【インタビュー】イングヴェイ・マルムスティーン

インタビュー by 編集部 2009年5月15日

再びシーンの頂点に帰ってきたイングヴェイ。作曲、ライヴ、ギターについて大いに語る。

強力なギター・プレイをこれでもかと盛り込んだ、近年作の中ではベストと言えるニュー・アルバム『パーペチュアル・フレイム』をリリースしたイングヴェイ。
去る2009年4月にはディープ・パープルとのジョイント・ツアーで来日し、錆びることのない不変の光速ギターを聴かせてくれたのだった。

本インタビューでは、フェンダーからリリースされた最新シグネイチャー・モデルについて、そしてレコーディングの話などをご紹介しよう。

通訳:川原真理子
翻訳:守屋智博
写真:岡見高秀(ギター・マガジン編集部)

『ギター・マガジン』2009年6月号にもライブ機材などに関するインタビュー掲載。

<早速話を切り出すイングヴェイ……>
俺のダックをコピーしたストラトをキミは見たかい? (編注:フェンダー・カスタムショップから100本限定でリリースされたシグネイチャー・モデル “Yngwie Malmsteen Tribute Stratocaster“のこと。)

--はい。試奏もさせてもらいました。とても新品には見えない、見事なレリックに仕上がっていたと思います。

まさか本物を弾いたことはないだろうな(笑)? 比較するためには、そっちも弾いてみなければならないからな。俺の持っている本物はもうすでに弾き始めて30年になるけれど、フェンダーが作ってくれたニュー・モデルがあまりにも完璧だったから怖くなってしまったぜ。
重さ、サビ、傷……すべてにいたってソックリなんだ。レリックの傷はランダムに入れられているもので、使い古した感じが出ていればそれでいいだけの話だよな。ただし、俺のモデルのサビはすべて同じ位置に付けられている。工場に行った時、並んだ60本のギターがすべて同じだったのは信じられなかったよ。

--指板のスキャロップ溝は、今のシグネイチャーと比べると随分浅いですよね。本物のダックもそのようになっているんですか?

俺がスキャロップにしたのは14歳くらいの時で、当時は今ほど深くはしていなかったのさ。いつからかフレットも大きいものに換え、自然とスキャロップも深くなっていった。

--深く削られていないほうが弾きやすいのでしょうか?

俺はなんだってプレイできるんだぜ(笑)。アコースティックにはスキャロップ加工を施しちゃいないが、自由にプレイできる。基本的に、そんなに影響のあるものじゃないんだ。
“ブルースはプレイするのか?”という質問みたいなもので、ネオ・クラシカルなマルムスティーン・スタイルのロックを、ブルースよりも愛しているかというとそういうわけでもない。”レス・ポールやフライングVは好きか?”と言われたら、俺は”もちろん大好きだ”と答えるだろう。
ただ、俺にはたまたまこのストラトがある。俺には大好きで譲れないものがあって、それがこのストラトと車なんだ。マーシャルも時計も定番のものがあるよ。ほかのものでも問題はないんだけど、どうしてもこだわってしまうんだ。
この最新バージョンの”Play Loud”は、俺の持っているオリジナルと同じ深さのスキャロップにしている。指板の汚れをどのように再現したのかはわからないけど、完全にコピーしている。木材の上にラッカーを吹きかけ、黄ばみやタバコの焦げ痕まで再現しているんだぜ。ただもう売り切れちゃったようだから、入手は難しいだろうけどな(笑)。

--新作『パーペチュアル・フレイム』には、強力なインスト作「カプリチ・ディ・ディアブロ」が収められています。ボーカルのある曲とは作曲法は違うのでしょうか?

作曲ということになれば、リフなどのアイディアはどんなところからでもやってくる。その中でグレイトなリフに出会ったのなら、それを追いかけていくんだ。気に入ったアイディアは片っ端から録音して、あとで引っ張り出してみる。
ボーカルのある曲の歌詞についてならば、いつもノートを持ち歩いていて、常にそこに書きためておくんだ。曲に乗らなかった歌詞ってのもたくさんある。例えば「プリースト・オブ・ジ・アンホーリー」は、曲ができてから当てはまる歌詞をそのノートから見つけ出したんだったっけな。
メロディと歌詞ってのはかなり特殊なもので、なんにでも転用できるほど融通の利くもんじゃない。韻を踏んでいるものもあって、リズムを持っているからね。
「ダムネイション・ゲーム」はクライヴ・パーカー(イギリス出身の作家・映画監督)の800ページにわたる著書から、「マジック・シティ」はマイアミ、「レッド・デヴィル」ならばフェラーリといったように、いろいろなものからインスピレーションを受けて作っているのさ。
日本語の”サヨナラ”は”see you later”と響きが似ているから、「レッド・デヴィル」の曲中で使わせてもらっているんだぜ。

左がティム”リッパー”オーウェンズ。

--ボーカル・レコーディングのあとに録り直したギター・パートもあったようですが、ティム”リッパー”オーウェンズの歌声に感化された部分も多かったんですか?

具体的にどの曲ってのは覚えていないけど、録り直したものはいくつかあったね。俺は”これはパーフェクトだ!”と感じられるものができたらそれ以上追いかけたりはしないし、レコーディング中はエキサイトしてしまって、何をやったか覚えていないことも多い。
「プリースト・オブ・ジ・アンホーリー」のエンディング・ソロではひたすらワウでプレイしたんだけど、その時は録音テープが回っていることすら気がつかなかったんだから。

--ではステージ上でプレイしている時は、どのようなことを考えているんでしょうか?

まったくもって、何も考えていない。禅の悟りみたいなものだよ。何か特定の楽器を弾いている意識ではなく、感覚的に感じながらプレイしているんだ。
ステージ上では演奏以外にも、いろいろなことが起きている。俺は照明にはけっこううるさいほうで、ちょっとミスられただけでもイラッとしてしまう。特に白色の光が強い時は、ライブが台無しだ。
ただ音楽に対してだけは自然体でいて、適当にプレイした何かがいいサウンドとなって返ってくると、俺を加速させてくれ気持ちよくなれる。もちろんリスクをともなうことも多いけど、俺はスタジオでもそうやって楽しんでいるのさ。
バンドもリハーサルを十分に重ねてくれていて、俺についてきてくれるからそういうことができるんだ。ただしヴァイブはオーディエンスから生まれるものでもある。俺らだけで作るものでもないぜ。

--今作はとてもいいアルバムであり、世界的にもあなたの人気は再び高まっています。その中で新たな目標やプランはありますか?

まったくないね。俺はバッハからロックまで、すべてを愛している。「デス・ディーラー」のコード進行を聴いてみると、バッハっぽいバロックを感じるだろ? こういうことこそ、俺が今やりたいことなんだ。ブルースやアコースティックっぽいこともやっていきたいけど、それはその時の気分で実現するだろう。
現時点では、具体的に何をやるかなんて決まっちゃいないよ。気が変わってクソなレコードを作ることもないだろう。常にメロディアスなものを作っていくから、そこは心配しなさんな。ジョーク集のような、コメディ・アルバムを作ることはあるかもしれないけどな(笑)。本気でやるかもしれないから、その時は驚かないでくれよ!

--行ってみたい国などは?

ここ数年でほとんどの国を回ってしまったからね、新たなマーケットはなくなってしまった。現在の活動には満足しているよ!

[イングヴェイ・マルムスティーン 公式サイト]

[イングヴェイ・マルムスティーン紹介ページ(ユニバーサル ミュージック)]

[フェンダー カスタムショップ - Yngwie Malmsteen Tribute Stratocaster]

TUNECORE JAPAN