LOUD PARK 09特集 ケリー・キング(スレイヤー)

インタビュー by 編集部 2010年2月8日

LOUD PARK 09インタビュー特集・第4弾は,3年ぶりにトリとして参上したスレイヤーのケリー・キング!

 

昨年リリースの新作『血塗ラレタ世界』でも,衰えぬスラッシュ魂を聴かせてくれたスレイヤー。ギター・マガジン1月号でのインタビューでも豪腕トークをくり広げたケリー・キングだが,ギター・チャンネルではマーシャルから発売されているシグネイチャー・アンプ,そして新作でのサウンドメイク,さらには共同ツアーを行なっているメガデスについて語る!
●あなたのシグネイチャー・アンプJCM800 2203KKは,プロ・ギタリストでも使用している人が多いです。その魅力とはどんなところにあるのでしょう?
○この音楽ビジネス業界でおもしろいと感じることは,友達の誰かが俺のアンプを使っているってのを人づてに聞くことなんだ。”ワォ,あいつも俺のアンプを使っているのかよ!”って感じでね(笑)。このアンプの素晴らしいところは多彩な音が出せるってことで,誰もが俺と同じ音になるってもんじゃない。さまざまなサウンドが簡単に作れるってのは,とても魅力的なことだと思う。ちょうど自分のモデルがあったらいいなって思っていたところにシグネイチャーの話が来たんで,助かったってところもあるんだよ。世界中を旅していると,税関で機材がひっかかっちまい煩わしい手続きで足止めをくらうことがある。もし東京でそんなことがあっても,楽器店に行けば俺のアンプがあるってのはわかっているし,ギターだけ持って行きつなぐだけで自分の音をすぐに出すことができる。これはあくまでも俺の利点だけど,ツアーに出る時は本当に大きな助けになってくれるよ。聞いた話じゃ,リタ・フォードも購入してくれたそうだ。彼女はマーシャルの工場で弾いて以来気に入って,プレイするようになったらしい。ライブで使っているのかは知らないが,リタもこのサウンドには相当に驚いただろうな(笑)。
●ラウド・パークで使ったのはレンタルの機材だったんですか?
○あれは自前のもので,不測の事態が起こったら楽器店に連絡して持ってきてもらえるという話さ。
●自前のアンプは,店頭で買えるものとまったく同じなんですか?
○そうさ。そうじゃなければ,俺がツアー先で得られるメリットがなくなってしまう。どこに行っても同じ音ってのが第一条件だったし,マーシャルのエンジニアにも”市販品は,俺が使っているのと同じものにしなければダメだ”と言ったんだよ。
●昨日も新曲をプレイしていましたが,新作『血塗ラレタ世界』は『レイン・イン・ブラッド』に通じるようなアグレッシブでスラッシュ魂溢れるサウンドに仕上がっています。レコーディング前にメンバーでビジョンを話し合ったりはしましたか?
○まったくなかった。それは俺らの流儀ではないし,何かビジョンを立ててしまうと,自分自身を型にはめ音楽を退屈にさせてしまう。これからやろうということを,ドンドン絞っていくことになってしまうだろう。これまでも特定の形のものだけを集めるようなことはしてこなかったし,アルバムを作ってはツアーに出てバンバン演奏していくだけだからさ。
●サウンド面では基調の歪み量は減衰し,ピッキングの強さでプラスの歪みを生み出していると感じました。
○俺の趣味が,昔は考えていなかった方向に変化していったんだよ。この10年間で少しずつ変わってきて,そのことにやっと気がついたんだ。ステージでアンプの壁の前に立つこととスタジオで作業することは別物であるということを知り,そのことは今でも学んでいる最中なんだ。ボード(レコーディング用の卓)によってコンプレッションやディストーションが加わったりするからさ。初期のアルバムから15年くらいの間は,エンジニアにずっと任せっぱなしで作品を作ってきたが,今になってやっとどのようにしたらステージで俺が体感しているアンプのサウンドをレコードに封じ込められるかを考えるようになった。まだ理想には達していないんだけど,ディストーションを減らすことは,そのための工夫のひとつさ。プロデューサーのグレッグ・フィルドマンは,俺にさまざまなアンプをトライさせてくれた。