【ギター・バトル音源付き】著者たちの語らい--田光マコト & 加茂フミヨシ(3)

加茂フミヨシ式ギター・トレーニング by 編集部 2010年1月29日

田光マコトと加茂フミヨシの対談最終回。今回は”YOUNG RECORDS”を主宰する田光氏と、”COMRADE RECORDS”のレーベル・マスターである加茂氏が、インディーズ・レーベルについて語る。そして最後には、ザ・ファンキー・パーマネンツの曲「Kitty Strut」でのギター・バトルも! もちろんここでしか聞けない貴重な音源だ。ぜひ楽しんでほしい。

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▲左/田光マコト 右/加茂フミヨシ

「著者たちの語らい」のコンセプトはこちら
※田光マコトのプロフィールは、このページの下を参照

●インディーズ・レーベルの良さと難しさ

加茂:田光さんはインディーズ・レーベル、YOUNG RECORDSをやっていますよね。僕もCOMRADE RECORDSというインディーズ・レーベルのレーベル・マスターをさせてもらっているんです。田光さんがレーベルを始める経緯について教えていただけますか。

田光:元々はザ・パーマネンツがメジャーで出せなくなったときに始めたレーベルなんですけど、その後下北沢でよく対バンしてた仲間内のバンドでオムニバスCDを作ろうってことになったんです。それが本格的にレーベルとしての活動をスタートさせるきっかけでしたね。オムニバスに収録していたバンドが単独アルバムを作ったり、そこから噂が広がってウチから出したいって言ってくれるアーティストが出てきたり。

加茂:ミュージシャンの和が広がっていってレーベルになったんですね。

田光:そういう意味ではコミュニティー的な感じですよね。それがどんどん広がっていけば面白いんじゃないかなと。これが真のインディーズなんじゃないかな〜と勝手に思ってます。

加茂:僕の教則本『ひたすら弾くだけ! ギター・トレーニング』シリーズは、全てYOUNG RECORDSさんにマスタリングをお願いしていると担当者から伺いました。いつもありがとうございます。シリーズ最新刊の『ひたすら弾くだけ!超絶ギター・トレーニング』でのギター・プレイは、田光さんから見ていかがでしたか?

田光:いやいやもう「恐れ入りました!」のひと言ですよ。加茂さんがひたすらあのフレーズを弾いてるのが目に浮かぶというか、ほんと加茂さんが生粋のギター小僧だったのがよくわかります(笑)。僕が若い頃にもあんな本があったらよかったなぁ。

加茂:ありがとうございます、恐縮です。

田光:加茂さんは若い頃教則本とかよく買いました?

加茂:僕は教則本は正直あまり買わなかった、というか、当時の教則本のフレーズが自分の好みではなかったんですよ。だからもし将来自分が教則本を書く機会があったら、なんというか教則本をやるモチベーションが少しでも高くなるようなものを作りたいとは思ってました。うーん、頑張って練習しなければ・・・みたいな感じだと何かが違うと思ってたんですよね。

田光:たまたま僕は最初に買った本が当たりだったんでしょうね。それがもしつまらない本だったら今頃ギター弾いてないかも。そういうこと考えると教則本の著者って結構責任重大だったりして。。。

加茂:そうだと思います。僕が今まで出させていただいた本って、全ての音に右手のピッキングの方向と左手の指の指定を書き込んでいるんですね。これって当然レコーディングし終わった後、しかも忘れないうちにつけないといけないので、凄い大変なんですよ(汗)。でも大変だからといって、その指定をやらないでいると、読者にとってはわかりにくし弾きにくいものになってしまうと思うんです。そういう気持ちで教則本を作っているから、いざ読者から「加茂さんの本で練習したらギターが弾きやすくなりました!」っていうお便りをいただくと、本当に嬉しいです。責任が果たせたとも思いますね。

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▲加茂フミヨシ著『ひたすら弾くだけ! 超絶ギター・トレーニング』のP.42「解剖学的な限界に挑戦! ストレッチでキーボード風コード・サウンドを創造」の譜面の一部です。すべての音に、ピッキング記号と指の指定が書かれています。なお、同エクササイズの音源は、こちらの試聴コーナーでお聴きいただけます。(編集部)

加茂:話を戻しますが、田光さんから見て、インディーズ・レーベルの良さ、そして難しさとは?

