。

渡辺 あのCDは、ギターの練習でも使えると思いましたよ。しかもII-V-I等の進行でのベースのマイナスワンが多いから、自分の段階に応じた使い方が可能じゃないですか?

江森 確かに、あるフレーズのためだけの音源ではないので、初心者から上級者まで、自由に使えるようにはなっています。音楽は気合や根性では演奏できないものですから、ぜひ日々の練習でこのCDを使ってほしいですね。それから、楽器を弾くというのは肉体を使うということですから、アスリート的な訓練や基本的なトレーニングも大切になってくる。だから肉体を酷使する部分もあるし、それと同時に理性をもって理論を学ぶ必要がある。つまり、頭と体の両方を同時に使う感じですよね。本の中でも書いたけど、理論ばっかりが先行して頭でっかちになって演奏が追いつかない場合もあるし、基礎トレばっかりやってすごいテクニックはあるけど、弾いているのはめちゃくちゃっていう場合もある(笑)。そういうバランスがとれない状態では良くないですからね。

渡辺 その辺は、時期の問題もありますよね。通過点として、そういう偏った時期は誰しも絶対あるというか……。

江森 僕も最初は、テクニックばっかりが先行していましたよ。

渡辺 僕もそうです。

江森 弾いている音が何の音で、どんな意味があるのか、あるいは何のスケールなのか。そういうことが分からない状態でした。バンドスコアを買ってきては、それをまるまるコピーして、元のCDと一緒に弾いて満足、とかね。

渡辺 それができないと、運動的な能力は上がらないわけですよね。でも僕は、その時点でもう少し理論的なところも勉強していればよかったなっていう後悔があります(笑)。

江森 僕も同じです。でも、当時は実用的な教本や理論書に出会えなかった。勉強したくてもどこから手を付けて良いのかも分からなかった。だから、これから音楽を学ぼうとする方々には、ぜひ私たちの本を活用してほしいですね。

理想のプレイヤーとは?

江森 音楽を演奏するには、そういういろいろなものが求められることを前提として、ギタリストにとって良いベーシストはどんな人だと思います?

渡辺 リズムが良いのは、当たり前ですが”絶対”ですね。あと僕は、どれだけ曲の全体が見えているか、聞こえているかが大事だと思います。土台の楽器なので、曲のダイナミクスの部分をすごく担っている。ギターでいくらいろいろ弾いてみても、下から持ち上げていてくれないと盛り上がらない。あるいは、ぱっとベースが抜けることで、浮いた感じを出すこともできる。あとは、いきなり上のラインから駆け下りてきた時の高揚感とか。その上で下に降りて、ドーンって支えるとか。そういうドラマの作り方がうまい人、曲に対する理解を深く持っている人。そういうところが、一番大切ですかね。そう考えると、ドラマーに求めるところとかなり似ていますね。セクションの変わり目で、その世界観を変更できるのはドラムとベースだと僕は思っているので……。だから、ずっと同じ音量で弾かれたりすると、ちょっとしんどいですね(笑)。いくらリズムが良くても、それでは面白くもなんともないですから。あとは、メロディアスでいてほしいという部分もありますね。ルートだけというのではなく、「おお、そこで3度に行くんだ!」、みたいな。メロディアスだとテンションが上がりますね。逆に、江森さん的に良いギタリスト像ってどんな感じですか?

江森 アンサンブルを考えてくれるギタリストが、僕にとっては良いギタリストです。ギターだけで音楽を完成されてしまうと、ベーシストの自由が無くなってしまいますから。まあ、ギター音楽として確立されている部分もあるし、ギターが前に出るパターンはすごくあるけど、「ベースは8分でルートだけ刻んでいれば良いんだよ」ってなるよりも、ベースの可能性も理解してほしい。もちろん、ベースはリズム・セクションの一部としての役割もあるんだけど、ベースはギターの人足ではないんだ、ということです(笑)。

渡辺 ちょっと怒りがはみ出しましたね(笑)。

江森 いやいや、怒ってはいませんよ(笑)。しかし、ベースに限らず、それぞれの楽器のことを理解しているミュージシャンとは、一緒に演奏していて楽しいですよね。

渡辺 そうじゃないと、楽しくないですよね。

江森 アンサンブルという部分では、今日はピアノもあったから、コード楽器同士がぶつからないようにするのにとても神経を使ったと思います。特にピアノとギターって、すごく難しいでしょう?

