デモ音源はどの程度作り込めばいいのか?

加茂フミヨシ式ギター・トレーニング by 編集部 2008年10月3日

【第47回】作曲について(7)

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これまで3回にわたり「著者たちの語らい」を続けてきましたが、今回はQ&A形式になります。

今後もこのように「著者たちの語らい」が3回程度続いたあと、Q&Aを行なうという展開を予定していますので、どうぞよろしくお願いします(実は、他にも新企画を用意しています。そちらもお楽しみに!!)

さて、「作曲について」の7回目となる今回は、デモ音源に関してです。

デモ音源には、作った曲のイメージをバンド・メンバーに伝える大切な役割があります。以下でそのコツをお話ししましょう。

Q:バンド仲間に聴かせるデモ音源はどの程度まで仕上げればいいのでしょうか?

A:
ここでの「バンド仲間」とは、要するに自分がバンドを組んでいて、”バンドメンバーに対して新曲を聴かせる時”って意味ですよね。

そういう意味では、音質や細かいパートなどは荒削りでかまいません。

それよりも、ボーカルなどの主となるメロディのわかりやすさを重視してください。

きちっとメロディが歌われているデモは、各楽器パートのインスピレーションが湧きやすいんですね。逆に、メロディが把握しづらいデモは、バックの演奏をどうしたらいいかわからなかったりします。

ですから、可能であれば、仮歌は自分よりも歌のうまい人に頼みましょう(笑)。

もちろん、自分のバンドのボーカリストが歌ってくれるのが一番ベストですが。

Q:プロのデモ音源はどの程度完成されているのでしょうか?

A:
プロの場合も各パートは演奏者に委ねられます。

よって、デモ音源がキッチリ作り込まれていることはあまりありません。

例外的に、デモの状態からほぼ完成というところまで作ってしまうミュージシャンもいます。僕の場合は、プリプロをどこまで作るかということは、仕事の案件によって使い分けます。

話がちょっとそれますが、たとえばプロのバックバンドのメンバーとしてライブに参加するとします。で、リハーサルの前に曲のデモテープを渡されたとしましょう。

それを単純に各自耳コピーして終了……ということはあまりないと思います。

多くの場合は、サウンド・プロデューサーから譜面がきちんと配られて、その譜面をもとにしてリハーサルが進められていくという形になります。デモも重要ですが、バック・バンドの場合だと譜面が非常に重要になるでしょう。

あくまでもデモはガイドラインなので、自分のパートはコード・ネームなどを参考にしながら、各自が作っていくということになります。

もちろん、譜面中に実音で指定がある場合は、その音をしっかりと弾かないと作曲者やアレンジャーの意図に反するので、NGとなってしまいます。

市販のバンドスコアのように、全部の音が最初から最後まで指定してあって、タブ譜まであって……みたいな世界ではありません。

つまり、プロのプレイヤーはメロディの感じとコード進行を見ただけで、自分なりのフレージング(当然、曲に合ったプレイ!)ができなければならない、とも言えます。

それから、バック・バンドとかを目指すなら、譜面の読み書きも!!

以上をふまえると、デモテープはガイドラインとして考えておく、という感じでいいと思います。先ほど言ったように、デモがほとんど完成型みたいな感じであれば、そのサウンドを再現するような演奏をすることも重要になりますが。

……で、話を戻しますと、今回の話は皆さんが作るデモ音源ですから、メンバーに伝えるための”音資料”ですよね。ですから、音源のクオリティに関しては、それほどこだわらなくてよく、ガイドライン的なものとして考えればいいでしょう。

曲のイメージをバンド・メンバーにしっかり伝えるため、各パートを念入りに考えるという人もいると思いますが、自分のアイディアだけで固めるのではなく、各プレイヤーに任せたほうが良いフレーズが出てくるということもあります。

だから、なによりもまずは、ボーカルのメロディと曲の雰囲気がしっかり伝わっているかどうかを重視するといいと思います。細かいフレーズや仕掛けはそのあとでもOKですよ。

Qデモ音源作りに必要な機材というと?

A:
ズバリ、今の時代ならパソコン。

皆さん、このコラムを見ているということは、パソコンを持っているわけですよね(笑)。

ということは、あとはレコーディング用のソフトがあればいいわけです。

オススメはProToolsシリーズ。

ProToolsというと、以前は商用のスタジオで使われる高級な製品の代名詞でしたが、最近ではProTools MBOX 2 ファミリーのように安価なラインナップもあるので、ぜひチェックしてみてください。

もっと安いProToolsもありますが、個人的なおすすめの機種は、このMBOX 2です。

→digidesign Pro Tools LEシステム MBOX 2詳細

自宅で使うのなら、このモデルがいいと思います。ソフト・シンセも最初から付属しているんですね。

パソコンと、これを買って、ProToolsに付属しているソフト・シンセを活用し、打ち込みをする際に鍵盤が必要なら、残りはMIDIキーボードさえ買えば、ほぼ完璧!

生音のレコーディング・編集も、当然できます。しかも、そのデータは商用のスタジオに持ち込んで使うこともできるんです! 

なぜかというと、商用のスタジオには高級なProToolsがほぼ100%といっていいくらい設置してあって、そのProToolsは皆さんが自宅で作ったデータを読み込むことができるからです。

すなわち「作業の継続」が可能になるんですよ。ですから、家で作ったデモ音源を商用スタジオで仕上げる、気に入らないところは自宅に持ち帰って作業を継続し、またスタジオで仕上げる……なんてことが可能となります。

それから、「デモ音源の演奏のほうが良かったんだけど、レコーディングで再現できない!」という経験のある人もいると思います。

しか、このようにProToolsを使えば、そんな悔しい思いをしなくてすむわけです。上記のようにデモ音源を使って作業を継続していけば、デモの良さを残しつつ、完成型を作ることができるわけです。

余談ですが、昨年の楽器フェアでフェンダーのギターとコンピューターを活用して楽曲を作っていくパフォーマンスをしたのですが、そこで使用した機材がProToolsでした。

そのイベントの最中、『ギターがうまくなる理由 ヘタな理由』などの著者の野村大輔さんが飛び入りし(これが僕と野村さんの初共演!)、僕とセッションをしてそれをその場でレコーディングし、後日ミキシングをし、ネット上で発表しました。そういったことにも対応できるんですよ。

その音源が以下でダウンロードできるので、よろしければ聴いてみてください。

→MySoundで無料配信

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加茂フミヨシ

加茂フミヨシ

超絶技巧ギタリスト/クリエイターとして活躍する。傍ら、最先端エレキ・ギター奏法の求道者としても、多くのヒット作教則本を発表。2011年に、スティーヴ・ヴァイがバークリー音楽大学で記録した“世界最大規模のオンライン・ギター・レッスン”のギネス世界記録に挑戦。ヴァイの“ギター・レッスン受講者4,455人”の記録を“8,776人”に更新し、イギリスのギネス・ワールド・レコーズより日本人ギタリストとして正式承認される。世界に名を刻んだエレキ・ギター界の伝道師である。



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