【インタビュー】トニー・アイオミ

インタビュー by 編集部 2009年6月3日

ヘヴィ・ギター界のゴッド・ファーザーが、新作、そしてオジーについて語る。

『ヘヴン・アンド・ヘル』(80年)、『悪魔の掟』(81年)、『ディヒューマナイザー』(92年)と、ロニー・ジェイムズ・ディオをフロントマンに活動してきたブラック・サバス。
2007年にはヘヴン・アンド・ヘル名義で復活し、2009年4月には17年ぶりのフル・アルバム『ザ・デヴィル・ユー・ノー』を発表した。

ここでは、その”ヘヴィ・ギター界のゴッド・ファーザー”ことトニー・アイオミのインタビューを紹介しよう。
最新アルバムがセルフ・プロデュースにいたった経緯や、メンバー間の状況、さらにはオジーについてなど、興味深い話を聞くことができた。

Interpretation:Yumiko Nagata
Photo:Chapman Baehler

『ギター・マガジン』2009年6月号にもインタビュー掲載。

--再結成当時は、”とにかくライブがやりたかった”ということでしたよね。それが今回のCDリリースにつながったということは、ライブ・ツアーはとても満足いくものだったということでしょうか?

あぁ、とても充実した1年だったよ。みんな、すごくうまくやれた。バンド内のヴァイブは最高だったね。ものすごくいい雰囲気の中にいたから、ニュー・アルバムを制作するのはごくごく自然な流れだったと言える。

--逆に障害になるようなことは?

不思議と障害は何ひとつなく、すべてがスムーズだった。ちょっと不思議だろう? だって過去のことを考えれば、いろいろ起こっても何もおかしくはないんだからねぇ(笑)。でも今回は本当に何もなくって、すべてがとても順調に進んだよ。

--楽曲のアイディアはどのように作ったんでしょうか? 以前”リフのアイディアをたくさんためている”と話してくれましたが。

あぁ、そう言ったのを覚えているよ。

--その中のリフも採用されているんですか?

確かに何年も前から書きためているリフは山のようにあるんだけど、今回それらからは何も使わなかった。『ザ・デヴィル・ユー・ノー』で使ったリフは、すべてツアーから戻ってきて作ったものさ。すべて新しいんだ。
自宅スタジオには優秀なエンジニアがいるんだけど、私がプレイしたいと思った瞬間にプレイすると、彼はそれを録音してくれ、そのアイディアをもとに曲のラフ案を組み立てていく。昔のものを掘り起こしていくというのは、これがなかなか難しい作業だったりするのだよ。それよりもその場その場でサッとできたものを使ったほうが簡単だし、いい結果が得られることも多いからね。

--久しぶりの作品になるため、プレッシャーを感じたりは?

感じなかった。誰かに何かを言われ、そのとおりにしなければならないなんてこともなかったから。

--あの奥深い音作りにはどのような秘密があるのでしょうか? プレイ面以外で、機材やレコーディング方法に特別な何かが隠されていたりはしますか?

これまでの方法と今回とで異なっていたのは、レコーディングの仕方だ。今回はプロデューサーを入れず、私のエンジニアの力を借りながら、セルフ・プロデュースしたのだよ。それが一番の大きな変化であり、音作りにも影響しているんだと思う。

--そもそもセルフ・プロデュースにした理由は?

どんな音を求めているのか、それを自分たちでしっかり把握していると感じたからさ。外部プロデューサーに頼んだ場合、自分たちが思い描いていたサウンドに仕上がらないこともある。双方の間でズレが生じる場合があるんだね。だから今回は、自分たちの力でやっていこうとなったわけだ。
ただ、プロデューサーがいることも、決して悪いことばかりではないんだよ。彼らは全体像を客観的に把握していることが多いから、それがプラスに作用することだって多々ある。
自分たちだけでやっているとのめり込んでしまい、見るべきものが見えなくなってしまうことがどうしてもあるからね。”ギターの音をもっと上げたい!”と、ひとり思ってしまったりさ(笑)。そういった時、”いや、上げないほうがいい”と冷静な判断を下すのがプロデューサーの仕事と言えるだろう。
でもとにかく今回は自分たちでやってみようと話がまとまり、結果的にはなんの問題もなく進んだというわけだ。

左から
ギーザー・バトラー(b)
トニー・アイオミ(g)
ロニー・ジェイムズ・ディオ(vo)
ヴィニー・アピス(d)

--現在、メンバー間はどのような状態ですか? 今後もコンスタントに活動を続けようという話は出ていますか?

我々は個人のプライベートな時間を尊重し、お互いの距離の取り方を習得したよ。まぁここにいたるまでは、随分と時間がかかってしまったが(苦笑)。
『ディヒューマナイザー』の頃はこうはいかなかったからね。あの当時はいろいろ大変だった。お互い、あまりいい精神状態でいれなかったこともあったから……。でも今はすごく健康的で心地よく、とにかく楽しい。
“ベストを尽くしたい”という思いがあまりに強すぎると、どうしても”俺が、俺が”ということになり、ほかとぶつかっていろいろと大変なことになってしまう。私も以前はそうだった。ぶつかってばかりで、なぜそうなるのか原因を深く考えようともせず、イライラばかりしていた。
でも今では、ベストを尽くしたいという気持ちを抱きながらも、自分をしっかりコントロールできているから、衝突するようなことはなくなったよ。相手の存在をとてもうれしく感じているし、こうしてみんなと活動できることに感謝の気持ちでいっぱいだからね。

--どのような心境の変化だったのでしょうか?

ずばり、時の流れ……ってやつだろう。みんな成長したし、互いを敬うことができるようになった。”こんな連中と活動できるなんて、自分たちはなんて幸運なんだろう”と、強く思えるのさ。最強のコンビネーションだと思っている。

--そういう話を聞くと、こちらもすごくうれしい気持ちになります!

ハハハ、日本のファンがニュー・アルバムを気に入ってくれることを祈っているよ。

--ですね(笑)。ところでオジーは最近元気ですか?

あぁ、とても元気にやっているよ。残念ながら、今は”あのテレビ番組”で忙しいみたいだけど(苦笑)。

--でもアメリカでは大ウケのようですね。

知っている(苦笑)。ただ一部の人間の間ではウケているんだろうけど、昔からのオジー・ファンは嫌がっているんじゃないだろうか。

--確かにそうかもしれません。

昔からのファンは、彼があんな失態を演じるのを見たいとは思わないだろう。オジー自身、そんなに乗り気ではないようだから……。この間話した時も、”実はあまりやりたくはないんだ……”などと言っていたからさ。まぁ今後どのような方向へ行くのか、私には何とも言えんがね(苦笑)。

20090603_HeavenAndHell_cover.jpg

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