著者たちの語らい--野村大輔&加茂フミヨシ(1)

加茂フミヨシ式ギター・トレーニング by 編集部 2008年8月8日

【ゲスト】野村大輔(1) 野村氏のルーツ、プロを目指すきっかけ…etc.

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今月から特別企画として、教則本の著者たちの素顔に加茂フミヨシが迫る対談がスタート。
この対談からギター上達の秘訣を盗め!!

★この”語らい”のコンセプトとは

この対談は以前からあたためていた企画です。

教則本を執筆しているミュージシャンは、それぞれ、著者として必ず自分自身の思いを込めて本を書いているはずなんです。僕自身、そういう強烈な気持ちがないと本が書けませんから。

僕はこの対談で、ホスト役として、各ミュージシャンの本質に触れながら、教則本に込めた思いを聞き出したいと思っています。

それが、結果的にこのコラムの読者さんや、その教則本を買って練習されている読者さんにとっても音楽的にためになる話であるのは間違いがないことだと思います。

また、それぞれの著者の方はアーティストとして素晴らしい音楽性や、独自の練習に関する考え方を持ってらっしゃいます。そういった部分にも触れていくことで、かなり独自性のある斬新なコンテンツが作れると確信しています。

では、早速はじめましょう。

野村大輔さんは、『ギターがうまくなる理由 ヘタな理由』『究極のアコギ練習張』『ギター奏法大図鑑』の著者としてよく知られていると思います。

10代からギター講師を始めるほどのテクニックを一体どのようにして身に着けたのか? また、野村さんはどのような音楽観を持ってらっしゃるのか? そのあたりに迫ってみたいと思います!!

(この対談は、3回にわたってお届けします。充実の対談になりましたのでお楽しみに!)

▲野村大輔(左)と加茂フミヨシ(右) ※撮影:鈴木千佳

【野村大輔 プロフィール】

●誕生日:1975年5月8日 ●出身地:東京都 ●血液型:AB型 ●星座:牡牛座 ●趣味:靴、観葉植物

15歳からThe Beatlesに憧れアコースティックギターを弾き始めその後 Jimi Hendrix.Eric Clapton..etc などに影響を受けエレキギターを弾くようになる。

さまざまなバンド活動をしながら10代でギター講師の仕事を開始し、現在ではレコーディングサポート、ライブサポート、作曲、編曲、プロダクトスペシャリスト、ギター講師、執筆活動など幅広く活動を続けている。

エレキ・ギター、アコースティック・ギターのどちらも得意とし、歌の良さを引き出し曲に溶け込むようなギターアレンジを得意としている。また、ロック、ポップス、ファンク、ブルース、カントリーなど、オールジャンルを幅広くカバーしギター&サウンドのエッセンスとして取り入れている。

【野村大輔 公式サイト】

nomura daisuke webpage

→野村大輔の出版物

高校生の頃はビートルズのコピーバンドやってましたね(野村)

加茂:野村さんとは、去年の楽器フェアのセッション(記事末尾の「※編注」参照)が最初だったよね、仕事としては。

野村:それ以前から加茂さんが『速弾きが上手くなる理由 ヘタな理由』を出していたのは知ってたけど、面識はなかったんですよね。僕は加茂さんが速弾きの人と思っていたの。

加茂:あの本出してたら、そりゃそう思うよね。けっこう、いろんな人からメタルギタリストみたいに思われてるみたい(笑)。

野村:あの本インパクトありますもんね。

加茂:僕は野村さんをアコギの人だと思っていた。だから僕、野村さんとセッションするときに、アコギの人とはどう演ればいいかなと考えた。でも、どっちかというとエレキのほうが好きなの?

野村:個人的にはエレキのほうが好きかな。最初に始めたのがアコギだったけど。

加茂:いつ頃始めたの?

野村:15歳。兄貴がアコギを持ってて。

加茂:お兄さん、どんな音楽聴いてたの?

野村:兄貴はビートルズをずっと聴いてて、僕はそのころ音楽は全然わからなかったけど、兄貴がギター弾いてるなら、僕も!って。

加茂:でもさ、野村さんが15歳のときって、ビートルズを聴いてる人いなかったでしょ?

野村:まわりには誰もいなかったですね。その頃はジャーマンメタルが流行ってて、ハロウィン全盛期でした。

加茂:ビートルズ聴いてる人いなかっただろうなぁ。

野村:そうね、そういうブルージィなところいく奴いなくて。

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加茂:その頃ってバンドブームだったよね。バンドやりたいって思ってた?

野村:それはありましたね。

加茂:でもビートルズのコピーバンドは組むメンバーいなかったでしょ?

野村:そう、ほとんど誰も……でも奇特なヤツが一人いて、仲良くなって、バンドやろうって話になったとき、周囲がやってるバンドとかぶりたいくないねって、そこで、「ビートルズがあるよ」って言って。

加茂:へぇ、じゃあボーカルも入れて?

