【インタビュー】トレヴァー・ペレス&ラルフ・サントーラ(オビチュアリー)

インタビュー by 編集部 2009年2月24日

ラウド・パーク出演アーティストのインタビュー第5弾(そしてこれが最終回!)

アメリカン・デス・メタルの総本山=フロリダ出身のオビチュアリーは、同郷同胞のモービッド・エンジェルやデス、ディーサイドとは毛色の違うブルータル・サウンドで、ほかにない音楽性を築いてきた。グルーヴィでありブーミーなクランチ・ギターは、まさにオビチュアリーならではと言えるだろう。そんな邪悪なトーンを作っているのがデビュー時からのメンバーであるトレヴァー・ペレスと、ディーサイドやアイスド・アースなどでの活躍も知られるラルフ・サントーラだ。実はこのふたり、音楽性とは真逆に、ものすごく陽気な仲良しコンビ。今回のインタビューでは、ステージではなかなか聞けない、ふたりのC調なかけ合いをお届けします!

※注:以下は『ギター・マガジン 2009年1月号』に掲載したインタビューのアウトテイクです。

▲トレヴァー・ペレス(左)とラルフ・サントーラ

--ラウド・パークは08年で3回目の開催になります。イベント全体の印象はどうですか?

トレヴァー・ペレス:この感じ、大好きだぜ! この夏は20ヵ所でフェスがあったけど、ここが俺の一番のお気に入りだ。アメイジングだよ。ファンのレスポンスもすごく良かったからさ。

ラルフ・サントーラ:俺も同じだ。最高の時間が過ごせたよ。

--オビチュアリーのプレイは強力な激しさがあるものの、大きな会場でも飽和せずハッキリ聴き取れますね。

ラルフ:俺たちはグルーヴをベースにしていて、それでPAにイキのいい喝を入れてやっているんだ。数年前イギリスのイベントでとある若いバンドを観たんだけど、そいつらはめちゃくちゃ速くプレイしているだけで、今回くらいの会場にいたオーディエンスは、何をやっているのかなんて全然わかっちゃいなかった。そのあとにパラダイス・ロストが出てきたんだけど、彼らの”ズン、ズン”というフィーリングに、アリーナにいたみんなは全員がクレイジーになっていったよ。オビチュアリーもそんな感じなんだ。ヘヴィでグルーヴがあって、迫ってくる感じなんだよ。

--機材面で重要になってくるものはなんですか?

トレヴァー:ラットのディストーションは大きな比率を占めていると思うぜ。フェンダーのストラトは普通ならシングルコイルだけど、俺のはパッシブのハムバッカーになっている。それらをマーシャルJCM800につなげば、吠えるようなサウンドが作り出せるのさ。JCM800はゲインやディストーションを与えてくれるけど、ラットがなければ今と同じサウンドにはならなかっただろう。もう24年間も使い続けているんだぜ。

ラルフ:俺がコイツのセッティングで弾いても、同じ音にはならないだろうな。逆に俺がプレイしていれば、どんなアンプでも同じリード・トーンになるだろう。サウンドは頭と手の中にある。マイケル・シェンカーのサウンドの秘密はギターとアンプにあるんじゃなくって、彼の頭と手にあるってのは明確なことだろう?

トレヴァー:以前ギターテクがサウンド・チェックで俺のギターを弾いていたんだけど、音がショボくって何かトラブルがあったのかと思った。そのあと自分で弾いたらまったく問題がなかったんだよ(笑)。あれは不思議な感じがしたね。

ラルフ:さらに加えておくと、オビチュアリーのサウンドを作るためには、たくさんのアルコールを呑まなくちゃならないんだ(笑)。

--なるほど(笑)、ショーの前後にはタップリといただくわけですね?

トレヴァー&ラルフ:ショーの最中もだよ!

ラルフ:ステージ上で酒を呑んでいる姿をよく見かけるだろう(笑)?

▲トレヴァー・ペレス

--ではそのスタイルが形成された土壌についての考えを聞かせて下さい。あなたたちの出身地フロリダは、デス、モービッド・エンジェル、ディーサイドと、素晴らしいバンドがたくさん生まれています。これには何か風土の影響があるのでしょうか?

トレヴァー:確かにね。ただその質問はよくされるんだけど、俺自身、その理由についてはいまだによくわかってはいないんだ。みんな同じ高校の出身で、ヘルハマーやブラック・サバス、アイアン・メイデン、キッス、ジューダス・プリーストを聴いて育ってきた。どこか競い合っていた部分もあるかもしれないけど、俺はそんなのとは無縁で育ってきたし、あくまでも自分のペースで歩んできたから。

ラルフ:オビチュアリーの音楽はモービッド・エンジェルでもなければディーサイドとも違う。成功したバンドには必ず才能あるプレイヤーがいて……ディーサイドにはスティーヴ(アシェイム/d)がいるし、オビチュアリーならトレヴァーとアレン(ウェスト/g。現在は脱退)がグレイトな曲を書いて、どのバンドとも違う音楽を作ってきた。モービッド・エンジェルのトレイ(アザトース/g)も、独特なビジョンを持っていた。”俺は悪魔だ!”ってイカレちまったこともあったけど(笑)。デスのチャック(シュルディナー/vo、g)だって誰とも違う天才だったぜ!

