【インタビュー】ラインホルド・ボグナー(Reinhold Bogner)

インタビュー by 編集部 2012年3月16日

Line 6がボグナーと手を組んで2008年にリリースしたSpider Valve。世界中のトップ・アーティストに支持されるチューブ・パワーと革新的なモデリング・テクノロジーが高度な次元で融合したこのアンプは世界中で高い評価を受け,その後も進化を続けている。そして,新たなラインナップとして生み出されたのがDTシリーズである。ブティック・アンプらしいウォームなトーンをベースにしたさまざまなモデリング・サウンドを体感できるこのアンプはデジタル・アンプの定番機となる予感を秘めている。1月に訪れたNAMMショーで,ボグナーの創始者であるラインホルド・ボグナー氏をキャッチ。Line 6との開発ストーリーについて聞いた。

DTアンプは、ハイブリッド・アンプの世界における大きな進化です。サウンドはプログレッシブですよ。

●あなた自身はミュージシャンですか?
○ギターを演奏しますし、良いトーンを出すこともできると思っていますが、楽譜は読めないですね。若い頃のように、バンドで演奏したりすることには時間を使えていません。最も興味があるのはアンプの開発で、テストなどは耳に負担がかかることも多いですからね。家ではアコースティック・ギターを弾いたりしますが、むしろ瞑想のためのような意味が強いかもしれません。練習などには時間を使っていませんね。もちろん、アンプの開発をするには、測定だけでなく、ギターが弾けなければいけません。
●アンプの開発は、どのように学んだのですか?
○父親が軍や政府のために航空機のレーダーのエレクトロニクスの仕事をしていたし、TVの修理などもやっていたり、趣味で1920年代の真空管ラジオを収集していたりしていたので、私も回路図などには親しんでいました。それに、真空管の回路は、それほど複雑なものではありません。それに、ギター・アンプにおいては、必ずしも教科書に載っているようなことが正しいとは限りません。むしろ、それと逆のほうが良いサウンドが得られたりします。測定不可能なこともあります。例えば、同じ抵抗値のケーブルでも、サウンドは異なったりしますよね。それは真空管でも同じで、特に秘密があるわけではなく、細部に注意を払い、聴き比べて何が重要かを発見することが大切なんです。だから、聞く作業は本当に多くなりますね。
●あなたとLine 6のコラボレーションが始まったのは、Spider Valveが最初でしたね?
○5年前ですね。一緒に仕事をするようになった理由は、どちらもロサンゼルスがベースだし、Line 6で働いている友人もいたからですね。それで、当時Line 6がモデリングと真空管を融合させた製品を考えているが、興味があるかどうかと尋ねられたのです。それを聞いた時、とてもエキサイトしましたよ。アンプの世界では、最近は4チャンネル・アンプなど複雑なアンプも生まれてきましたが、それ以外は何も起こっていないと感じていましたし、それは退屈なことだと思っていましたから、Line 6のような会社と新しいことをやるのは、エキサイティングなことだと思います。最初にデジタル・モデリングという言葉を聞いた10年前には、どんなものだかわかりませんでしたけど、それがとても便利なものであることは、今ではよくわかっています。同じことをやったり、コピーしたりするのは退屈ですし、私はユニークで新しいアンプを作ることに興味を持っていますから、違うことをやりたいと思ったのです。だから、Line 6と仕事をすることに興味を持って、話を進めました。製品のコンセプトや、私に要求すること、私ができることなどを話し合ったのです。
●ブティック・アンプのデザイナーには、アナログの世界へ留まろうとする人が多いと思いますが、あなたのそうした態度は興味深いですね。
○自分はもともとアナログの世界の人間だし、父親が真空管ラジオを集めているような環境で育ったので、実際に真空管を使ったデザインをするようになった頃には、それがどんなものかを理解していました。私が目指しているのは、車で言えばトヨタ・カムリではなくフェラーリであり、最高の真空管デザインです。私が得意とするのはアナログの部分ですが、目標とするのは”最高のサウンド”なので、そこにモデリングなど新しいテクノロジーを取り入れたということです。いつの日にか、真空管を超えるものが出てくれば、それも取り入れていくでしょう。とにかく、インスパイアされるもの、より良いサウンドが得られるものが重要であり、中身が何であるかは関係ないですね。
●実際の開発は、どんな感じで進んだのですか?
○どんなものを開発したいかのリクエストを受けて、いくつかプロトタイプを作って仕上げるという感じで、作業はすごく早かったですね。Spider Valveのプロジェクトはとてもストレートなもので、それに比べるとDT50の方が複雑でした。DT50はものすごくフレキシブルで、トポロジーを変更できたりしますからね。だからいろいろなテストを行なったり、さまざまな真空管を試してみたりする作業にも時間がかかりました。それに伴い、回路も変更したりね。もちろんコストの制限もあるし、いろいろなコンフィギュレーションで、それぞれ異なるスタイルの音楽でも優れたサウンドを得るためには、うまくバランスを取る必要がありました。単なる1チャンネルのアンプなら最適化することができても、フレキシブルなアンプを作るには、そこに試行錯誤が必要でしたね。
●DTシリーズでは、かなり満足の得られるサウンドを実現できましたか?
○ええ、DT50はとても優れたアンプだと思いますし、DT25はより低価格で、しかも演奏していて楽しいアンプだと思います。実際のところ、25Wでもいろいろなシチュエーションに対応できますしね。DT25は、その多くがDT50と共通していますが、開発を行なったのは1年後なので、細かい部分でいろいろとリファインしています。それほど大きなギグでなければ、DT25でも対応できるでしょう。DTアンプは、モデリングやハイブリッド・アンプの世界における、大きな進化だと思っています。この価格帯で、これほどの自由度とサウンド・クオリティを実現しているものは、ほかには存在しないでしょう。それに、クラシックな外観も良いですよね。クラシックですが、サウンドはプログレッシブです。

【Line 6 Official Web Site 】
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