野村:そうそう、ボーカルと、僕がサイドギターで、あとドラムとベースと、全員でコーラス入れたりもしました。

加茂:ライブって中学生だとできないでしょ?

野村:一番最初のライブは中学校の卒業ライブだったかな。ライブハウス借りてやったんですよ。

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加茂:高校では軽音部?

野村:そうそう。それとサッカー部にも入ってたんです。

加茂:ああ、スポーツやるんだ!

野村:サッカーと軽音、両方やってましたね。

加茂:どっちが好きだったの?

野村:スポーツもすごい好きだったんで、ずっとサッカーやりたいなと思ってたんです。でも結局ギターもサッカーも、女の子にモテたいってのもあったけど(笑)

加茂:ああー、きたきた!本題が!(笑)そろそろビール注文します?(爆)

野村:そのへんがきっかけの人多いでしょ? そういう邪(よこしま)な考えでギター始めちゃうみたいな(笑)

加茂:たしかにそうかもしれない(笑)。

野村:でしょ? 僕はギターだけじゃ足りないなと思って、サッカーもやってたらさらにモテるかなぁと(爆笑)

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野村さんは機材にも詳しいんだよね(加茂)

加茂:音楽に最初に触れたのは?

野村:ギターは兄貴の影響だったけど、もともと、3歳くらいだったかな、幼稚園に入る前から、オルガンとピアノは習ってたの。

加茂:クラシック?

野村:いえ、オルガンだから、童謡やポピュラー音楽ですね。だからソルフェージュをやるとか、そういうのは全然なかったです。楽しく弾きましょうって感じで。で、幼稚園に入ってからも、オルガンとピアノはそのまま続けてたんです。加茂さんも鍵盤出身ですよね?

加茂:エレクトーンやってました。でも僕は楽しくなかったですね。ウチは厳しくて、音楽嫌いになっちゃった。

野村:ああ、そうだったんだ。

加茂:だって僕、女の子にモテたくて音楽一回やめたんだもん(笑)

野村:ええ?

加茂:周囲は運動部やってるのに、なんで僕だけエレクトーンのレッスンに行かなきゃならないんだ……って。

野村:ご両親も音楽関係なの?

加茂:いや違うの。でも、僕には音楽やらせて。両親は聴く耳だけはあってさ。そういう一般リスナーの評価が実は一番過酷なんだよね。

野村:ああ、そうですよね。

加茂:ガキの頃のエレクトーンのレッスンについてはあんまり思い出したくないなぁ。

野村:何歳くらいのとき?

加茂:小学校1年から中学3年まで、ずっとエレクトーン。バッハ、ベートーヴェン、そのうちジャズ、フュージョンとか。

野村:でも、そういうバックグラウンドって加茂さんのアルバムに反映されてるんじゃないかな? 小さい頃にやったものって残るじゃない?

加茂:うーん、クセにはなっちゃってますね。たとえばコードCを押さえるときに、普通はドミソでしょ。でもエレクトーンの人はソドミなわけ。

野村:いきなり転回?

加茂:それで足(ペダル)でドを出すの。

野村:ああー、そういうことか! へぇ~。

加茂:ド(足)、ソドミ(手)なわけ。

野村:若干パワーコード系ね(笑)?

加茂:そうそう。C7も、ソシ♭ドミで、そのシ♭とドの隣り合った感じが植えつけられて残っていて、それがちょっとイヤ。だから野村さんみたいにギターやりたかったな。僕は19歳でギター始めたんだけど、それまでエレクトーンとシンセをつないで打ち込みやってて、好きなギターの音がなくて、それで自分でギター始めたんだもの。ストラト買って。

野村:僕も最初のエレキはストラトですね。ギター始めたのはアコギですが、最初に買ったエレキはストラトです。54年モデルの。

加茂:54年?

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野村:ええ、スモールヘッドで、ピックガード1枚の。

加茂:へぇ~。

野村:ほら、これ(『ギターが上手くなる理由 ヘタな理由』の表紙を指して)だと、ピックガード3枚でしょ? 白・黒(濃紺)・白って。

加茂:ああ、これ3枚なんだ。

野村:そう、これが59年あたりからなの。

加茂:これ重なってるんだ。

野村:そうそう。で、50年代初期のやつは1枚なの。

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加茂:あ、そーなの? すっげー詳しいね~。ピックガード3枚って、今初めて知ったよ(笑)。野村さんは機材にも詳しいですよね。

野村:好きなんですよ。(株)KORGのプロダクト・スペシャリストやってるからっていうのもありますけど。アンプやデジタル系も好きで。

加茂:ギターの中身にも詳しいよね。

野村:それは趣味ですね。よく自宅でギター分解して磨いてますから。ハンダ付け自分でやるし。この間もハンダごてで火傷しちゃって(笑)。そういうの大好きなんですよね、改造とか。加茂さんはプラモとかラジコンとかやらなかった?

