【音源付き】著者たちの語らい--Kelly SIMONZ & 加茂フミヨシ(3)

加茂フミヨシ式ギター・トレーニング by 編集部 2009年10月23日

Kelly SIMONZと加茂フミヨシの対談最終回。超絶技がぶつかり合うギター・バトル音源も配信!

 
▲左/Kelly SIMONZ 右/加茂フミヨシ

 

「著者たちの語らい」のコンセプトはこちら。
※Kelly SIMONZのプロフィールは、このページの下を参照。

超高速ピッキングの秘密

前回より続く)

加茂:ところで、Kellyさんの動画をYouTubeで拝見しました! まず、連続ダウン・ピッキング(『超絶ギタリスト養成ギプス』のEX-58「超絶オール・ダウン弾き」の譜面に対応した実演動画のことだが、現在は公開が終了している)の速さに驚きました! メタルの勢いを曲に与えるには、このテクニックはとても有効と思いますが、速弾きよりも難しいなんて声もあるようです。連続ダウン・ピッキングの速度を上げるコツがありましたら教えていただけないでしょうか。

Kelly:ダウンは今のところ260のテンポで8小節ぐらいが最高スピードですが(笑)。人間は最終的には「エルボー・ピッキング」になってしまうのですが、その最終手段をどこまで使用せずに「スナップ・ピッキング」でこなせるかでしょうね。

加茂:なるほど!

Kelly:全ての楽器にいえる事ですが、やはり手首のしなやかさが重要です。ドラムなんかもまさにその通りでしょう。……手首がしなやかな人は音も綺麗です。常に手首をしなやかに動かす意識は、ギターを弾いてなくても出来る事なので心がけておけばいいと思います。

加茂:Kellyさんも、エルボー・ピッキングとスナップ・ピッキングを使い分けているのでしょうか?

Kelly:僕は基本はスナップで、エルボーは「超高速」で使います。チキン(サークル)はエコノミーとスウィープで使い分けますね。ただサークル・ピッキングの際もスナップの回転は加わってるので、僕のエコノミーのサウンドはかなり強烈と評判です(笑)。……何故か評価の高い技術の一つになってますね、自分では良く分かってないのですが。

加茂:エルボーは「超高速」で使う、とのことですが、具体的にはどのくらい速度になったときにエルボーになるのですか?

Kelly:エルボーはテンポ200の6連符ぐらいになってようやく使用します(笑)。まぁ実際のところちゃんと鳴ってるかは自分でも分からない未知の領域ですが(苦笑)。

加茂:またKellyさんの速弾きプレイの中では、「スリー・ノート・パー・ストリングス・ポジション」を活用した上昇エコノミー・ピッキングがとても素晴らしいと思いました。しかし、このエコノミーを使ったフレーズは、楽譜にすると「9連符」みたいなリズムを取るのが難しいフレーズが多いですよね。この辺のリズム的攻略法がありましたら教えてください。

Kelly:本にも書いたのですが、9連符という考え方ではなく「1拍」に詰め込んだ結果「9つの音になった」という考え方ですね、僕は(笑)。そう考えると10連でも11連でも12連でも何でも一緒なんです。ただ一拍に対する音符の符割は相当シビアです。……逆に言えば、決められたテンポの1拍の中にどれだけ詰め込めるか理解していれば、あとは逆算で音を減らしていくというか。……それから例えば、教則本のEX-1に出てくるテンポ120の1拍12連符は、そのテンポで12個の音を詰め込めるからこそ、冒頭の一拍3連も余裕をもって聴かせることが出来ます。これが常にいっている「速いに越した事はない」という事です。

加茂:スピード・コントロールが出来ると余裕が生まれるので、表現の幅が広がるという事なんですね。

Kelly:そうです、常にマージンがいかに取れるかにかかってると思ってます。

自惚れや勘違いが人の成長を阻む

加茂:Kellyさんの曲についてですが、クラシカルなコード進行をうまく活用した楽曲が素晴らしいですね。このようなオリジナル曲を作るときは、コードから作るのでしょうか。それとも、メロディが先に浮かぶのでしょうか。

Kelly:やはり僕は「シンガー」なので大体の曲はコーラス・パートが最初です。後で肉付けをする際に、今まで聴いてきたバロック・ミュージックなどを参考にアレンジしますね、バッハのごく一部とか、かなりマニアックに引用します(笑)。特に勉強したわけではないのですが、やはり膨大な数を高校生の頃から聴いていたので、身体に馴染んでいると思います。イントロなどはやはりギター・キッズが一番注目するところなので、大袈裟にアレンジする事が多いですね。

加茂:ヴォーカルから、作曲アレンジまで一人でこなしてしまうのですね!

