インタビュー/ジョン・ペトルーシ(ドリーム・シアター)

インタビュー by 編集部 2009年7月15日

デビュー20周年、通算10枚目のアルバム『ブラック・クラウズ&シルヴァー・ライニングス』をリリースしたドリーム・シアター。近年のアルバムはチャート・アクションも好調で、シーンのパイオニアはいまだ最前線を走っていると言えるだろう。『ギター・マガジン』2009年8月号に掲載されているジョン・ペトルーシのインタビューに引き続き、最新作について、そして今後のプランについて聞いてみよう。

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▲左から、ジョン・ペトルーシ(g)、ジョーダン・ルーデス(k)、ジェイズム・ラブリエ(vo)、ジョン・マイアング(b)、マーク・ポートノイ(d)

たくさんのことが僕らをあと押ししてくれているからこそ、こうやって20年以上たった今でも毎日大きくなることができているんだよ。

インタビュー:『ギター・マガジン』編集部
通訳:守屋智博

--前作『システマティック・ケイオス』(2007年)がバンド史上、最も好チャートを記録し、バンドの活動もますます盛んです。キャリア20年以上にしてこの人気を獲得できている要因とは、いったいなんだと考えますか?

ジョン:今まで発表してきたアルバムのすべてが、とてもユニークであることをみんなが知ってくれているからだね。そしてアルバムをリリースすれば、それにともなう大規模なツアーに必ず出ているよ。世界中を回るにしても、毎回新しい場所に行くことにしているんだ。
我々は一貫してこの姿勢を通してきたつもりさ。レコーディングにしたって必ず情熱を込めるようにしているし、常にベストを尽くしてきた。それまでの作品を超えるものが作れるよう、努力してきたんだ。ファンとの関係も崩さず、興味深いものを作ろうとしてきたんだよ。

--環境的な変化という面ではどうですか?

ジョン:『システマティック・ケイオス』では新たなパートナーとしてレコード会社のロードランナーと手を組んだんだけど、彼らは販売やプロモーションにおいて、素晴らしい動きを見せてくれた。そういったたくさんのことが僕らをあと押ししてくれているからこそ、こうやって20年以上たった今でも毎日大きくなることができているんだよ。

--では新作『ブラック・クラウズ&シルヴァー・ライニングス』について聞かせて下さい。タイトルからして意味深な印象を受けますが、何かコンセプトやテーマを設けて制作したアルバムなんですか?

ジョン:タイトルは歌詞から取っていて、本作はコンセプト・アルバムというわけではないんだ。だから収録曲のすべてが互いに関係し合っているわけではない。各曲に潜んでいるメッセージや主題としていることはダークだけれど、曲が進むにつれてポジティブな結果を迎えることができるんだ。だからそういった点で、意味的にアルバム・タイトルとは一致していると思う。”どんな暗雲でも、その裏側には輝かしい世界が広がっている”というポジティブな面が存在しているんだ。これが全体的な歌詞のテーマとしてある。ただし初めから狙っていたわけではなく、偶然生まれてきたものなんだけどね。

--全体的には聴きやすく、とは言え長篇でテクニカルなパートもたくさん入っていて、今までのファンはもとより、新しいリスナーを取り込める内容に仕上がったと感じました。

ジョン:確かに、僕らはバラエティ豊かなアルバムにしたかったんだ。アルバムを作る段階で、どういった曲を作りたいか明確なビジョンを持っている時がある。『メトロポリス・パート2:シーンズ・フロム・ア・メモリー』(1999年)の時は、ストーリーを持ったコンセプト・アルバムにしたいと思っていて、頭の中で形になっているアイディアがたくさんあった。けれども、そこまで特定の方向性を持たせなかった作品だってもちろんある。
今回は後者の部類に入るけど、曲のアレンジは幅広く、オーケストレーションを面白いものにさせつつも、メロディの持つパワーやフックといった要素を失わないことを念頭に置いていた。キミの言うように、壮大なものから聴きやすいものまでをミックスさせることで、”アルバムを聴く”という体験が強い意味を持つことになる作品に仕上げられたんだ。

--1曲目「ア・ナイトメア・トゥ・リメンバー」のはじめの、思いっきりヘヴィ・ロックなローCリフも、アルバムの幕開けとして強烈なインパクトがありました。前作リリース以降で、こういったリフを作るにいたった新しいインプットやイメージを刺激するものはあったんですか?