加茂:やったんだけど……性格的にできないの、イライラしちゃって(笑)。だから機材も全然ダメ。弦張るのもへたくそ。

野村:あぁ、いきなり演奏できる状態じゃないとイヤなんだ。

加茂:そうそう、そうじゃないとやる気がしないの…っていうか、やれないの。だって、エレクトーンって電源入れるだけだったからさ(笑)

野村:改造もなにもないもんね。

加茂:そ、電源入れて弾くだけ(笑)。とにかく演奏することが好きだったから。ギターに関しても、今はじめて知ったよ、ピックガード3枚……。

野村:いろいろあるんですよー。

加茂:僕ももっと勉強しなきゃいけないなぁ。

高校生のときに、すでにプロになりたいって思ってました(野村)

加茂:プロになったきっかけっていうのは?

野村:高校生のときに、どうやってもプロになろうって決めてたんですよ。

加茂:高校生で?!

野村:うん、「絶対にプロギタリストになろう!」って決めてて……ま、そんなこと言いながらサッカーもやってたわけだけど(笑)。でも、心の中ではずっと決めてたんですよ(笑)

加茂:そのプロギタリストのイメージって、たとえばどんな?

野村:その頃は漠然としてて。具体例がないから、何やっていいかわからなかったですけどね。

加茂:主旋律を弾く人? それとも歌手のバック?

野村:目標だったのはバンドでのデビューでしたね。高校入ってビートルズのコピーバンドやって、あとクリームのコピーバンドもやってた。

加茂:クリームね。ビートルズとクラプトンの絡みに目をつけて?

野村:そうそう、このギター誰だろう?って。すごいいいギターで、「ジェントリー・ウィープス(While My Guitar Gently Weeps)」とかね。

加茂:基本的にそういう音が好きなんだよね?音質も含め。

野村:そうですね。

加茂:たとえば僕らの世代って、ボン・ジョヴィは聴けるけど、クリームは聴けないって人いるじゃない?

野村:ああ、そういうことあるかもしれませんね。

加茂:やっぱり、音質がはっきり違うじゃない? デフ・レパードは聴けるけど、アイアン・メイデンは聴けないっていうか。

野村:わかります、わかります。

加茂:でも野村さんは、そっち(クリームなど)が合ってたんだね。

野村:うん、どっちかというと、そっちのほうが体にあったんでしょうね。

加茂:で、そういうバンド活動してたんだ。

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野村:うん、でも高校生のやってるバンドだから……コンテストに応募したりしたけど、ダメでね。それで僕、カントリー・ジャズ・バーでバイトしてたんですよ。

加茂:それはロマンス期待して?(笑)

野村:違う違う(笑)、音楽の仕事につながらないかなぁって。それでウエイターやってたの。

加茂:生演奏のあるバーだったの?

野村:そうそう生バンドがずっと出てる店だった。僕はメンバー探しもしたかったし。

加茂:なるほどね。

野村:その生演奏に飛び入りさせてもらったりね。

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加茂:そういう音楽が好きなんだね。

野村:で、その店でメンバー集めて、ジミヘンのコピー・バンド…っていうかブルースのコピーみたいなことやってたんですよ。ジミヘンやB.B.キング。それでしばらくやってたんですけど、バンドもだめになっちゃって解散したんです。だけどそのバーで知り合った人が音楽業界に入っちゃって、そこから仕事もらうようになったりして。

加茂:じゃあ、そのバイトは正解だったんだ!

野村:そうなんですよ、何でもやってみるものですねぇ。

加茂:仕事としては、それが最初?

野村:一番最初にやったのは、19歳のときのギター講師ですね。

加茂:ええ、10代で講師始めたの?

野村:でも講師だけじゃだめだったので、演歌歌手の付き人やってたこともあるんですよ。

加茂:(驚いて)演歌歌手の付き人?!

野村:そうそう、運転したりとか。

加茂:へえぇぇー。

野村:演歌だから、ギターの仕事につながるかなと思って。でも演歌ってフルバンド、つまりフルオケで、ギタリストはすでにいるんですよね。だから(仕事の)空きはなかったな。でも、見て勉強させてもらった。あと楽屋で、「軽く歌いたいから、アコギで弾いて」って言われて伴奏付けたり、そういうことはよくさせてもらってました。

[この対談は次回(野村氏の教則本秘話、ギターフレーズ...etc.)に続く]

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加茂フミヨシ

加茂フミヨシ

超絶技巧ギタリスト/クリエイターとして活躍する。傍ら、最先端エレキ・ギター奏法の求道者としても、多くのヒット作教則本を発表。2011年に、スティーヴ・ヴァイがバークリー音楽大学で記録した“世界最大規模のオンライン・ギター・レッスン”のギネス世界記録に挑戦。ヴァイの“ギター・レッスン受講者4,455人”の記録を“8,776人”に更新し、イギリスのギネス・ワールド・レコーズより日本人ギタリストとして正式承認される。世界に名を刻んだエレキ・ギター界の伝道師である。



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