Kelly:もともと頭の中に一気に浮かぶタイプなので、それを形にするために色々な楽器を手にしてきました。ベース歴はギター歴と同じぐらいになりますね。スラップは下手ですが(笑)、多分ベースでのヴィブラートなら一流ではないかと思ってます(笑)。ドラムはアメリカでいろんな人に習ったので、かなり自信があったんですが、最近は全然練習してないので駄目ですね。早くプライヴェート・スタジオでも建設して練習しまくりたいですね(笑)。

加茂:Kellyさんはふだん、どんな練習をしているのですか?

Kelly:僕は実はあまり練習してないというか、「やる時やる、やらない時はやらない」という無茶苦茶な考えを持ってまして(苦笑)。……しいて言えば、好きなことをひたすら弾いてますね。……そこに常に自分を冷静に見る自分が存在していて、それが「OKかNGか」を突っ込む自分がいます(笑)。

加茂:自分を冷静に客観視しているわけですね?

Kelly:そうです。人間の成長を阻む一番大きな問題は、自惚れや勘違いです。それを認めない人は、残念ながら成長どころか悪くなる一方です。だからこそ冷静に自分を見つめて考え直し、間違っていたら素直に認めて元の場所に戻る事です。コレはどんなフィジカルな練習方法よりも難しく効果的だと思っています。

加茂:セルフ・プロデュースが出来るかどうか、というところですね。つまり、Kellyさんはご自身のプロデューサーでもある、という事ですよね。

Kelly:そうです、僕は職業が「ケリーサイモン」なんです(笑)。僕がケリーなのではなくて、僕が演出して自演している感じで。

自己との飽くなき戦い

加茂:Kellyさんが技術的な意味で、何か目標とされている事がありましたら教えて下さい。

Kelly:究極は自分の声と同じレベルでギターが弾けるようになる事ですかね。かなりのレベルで満足してるんですが(笑)。まだまだ付いてこない時があるので。速さはもう別にいいです……結構速いんで(笑)。

加茂:声のように自然に、かつ豊かなトーンでギターを弾きたいという事ですよね。……Kellyさんに速さはもう必要ありませんよね(笑)。

Kelly:ですね。自分の声の方がまだ自信あるんで、そのぐらいギターでも表現できたらいいなぁと思ってます。

加茂:Kellyさんの中で「プロ・ギタリスト」とは、どういうものですか?

Kelly:どんな状況(環境、機材)においても自信を持って自分の音が出せる人ですね。

加茂:ライブやイベント等はどんな状況下になるかは、会場に行ってみないとわからないですからね。それでも仕事は出来ないといけませんよね。

Kelly:そうですね、そういう意味では「音」というより「雰囲気」になりますがね、よく「空気を読む」という言葉があるように、プロはその場の空気を自分の味方に出来るかというのが大きくて、それには楽器の演奏が上手いだけでは駄目ですからね。結局のところ、全てにおいてバランスが取れている人、という事になるのかもしれません。

加茂:プロ・ギタリストを目指してKellyさんの教本で練習している読者の方に、一言メッセージをお願いいたします。

Kelly:教則本に書いてあるので是非ともそれを購入して読んでもらいたいのですが(笑)、永遠に自己との戦いですね。他との比較で生まれるものは何一つないですから。

加茂:他人と自分を比較するのではなく、自分の理想の音を追い求めていく、ということですね。今日は、非常に良いお話が聴けました。ありがとうございました!

Kelly:いえいえこちらこそ有難う御座いました。……自分の可能性をだれよりも自分が信じることによって人間は計り知れない能力を発揮できると信じています。お互いに自己との飽くなき戦いに打ち勝っていきましょう!!

加茂:
Kellyさん、今回は、楽しくかつ興味深いお話ができて良かったです。もしよろしければ、『超絶ギタリスト養成ギプス』を象徴するような楽曲で何かセッションをしませんか? 今回、シュラプネル系というキーワードも挙がりましたので、シュラプネルの始まりとも言える「Yngwie Malmsteen’s Riging Force」における伝統的なソロ回し、みたいな事が出来たら最高ですね! やっぱり、イングヴェイとヤンス・ヨハンソンのソロ回しって、僕大好きなんですよね。

Kelly:是非是非! では、今回の本の中では色んな曲が人気を頂いているのですが、シュラプネル系って事で、YouTubeで動画も公開しているEX-71「速弾力育成クラシカル系エチュード」にフリー・パートを挿入しましょうか。コード進行は、イングヴェイ VS イェンスおけるお約束の進行で(笑)。楽しみましょう!

加茂:ありがとうございます。ヤンス・ヨハンソンのような役割を僕が担えれば最高ですね! よろしくお願いします!