シグネイチャー・モデル,それのプロトタイプ,彼所有のアンプを組み合わせてレコーディングを行なった……ただし今思うと,シグネイチャーを重点的に使いまくったほうが良かったのかもしれない。まぁ今回は彼やエンジニアたちが俺のプレイを聴き,ベースやドラムに対してどのようなサウンドにするべきか提案してくれて,それに合わせて作っていったよ。俺は音楽をプレイすることはできるけど,録音に関しては知らない知識が多いからさ。今までみたいに好みの音に設定したアンプにマイクを立てるだけじゃ,本当に求めているサウンドと一致したものを作ることはできないんだよ。
●さて,少し前までメガデスとツアーを行なっていましたが,感想はいかがですか?(10年も共同ツアーを敢行中。夏にはメタリカ,メタリカ,アンスラックスとの”THE BIG FOUR”ツアーを予定!)
○メガデスのやつらはあんまり呑み歩いたりはしないんだ。最初に行ったカナダでの4つのショーでは,顔を見ることさえなかった。それからオーストラリアに行く時の空港のラウンジで,やっとデイヴ(ムステイン)とご対面となったくらいさ。カナダではマシーン・ヘッドとも一緒で,ロブ・フリン(vo,g)とは仲良くやっていたよ。ジェイムズ(ロメンゾ/メガデスのベーシスト)とは,ヤツがブラック・レーベル・ソサイアティでプレイしていた時から知り合いだった。ドラムのショーン(ドローヴァー/メガデス)は昨日楽屋に来てくれたぜ。デイヴとだって,オーストラリア以降はチョコチョコと会ってはいるんだよ。仲が悪いってわけじゃなく,ただ車が一台しかないからバンドでまとまって動くことになり,結果的にすれ違いになってしまうんだ。
●ステージ上でのメガデスはどのように映りますか?
○本当にいい曲をたくさんプレイしているよ。あいつらの90年代のセットリストを知っている……いや,80年代からか。長いな,あいつら(笑)。俺のiPodにはメガデスの曲は入っていないけど,彼らがプレイしているのを聴いて,”なんだよ! いい曲を持っているじゃないか!”と思ったりするからな。初めて観た時はマジですごいギタリストがいて,そいつはクリス(ポーランド)って名乗っていた。本当にクールなバンドさ。
●スレイヤーの話に戻ると,一時期『血塗ラレタ世界』を最後に活動を休止するなんて噂も流れましたが。
○世界中のジャーナリストが同じような反応をしていて,ほかにもトム(アラヤ/vo,b)が”1stアルバムは実は3部作で,その続きがある”と言ったなんて適当なことを言ってくるヤツまでいた。俺はそんなこと聞いたこともなかったから,”そうなの? まぁトムの言ったことをすべて知っているわけじゃないんでね”なんて感じで受け止めておいたよ。前作『クライスト・イリュージョン』(06年)でのインタビューから,噂がどんどん大きくなったんだと思う。もし前のアルバムから5年くらい期間を空けてアルバムを作っていたら,2枚出すのに10年かかっちまう。そんなペースでやっていたら,もう続けていけないだろうがな。ま,このアルバムでつかんだ成功とライブで得られる楽しみは,まだ終わらせるつもりはないから安心してくれ。
●では最後に,その立派な髭のケア方法を教えて下さい。
○ケ,ケア……もちろん髭は抜けていくさ。この髭は97年頃から伸ばし始めたんで,ひととおりのトラブルは経験してきたぜ(笑)。今の状態に落ち着くまでに,かなり時間がかかっているんだ。初めて長くした時は髭を結ぶことなんてなかったから,ストラップに引っかかって大変だった。だから今はライブのために結ぶようにした。それからは落ち着くようになったよ。
通訳:中村美夏
翻訳:守屋智博
写真:畔柳雪子
【スレイヤー・オフィシャルHP(英語)】
【スレイヤー・レーベル・オフィシャルHP(日本語)】

 

昨年リリースの新作『血塗ラレタ世界』でも,衰えぬスラッシュ魂を聴かせてくれたスレイヤー。ギター・マガジン1月号でのインタビューでも豪腕トークをくり広げたケリー・キングだが,ギター・チャンネルではマーシャルから発売されているシグネイチャー・アンプ,そして新作でのサウンドメイク,さらには共同ツアーを行なっているメガデスについて語る!

