【インタビュー】 白井良明(ムーンライダーズ)

インタビュー by 編集部 2009年10月15日

国内ロック・シーンの重鎮・ムーンライダーズが3年ぶりとなる新作『Tokyo7』をリリース。映画『20世紀少年』の音楽監督も手がけるギタリスト、白井良明がメール・インタビューにこたえてくれた!

“ギターは鮫だ!”
基本的進化はないが、いまだに鋭い牙を持ち続け、
時にそのフォルムは恐ろしいほど美しい。

–新作のタイトルは『Tokyo 7』ですがこちらに込められた意味は?

“意味!”ですか。ふむ、難しい。ただ、’08中頃から一貫してやってきたテーマであります。ムーンライダーズは全員生活が東京&東京近辺なので、テーマとしてはこの年齢、この時代にトライしておくのもスムーズだったかなと思っています。ご当地ソングということではなく、そこに生きて暮らしている中で作った音楽から滲み出る何か。香り、視覚など茫漠としたTokyoがボワ~っと感じられるかもしれない、そんな期待があったのでしょう。

–ムーンライダーズはメンバー誰もが曲作りをされるわけですが、レコーディングはどのような形で進めていくのですか?

まず軽い気分でデモを集めます。その時点ではこれといったテーマは決めません。ある時もたまにありますが。そしてやる曲はオーディションで決めます。昔から今でもそうです。民主的?です(笑)。今の気分に必要だと思う音、歌詞などを見つめながら書く人もいれば、単純に自分が歌いたいと思う曲を書いてくる人もいます。それら何曲かを皆で聴きながら、”うん、これはいい!”とか、”ウムムム~、この曲は今回は厳しいな”とか話し合って選んでいきます。曲が決まったら時代によってやり方は違いますが、ここ何年かはスタジオに入って皆で”せーの”で演奏していきます。メンバーのフィルターを通す感じです。基本、作曲者が責任を持つのが通例でありまして、オケが出来上がるとそのまま家に持って帰ってダビング、編集する人もいれば放っておく人もいます。あとは世間と同じで、唄入れし、ミックスしていきます。今回はネットを通じてミックス・データを聴き、変更点をエンジニアに伝えて修正していきました。個人的にはミックスは実際にスタジオであーだこーだ言い合い修正してゆく作業があればもっと良かったと思っています。

–作品からは新鮮かつ攻めの姿勢を感じました。長らくバンドを続けながらこう
いったモチベーションを保つ大きな理由とは何だと思いますか?

1.おそらくメンバー全員の頭の上にポッカリと浮かぶ司令塔的概念君が”新鮮”という言葉を発し続けているのでしょう。2.”攻める”という気分でレコーディングしていませんが、ポストポストロックを意識して、ノリノリだったんでそう感じたのでしょう。

–「タブラ・ラサ」はバイオリンとの共存という意味でおもしろみを感じさせる楽曲ですね。これ以外の曲でもオルガンやシンセなどリード楽器がたくさん入っているだけに、音域フレーズを含めてアレンジ上で注意している点を教えて下さい。

作曲者によって”技”はいろいろ違うかと思われますが、僕は先頭に立ってリードしていく唄、ギター、トランペットなど、あらゆる楽器の音域がうしろにいる楽器とぶつからないようにはします。あったりめえのことなんです。亡くなった蒔絵師の親父から教わりました(笑)。

–白井さん作曲「笑門来福?」は、アップテンポでメジャー感のある曲です。こちらの作曲イメージはどのようなところから来ていますか?

昨年ロンドン、グラスゴー、エディンバラなどに行き、細かいライブを多く聴いてきた影響があります。それに最近ポストポストロックの影響もあります。江戸育ちのブリット志向ってとこかな(笑)。歌詞的にはあまりに最近の世の中の情けなさに「笑門來福」とばかり笑ってられないな!と思い、”?”を付けました。サビは駅前商店街サウンド的だな(笑)。

–「Rainbow Zombie Blues」のソロは、普通のダブルとは違った雰囲気を受けます。どんな録り方なのですか?

これは2台のアンプを同時に鳴らして、その音を左右にパンニングしてRECしました。それをミックスの時にエフェクト! 音色が違うのでパンしても大丈夫! タイミングは絶対違わない。ただうまくやらないと逆相になったりするので気をつけないといけんよ。

–「ケンタウルスの海」でのソロ&バッキングにはどんなエフェクトをかけたのですか(バッキングはシンセ?)? またどんなイメージでのソロなのでしょうか?

これはアコギをワン・フレーズだけ弾き、ディレイを使用し、さらにループさせました。ポストポストロック感覚です。エンジニアの原口君の勝利!!

–「むすんでひらいて手を打とう」は12弦ギターの響きが美しいです。これはダブルネックのギターですか?

ありがとうございます。いえ、これはキャッツアイ(昔の東海)のアコースティック12弦ギターと、リッケンバッカーの12弦が入っています。ブリット感覚でコンプ強いっす。もう25年選手です。けっこう乾いてまして、いい音してますね。

–「夕暮れのUFO、明け方のJET、真昼のバタフライ」ではスライド・プレイが聴けます。スライド・プレイヤーで特に好きな人、影響を受けた人などはいますか?

影響受けた人、実はボトルに関してはいないんです(汗)。でもオールマンはうまいなあと思います。ローウェル・ジョージもイカシタフレーズだな!と思います。

–「旅の予感」は静かで力強いナンバーで、箱ものっぽいジャジィなギターが効いています。これに使用したギターは?