※この対談は2009年9月にEメールで行われました。

 

Kelly SIMONZ氏と加茂フミヨシ氏のギター・バトル音源です。曲名をクリックすると、再生が始まります。

【この音源について(編集部)】

この音源は、Kelly SIMONZ氏の教則本『超絶ギタリスト養成ギプス』の総合練習曲のうちのひとつ、EX-71「速弾力育成クラシカル系エチュード」のトラックを元にした ギター・バトルだ。ネオ・クラシカル・メタルファン&HR/HMファンは必聴である! 今回はKelly氏、加茂氏にお互いのプレイ・スタイルについて一 言コメント(下記)も頂いているので、是非このバトルを聴きながら目を通して欲しい。

イントロ〜0分54秒まではKelly氏によるテーマ・メロディだ。このテーマを弾くだけでも、相当な鍛錬が必要となるだろう。詳しくは教則本をよく読んで、1音ずつ魂を込めてトライしてほしい。

この後から、バトルがスタートする。コード進行は、以下の通りだ。

F#7(4小節:Kelly氏)0分54秒〜1分01秒

F#7(4小節:加茂氏)1分01秒〜1分09秒

G#7(4小節:Kelly氏)1分09秒〜1分17秒

G#7(4小節:加茂氏)1分17秒〜1分24秒

A7(4小節:Kelly氏)1分24秒〜1分32秒

A7(4小節:加茂氏)1分32秒〜1分40秒

B7(4小節:Kelly氏)1分40秒〜1分47秒

B7 (4小節:加茂氏)1分47秒〜1分55秒

※この後は、再び教則部分に戻る。

この超絶バトルを終えて、お互いのギター・プレイについて感じた事を語っていただいた。

■加茂フミヨシより

Kelly さんの凄さは、まずはタイム感ですよね。このバトルにも登場しますが、譜面に書くのが難しいような連符もコントロールして弾いているのが凄いですね。それ から、速さもイングヴェイを軽く超えてますよね! 音使いに関しても、ただクラシカルなのではなく、テンション・サウンドを感じさせるフレージング等も素 晴らしいです。Kellyさんはネオ・クラシカル・プレイを数段進化させた次元にいるベストなギター・アーティストだと思いますね。

■Kelly SIMONZより

実は僕と同様かそれ以上に?イングヴェイに対する熱い思いを感じることが出来ました。がしかし今回はイェンスの役割に徹してもらうという事で(笑)、モーダルなアプローチを意識してくれてますね。イェンスのキーボードはイングヴェイのラインを踏まえつつもアウトラインを巧みにいれるというイメージなので、その雰囲気が出ていると思います。まぁこの□7はあらゆるスケールを入れられるので、彼がどこでどういったスケールをイメージしているかという勉強にもなるプレイをカマしてくれたと思います、ドモアリガトウ!

(著者たちの語らい – Kelly SIMONZ&加茂フミヨシ 完)

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Kelly SIMONZ プロフィール

1970年7月1日大阪生まれ。14歳でギターを始めて、わずか3年でラウドネスのオープニング・アクトに抜擢される。高校卒業後にハリウッドの音楽学校 MIに入学。ジャズ・フュージョンのトップ・クラスでギターを学ぶかたわら、ローカル・バンドでの活動やジャム・セッションを重ねる。卒業後には自身のバンドを結成し、さらにアメリカ東部に拠点を移してセッション・ワークやローカル・バンド活動を行った。アメリカでの活動を中心にしていたが、兄の不慮の事故死によりやむなく帰国。

活動拠点を日本に移すと、1998年に自主制作アルバム『Sign Of The Times』をリリース(1年間で約6,000枚をセールスする)。翌年ソロ名義の『Silent Scream』でメジャー・デビューを果たし、同作はハード・ロック専門誌の売り上げチャートで1位を記録する。2002年には”Kelly SIMONZ’s Blind Faith”名義の2ndアルバム『The Rule Of Right』を発表すると同時に、フィンランドのLION MUSICとアルバム契約を交わして世界リリースが決定。その後、グレン・ヒューズとジョー・リン・ターナーによる”ヒューズ・ターナー・プロジェクト” のオープニング・アクトとしてヨーロッパ全土11カ国に及ぶツアーを敢行して、海外でも高い評価を得る。

現在は、ソロ活動と並行して、メロディック・デス・メタル・バンド”Scarlet Garden”やセッション・ワークなど”ハイパー・マルチ・ミュージシャン”と言える幅広い活動を行なっている。

公式サイト http://www.kellysimonz.com/
公式ブログ http://ameblo.jp/kellysimonz/

【教則本】

超絶ギタリスト養成ギプス

【アルバム】

Sign of the Times

Silent Scream

The Rule of Right

加茂フミヨシ

加茂フミヨシ

超絶技巧ギタリスト/クリエイターとして活躍する。傍ら、最先端エレキ・ギター奏法の求道者としても、多くのヒット作教則本を発表。2011年に、スティーヴ・ヴァイがバークリー音楽大学で記録した“世界最大規模のオンライン・ギター・レッスン”のギネス世界記録に挑戦。ヴァイの“ギター・レッスン受講者4,455人”の記録を“8,776人”に更新し、イギリスのギネス・ワールド・レコーズより日本人ギタリストとして正式承認される。世界に名を刻んだエレキ・ギター界の伝道師である。



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