ジョン:このチューニングは『トレイン・オブ・ソート』(2003年)の頃から使っているんだけど、その時からおもしろい発明だと思っていた。当然太い弦を張らなければいけなくて、弦のテンションが違うからギターとしてのフィーリングがちょっと異なってくる。それによって、ソロをプレイする時の感覚は変わってくるんだ。弦が太ければトーンも太くなるんだけど、それは高音弦での効果が特に大きい。だからこの曲のソロでは、Cチューニングによる太いトーンがよくわかると思うな。

--中間パート後のソロは、スピードは速いですが音列自体はストレートなものだと思います。その結果勢いはありつつも難しさはなく、オーソドックスなメタル・ファンにも楽しめる曲となっています。そういった点を意識していたりは?

ジョン:ギター・ソロをプレイする時は、曲に対して何が適切であるかを考える。この曲にはふたつのソロが存在していて、言葉で説明するのは難しいけれど……僕は面白みと同時に、ソウルフルであることを目指して作ってみた。いくつもの音が詰まっているが音楽的にぼやけてしまっているよりも、テクニックがいいバランスで混ざり合い、音楽的なパッセージとして成立しているもののほうがいいだろう?

--3曲目の「ウィザー」はそれまでの曲調とはグッと変わり、とても腰のあるパワー・バラードが素晴らしいです。ここでのチューニングは?

ジョン:実はB♭のバリトン・ギターによるものなんだ。CHEVELLEというバンドが数年前に出したアルバムに夢中になったことがあってね、そこのギタリストがこのチューニングを使っていると知ってから、僕もドリーム・シアターで使ってみることにしたんだよ。

--ワウを駆使したソロは左右で鳴っていますが、同じフレーズをダブルで弾くことがいい演出になっていますね。

ジョン:そう、2回弾いて重ねたんだ。まったく同じようなプレイをしているわけではないから、重ねることでコーラス・エフェクトが加わったように感じられる。ベンドをした時などは効果的で、独特なテンションを作り出すことができるんだ。オジーのアルバムで聴ける、ランディ・ローズやザック・ワイルドみたいなサウンドにしたかったのさ。

--同じことを弾くということは、初めからフレーズを用意していたんですか? それとも一回目をインプロヴィゼーションで弾き、続いてそれをコピーした?

ジョン:ほんの少しインプロヴァイズして、残りを考えて組み立てているようなところがある。そして一度録ってみたあとに分析して、もう一度プレイしているんだ。

--「ザ・シャタード・フォートレス」は2音半下げ、「ザ・ベスト・オヴ・タイムズ」はレギュラーのようですが、実は曲中でチューニングの違うギターを弾いているなどはあるんでしょうか?

ジョン:それはしないね。僕はいつも曲をとおして同じチューニングでプレイできるようにしていて、曲中で持ち替えるようなことはしないんだ。そうそう「ザ・シャタード・フォートレス」は実はスタンダードでプレイしていて、ローBの7弦モデルを弾いているんだよ。

--低いチューニングを選択する大きな理由とは?

ジョン:さまざまな理由があるんだけど……それは曲によって変わってくるよ。「ザ・シャタード・フォートレス」は「グラス・プリズン」(『シックス・ディグリーズ・オブ・インナー・タービュランス』/2002年)や「ディス・ダイイング・ソウル」(『トレイン・オブ・ソート』)の延長のようなもので、こういったタイプの曲では7弦を使うようにしている。その理由は、楽器のレンジを下げて、6弦ベースときれいなユニゾン・ラインがプレイできるからだ。

--さて、今回のアルバムにはカバー曲ディスクが付録しますが(限定初回盤のみ)、あなたたちは偉大なバンドの名アルバムをまるまる演奏するということも行ないますね。近い将来、このようなサプライズを企画していたりは?

ョン:ヘッドライン・ツアーに関して言うと、まだ何も考えてはいないな。ただ、僕らの主催する”プログレッシブ・ネイション”ツアーでは、何か面白いことができないかって話し合っているよ。偉大なバンドを招くことができないかと画策しているところさ。それ以外にも何か楽しめる企画はないかと考えていて、今までとは異なる試みをしようとしているんだ。みんなに話すにはまだ早すぎる段階ではあるんだけど、具体案を練っているところなんで、面白いことをする確信はあるから楽しみにしておいてくれよ!

 

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『ブラック・クラウズ&シルヴァー・ライニングス』
ロードランナー
※3枚組初回限定版には、インストゥルメンタル・バージョン、レインボーやキング・クリムゾンのカバーを収録したディスクが付属

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