 

俺の趣味が,昔は考えていなかった方向に変化していったんだよ。

 

●あなたのシグネイチャー・アンプJCM800 2203KKは,プロ・ギタリストでも使用している人が多いです。その魅力とはどんなところにあるのでしょう?

○この音楽ビジネス業界でおもしろいと感じることは,友達の誰かが俺のアンプを使っているってのを人づてに聞くことなんだ。”ワォ,あいつも俺のアンプを使っているのかよ!”って感じでね(笑)。このアンプの素晴らしいところは多彩な音が出せるってことで,誰もが俺と同じ音になるってもんじゃない。さまざまなサウンドが簡単に作れるってのは,とても魅力的なことだと思う。ちょうど自分のモデルがあったらいいなって思っていたところにシグネイチャーの話が来たんで,助かったってところもあるんだよ。世界中を旅していると,税関で機材がひっかかっちまい煩わしい手続きで足止めをくらうことがある。もし東京でそんなことがあっても,楽器店に行けば俺のアンプがあるってのはわかっているし,ギターだけ持って行きつなぐだけで自分の音をすぐに出すことができる。これはあくまでも俺の利点だけど,ツアーに出る時は本当に大きな助けになってくれるよ。聞いた話じゃ,リタ・フォードも購入してくれたそうだ。彼女はマーシャルの工場で弾いて以来気に入って,プレイするようになったらしい。ライブで使っているのかは知らないが,リタもこのサウンドには相当に驚いただろうな(笑)。

●ラウド・パークで使ったのはレンタルの機材だったんですか?

○あれは自前のもので,不測の事態が起こったら楽器店に連絡して持ってきてもらえるという話さ。

●自前のアンプは,店頭で買えるものとまったく同じなんですか?

○そうさ。そうじゃなければ,俺がツアー先で得られるメリットがなくなってしまう。どこに行っても同じ音ってのが第一条件だったし,マーシャルのエンジニアにも”市販品は,俺が使っているのと同じものにしなければダメだ”と言ったんだよ。

●昨日も新曲をプレイしていましたが,新作『血塗ラレタ世界』は『レイン・イン・ブラッド』に通じるようなアグレッシブでスラッシュ魂溢れるサウンドに仕上がっています。レコーディング前にメンバーでビジョンを話し合ったりはしましたか?

○まったくなかった。それは俺らの流儀ではないし,何かビジョンを立ててしまうと,自分自身を型にはめ音楽を退屈にさせてしまう。これからやろうということを,ドンドン絞っていくことになってしまうだろう。これまでも特定の形のものだけを集めるようなことはしてこなかったし,アルバムを作ってはツアーに出てバンバン演奏していくだけだからさ。

●サウンド面では基調の歪み量は減衰し,ピッキングの強さでプラスの歪みを生み出していると感じました。

○俺の趣味が,昔は考えていなかった方向に変化していったんだよ。この10年間で少しずつ変わってきて,そのことにやっと気がついたんだ。ステージでアンプの壁の前に立つこととスタジオで作業することは別物であるということを知り,そのことは今でも学んでいる最中なんだ。ボード(レコーディング用の卓)によってコンプレッションやディストーションが加わったりするからさ。初期のアルバムから15年くらいの間は,エンジニアにずっと任せっぱなしで作品を作ってきたが,今になってやっとどのようにしたらステージで俺が体感しているアンプのサウンドをレコードに封じ込められるかを考えるようになった。まだ理想には達していないんだけど,ディストーションを減らすことは,そのための工夫のひとつさ。プロデューサーのグレッグ・フィルドマンは,俺にさまざまなアンプをトライさせてくれた。シグネイチャー・モデル,それのプロトタイプ,彼所有のアンプを組み合わせてレコーディングを行なった……ただし今思うと,シグネイチャーを重点的に使いまくったほうが良かったのかもしれない。まぁ今回は彼やエンジニアたちが俺のプレイを聴き,ベースやドラムに対してどのようなサウンドにするべきか提案してくれて,それに合わせて作っていったよ。俺は音楽をプレイすることはできるけど,録音に関しては知らない知識が多いからさ。今までみたいに好みの音に設定したアンプにマイクを立てるだけじゃ,本当に求めているサウンドと一致したものを作ることはできないんだよ。