トレヴァー:今思い返しても変な感じだし、奇妙なムーブメントだと思う。説明はしがたいな。

--現在のエクストリーム・メタルの中には、とにかくチューニングを下げてガナッているバンドも少なくないですが、あなたたちが考える理想のスタイルとは?

トレヴァー:それを語るには、ちと難しいところもある。というのも、最近じゃヘヴィなものは聴かなくなってしまったから。聴くとしてもセルティック・フロストやヘルハマー、スレイヤーといったものになるだろう。

ラルフ:程度がどうであれ、成功したミュージシャンなら誰もが自分の聴いて育った音楽に回帰し始めると思う。ディープ・パープル、UFO、シン・リジィ、そして俺が一緒にプレイしたことのあるバンドの中で一番ヘヴィだったカーカス……そういったものを聴いているよ。

トレヴァー:レーナード・スキナードとブラック・サバスも忘れちゃいけないな。俺はもしかしたらメタル・ギタリストとしては間違っているのかもしれないけど、レーナード・スキナードのアルバムを聴きながら、バーベキューでワイワイやっているんだぜ(笑)。

ラルフ:ツアー中はいつだって、オールマンズやレッド・ツェッペリン、シン・リジィなんかが流れてるんだ。音楽仲間から情報をもらうこともある。この前はオーペスのミカエル(オーカーフェルト/vo、g)から”これをチェックしろよ”ってゾンビーズの『オデッセイ・アンド・オラクル』を渡されたけど、ビーチ・ボーイズみたいでブッ飛んだよ。

トレヴァー:もうイイ歳こいてるってことだ! 俺は09年で40歳になるからな。お前はいくつだっけ?

ラルフ:俺はまだまだ若いぜ……って38歳だけど(笑)。

トレヴァー:そういえば60年代のバンドでスゲー良かったのがある。今度貸してやるから聴けよ!

ラルフ:おう、貸しやがれ! とまぁ、俺らはたくさんの音楽を聴いているってことよ。

トレヴァー:新しいアーティストだったら、エイミー・ワインハウスくらいしか興味がないよ。クレイジーだろ?

▲ラルフ・サントーラ

--ふたりは本当に仲がいいんですね(笑)。休日一緒に遊んだりすることはあるんですか?

ラルフ:俺はフェニックスに住んでいて、コイツはタンパに住んでいる。だからそう簡単に遊びに行くことはできないんだけど、近くを通ることがあれば、当然遊びに行くさ。ツアー中のオフはほとんど一緒だよ。一緒にいることくらいしかすることがないんだな。俺とコイツとフランク(ワトキンス/b)はAチームで、朝から晩までずっと一緒にいる。今こうやってギタリストがインタビューを受けている時くらいしか、フランクがひとりでフラフラしていることなんてないんじゃないかな(笑)。

トレヴァー:日本に来る前はアメリカ・ツアーで、その間には1日しかオフがなかった。俺はカミさんと息子を連れてきて、コイツとフランク、フランクの家族、バス・ドライバーと一緒にレストランに行って、パーティして酔っぱらってやったさ。

ラルフ:それで朝6時には空港に行き、そしてまたこうやってツアーをやる。

トレヴァー:とはいっても、俺たちゲイじゃないから、そこんとこ頼むぜ(笑)!

--では今夜ももちろん……?

ラルフ:そう、パーティをするわけだ(笑)。まじめな話も聞いてくれ。俺はよく”たくさんのバンドを転々としているのはなぜか?”と聞かれる。俺はどんなに金を積まれても、嫌いな人間と仕事はできない。仲間のことを平気で置き去りにするようなヤツなんて、言語道断だよ。さっきも言ったけど、コイツがフロリダからフェニックスに引っ越してきたら、週に4日は一緒にビールを呑み釣りに行く。とにかくずっと仲間だってことを保障するよ。前のツアーの時は俺の彼女とトレヴァーのカミさんとをどこかで落ち合わせて、俺たちは俺たちだけで遊びに行こうかって計画を立てたんだ。ブラザーみたいなもんだ。オビチュアリーは、誰もがブラザーみたいなもんさ。こんなに呑みまくっている俺が言うのも何だけど、以前大きな病に冒されたことがあってね。その時ボーカルのジョン(ターディ)は手術代を全額出してくれ、俺の命を救ってくれた。こっちから頼んだんじゃない、アイツから払ってくれたんだよ。彼らは今まで会った中で最高のヤロウたちだよ!

トレヴァー:ひとつの大家族なんだな。

ラルフ:言ってくれるぜ、このヤロー!

--ではこのタイミングで、ギター的でない質問をもうひとつ。ステージを観て感じたんですが、メンバー全員髪が長くてきれいです。何か特別なケアを?

トレヴァー&ラルフ:なんだ、その質問はー(爆笑)!

トレヴァー:スペインから取り寄せた、特注のオリーブ・オイルに秘密があるんだ(笑)!

ラルフ:普通に洗って乾かして、カールしないように何か調髪料をつけるくらいかな。シャンプー、コンディショナー、保湿コンディショナーがあれば十分で、クンクン……匂いもバッチリ! カワイ娘ちゃんが寄ってきそうだぜ~。

■インタビュー:ギター・マガジン編集部
■通訳:Tomohiro Moriya
■写真:(c)LOUD PARK 08 All Rights Reserved

[オビチュアリー 公式サイト](英語)

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