渡辺 難しいですね。

江森 音域的な問題もあるし、1つのコードに対してもさまざまなテンションの選択肢がある。それで解釈が違ってぶつかったりもしますよね。それもまた面白いけど、うまくいかない場合もある。

渡辺 結構ありますよね(笑)。そのピアニストのハーモニーに対する感覚が分かっていると、一緒に演奏しやすいですよね。「この人だったら、こういくだろう」っていうのがね。相手もこっちのことを分かっていれば、音を抜いてきたり、足してきたりしますから。

江森 イリアーヌ・イリアスがブルーノート東京に来た時に聴きに行ったけど、ピアノとギターがぶつからないで、すごく綺麗にアンサンブルできていたのね。それでギタリストのルーベンスに「どうして?」って話を聞いたら、コード表記にきちっとテンションが書かれていて、ギターの役割としては2~3音で表現できるんだ、と言っていました。その上で自分の役割、立場を、ベースとピアノの中で判断しながら弾いていると……。そして、イリアーヌが薄い感じでピアノを弾いていたり単音でソロを弾いていれば、しっかりしたコードワークを入れるときもあった。だからコード楽器同士でぶつからないためには、まずコードの解釈が統一されているのも大切かもしれませんね。

渡辺 そうですね。あと歌ものの場合は、まずメロディを考えないといけない。その次に、ピアニストとどういう役割分担にするかを考える。そういう感じですかね? では最後に、読者の方に向けて2人からのメッセージを送りたいと思いますが、いかがでしょう?

江森 良いですね。家でじっくり書いてメールします!

130215-saomono-ph2.jpg

 

渡辺具義よりのメッセージ

音楽はさまざまな楽しみ方があると思います。単に好きなアーティストをコピーしてCD等に合わせて演奏する。これも1つの形だと思います。私自身、学生の時はそうでした。しかしそのコピーしたものが、一体どうなっているのか? そういったことを研究し、自分でカッコいい音楽が作れるようになれば、さらに楽しいんじゃないでしょうか?

初めて出会った人と音を出して一緒に演奏、セッションできれば、とても楽しいと思います。私は留学して学校に入った時はそういったことが全くできず、コピーした曲を弾けるだけでした。しかし音楽を作るため、人とセッションするためにたくさん勉強し、練習をすることによって、今まで聴こえていなかった音がいっぱい聴こえるようになり、何倍も音楽が楽しくなりました。そして、それらの聴こえ始めた音をギターで表現できるように、またさらに練習をする。その積み重ねで、現在も昨日よりも今日、今日よりも明日はもっと音楽が楽しくなる毎日を過ごしています。

何事もそうだと思いますが、たくさん練習、研究しないと、より一層は楽しめないと私は思います。野球やサッカーといったスポーツが好きな人は、たくさんいると思います。その中でも実際にそれらのスポーツをされる方々は、全くやらない人よりは楽しみ方をいっぱい知っていると思います。さらに、プロの選手なんかは比べものにならないほど、そのスポーツの楽しさ、難しさを知っているに違いありません。同時に、練習の大変さも知っているでしょう。しかし練習することによって、さらにそのスポーツが楽しめることを知っているので、練習も苦しいだけではなく、楽しみながらできはずです。音楽も全く同様です。

音楽は”音を楽しむ”と書きますが、さらに楽しむためにたくさん練習と研究を重ねることで、新たなステップに上がることができます。決して自分自身にリミットを作らず、信じて努力すれば新しい世界、もっと音楽を楽しめる自分自身に出会えるに違いありません。音楽はさまざまなとらえ方、考え方がありますが、私自身が最善と思えたメソッドを教則本にしてまとめています。皆さんがこれまで以上に音楽を楽しめるお手伝いができれば幸いです。

渡辺具義

江森正敏よりのメッセージ

なんの打ち合わせも無く、楽器を引っ張り出していきなり弾き始めたセッションでしたが、いかがでしたか? 荒削りではありますが、こうして楽しくセッションできるのも、理論を含めた音楽に対する知識と、これまでの練習の積み重ねがあってこそです。

互いに共演者の演奏を理解し合えるようになれば、その楽しみは何倍にも広がります。そして、理解し合うためには、お互いに共通の知識が存在しなければなりません。言語と一緒です。相手が何を言っているのか分からなければ、コミュニケーションは成り立ちません。また、自分の話す言葉が相手に伝わらなければ、独り言を言っているようなものです。音楽においては、その共通言語となるものが”理論”ではないでしょうか?