 

このアルバムでつかんだ成功とライブで得られる楽しみを,まだ終わらせるつもりはない。

 

●さて,少し前までメガデスとツアーを行なっていましたが,感想はいかがですか?(10年も共同ツアーを敢行中。夏にはメタリカ,メタリカ,アンスラックスとの”THE BIG FOUR”ツアーを予定!)

○メガデスのやつらはあんまり呑み歩いたりはしないんだ。最初に行ったカナダでの4つのショーでは,顔を見ることさえなかった。それからオーストラリアに行く時の空港のラウンジで,やっとデイヴ(ムステイン)とご対面となったくらいさ。カナダではマシーン・ヘッドとも一緒で,ロブ・フリン(vo,g)とは仲良くやっていたよ。ジェイムズ(ロメンゾ/メガデスのベーシスト)とは,ヤツがブラック・レーベル・ソサイアティでプレイしていた時から知り合いだった。ドラムのショーン(ドローヴァー/メガデス)は昨日楽屋に来てくれたぜ。デイヴとだって,オーストラリア以降はチョコチョコと会ってはいるんだよ。仲が悪いってわけじゃなく,ただ車が一台しかないからバンドでまとまって動くことになり,結果的にすれ違いになってしまうんだ。

●ステージ上でのメガデスはどのように映りますか?

○本当にいい曲をたくさんプレイしているよ。あいつらの90年代のセットリストを知っている……いや,80年代からか。長いな,あいつら(笑)。俺のiPodにはメガデスの曲は入っていないけど,彼らがプレイしているのを聴いて,”なんだよ! いい曲を持っているじゃないか!”と思ったりするからな。初めて観た時はマジですごいギタリストがいて,そいつはクリス(ポーランド)って名乗っていた。本当にクールなバンドさ。

●スレイヤーの話に戻ると,一時期『血塗ラレタ世界』を最後に活動を休止するなんて噂も流れましたが。

○世界中のジャーナリストが同じような反応をしていて,ほかにもトム(アラヤ/vo,b)が”1stアルバムは実は3部作で,その続きがある”と言ったなんて適当なことを言ってくるヤツまでいた。俺はそんなこと聞いたこともなかったから,”そうなの? まぁトムの言ったことをすべて知っているわけじゃないんでね”なんて感じで受け止めておいたよ。前作『クライスト・イリュージョン』(06年)でのインタビューから,噂がどんどん大きくなったんだと思う。もし前のアルバムから5年くらい期間を空けてアルバムを作っていたら,2枚出すのに10年かかっちまう。そんなペースでやっていたら,もう続けていけないだろうがな。ま,このアルバムでつかんだ成功とライブで得られる楽しみは,まだ終わらせるつもりはないから安心してくれ。

●では最後に,その立派な髭のケア方法を教えて下さい。

○ケ,ケア……もちろん髭は抜けていくさ。この髭は97年頃から伸ばし始めたんで,ひととおりのトラブルは経験してきたぜ(笑)。今の状態に落ち着くまでに,かなり時間がかかっているんだ。初めて長くした時は髭を結ぶことなんてなかったから,ストラップに引っかかって大変だった。だから今はライブのために結ぶようにした。それからは落ち着くようになったよ。

 

 

通訳:中村美夏

翻訳:守屋智博

写真:畔柳雪子

スレイヤー・オフィシャルHP(英語)】

スレイヤー・レーベル・オフィシャルHP(日本語)】

 

 

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