田光:“何の制約もない”というところが良さであり難しさですよね。制約がないからCDを作っただけで満足しちゃうアーティストって多いと思うんですよ。ただCDを作るだけなら今は誰でもできるけど、作った後にそれをどうするか?ってところまで考えないといけないんですよね。

加茂:そうですね。

田光:まず一番大事なのはとにかく知ってもらうこと。そのために色んなメディアにプロモーションしたり、CDショップに営業に行ったり、そういうことまで全部自分達でやらなければいけない。でも逆に考えるとそれって自分が載りたいと思う雑誌や置いてもらいたい店に直接アプローチできるということなんです。そういった横のつながりを自分で作っていくというのは大変ではあるけど、とっても楽しいですよ。実は僕がリットーさんとつながるようになったのも、自分でギター・マガジンに載りたくてプロモーションに行ったのがきっかけなんです…。

加茂:そうだったんですか! 田光さんはとてもアクティブですね。フットワークが良いというか。僕も見習わないと!!

田光:どうも人にものを頼むのって苦手で、つい自分でやっちゃうんですよ。

加茂:新人アーティストがこれからインディーズ・シーンでやっていくには何が必要でしょう?

田光:今はインディーズって言ってもきちんとスタッフがいてプロデューサーがいて・・・っていう場合が多いじゃないですか。もちろんありがたい存在なんですけれども、そこに頼りっきりになっちゃダメなんです。基本的に自分たちで何とかするっていうのがインディーズですから。もしどこかのレーベルと契約したとしても、そのレーベルにおんぶに抱っこじゃなくて、「自分たちがレーベルの人間を食わせてやる」くらいの意識でやって欲しいですね。

加茂:そうですね、インディーズとメジャーの境界線上っていう場合も結構ありますよね。確かにデビューする前って憧れの方が強いのか、事務所がやってくれる、レーベルがやってくれる、ってやってもらいたい願望が強い人っていますよね。以前、トモ藤田さんがこの対談でおっしゃっていたのですが、「周りの雰囲気が欲しいだけの人がいる」っていう言葉が凄い印象に残ったんですよね。やはり行動力っていうのが凄いポイントになるんですね。

田光:そこを勘違いしちゃうと長続きしませんよね。結局契約が切れたらバンドも解散・・・みたいな。アメリカではミュージシャンがマネージャーを雇ってたりするじゃないですか。自分達でできることと、人にやってもらわないとできないことっていうのを明確にしておくべきですよね。

●プロを目指すなら・・・

加茂:田光さんがご自身を向上させるために普段からやっている練習はありますか?

田光:テレビを見ながらギターを弾く! でもただいじってるだけじゃなくて、例えばCMの曲なんかをすぐその場で一緒に弾いてみる。すぐ終わっちゃうから大体でもいいんです。CDとかだと繰り返し聞いて完コピできるけど、テレビは流れて行っちゃうじゃないですか。その待ってくれない展開の速さが、思った音をすぐにギターで出せるようになるいい練習になると思いますよ。

加茂:音感も鍛えられるトレーニングですね!

田光:ちょっとしたネタにもなりますしね(笑)。コード進行とかも結構面白い発見があると思います。

加茂:田光さんが技術的な意味で、何か目標とされている事がありましたら教えて下さい。

田光:速弾きができるようになりたいとか、カッコいいアドリブを弾きたいとか・・・アマチュアのみなさんと同じですよ。いつまで経っても向上心を忘れたくないっていうのはありますね。

加茂:そうですね、僕もそれだけは忘れたくないですね。

田光:まあ思ってるだけで、この年齢になるとあんまり努力はしないんですけど・・・(苦笑)。

加茂:田光さんの中で「プロ・ギタリスト」とは、どういうものですか?

田光:ギターが上手い人は山ほどいますからね〜。その中でプロと呼ばれるべき人はギターで他人を楽しませたり、感動させたりできる人でしょうね。逆にヘタでもそういう所があれば十分プロに成り得ると思います。趣味で弾くならば自分が楽しければそれでいいんですが、プロになったらそれだけじゃダメなんですよ。他人のためにも弾けるかどうか? そこがプロ意識にもつながる部分なんじゃないでしょうか。

加茂:僕は、自分のライフワークとして捕らえている事なんですが、ボランティアで、介護施設等で演奏させていただく事があるんですよ。その時に感じるんですよ。お客さんに少しでも楽しんで欲しいっていう気持ちが一番大事だっていうことを。すごくわかります。

田光:そういう場所でお客さんの笑顔が見れたらもう本望じゃないですか!お金を貰えることだけがプロじゃないってことですよね。そういう気持ちがあればお金なんて後からついてくるんじゃないですかね〜? 保証はしませんケド(笑)。

加茂:プロ・ギタリストを目指して、田光さんの教本で練習している読者の方に一言メッセージをお願いいたします。

田光:もしプロを目指すなら、「できればプロになれたらいいなぁ・・・」みたいな曖昧な考え方じゃなくて、「何が何でも絶対プロになる!」くらいの意思を持って欲しいですね。自分自身が納得のいくプレイができるようになれば、必ず他人も認めてくれるはずですから。

加茂:田光さん、今回は対談させていただいてありがとうございました。いつも僕の「ひたすらシリーズ」をマスタリングしていただいているということのお礼も言えたので、良かったです。ありがとうございました。

田光:こちらこそありがとうございました!

