【インタビュー】ビル・スティアー&マイケル・アモット(カーカス)

インタビュー by 編集部 2009年2月17日

ラウド・パーク出演アーティストのインタビュー第3弾は、カーカスのふたりのギタリスト。

 

▲ビル・スティアー(左)とマイケル・アモット。

グラインド・コアの始祖でありメロディック・デス・メタルのパイオニアであるカーカスが復活した。これはラウド・パークの大きな目玉であり、ステージは想像以上の盛況を見せた。そのライブの数時間前、リラックスした表情のふたりは再結成ツアーへの影の努力を語ってくれた。

※注:以下は『ギター・マガジン 2009年1月号』に掲載したインタビューのアウトテイクです。

--日本公演の前にも、世界中のフェスティバルに出演しましたね。ここまでのツアーの感想は?

マイケル・アモット:そう、フェスティバル・シーズンの最初のほうからプレイしていたこともあって、この夏は合計20ものイベントに出演したよ。その後アメリカをツアーで回ったんだが、一週間もするとアンサンブルもどんどんソリッドな状態になっていった。今になって、やっとアーク・エネミーでプレイするのと同じような感覚になってきたよ。今までだって誰かがとちったからって崩れてしまうようなことはなかったけど、みんながさらにタイトになってきて、リフにもキレが出てきたんだ。もっとリラックスしてプレイできるようになったと言えばいいのかな。まぁどんなショーでも俺は緊張するし(笑)、特に日本はみんなシラフでいるからさ。

ビル・スティアー:俺たちはそういう環境でのプレイに慣れてないからね。

マイケル:1万5千人ものシラフのファンが、すべての動きに注目しているんだ。アメリカだと全員が酔っぱらっていて、全体的なヴァイブを楽しんでいる感じ。そこが日本でプレイする際の楽しみでもあるんだが。集中して音楽を聴いてくれているからね。

--では改めて、今回のメンバーで活動を再開することになった経緯を教えて下さい。

ビル:けっこう長い話になるな……。

マイケル:シンプルに話してやれよ(笑)。

ビル:カーカスは友達だったケン(オーウェン/d)とジェフ(ウォーカー/vo、b)と俺が集まって、10代の頃に始めたバンドだ。ほかのバンドのように”年を重ねてどんなギタリストになりたいか”とか、”バンドの方向性はどうしようか”とか、そんなことを悩み苦しみながら音楽をしていたわけじゃなく、あくまで友達同士で楽しんでやってたものだった。そして時がたちマイケルが仲間としてバンドに入ってきたけど、その時も理由は何も変わらなくって、ギターがうまいのはもちろんだけど、友達としてつき合っていくのが楽しいからってことだったよ。

--では、再結成に際して人間関係的なハードルはなかった?

ビル:俺たちはいつも忙しかった。誰かしらがツアーをやっていて、なかなか捕まえることができなかったしね。マイケルにはアーク・エネミーがあるし、俺とジェフにも個人的な音楽活動やそれとはまったく関係ない私生活での事情もあって忙しかったから。

マイケル:ツアー中でもいつもメールをしていたよ。”俺は今○○にいるけど、次はロンドンに行くから会えないか?”とか、”パリにいるなら会おうぜ”みたいな感じで連絡を取っていたのさ。どこかのバーで一杯やるっていうのはずっと続いていたんだぜ。

ビル:カーカスのいいところは全員が社交的で、決して仲違いして終わったバンドではないってこと。マイケルが抜けその後バンドが解散することになっても、友好的な関係は続いていたんだ。友情に亀裂が入ることなんてまったくありえなかった。

--当時のプレイと、現在のプレイの違いを自己分析してもらえますか?

ビル:ふたりとも変わったところは確実にある。どこから話そうか……初期の頃はみんな粗かったよね。暗闇の中で模索していたようなところもあったと思う。新しい領域へ踏み込もうとしていた時だったからさ。こういった音楽にはどんなプレイをすればいいのか、常に考えていたよ。何年かたって特定のプレイ・フォームができ、自分の中の引き出しや技もどんどん増えていった。マイケルが加入してからのレコーディングでは、ギター・ソロをプレイすることに注目するようにもなったよ。それまでは、そういったことをそんなに取り入れたことはなかったからね。それがカーカスの大きな旅の新たな展開だったと思う。俺のソロを含めたスタイルも、大きく進歩するようになったから。そして今、マイケルがアーク・エネミーで培ったことが、カーカスにまた新たな方向性を与えてくれていると思う。

--なるほど。

ビル:ファイアバード(ビルのブルース・ロック・バンド)でのプレイとはまったく違うスタイルで、まだ10代や20代前半だった頃弾けたこととは大きく異なってくる。そもそも若い時はそういうスタイルをプレイするテクニックがなかったんだ。フレージングの幅もそんなになかったからさ。速くプレイすることはできても、歌わせることができなかったから。

マイケル:今回の再結成のため、リフや耳に覚えのあるプレイをとにかく復習した。ソロのいくつかについては、今風にプレイしてみようかと考えていたんだ。でも最初のフェスに出る一週間くらい前になって、昔の音源を聴いて分析するようになった。それまでのリハーサルではCDと同じようにプレイすることはあまりなかったんだけど、可能な限りアルバムどおりに演奏するべきだと思うようになったのさ。数日間プレイしたら、十分に思い出せたよ。プレイが今と昔で変わっているところがあることにも気がついたし。もはや自分のレパートリーの一部ですらないリックやフレーズがあることに気がついたんだ。俺のプレイはすべて自家製のもので、理論に裏づけされたものはどこにもない。聴いてみるとグレイトなサウンドなんだけど、どうやってプレイしているのか自分でもさっぱりわからないんだ(苦笑)。

--ハハハ、自分でも。

マイケル:そう。かつて人にギターを習ったこともあって、その人からはミクソリディアンやフリジアンといったスケールを教わったね。けれどもその人は”好き勝手に弾いている時のほうが断然いいサウンドだ”、”ひとりで好きにプレイしたほうがいい”って教えてくれた。”何を弾いているかはわからないけど、サウンドはグレイト”なんだってさ(笑)! そんなことも理由のひとつで、昔に戻ってプレイするのがけっこう難しくなっている。俺はどんな時も我流だから、そのときどきのプレイになりがちなんだよ。

--自分のコピーとはいえ、あれらの曲を拾い直すのは大変そうですからね。

マイケル:例えば『ハートワーク』に入っているソロを聴いてみると、聴き手に深く訴えないものが多い。今、それらをプレイしたとしたら、違う聴こえ方になると思うんだ。音の選び方も変わってきていて、もっとエキゾチックなサウンドをチョイスするようになってきているかな。

ビル:確かにそうだね。

マイケル:今夜は、そういったものを再現しようと思っている。それはクールなことでもある。アーク・エネミーと同じようにプレイしたいとは思わないし、みんなは昔のフィーリングで弾いているのを観るのが楽しいんだからね。もし俺が再結成したバンドを観に行ったとしたら、当時のままがいいし、ソロだって自分が知っているのと同じフレーズを聴きたいよ。もちろんいくつかのサプライズも含めたいとは思っているけど(笑)。

--今後の予定は?

ビル:カーカスが終わったら、ファイアバードのアルバムを出そうと思っている。世界中でリリースされるだろうから、それが次の目的だ。来年の頭には発表して、ツアーをまわりたいな。それ以外だったら……カーカスがどうなるか様子を見ていてくれよ!

■インタビュー:ギター・マガジン編集部
■通訳:Tomohiro Moriya
■写真:Masayuki Noda

[マイケル・アモット - MySpace](英語)

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