【インタビュー 】ブライアン・C.スウェードフェーガー(テイラー副社長)

インタビュー by 編集部 2009年12月21日

近年はエレクトリック・モデルも開発しているテイラー。楽器フェア会場にて,副社長のブライアン・C.スウェードフェーガーにインタビューを敢行!

プロフェッショナルを虜にする高品位アコースティック・ギターを多数世に送り出しているテイラー。09年には設立35周年を迎え,さまざまなアニバーサリー・モデルを発表。今もなおプレイヤー目線で新たなギター開発に情熱を注いでいるブランドの見据える未来について話を聞いた。

アニバーサリー・モデルは

未来のマーケットを踏まえて製作しました。

●まずは楽器フェアの感想から教えて下さい。

○多くのメーカーが一堂に会するこういう機会をいつも大変楽しんでいます。我々のブースにはすべてのモデルを取りそろえ、来場した人たちが手に取れるようにしています。あなたにとって特別なギターを見つけられることでしょう。テーマとして”テイラー・ギターの全貌を見ていただきたい”というのがありますからね。

●09年10月でブランド創立35周年を迎え、さまざまなアニバーサリー・モデルを発表しましたね。製作に当たって具体的にどういったコンセプトがあったのでしょうか?

○さまざまな機種を各35本ずつ、小規模ですがスペシャルなギターを限定生産することにしました。バリトン・ギターや12フレット・ジョイントのアコースティック・ギター、カスタム・ソリッド・ボディ・モデルなどですね。その多くは楽器フェアに持ってきたんですよ。これまでずっと寄せられてきたリクエストにこたえて、今回ボブ・テイラーとそのチームが、開発&製作を担当しました。大変クールでユニークなギターが完成したと思います。ビンテージ・ギター市場を見てみると、おもしろいことに過去に作られた本数の少ないギターに人気が集中することが多いみたいですね。そういうギターが、30年〜40年後になって人気が沸騰するんです。”ああ、あれが欲しかったな”と皆があとになって欲しくなったりするんですよね。だから我々も今回、そういう未来のマーケットを踏まえて製作しました。

●具体的にどういうリクエストが多かったのですか?

○バリトンに関するリクエストが多かったですね。我々は、それをもっとギター・プレイヤーが使いやすくしようと考え、27インチ・スケールにしました。12フレット・ジョイント・モデルに関する声も多かったです。今あげたのはかなりポピュラーなリクエストですね。ほかには……アコースティックで使用しているエキゾチックな木材のコアやココボロなどをソリッド・ボディにも使ってほしいという要望もありましたので製作しました。あと皆さんが特に注意を払っていないものの、とても好評なのがアームレストなんです。通常アコースティック・ギターでは,トップのボディ・サイドは大変シャープなエッジになっています。でもアームレストは、ストラトキャスターのカッタウェイのようにソフトに丸みを帯びているんです。これはカナダの小さいメーカーのデザイナーであるウィリアム・グリッド・ラスキンが発明したもの。それをテイラーがさらに洗練していったのですが、我々は彼に敬意を表し”ラスキン・アームレスト”と呼んでいます。

●しかし、さまざまな要望やアイディアを全部取り入れようとしたら、どこかでバランスが崩れてしまうと思うのですが、そこで”テイラー”らしさを保つために中心に据えているコンセプトや考えはありますか?

○それは大変良い質問ですね。まず、何より大切なのはそれが”素晴らしいギターであること”です。我々は”フランケンシュタイン”みたいなギターは作りません。すべての要素を”つぎはぎ”にはしないんですよ。もちろんたくさんのアイディアを試してみます。革新と開発のためには長い工程が必要ですからね。ボブ・テイラーの役割は、開発作業においてスタートとフィニッシュを決定することです。彼は、私たちの好きなように自由に作業させてくれますよ。でも時に”それはやり過ぎだ。ちょっと戻ってみよう”とか”そっちじゃない、こちらの方向でやってみよう”と、指導してくれます。プロセスにしても、とにかく”ギターありき”でやっていることですからバリトンやアームレストをフィーチャーすることが趣旨ではなく、ギターを作るプロセスの中で生まれ、形となってきたのです。ボブ・テイラーの言葉を引用すると”存在価値のあるギター”、それを作ろうと思っています。つまり、誰かに”こういうものを作ってくれ”と頼まれた云々は関係なく”作られるべくして作られたギター”を目指しているのです。”deserve to live”ということですね。