サドウスキーのジム・ホール・モデルです。ラミネート・メイプルと言って薄いメイプルの合板で出来ています。凄く繊細で超美しい音が出ますね。でも鳴らし方もセンスィティヴで実は難解である。

 

–話は変わりますが、白井さんは『20世紀少年』全3部作の音楽監督を担当されてますね。原作者でギター好きの浦沢直樹さん、そして主役のケンヂが手にするなどギターという楽器がキーになっている映画だったと思います。この映画&サウンドトラックをより”ギター的に”楽しむコツを教えて下さい。

あらゆるギタリストを想像して聴いていただけると楽しいかと思います。嬉々として楽しく遊んでます。例えばメインテーマではギルモアとか、回想シーンはジム・ホールとか、3章の最後大コンサートの時はレッチリ、グランドファンク、ニール・ヤングとか、はたまた泣くところではクロード・チアリ(笑)とか……第1章のクライマックスはクィーンとメタリカの真ん中くらいかな。

–白井さんにとってギターの魅力とはひとことでどんなところでしょうか?

僕は常々ギターは”鮫だ!”と言い続けてます。基本的進化はないが、いまだに鋭い牙を持ち続け、時にそのフォルムは恐ろしいほど美しいと……ナンチャッテ。そしてギターは同時にオーケストラでもありますぞ。

–では、最後に両作品(ムーンライダーズ新作&20世紀少年)の聴きどころ、読者へのメッセージなどをお願いします。

アルバム『Tokyo7』は我々の82年のアルバム『青空百景』にも似ているところのある軽快でクッキリとしたアルバムです。楽しく、台風一過的なさわやかさがあります。が、その反面今を生きる僕たちに共通する暮らしの陰影が見え隠れするところもあり、東京そのものであると同時に現代社会そのものかもしれません……ってちょっと硬いなぁ(笑)。20世紀少年は文字どおり娯楽大作ですが、サントラはサントラの枠を越えて一味も二味も奥深くなってます。例えばタイトルはシャレですべて60~70年の頃の曲のタイトルと同じになってますし、曲の各所にロック自体へのオマージュも盛り込んでありますので十分ニヤニヤできると思います。皆さんどうか、バシバシ聴いてやって下さい。よろしくお願いいたします。

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▲ムーンライダーズ:左から、武川雅寛(violin、trumpet、etc)、かしぶち哲郎(d、perc)、鈴木博文(b)、鈴木慶一(vo、g)、岡田徹(k)、白井良明(g)

 

『Tokyo7』における白井良明の使用機材リスト

「タブラ・ラサ~when rock was young」
ギター:Gibson Les Paul Goldtop P90 56′ Reissue
アンプ:Matchless DC30
「Sore Zore」
ギター:Gibson Les Paul Goldtop P90 56′ Reissue
ギター:Gibson Les Paul Standard Historic 06′
アンプ:Vox AC30
「I hate you and love you」
ギター:Gibson Les Paul Standard Historic 06′
ギター:Bill Lawrence Surf Jazz Master Type Ryomei Shirai Model
アンプ:Matchless DC30
プラグイン:Guitar Rig 3
「笑門來福?」
ギター:Gibson Les Paul Standard Historic 06′
アンプ:Matchless DC30
プラグイン:Guitar Rig 3
「Rainbow Zombi Blues」
ギター:Gibson Les Paul Goldtop P90 56′ Reissue
アンプ:Matchless DC30
アンプ:Orange OVER DRIVE 120 (120W/TUBE/Reissue)
「Small Box」
ギター:Gibson Les Paul Standard Historic 06′
アンプ:Fender Deluxe Reverb
「ケンタウルスの海」
ギター:Gibson J200
ギター:Gibson Les Paul Standard Historic 06′
アンプ:Vox AC30
「むすんでひらいて手を打とう」
ギター:Ernie Ball Music Man Van Hallen Model
プラグイン:Guitar Rig 3
ギター:Cat’s Eye 12strings Acoustic Guitar
ギター:Tokai Telecaster Type
「夕暮れのUFO、明け方のJET、真昼のバタフライ」
ギター:Bill Lawrence Surf Jazz Master Type Ryomei Shirai Model
ギター:1961 Gibson Les Paul SG Standard (Custom made)
「本当におしまいの話」
ギター:Gibson Les Paul Standard Historic 06′
アンプ:Matchless DC30
ギター:Gibson J 200
「パラダイスあたりの信号で」
ギター:Gibson Les Paul Standard Historic 06′
アンプ:Mesa Boogie Mark II SIMUL/CLASS
「旅のYokan」
ギター:Sadowsky Jim Hall Signature
プラグイン:Guitar Rig 3
「6つの来し方行く末」
ギター:Gibson J 200
ギター:Gibson Les Paul Goldtop P90 56′ Reissue
アンプ:Marshall JCM800

 

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『Tokyo7』
MOONRIDERS Records XPCA-1010
→Amazonで購入する

20th.jpg

『映画「20世紀少年」オリジナル・サウンドトラックvol.3』
ソニー MHCL-1560
→Amazonで購入する

 

【ムーンライダーズ公式サイト】http://www.moonriders.net/
【20世紀少年公式サイト】http://www.20thboys.com/
【白井良明公式サイト:トンピクレンフューチャリズモ】
http://www.tonpi.net/

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【ライブ・スケジュール】
11月28日(土):東京JCBホール
問い合わせ:キョードー東京(03-3498-9999)
12月5日(土):大阪なんばHatch
問い合わせ:SMASH WEST(06-6535-5569)




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