【インタビュー】マイク・シャノーン(ジャクソン・マスタービルダー)

インタビュー by 編集部 2009年12月9日

数々のメタル・ギターを作り続けてきた、ジャクソンのマスタービルダー、マイク・シャノーンにインタビュー。

アメリカを代表するギター・ブランド、ジャクソンにて、30年近くギターを作り続けているマスタービルダー=マイク・シャノーン。ランディ・ローズのVシェイプ・モデル製作にも関わり、それ以降も数多くのトップ・プレイヤーの愛器を生み出してきた名工だ。近年のメタル・ブーム再燃とともにジャクソン・ユーザーもまた増え、彼も日々忙しく動いているという。そんなマイクに、ジャクソンの現在、そして本国で行なわれているカスタム・オーダーについて話を聞いてみた。

 

長い時間何かに打ち込めば、必ずいいものができる。

●11月に行なわれた楽器フェアに持ってきたモデルの中で、特に注目の機種はありますか?

○プレイヤーの目的や予算に合わせて、すべてのモデルを見てほしいと思うね。個人的にはランディ・ローズ・モデルに注目してほしいな。ジャクソンの最重要モデルと言わせてもらうよ。

●ではジャクソン社全体の話を聞きたいと思います。最近工場などのシステムに変更はありましたか?

○ほとんどのことはずっと変わってなくて、カスタム製品は今でもハンドメイドのままさ。昨年、新しく購入したCNCマシンを2台導入したところで、これによって品質のキープと作業効率の向上がもたらされたよ。リバース・ヘッドや左利きモデルなんかにも対応するんだ。

●現在、作業をしているクラフツマンは何人いるんですか?

○80年代から続けているのは6人で、ペイントとバフがけの部門にも昔からの人間がひとりずついる。最終的な組み込み部門には新しいスタッフもけっこういるんだが、最低でも8年以上働いてくれているスタッフに関しては、大きな変動なくやっているよ。合計では30人くらいかな。

●日本製のジャクソンとアメリカ製のジャクソンとでは、どのような違いがあるのでしょうか?

○おもな違いは、日本製が多くの本数を製作するのに対して、アメリカ製は本当に限定された本数を作っている。手作業での、カスタム生産を目的にしているからさ。日本の工場にも行ったことがあるけど、彼らはとても熱心に働いていたよ。価格帯は違うけれど、パフォーマンスの優れた製品を作ってくれていると思う。

●日本製、アメリカ製を含め、ユーザーはどのような部分に注目してギターを選ぶといいでしょうか?

○プレイ・スタイルによって選んでほしいね。ステージ上で派手なパフォーマンスをしたいのならば派手なギターを。ネックのフィーリングにこだわるのであれば、コンパウンド・ラディアスを始めとしたさまざまなタイプのネックの中から、自分に合ったものを選んだらいいんじゃないかな。指板のRと素材はいろいろ選択できるようになっているからね。

●カスタム・モデルの場合、アメリカのユーザーからはどのようなオーダーが多いんですか?

○こだわりのピックアップ、指板のインレイ、カラーリングから、7弦やダブル・ネックにしてほしいなど、いろんなリクエストが寄せられるよ。キングVのダブル・ネックも作ったし、ランディ・ローズのダブル・ネックも作った。僕らが作ったものに限界はなく、寄せられたオーダーに”こんなのができるのか?”なんて言いながらも、ほとんど何でも作ってきたからさ(笑)。特注のペイントにも対応できるように、グラフィック担当のアーティストもいるんだ。カスタム・インレイにもリクエストが多いかな。

●スペックよりも、ルックスにこだわっているギタリストのほうが多いんですか?

○とは言いつつも、スペックとクオリティにこだわっているギタリストのほうが多いね。カスタム・オーダーは時間がかかるけど、待っているその時間の分だけふくらんだ期待にもこたえられるくらい、品質には自信を持っているよ。

●困ったリクエストなどは?

○うーん、難しいという点では、ダブル・ネックはかなり難しい部類に入るよ。あまりにも細部にこだわるオーダーだと、それを完璧にこなすことが難しい場合もある。もしリクエストの内容が抽象的でも、それをよく理解して作っていくことで、オーダー主が求めているものを正しく作ることが可能になるよ。

●一般的なオーダーでは、どれくらいの時間がかかるんですか?

○カスタムの内容はさまざまだけど、最短でも半年はかかるだろう。ストックにない材がリクエストされていれば、その調達から始まるのでさらに時間がかかってしまう。もし特別なグラフィックを施すのであれば、担当のアーティストに送るのでそれもひと月はかかってしまう。インレイも特注となれば外部のアーティストにお願いするから、そこでも時間がかかる。納期を設定してそれに間に合うよう取り組んでいるけど、長ければ1年かかることもあるからね。

●カスタム・ギターはひとりのビルダーが1本を担当するんですか?

○各部門にはスペシャリストがいて、フレットのすり合わせ、ペイント、サンディング、バフィングといったように、ギター製作上での難しい作業には必ずその専門家がいて、それぞれ作業を行なっているよ。

●最近新しくジャクソン・ファミリーに加わったミュージシャンはいますか?

○スコット・イアンが再びジャクソンを使うようになって、今ニュー・モデルを製作中さ。来年には発表できるはずだ。(デフ・レパードの)フィル・コリンも来年頭に新しいモデルを発表する予定さ。

●ギター・ビルダーの先輩として、日本の若いクラフツマンにメッセージをもらえますか?

○まずは安全に作業をしてほしい。鋭いミノや工具をたくさん使うわけだから、怪我をしないように注意をするのが大切だ。その次はギブアップしないこと。長い時間何かに打ち込めば、必ずいいものができるわけだからさ。キミの作りあげたものがずっと横にあるとしよう。それから何年かたって新しいギターを作った時、それと比べれば自分の成長が感じられるはずだよ。若い頃は誰しも作業にミスがあるものだけれど、ミスは次第になくなり、もっといいものが作れるようになるものだから。

●では最後に、ジャクソン・ギターを使ってみようというギタリストへひと言お願いします。

○スタイルに合うモデルをプレイしてくれ。スタイルはキミの個性を反映するものだから、それにマッチする1本をぜひ探してみてほしいね!

 

翻訳:守屋智博

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