●テイラーは、アコギ・メーカーというイメージが強かったので、エレキ・ギターを製作することはひとつのチャレンジだったと思います。これまで2年やってきて見えてきた可能性はどんなものでしょう?

○ボブ・テイラーはエレクトリック・スタイルのアコースティック・ネックを作ることで知られてましたからね。これまで、エレクトリック・ギタリストがプレイできるアコースティック・ギターを作ってきたということです。なので当然、素晴らしいフィールのエレクトリック・ネックを開発することができるんですよ。

●トーンも大変重要な要素だと思いますが、ピックアップやプリアンプに関してのこだわりとは?

○我々のピックアップのデザインは非常にユニークです。いわゆるスウィートで温かくウッディなビンテージ・トーンを得るのがゴールですが、近代的な多様性も持たせたいと思っています。ビンテージ・ピックアップはロー・アウトプットで素晴らしいトーンを持っています。最近のピックアップはハイ・アウトプットでダークなサウンドになりがちですね。我々はその両者を組み合わせようと思っていて、(開発を重ねることで)新しいマグネティック・デザインでそれを達成するころができましたね。現在開発中のピックアップもたくさんありますよ。会社の文化的信条が”革新と冒険”ですから、そこには始まりも終わりもないのです。常に新しいアイディアを試していたり、改良したりしています。ソリッド・ボディのピックアップは、どれもハンダなしでセッティングできる仕様で作られているんですよ。モレックス・コネクタでつながっているだけなので、プレイヤーが自由自在にピックアップを交換できるんです。必要な工具はドライバーだけなので、とっても手軽なんですよ。

●ピックアップの交換は通常大変なのですが、そのシステムはとても便利そうですね。

○ここ1年の間、最もポピュラーなアイディアとしてユーザーに喜ばれていると思います。3つのシングルコイルを使った10分後に、ハムバッカーで演奏することが可能ですからね! 翌日、別のバンドのギグがあったら、ミニ・ハムバッカーに変えることもできるんですよ。

●ギターをたくさん持たなくてもよさそうですね。

○テイラー1本だけで大丈夫だったりしますね(笑)。

●2010年に発表を予定しているモデルについて何か分かっていることがありましたら教えて下さい。

○その頃にはデイヴ・マシューズのシグネイチャー・モデルが完成していることでしょう。彼のために改良を加えた914ceで、現在彼はプロトタイプをプレイしています。エレクトリック・ギターに関してはもっとモデルも増えて、いろいろなピックアップを提供できるでしょう。あと8弦バリトン・モデルという斬新なアイディアもありますよ。今までにない新しいサウンドを提供することができるでしょうね。少し12弦的なフレイバーも感じられると同時に6弦的雰囲気もあわせ持っていて、それらがミックスされている感じです。あと新しいフィニッシュ・カラーも完成しました。複合カラーのシースルーで、大変美しい透明感のあるパール・カラーです。

●最後に日本のテイラー・ファンにメッセージを。

○ぜひギターをプレイし続けて下さい! すごくシンプルに聞こえるかもしれませんが、私たちが楽器を製作する目的は、皆さんに音楽を奏でてもらうことなのですから。テイラー・ギターはオーナーにとって特別でパーソナルなギターになるようなので、とてもうれしく思っているんです。自宅で家族の前で演奏するのもよし、アリーナで1万人の観衆の前で演奏するのもよし……。私たちはギターを愛する人たちのためにギターを作っているのですから。

 

【テイラー・ギターズ公式ウェブサイト】

 

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