また今回のセッションでは、1つのコード、またはコード進行に沿って演奏を繰り広げています。それはある意味、ルールに従ってゲームをする感覚です。そのルールの中で互いにさまざまな可能性を探り、演奏をしています。もしルールを知らないままゲームを始めたら、何から手を付けて良いのか分かりませんし、滅茶苦茶になりますよね? 反則ばかりしていたらゲームが成り立ちません。ですから、”理論”を学習することはルールを知ることと同じであるとも言えるでしょう。

さらに、共通言語やルールを学ぶだけでなく、それらを具現化できるだけの技術も増やさなければなりません。それが”練習”となります。練習を怠れば、表現したいことも、より良い演奏をすることもできなくなってしまいます。

このように言ってしまうと演奏することがとても辛く、厳しいものとして感じてしまうかもしれませんね。しかし、音楽(演奏をすること)を通して、それ以上の喜びや、かけがえのない経験を持つことができるのです。その1つとして、人と人との”つながり”があります。

例えば、もし私がベーシストとして音楽に携わっていなかったとしたら、今回のセッション共演者である渡辺具義さんとは一生会うことが無かったかもしれません。しかし、彼とは普段馬鹿なことばかり言い合っていますが(笑)、私にとって尊敬するギタリストであり、今となっては大切な友でもあります。今回のピアニスト古垣未来さんとは初共演でした。つまり、また新たな出会いがあったのです。音楽を通して、さまざまな輪が広がっていきます。これまでにミュージシャンだけでなく、スタッフの方々、ライブ会場にいらしてくださった方々、そしてリットーミュージックの山口一光さん、山本さなえさんといった出版業界の方々、そのほかたくさんの方々とも知り合うことができました。このコミュニケーションの輪は、これからも広がり続けます。なんて素晴らしく、ありがたいことなのでしょう!

ですから、このサイトをご覧になった皆さんも、音楽への理解をさらに深め、積極的にセッションに参加してください。私が書いた『ベース・ライン完全攻略』がそのお役に立てればと願っております。そして、職場や学校といった枠を越えて、さらにコミュニケーションの輪を広げてください。きっと皆さんの人生がより豊かになることでしょう。音楽にはそんな力もあるのです。

さて、私もそろそろ練習に戻らなければ……。

江森正敏

江森正敏(えもり・まさとし)

1969年11月20日生まれ。ミュージックカレッジメーザーハウスにて井野信義氏に師事。1995年渡米。クラッシックをTom Pedrini氏(元LAフィル主席)、ジャズをDavid Enos氏に師事する。ロサンゼルスにてライブ活動の他、映画音楽のレコーディング等に参加。2000年に帰国し、ライブ活動の他、レコーディング、TV 出演、ミュージカル等、幅広いジャンルで活動。

渡辺具義(わたなべ・ともよし)

19歳で渡米、ハリウッドのMusicians Instituteに入学。在学時、特にジャズやフュージョンのスタイルを学ぶ。卒業後は、アドバンス・クラスを9ヶ月講習し、さらにロス・ボルトンやデ イブ・ヒルのプライベート・レッスンも受ける。帰国後、都内専門学校で講師を務めるほか、シンガーのサポート・レコーディングや、自己のバンド等で活躍 中。著書には『ギター・コードまるわかりBOOK』、『ギター・コードまるわかりBOOK リアルに使えるコードワーク編』、『必ず身に付く!ギタリストのための譜面力UPドリル』、『ギタリストのためのオープン・コード事典』、『一生使えるギター基礎トレ本』、『一生使えるギター基礎トレ本 ソロ強化編』などがある。

関連リンク

TUNECORE JAPAN