【連載】泣きのギター研究会(10)ザック・ワイルド

泣きのギター研究会 by 編集部 2009年1月6日

語られていたようで語られていなかった”泣きのギター”に迫る企画! ボーカリストのハイ・トーン・シャウトのような生々しさを感じるザックのチョーキング。

研究員1号:みなさん明けましておめでとうございます。

研究員2号:今年もよろしくお願いいたします!

1号:さて新年早々、嬉しいお知らせじゃ。なんと、この研究会に研究員が増えたのじゃー!!

2号:わーい。3号だ!私の部下(?)だ!

1号:今回はその3号に原稿を書かせてみた。

2号:3号は、昨年12月に発売された『極めよ! 泣きのギター道』を担当した編集者でもあります。

1号:そう、そして『地獄のメカニカル・トレーニング』シリーズの担当編集者でもありまして……それで今回スポットを当てたアーティストは、こちら!

2号:はい、ブルズ・アイで有名なあの方です。どうぞお楽しみください。


ザック・ワイルド

(文:泣きのギター研究会・研究員3号)

学生時代はHM/HRの世界にどっぷり浸り、ここ数年は教則本『地獄のメカニカル・トレーニング』シリーズの編集に携わっている僕は、”泣き”といえども、どこかにテクニカルな要素を求めてしまいます。エモーショナルなチョーキングと速弾きによる緩急……そういったフレージングに出会うと、グッと来るわけです。

ひとえに速弾きと言っても、さまざまなスタイルがあります。速く弾くためには、やはり無駄な動きを極力省いた方が良く、スウィープやエコノミーなどが代表スタイルになりますね。

ただ、個人的にはそういう”スタイリッシュ”なスタイルよりも、パワーで強引に押し切るフル・ピッキングの方が好みです。低音弦にのみブリッジ・ミュートを掛けて、フル・ピッキングで上昇していくフレーズを聴くとゾクゾクしてしまいますね(笑)。

このような僕の嗜好性にピッタリ当てはまるギタリストと言ったら、やっぱりザック・ワイルド。

「ソールド・マイ・ソウル」(ソロ名義の『ブック・オブ・シャドウズ』収録)や「ウォント・ファインド・イット・ヒア」、「フィアー」(ともにブラック・レーベル・ソサイアティの『ハング・オーヴァー・ミュージックVol.6』収録)のソロは、熱いチョーキングとマシンガン・ピッキングが見事に融合した泣きの名演だと思いますね。

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ザック・ワイルド
『ブック・オブ・シャドウズ』

ユニバーサル・ミュージック・ジャパン

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ブラック・レーベル・ソサイアティ
『ハングオーヴァー・ミュージック VOL.6』

ユニバーサル・ミュージック・ジャパン

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泣きといったらチョーキングがポイントになりますが、ザックのチョーキングにはボーカリストのハイ・トーン・シャウトのような生々しさを感じます。僕は、この”生々しさ”はビラートとワウによって、より強調されているのではないかと思っています。

ザックのビブラートは、揺れ幅がとにかく大きい。正直に言って、あの強力なビブラートは彼の格闘家のようなブッ太い腕だからこそ弾けるのではないでしょうか。まさに力で押し切っているといったところですね。

ただ、その圧倒的なパワー感が、サウンドに唯一無二の説得力を与えているのは間違いないかと思います。

ワウ・ペダルももはや彼の身体の一部のようなもので、ソロになると必ずと言っていいほど踏みます(場合によっては、バッキングでも使用しています)。

あのワウによる極端な音域の変化が、彼の感情のうねりを見事に表現しているのではないでしょうか。特にチョーキング時に踏み込むことで、高域が一気にブーストされて、高まる感情が爆発した”叫び”のようなサウンドを生み出していますね。

ワウ・ペダルは、サウンドを弾き手の思いのまま瞬時に変化させることができるエフェクターですので、ギタリストの感情の変化を音で細かく表現する”泣き”との親和性がもともと高いのかもしれませんね。

泣きは、一般的には哀愁感や色気をどう演出するのかということが肝になります。ただ、ザックの”泣き”は、そういった要素を踏まえながらも、聴き手の心をガツっと掴んで直接揺らしてしまうような突き抜けた力強さを感じますね。まさに漢(おとこ)の世界。これからもザックには、その強靱な肉体を駆使して、桁違いのインパクトを放つ”泣き”を弾き続けていってもらいたいですね。

蛇足ですが、ブラック・レーベル・ソサイアティのライブDVD『ヨーロピアン・インヴェイジョン』には、ザックが筋トレを行なっている特典映像が収録されています。

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ブラック・レーベル・ソサイアティ
『ヨーロピアン・インヴェイジョン』

高重量なバーベルをガンガン上げている彼の姿は、もはやWWEのプロレスラーのようです。その映像を観ていると、思わずギター演奏にも実は筋肉が必要不可欠なのではないかという考えに支配されそうになります……(ちなみに、本作に収録されている「イン・ディス・リヴァー」は盟友ダイムバック・ダレルに捧げた楽曲ですが、まさに入魂と言える熱い泣きのプレイが炸裂しています!)

■「イン・ディス・リヴァー」収録CD

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ブラック・レーベル・ソサイアティ
『Mafia』

→Amazonで購入

[泣きのギター研究会・研究員3号:鈴木健也]

[ザック・ワイルド/ブラック・レーベル・ソサイアティ - ユニバーサル・ミュージック・ジャパン]

[ザック・ワイルド 公式サイト](英語)

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【お知らせ】

“泣きのギター”にスポットを当てた教則本

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『極めよ! 泣きのギター道』
ロック・ギタリストのための”歌う”ソロ・トレーニング

著者:森山 直洋
A4変型判/104ページ/CD付き
1,680円(本体1,600円+税)
2008年12月19日発売

→詳細はリットーミュージックホームページで

TUNECORE JAPAN