加茂:もしよろしければ、何かセッションをしませんか?・・・結構恒例化している企画でして(笑)。

田光:是非是非、これを楽しみにしておりました!! 先ほどちょっとお話していたインスト・アルバム『ザ・ファンキー・パーマネンツ登場!!』の中の1曲なのですが、これのトラックを使ってセッションというのはいかがでしょう!

加茂:ぜひ、よろしくお願い致します!

田光:どんな風になるのかめっちゃ楽しみです!!

※この対談は2009年12月にEメールで行われました。

田光マコト氏と加茂フミヨシ氏のギター・バトル音源です。曲名をクリックすると、再生が始まります。

【この音源について】

田光氏と加茂氏のギター・バトルはインスト・アルバム『ザ・ファンキー・パーマネンツ登場!!』の中に収録されている楽曲「Kitty Strut」で行われた。

イントロのファンキーなリフは田光氏のセミアコ(ギブソンES-330)で始まる。このようなグルーヴは、普段から生のドラマーと一緒に練習することで養われる。最近はバンドをあまりやらないギタリストも多いようなので、是非バンドを組んでこのようなセッションを楽しんでもらいたい。

音源の左チャンネルが田光氏で右チャンネルが加茂氏だ。両者のプレイスタイルがはっきりと出ているので聞いてみて欲しい。

ソロの配分は

0分22秒〜0分54秒:田光
0分55秒〜1分29秒:加茂
1分30秒〜1分51秒:田光
1分52秒〜2分32秒:加茂
2分33秒〜エンディング:田光と加茂の絡み

となっている。

田光氏のギターソロは、テレキャスターを使って弾かれていて、まさに”真っ向勝負”と言えるファンク&ブルース・ソロだ。このようなソロは、ペンタトニックを使ってギターを歌わせる事が出来る人にしか弾けない。田光氏の豊富なキャリアが光る王道的フレーズだ。

対する加茂氏のソロは、いつものフェンダー・ストラトキャスターによるものだが、今回はエフェクトを一切使用せずアンプのナチュラルな歪みのみでプレイしているようだ。強弱をつけたピッキングのソロはアンプ直ならではのもの。

二人のギターが会話をしてるような雰囲気を楽しんでほしい。

(編集部)

 

<著者たちの語らい – 田光マコト&加茂フミヨシ 完>

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田光マコト プロフィール

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1968年、東京都出身。大学卒業後、某アレンジャーのローディーをしながら音楽学校のエンジニア科に入学。のちにギター科に編入し、アイドルのバック・ギタリストとしてプロ・デビュー。その後さまざまなアーティストのライヴ・サポート、レコーディングなどにも参加。同時期にアレンジャー、作曲家としての活動も本格的にスタート。現在自らリーダー/ボーカルを務めるザ・パーマネンツでの活動と平行して、99年にインディーズ・レーベル=YOUNG RECORDSを設立。プロデュース、CM音楽制作、音楽ライター、DJなどとしても多岐にわたって活躍中。09年6月、初のオール・インスト・アルバム「The FUNKY PERMANENTS」を発表。

ザ・パーマネンツ http://www.permanents.net/
YOUNG RECORDS http://www.youngrecords.net/

【教則本】
アコギがうまくなる理由 ヘタな理由
カタチではじめるブルース・ギター

【楽譜】
ジャズ・ギターのしらべ
ジャズ・ギターのしらべ2
ロック・ギターのしらべ

【教則DVD】
DVD版 カタチではじめるブルース・ギター

【主なアルバム】


『ザ・ファンキー・パーマネンツ登場!!』The FUNKY PERMANENTS


『BEST OF The PERMANENTS』ザ・パーマネンツ

加茂フミヨシ

加茂フミヨシ

超絶技巧ギタリスト/クリエイターとして活躍する。傍ら、最先端エレキ・ギター奏法の求道者としても、多くのヒット作教則本を発表。2011年に、スティーヴ・ヴァイがバークリー音楽大学で記録した“世界最大規模のオンライン・ギター・レッスン”のギネス世界記録に挑戦。ヴァイの“ギター・レッスン受講者4,455人”の記録を“8,776人”に更新し、イギリスのギネス・ワールド・レコーズより日本人ギタリストとして正式承認される。世界に名を刻んだエレキ・ギター界の伝道師である。



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